「ナッパぁ!! 俺がこのクソ女を黙らせてくるまでに雑魚共を片付けておけ!」
「ナッパぁ!! 私がこの愚弟をぶっとばすまで動くなよ、いいかフリじゃないからな絶対に動くなよ!」
「何故貴様がナッパに命令している! まったくどこまでも腹の立つ野郎だぜ!」
「ぶー! 野郎じゃありませーン。野郎は男に使う表現ですーゥ!」
「やかましいわ! 来い、かつての俺と比べてたら痛い目見るってことを思い知らせてやる!」
「上等だよこの父親似の髪型! 弟は生まれた時から姉というヒエラルキー上位者には逆らえない運命だと思い知らせてやるわ!」
低次元な口喧嘩を上記の言葉で終えたやつらは、思い切り闘うためか場所を移しに飛んでいった。あとにはなんとも言えない表情で立ち尽くすデカブツサイヤ人が残されている。……。敵であることに違いはないが、同情くらいはしてやるぜ。
「……。念のために聞くが、貴様らここに何をしに来やがった」
「お、おいピッコロ。なんか悟空の姉ちゃんとその弟? がどっか行っちゃったけど普通に聞いていいのかな……」
クリリンがサイヤ人の姉弟が飛び去った方向とこちらを交互に見ながら言うが、やかましい聞くな。追及していたら話が進まん上に、忌々しいが先ほど膨れ上がったやつらの気は俺たちを大きく超えている。同士討ちすれば儲けものだ。
相対する敵が減ったんだ。こちらはこちらで進めさせてもらうぞ。
「ふ、ふん。その声、ラディッツと戦っていたのはお前だな」
「声?」
「なんだ、知らなかったのか? このスカウターは通信機にもなっているんだ。しっかし、まさか地球でナメック星人に会うとは思ってなかったぜ」
「……! それはこの俺様の事か?」
「ほかに誰がいるんだよ。いや、よく見ると三つ目人っぽいのも居るな。なんだ、辺境の惑星だと思ったら結構宇宙交流も盛んなのか? しかし、合点がいったぜ。ナメック星人は並外れた戦闘力のほかに不思議な能力をもってるって前にベジータから聞いたことがある。ドラゴンボールってぇやつを作ったのはお前だな?」
デカブツの発言にクリリンがドラゴンボールを知っている事に驚いているが、こっちはそれどころじゃないぜ。まさかこの俺様が宇宙人だったとは……。これは父すら、神の野郎ですら知らなかったことだろう。
同じく三つ目人と言われて隣で固まっていた、たしか天津飯とか言ったか? そいつが話しかけてくる。
「おい、ピッコロ。ここで共闘しないとは言わせんぞ。この中で一番強いお前が奴の強さを最も理解しているはずだ」
「あんな奴にドラゴンボールを渡したらたいへんなことになる……!」
「……チッ、胸糞悪いが今回は初めからそのつもりだ。貴様らのような奴らでも居ないよりはましだからな。仲良しこよしは柄じゃないが、今回は別だぜ」
「ふっ…。それを聞いて安心したぜ」
「お話は終わったか? どうやら素直にドラゴンボールを渡すつもりは無ぇみてーだし、どれ。ちょっと遊んでやるか。向こうが終わるまでにお前らを片付けとかないと俺が怒られちまうんでな。へっへっへ……せいぜい俺を楽しませてみろよ」
言うやいなや、奴の気が爆発的に上昇する。先ほどの2人に比べると見劣りするが、それでも十分に脅威だ。
「ぎひひひひ……。行くぜ!」
「!?」
! 見えない!
奴が消えたと思ったら、すでにその拳は天津飯にせまっていた。
「ボクの超能力がきかない!? 天さん避けて!」
「くっ」
駄目だ、あれは間に合わん。
早くも一人やられるかと思ったが、そこでどこからか光球が飛んできた。
「繰気弾!」
「うお!?」
その光球、気弾は天津飯の奴を吹き飛ばし、すんでのところでデカブツの攻撃を避けることが出来た。ふっ飛ばされた天津飯はダメージこそ受けたようだが、致命傷を受けるよりはるかにましだろう。
「ヤムチャさん!」
「なんだ、俺が一番最後かよ。遅れて悪いな」
そう言って崖の上から飛び降りてきたのは、たしか天下一武道会で神にやられていたやつか。たしかヤムチャとかいったな。
「悪かったな天津飯。威力は抑えたつもりだが、大丈夫か?」
「あ、ああ。助かったぜヤムチャ……」
「へへっ、また雑魚が一匹増えやがったか。これで少しは楽しめるか?」
チッ、余裕こきやがってあのサイヤ人。腹が立つぜ……。
「おい悟飯、一応孫以外はこちらの戦力はそろった。ここから本格的にいくぞ」
「あ……あ……」
「悟飯!」
「は、はい!」
「奴の気に飲まれるな。死ぬぞ」
ちぃッ、いくら舌打ちしても足りないくらいだ。無理もないが、今の一瞬で完全に悟飯の足がすくんでいやがる。こいつにとって純粋な殺意と向き合うのは初めてだからな。
「じょ、冗談きついよな……。あいつ、さっきのだって遊んでるレベルみたいだ」
クリリンが言うように、初撃をはずしたにもかかわらず追撃もせずにニヤニヤ笑って余裕をこいてこちらを眺めている。まるで虫ケラをいたぶって楽しんでいるようだ。
次に奴が動いたとき、もしかしたら1人や2人死ぬかもな。だが、それならそのすきを狙って攻撃するまでだ。
「さーて、じゃあお次はどいつを狙って……」
「ずいぶん楽しそうなことをやってるじゃないか、ナッパさんよぉ」
「!?」
全員が身構えていた中、聞き覚えのある声が耳に入った。
「俺も仲間に入れてくれよ」
そこには1年前、孫と共闘しても倒せなかったあのサイヤ人が居た。
悟空「おっす、オラ悟空!
うひゃー!とんでもねぇことになったな。なんでラディッツまで居るんだ?
オラはまだ行けそうにねぇ。みんな!なんとか持ちこたえてくれ!
次回、ボラゴンボールZ
『味方か敵か?ラディッツ死す!』
次もぜってぇ見てくれよな!」