▼月Ё日
悟飯ちゃん達が最長老様のもとへ向かってからそろそろ4日経つ。定期的に連絡は来るので無事なことはたしかなようだが、心配だ。そういえば悟空もそろそろナメック星に到着するころだろう。私の怪我も治ってきたことだし、そろそろ備えておいた方がよいかもしれない。
とかなんとか思ってたらギニュー隊長たちが家庭訪問してきたよヤッタネ!
じゃねーよ!
なんでギニュー隊長一行が来るの!? どこにそんな真っ赤なフラグ立ってたの!? ブルマ、冷や汗たらしながら「見つかっちゃった……えへへ」とか言ってる場合じゃないよ!? そして何気に一番顔のよさげな赤いのの隣に居るのは流石だよ!? ちょ、力加減できねぇポケットの中でタイピングしてる機械壊れるわ! 日記書いてる場合じゃねぇ後で書こ! 後で書けるといいな!!
▼月Ё日 続き
結果だけ書くと、なんとかなった。
どうやら外の空気を吸いに出ていたブルマをたまたま見つけたギニュー特戦隊(今日ナメック星に到着したばかり。フリーザ様にベジータを探すように言われていた。私も探す対象になってたなんて聞かなかったぞ断じて)は、何故かスカウターにひっかからないベジータを探すヒントになるかもしれないと降りて声をかけてきたらしい。ベジータあの野郎、さては私がかめはめ波ぶっぱするまえに気配消してたのを見て気を消す技術を習得しやがったな。これだから天才は。
すぐにブルマに目配せした私はテレパシー出来ることをすっかり忘れて、眼力だけで「あ わ せ ろ」と伝えた。しかしさすがブルマ、すぐに目線で「OK、わかったわ!」と返してくれた。ちなみにお互い笑顔のまま表情を強張らせるという器用なことをやった上での伝達である。笑顔はね、人間関係における潤滑剤だからね! しといて損は無いんだよ!
ともあれ、まずは警戒心を解くために自己紹介(もちろん地球名だ)をしたんだけど、そしたらまあご親切にもギニュー特戦隊の名物であるスーパーカッコいいポージングを決めてくださったわけですよ。
思わず撮ったよね。
ブルマに「何してんのよ!?」って言われたけどしかたないやん! あんなにインパクトあって素敵なもんだと思わなかったからつい写メっちゃったんだよ! すぐに「今何をした!?」って言われたけど、すかさず「あんまりにも素晴らしいポーズだったから人に自慢したくて写真を撮ってしまった」と説明したら全員上機嫌でそうだろう、そうだろうと頷いて納得してくれた。そしてカメラの機能でキラキラ縁飾りやスタンプで写真を飾ってあげたら大喜びだった。記念に印刷してプレゼントしたら大絶賛された。
そこでなあなあで誤魔化せればよかったのだけど、まあ当然「何者か」やら「この星に居る目的」とか聞かれたよね。そこで私は再びブルマと目配せをして、だいたいこんなことを話した。
「私たち旅行者で~。緑がキレイな星があったから立ち寄ってみたんですぅ~」
「でも、なんだか怖い人たちがいっぱいで、怖くなって隠れてたんですよォ」
「せっかくはるばる旅行してきたのにホント最悪って思ってたんだけど、まさかこんなところであなた達みたいに素敵でカッコいい男の人たちに会えるなんて感激だな~」
「そうよね~! 逞しくて格好良くてチャーミングでそれぞれ個性があって、何より美学が素晴らしいわ! 外見だけ格好いい人はいくらでもいるけど、あの内からにじみ出るセンスと美意識の高さはなかなか身に着けられるものじゃないわよね~!」
「うんうん、分かるわ! 宇宙中探したってそうそう見つからないわよー!」
「サインとか頼んだら迷惑かしら?」
「いっちゃいなさいよ! 滅多にないチャンスなんだから!」
「え~、いいのかなぁ~。あのぉ~、サイン書いていただけますかぁ? あと、握手もしてくれたら嬉しいなって!」
作戦名がなんだって? 「褒めちぎれ持ち上げろ話題をそらせ」だよ!! 私的には本音もちょっと混じってたけど、猫なで声の自分に鳥肌立ったわ!!
ちなみに上記の会話はほんの一部である。2人のボキャブラリーを駆使して、的外れな褒め言葉にならないように細心の注意をはらって相手が気持ち良い気分になるまで褒めて褒めて持ち上げて、警戒心を緩和するために適度なスキンシップをはかった。私はリクームさんの筋肉を触らせてもらった。「きゃっ! 素敵な筋肉。しかもしなやかで、屈強な中に優美さまで感じるわ!」とか言っておいた。役得であった。ちなみにブルマは赤い子、ジースくんというらしい。彼押しだった。ジースくんは照れていた。
そして決め手にこれ。「よかったら今日会えた記念にパフェをごちそうさせてもらえません?」を止めに、冷蔵庫に作り置きしてあったスイーツで作った特製宇宙パフェを振る舞い記念撮影をして帰ってもらった。記憶の端っこに申し訳程度に引っかかっていた、たしか誰かパフェとか好きだったよな? という原作知識大勝利の瞬間である。
帰りに「この星は危険だからさっさと離れた方がいいぞ」なんてお言葉までもらっちゃったぜ! サイヤ人の尻尾を普段から隠すスタイルでよかった! ブルマの協力もあって私がハーベストだなんてまったく気づかれなかったもんね!! ここに居たのは、ただの宇宙トラベラーなイケてるギャル2人だったのだ!
ギニュー隊長達が去ると、ともに戦場を潜り抜けた戦友としてブルマと熱い友情の握手を交わした。ふっ……今、輝いてるよね私たち。
そしてそれからしばらくすると、やっと餃子師範が迎えに来てくれた。
いよいよナメック産ドラゴンボールを使う時が来た! ポルンガ先輩、よろしくお願いします!!
(日記は次のページに続いている)
短い目なのにいつもより濃く感じる錯覚。