とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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2ページ目 地球生活幼少期~畑に愛を捧ぐ

○月○日

 

 地球に到着した。宇宙船内が狭い上に、ほぼ寝ているとはいえよく暴れる赤ん坊と一緒とかマジつらい。カカロットたんマジ元気。戦闘力1万のブロリーきゅんを泣かせるだけあるわ。生命維持装置が普通に機能してれば眠ったまま、気づけば地球! といくんだろうけど、無理やり私まで乗っちゃってるからな……乗せてもらっている分際で文句は言えない。

 ちなみに忘れないうちに考察を記載。ドラゴンボールはドラゴンボールでも、ブロリーの存在からアニメ版のストーリー説が濃厚。つーても原作の世界観でも未来線が分岐したり宇宙がいくつもあったりする何でもありな感じだからあんまり信用はならない。とりあえず、うろ覚えの知識のおかげで今私は生きているわけなのですが。

 

 地球についてから(主に宇宙船内の子守で)ふらふらだった私は、すぐにカカロットから離れるつもりだった。悟飯おじいちゃんに拾ってもらうがいい。私はちょっとしたなりゆきで君に同船させてもらうことになったが、まあ赤の他人だ。元気に主人公に育つがよい。

 そう慈母のほほ笑みで颯爽とカカロットを放置していこうと思ったら、空腹で倒れた。ああ、一応人としての最低限のモラルとして持ち出した食料と栄養剤はみんな人参にあげちゃったからね、しかたないね。クッソォォォォォ! こんなことで人生THE ENDかよ! とかなんとか悔しがってたら悟空もろとも悟飯さんに拾われた。あなたが神か。

 

 

×月□日

 

 ハイテク技術に頼ってた自分の生活力のなさに絶望した。申し訳ないが、地球での生活のめどがつくまで悟空と一緒にここにおいてもらおう。

 ちなみに自分たちが何者かとかは記憶喪失でごり押しでごまかした。多分嘘だって見抜かれてるだろうけど、そこは「訳アリです」という空気でごり押した。年々自分のクズ度が上がっているようでつらい。

 

 

◎月■日

 

 日々の生活をちゃんと送るって難しい。でもサイヤ人の中で生活していた時よりはるかに馴染む生活だ。スローライフ万歳。

 ちなみにカカロット改め悟空は先日頭をぶつけて、今までの乱暴な気質と違って穏やかな良い子になった。相変わらず元気なことに変わりはないけども。

 

 ちなみに記憶喪失のふりをしたので、同じサルの尻尾を持つ者同士というのもあるのか私まで悟飯おじいちゃんの孫として、つまり悟空の姉弟として育ててもらっている。なにこの主人公とそのライバルの両方の姉とかいう豪華特典。生き残れる気がしない。ドラゴンボールがあるからでーじょうぶだと言えるほど私は達観できていないのだ。今は正直目の前の生活でいっぱいいっぱいだけど、そのうち戦いから遠ざかりつつ生き残れる人生を模索せねばなるまい。

 

 そういえば、私も地球人としての名前をもらった。孫 空梨(そん くうり)が新しい名前である。

 可愛い響きだと気に入ったけど、まさかここにきて野菜ではないけど食べ物関係の文字が名前に入るとは……。梨か……野菜じゃなくて果物ってところはサイヤ人じゃなくてフリーザ様の部下シリーズっぽい。でもサイヤ人名であるハーベスト(収穫)よりドラゴンボールキャラに近づいてる気がする。収穫ってなんだよアナグラムですらないのかよ! とつっこんだのも今ではすでに懐かしい。あれか……王様の第一子だから男児じゃなくてベジータの名前は継がせられなくても収穫できるくらい強くなれ的な親心だったんだろうか。我ながら書いていて意味分からん。とりあえず、もう少し生活に慣れたら畑でもやるか。野菜収穫したろ。

 

 

 

▽月○日

 

 初めて悟空が満月を見て大猿化。といってもこの時の悟空の戦闘力で10倍といってもたかが知れている。

 私は大猿になるのはあまり好きではないし、何よりサイヤ人仕様の伸縮性のある戦闘服ではない今大猿になれば服が弾け飛ぶので絶対に嫌だ。そのため自分は満月を見ないようにしてひたすら大猿悟空の足元を狙って攻撃、転ばせるということを延々と続けた。悟飯おじいちゃんには近づかないでくれといってあるのだけど、心配してくれているのか見守ってくれている。ああ、この普通に心配される感じいいなぁ……。ちなみに家の近くに悟空の尻もちで大きなクレーターが生まれたので、そのうち何かに利用しようと思う。理想は川から水を引けるようにしてお風呂を作りたい。

 

 翌日からおじいちゃんは悟空に満月の晩は化け物が出るから外に出てはいけないと言い聞かせるようになった。

 このあと何年後か知らないが、漫画と同じようにこの世界が進むなら幾度目かの月夜にうっかり悟空がまた月を見ておじいちゃんが踏みつぶされてしまう。だが、この世界線では私が居るので大丈夫だろう。ローキック練習しなきゃ。

 

 

 

 

∴月■日

 

 悟飯おじいちゃんが死んだ。悟空と二人で大泣きした。もう今日はこれ以上書きたくない。

 

 

 

〇月◇日

 

 悟空との2人生活が始まって少し経った。といっても、今までとやること自体は変わらない。悟空は悟飯おじいちゃんに教えてもらった修業をしたり薪割ったり食料になる動物を狩りに行ったりしているし、私は家庭菜園レベルだった畑を拡大して山で見つけた食用出来る植物の種や苗を育てている。

 

 あの日、悟飯おじいちゃんが亡くなった日。油断していた私は満月ということも忘れて、夜に発光する珍しい植物を見つけようと山にいた。しかも探しすぎて、気づけば隣の隣の山まで行っていた。

 以前偶然見つけたそれを、おじいちゃんが私たち二人を拾ってくれた日にあげたかった。何をあげていいかわからなかったから、とりあえず珍しいものをと単純に考えたんだろうな。なんであの日に探しに行ったんだ。

 生活のめどがつくまでとか言っておいて、気づけばこの場所とおじいちゃんが大好きになっていた。居なくなって寂しい。故郷である惑星ベジータやお父様が亡くなった時は薄情だけどこんなに悲しくなかったのに。

 

 

 寂しいなぁ……。

 

 

 

 

▲月□日

 

 畑を拡大しすぎた。何ヘクタールあるんだこれ。

 ちなみに畑は悟空にも手伝わせている。亀仙人様の修業でどうせやるんだし先取り修業と思ってありがたく耕すがいい。はっはっは。

 

 あと、あれな。今のうちに畑作業だけでも徹底的に習慣にしておけば無職だ働かないだ言われなくて済むじゃん? 一応仕事してる描写として出てくる畑作業だけは私の名に懸けて高レベルで身につけさせてやるわ。いや、私も我流だけども。こうして毎日畑や作物と向き合って会話していれば自然とどうすればおいしく育つか分かってくるものさ……ふふふ。

 

 ……………………。

 

 いや、教えないでもすげー収穫できてたな未来で。

 

 

 いや、いいんだよ。どうせ結婚する時ここに住むようになるんだろうし、チチさんが食費に困らないように今のうちにしっかりとしたいい畑を作っておくんだ。いずれ私もここから出ていくし、まあ餞別だよ。嫁の父親の遺産に頼って生活とか、漫画やアニメで見ていた時はそこまで気にしなかったけど義理とはいえ弟となった今「ちょ、おまっ」ってなる。ベジータ? あいつは超逆タマじゃねーか簡単に尽きないよあのレベルの会社の財産。

 地球何度も救うんだし社会貢献度的には一生働かなくていいようなもんだけど、目に見える形が、ね? お金って大事よ。本当によく莫大な食費をまかないつつ子供2人も立派に育ててくれるよチチさんは。まだ先の話だし本当にそうなるかまだ分からないけど。備えておいて損はあるまい。

 

 さーて今日も畑仕事するか。

 

 

 

 

 


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