▽月Б日 続き
さーてドラゴンボールをもらって逃げるか、そう思っていたら廊下でベジータと鉢合わせしてとっさに顔面に殴り掛かったら向こうが全く同じ攻撃をしてきてクロスカウンター的に互いの頬に拳がめり込んだ。バルス。滅びよM字。
その後私はとっさに手のひらを奴の腹に押し当てた。そしてありったけの念力を流し込むと、傍から聞こえるくらい「ぴ~ごろごろごろ」とベジータの腹から素晴らしい音が聞こえ、内心私ガッツポーズ。よっしゃ当たった大正解! 前回は念力を気で吹き飛ばされてしまったが、ならば気を発する前に近接戦から直接体内へ力を押し込めばよいのだ。けして私の超能力が効かないわけでは無かった!
ベジータは腹をおさえて内股になり「き、貴様何をした~!」と言ってきたので、その姿があんまりにも面白かったもんだから指さして笑ってやったら腹を渾身の力で殴られた。ば、バルス……!
その後ベジータが何をしたかっていうと、ちょうどドラゴンボールをかっぱらう場面だったらしく「貴様は確か超能力が使えたな。こいつの命が惜しければ協力しろ」と餃子師範を脅し、宇宙船の天井を破壊して「投げ飛ばした先でドラゴンボールを集めて絶対に見つからないように隠れていろ。逃げようなんて思うなよ? こいつが汚ぇ花火になって爆発するところが見たくなけりゃな!」とドラゴンボールごと餃子師範を投げ飛ばした。ちゃ、餃子しはーーーん!!!!
遠目に見たところ、餃子師範は空中でドラゴンボールを自分の周囲に集めていたのでおそらく無事に着地は出来るだろうけど……ぐったり床に這いつくばる体勢から体をひねって足払いしてベジータをスッ転ばすくらいには腹が立った。この野郎、私の師範を雑に扱いやがって。
もちろんその後ベジータの奴に「このクソ忙しい時に馬鹿が!」と再び腹部にバルスされて(あの野郎姉の腹を足で踏みやがった)今度こそ動けなくなったわけだが。で、その後はフリーザ様とザーボンさんをうまく撒いたベジータはまんまとドラゴンボールと餃子師範の居る場所に合流。
そしてなんつータイミングなのか、ベジータがドラゴンボールをもって空飛んでたクリリンくんを発見し後を追った。おい、せめて私はおいてけよ。お前のストラップじゃねーんだよ。さっきからぶんぶん揺らされてリバースまったなしなんだけど。超気持ち悪いんだけど。
まあ、置いてかれてたら当然ドラゴンボールもってとんずらこいてたけど! わかってんよ人質だろ!
でもここは超能力者。
普段は機会が無くて使うことが無かった思念伝達によって、連れて行かれる前に『逃げる算段はあるから、このままドラゴンボールをもって逃げてください。あとで気を最大限に高めたら、それを合図に迎えに来てくれると嬉しいです』と餃子師範に伝えておいた。超能力って便利よね。
その後ベジータに追い付かれたクリリンくん、ベジータを追ってきたザーボンさんという3勢力のそろい踏みとなる。で、ベジータとザーボンさん(変身)の戦いが始まると私はゴミのように放り投げられましたよ、ええ。
ふ、フン、馬鹿め! 気絶してるフリにまんまと騙されよって! この隙にさっさと逃げてドラゴンボールは私たちのもんだって奴よ! とかかんとかどや顔になった私だったけど、正直ダメージは大きかったので、ばれないようにってのもあって地面を這ってクリリンくんたちに合流した。無様ここに極まれりである。というか、その間2,3発流れエネルギー弾が近くに着弾して死ぬかと思った。
そして無事にブルマ、クリリンくんと合流を果たすことが出来た。
しかしベジータの野郎がザーボンさんを相手にしながらも隙無くこちらをうかがっているので、逃げようにも逃げられないとクリリンくん。ならばまかせろ。餃子師範にお迎えを頼むための合図も兼ねて、ベジータとザーボンさんがちょうど私たちから見て直線上に位置した時に見様見真似だったけどかめはめ波を最大出力で叩き込んでやった。はっはっは、「しかたがないけど、姉弟そろって相手に容赦ねぇな……」ってクリリンくんドン引きの声が聞こえたけど大丈夫大丈夫。あの程度で死なない死なない。根拠とかないけど死なない。ちゃんと「や、やったか……?」ってフラグも立てといたから問題無い。
で、奴らが反撃に来る前にナイスなタイミングで迎えに来てくれた餃子師範のテレポーテーションで安全圏まで離脱に成功した。
その後、最後のドラゴンボールを回収に向かっていた悟飯ちゃんとも合流。
こうして私たちは、まんまと7つのドラゴンボールをそろえることに成功したのだ!
◎月▽日
ナメック産ドラゴンボールを手に入れられたものの、肝心のナメック語を話せる人がいなかった件。
クリリンくんは助けたナメック星人の子供であるデンデや最長老様、護衛のネイルさんのことなど、今まで離れていた私たちに説明してくれた。そして今後の方針として、ドラゴンボールで願いを叶えるためにも潜在能力を引き出してもらうためにも最長老様のところへ行くことになった。
ここで餃子師範のテレポーテーションを使えれば楽だったのだけど、餃子師範のそれは悟空がいずれ身に着けるであろう瞬間移動と同じで相手の気を目標にするか、行ったことのある場所にしか行けない。つまり面識のない最長老様のところへは行くことが出来ないのだ。
そこでお宝を抱えたまま気を抑えてのチキチキ移動レースという、心臓バクバクな恐ろしい行軍は始まったのである。
……………………とかいいつつ、私はブルマと一緒に洞窟の奥に建てたカプセルハウスでお留守番なんだけどね! いやぁ、まったくうちの甥っ子と師範と師匠が紳士すぎて最高すぎる。
初めはブルマもかかえて一緒に行こうとしたら、本来30日もかかるという長い旅路を人に抱えられて空を飛ぶということを嫌がったブルマが「最長老様の所についたら餃子が迎えに来てくれたらいいのよ!」という最高にウラヤマな提案をしてきた。そして私もそのウラヤマ案件に同乗させてもらったのである。
といっても、私発案ではない。一人で残されるのは嫌だから護衛がほしいとブルマが言って、そしたら怪我が酷い空梨さんが療養を兼ねて残ったらどうかとクリリンくんが提案、悟飯ちゃんと餃子師範もそれがいいと同意してくれて今に至る。
ちなみにドラゴンボールは保険を兼ねて私たちで4個、悟飯ちゃん達で3個分けて管理することになった。万が一最長老様の所に行く途中か、こっちのカプセルハウスが襲撃された時の保険だ。あとで餃子師範が迎えに来てくれたらなんにも問題ないしね。
さて、怪我を治しながら皆を待つか。
悟空もあとちょっとでナメック星に着くみたいだし、そしたら話が一気に佳境へと向かってゆく。それまでに体調を完璧にしておこう。