とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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ドラゴンボール超15:前代未聞の大所帯

 結果的にボロ雑巾がどうなったかと言えば、これまた合体ザマス同様に界王神であるザマスさんが引き受けてくれた。

 

 どう引き受けてくれたのかといえば、呻き声をあげて目を覚ました見習いザマスの前に仁王立ちで立った彼はまず自身の左耳のポタラをはずした。そして「わ、私? ククッ、そうか……どういうわけか知らないが、ここは私が夢を叶えた未来で、お前は未来の私だな? ポタラ……なるほど、ここで私たちはひとつとなり大いなる力を手に入れる、というわけか。いいだろう、その合体受け入れ……いだッ!?」という、理解力半端ねぇ見習いザマスの台詞の途中で界王神ザマスさんは奴の耳たぶを引きちぎる勢いで見習い用のポタラを外した。そして外した自分のポタラを装着させたのだ。

 これには驚いた私たちであるが、ポタラで見習いザマスと合体しても界王神ザマスさんはザマスさんだった。どういうことかと問えば「ゴワス様によれば神同士の合体の場合、基本的に神格が上の者がベースとなるようだ。シン殿とキビト殿も以前は合体していたと聞く……それを想像してもらえばよいだろうか」とのこと。

 ああ、神格といったら見習いザマスと界王神ザマスさんじゃ圧倒的に界王神であるザマスさんが上だよな……。

 

「でも、悪影響とかはないんですか?」

「問題ない。いわば私とてつい最近までは奴と同じ思想を抱えていた同一存在……そこに私の経験が加わることによって、吸収された見習いの私もシン殿との出会いから始まりこれまでの経験を疑似体験したはずだ。ゴワス様を殺める寸前だったとはいえ、決定的に後戻り出来なくなる前に止めてもらった事も大きい。今では私の中にあった未処理の感情と寄り添って、静かに己の行いを悔いている所だろう」

「……あのさ、ザマスさん。色々遠回しな言い方してるけど、合体したってことはやっぱり見習いザマスのその悔いってのもザマスさん自身が体験してるようなもんだよね? つまり結果的にザマスさんの心労が増しただけじゃ……」

 

 悟飯ちゃんの問いに答えたザマスさんに思わず思ったことを言えば、いつの間にか復活していた界王神様に「空梨さん。どうか、どうかそれ以上は言わないであげてください……! あとでちゃんと私が話を聞きますから」と腕を掴まれて懇願された。見ればザマスさんは慈愛に満ちた笑顔を浮かべつつ、その瞳はどこか遠い虚空を見つめていた。………………うん、ごめん。

 

 ちなみにさっきまで見習いザマスを掴んで離さなかったブロリージュニアであるが、疲れたのか念力でちょちょっと睡眠作用のある波動を送ったらコテンっと寝てしまった。今は健やかな笑顔でブロリーの頭にくっついたまま眠っている。そしてくっつかれているブロリーであるが、結局空龍とのバトルが激化してきたので周囲の安全のためにブルーベジータとアルティメット悟飯ちゃん、そして結局お守り役の方のトランクスが加わり無理やり大人しくさせた。親子、師弟コラボ(正確にはちょっと違うけど)の連携は見事だったけど、最終的には「いい加減にしろこの馬鹿!!」とトランクスと空龍の拳骨がブロリーの頬を左右から打ち抜いたのが決定打。「あの3人、何だかんだでバランスとれてるみたいですね」と苦笑した悟飯ちゃんと「ブロリーの野郎、相変わらず面倒な……」と忌々しそうに吐き捨てる弟ベジータにはどちらにも同意したい心境だ。そういえば平行世界のベジータだけど、平行世界のトランクスに「お前も強くなったが、これからも未来を守って生きていくんだろう。なら、あれくらいの図太さも身につけるんだな」と、ブロリーにがみがみと説教(ブロリーはめんどくさそうに耳をほじっている)しているトランクスを親指で示してアドバイスしていた。

 胃痛に苦しむ彼を見習っていいのか疑問は残るけど、精神的に逞しくなったのはたしかだもんな……トランクス。出来れば平行世界のトランクスにも、気兼ねなく言い合える友達が出来たらいいんだけど。

 

 

 

 とにかく、気づけば場は大所帯。全王様が賑やかな空気に楽しそうにしてくれているのが幸いか。

 

 

 

 しかし増員はまだ止まらない。

 

「お~い、まだ帰らないのか~? オレ腹減ったぞ」

「あら、太っちょブウちゃんじゃな~い。お久~」

「お、ブウ子。なあなあ、そこにあるお菓子、食べていいか?」

「ええ、どうぞ。私のスイーツ知識が火を噴いた自信作よん。可能な限り再現したわ~」

「だったらオレも、このあいだ空龍が作ってくれたケーキ食わせてやるぞ。すごくうまかったんだ」

「きゃっ! ホント? 素敵ね。折角だしいっぱい作っちゃいましょ!」

 

 なんか未来のブウまで来たんだけど。え、今までスーパー神龍の背中に乗ってたの? なんて贅沢な特等席に……。そして混乱する数名を放置してブウ同士でスイーツパーティーはじめんな。

 お菓子ビームで次々とお菓子が生まれる様子にマイちゃんの近くに居た子供たちが目をキラキラさせてるのは嬉しいけどさ。……あのビームが無機物だけでなく人間までお菓子に変えてしまうという事実を知らなければ、まあ夢の魔法だよな……。お、太っちょブウが子供たちにお菓子あげてる。前に会った時より成長したな。

 

「ああ、ブウにはスーパードラゴンボール集めを手伝ってもらったんですよ」

「……ひとつ聞きたいが、あれは未来世界のブウか?」

「……ややこしいのによく理解できたなお前。そうだよ、未来世界で封印を解かれたブウだよ」

「え、復活させちゃったんですか!?」

 

 平行世界のベジータがいち早くそのブウが何処の世界のブウなのか気づいたので、また余計な説明を挟む羽目になった。トランクスが驚くのは無理もない。復活を阻止したはずのブウを蘇らせちゃってるんだから。

 何故私たちの世界の未来でブウが復活しているのかといえば、以前3人が未来から相談に来たことがきっかけだ。私が何かあればすぐに来るようにと念押ししておいたので、ブウの件で界王神様に協力を呼びかけられたときに「もしかしてこのことか!」と思い至ってすぐに来てくれたのだ。そしてたまたまその場にブウ子が居合わせた。で、「でも太っちょブウちゃんて基本的にものを知らないだけでいい子じゃない? 適当に怒らせてガリガリブウちゃんだけ追い出してやっつけちゃえば暴走の心配もないし、未来の復興に役立ってくれると思うわよ」という、ある意味本人からのアドバイスを賜ったというわけだ。

 実際それを実行してみれば、魔法が使えるブウは人造人間に傷つけられた未来世界の復興に大いに活躍する事となった。今やブウは未来世界のヒーローである。ちなみに彼も一度過去に来ているため、ブウ子や現代の太っちょブウとも顔見知りだ。あいつらなんだかんだで同じ種族に出会えたことに嬉しそうだったのを覚えている。

 ちなみに封印を解かせるために泳がせておいた未来のバビディとダーブラにはブウが復活した瞬間速攻でご臨終頂いたようだ。ブロリーに「雑魚すぎて物足りない」と言われ、空龍に「ブウ復活のエネルギーをこっそり提供したのは僕たちなんだし、短い間でもいい夢見れただけきっと彼らも幸せだったと思いますよ」と言われたバビディとダーブラは少々憐れだ。いや、下手に抵抗されてブロリーあたりを魔法で洗脳されてたら厄介だけどさ。

 そういえばトランクスだけど、彼はバビディ、ダーブラ戦には参加せず、ブウの危険性を取り除いて味方にする旨を界王神様に納得してもらうのに苦労していたらしい。結果的に意見をぶつけ合ったためかこちらはこちらで妙な友情が生まれたようだから、世の中何が吉と出るかわからないものである。

 

 ブウについてざっくり説明してやると、ベジータとトランクスは同時に頭を押さえた。ブロリーに説教をし終わったトランクスがそれに気づいて「俺の頭痛薬よかったら飲みますか? あ、胃薬もありますよ」と、常備薬がパンパンに詰まったケースを取り出してオロオロしていた。ちなみに空龍はブロリーがこれ以上暴れないように厳しい目で奴を監視している。

 

 

 

 

 

 

 話が脱線し続けてまとまりがつかなくなってきたが、ここで場の混沌に一石を投じる存在が居た。

 

 

 

 

 

 

『あの……、もう出現してられる時間が、限界というか……』

 

 天から響いた声に全員空を見上げると、そこには体をプルプル震わせているスーパー神龍の姿が。

 

 

 

『………………………………………………………………………………』

 

 

 

 

 

 ここからみんなが大慌てになったことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ふへへ……(*´∀`*) またまた86さんからイラストを頂いてしまいました!しかも2枚という贅沢っぷりに、確実に今年の運を消費している気がします。

【挿絵表示】


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主人公吸収ブウ子と純粋悪ブウ子を描いて頂きました!スイーツパーティーとかきゃっきゃと始めてる今では考えられないくらい強そうです。ちゃんと悪役としての格を感じるぜ……!そしてナイスバディである。
転じて純粋悪ブウ子はなんともこのふてぶてしさが可愛いんですが。おかわりを要求しているんだな?よろしい、ならばホールケーキを段重ねで用意しよう!

86さん、素敵なイラストをありがとうございました!

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