とある姉サイヤ人の日記 《本編完結》   作:丸焼きどらごん

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復活のF:その十三 からの第六宇宙対抗試合11 変身!ヒットVS孫空梨

 ベジータとヒットの戦いは、本当に短い攻防で終わった。

 

 しかしその密度は凄まじいほどに濃く、例えて言うならフォンダンショコラをザッハトルテ仕立てにしてチョコフォンデュにするくらいの濃さだった。中はとろとろチョコぎっしり、それを包む濃厚チョコスポンジを更にダブルチョココーティングしちゃいました、みたいな。

 なんならそこにチョコチップとチョコホイップもトッピングしてやろう。

 

 

 

 

 戦いはまず最初に二人が拳をぶつけ、その後は宣言通り互いにフルパワーでの攻防が続いた。戦いの中でヒットは時とばしも使ったが、それはベジータをクレーターに沈めた時の、たったの一回だけ。どうやら本当にフルパワー状態で時飛ばしは難しいらしい。

 しかもそれに加えて、ヒットが時飛ばしをあまり使わなかった理由は他にもある。

 

 それが何かといえばベジータが消耗無し、体力満タン状態でのスーパーサイヤ人ブルーだった事。

 

 そもそもこの世界、特殊能力による格上殺しがとてつもなくやり辛い。それが何故かと言えば、戦う相手の地力が使う者と同格、もしくは上回れば上回るほど、超能力のような特殊な技が効きづらくなるからだ。私はこれを地球で最初にベジータと戦った時に身をもって実感している。あれは私の超能力習熟度が低かったことも原因の一つだろうけど、だいたい念力だなんだってものは気で吹っ飛ばされて無効化されていたな。

 とにかく、簡単に言うとドラクエで魔王にルカニとかザラキとか効かない感じに近いのだ。たまに実力差無視して来る頭おかしい性能の能力持った輩も居るけどな。魔術師系とか。でも基本的には超能力に対する私の解釈はそんな感じ。

 私もよく悟空たちとの修行中に超能力で不意を突いたり超能力由来の技は使うけど、いくら超能力を扱う力が増しても長く時間をかければ破られるから、決定打には欠けるというのが感想だ。

 

 そしてその事実は、ベジータもよく分かっている。

 

 そのためあいつのフルパワーで立ち向かい相手との実力の差をなくす、又は上回る事で、ヒットの時とばしという"超能力"を使い辛くさせる、というのは結構有効な手段だ。

 多分悟空みたいに時とばしの際に空間の歪みを感知して、それに対応していくっていう方法も出来なくはないんだろう。けど悟空と違って、ベジータはここまで試合してなかったから体力の消耗が一切ない。だったらそんなまどろっこしい事をするよりも、パワーによるごり押しで短期決着を狙った方が合理的だし勝率も高いと私も思う。

 

 言うなれば悟空は相手の能力を知るためってのもあって柔軟に対応した"柔"の時とばし攻略法。対してベジータはヒットの能力の情報を手に入れた十全な現状を活かすための、"剛"の攻略法と言ったところか。

 

 まあでも勝つだけだったら、わざわざ挑発してヒットのフルパワーを引き出す必要は無かったんだけどな。そこはサイヤ人の悪癖というか特性というか……。毎度のごとくってやつか。どうせ全力を出した相手を更に上回って勝ってこそ完全勝利! とか思ってたんだろ。安定の脳筋サイヤ人脳乙。

 

 

 

 

 

 けどな。

 

 

 

 

 

「負けてんじゃねーよバーカバーカバーカ!!」

 

 それで勝ったら文句ないけど負けたから文句言っていいよな! ちょ、マジふざけんなよお前!! 悟空とベジータが居るから絶対に私まで出番回ってこないと思ってたのに、本当にふざけんなよ!! え、どうしよう!?

 

「う、煩い黙れ! 貴様は目の前の相手に集中しろ!」

「そうだぞ姉ちゃん。消耗しちゃいるが、だからって簡単に勝てるほどヒットは弱くねぇ。それにベジータ頑張ったじゃねぇか。そう邪険にしてやるなって」

 

 ぐぅ……! 義弟が実弟の味方しやがる。

 

 いや、私だって分かってるよ? ベジータは間違いなく全力を出して戦ったって。でもだからって、これからヒットと戦わないといけないどうしよう感が消え失せるわけじゃない。だってモナカは戦えない一般人だから、実質私が最後の選手なわけで。……勝たないと、非常によろしくない事態なわけで……。主にビルス様の機嫌的な面で……。

 

 というか、そもそもベジータが勝ってれば私がこんなプレッシャー背負う事もなかったのだ。

 それもこれも……!

 

「それにしても、あいつやっぱすげぇな。追い詰めたと思ったのに、ギリギリのところで成長しちまいやがった。こりゃあ次闘うまでに、オラも相当鍛えないといけねぇや」

「チッ。まさか土壇場で時とばし出来る時間をのばしてくるとはな……」

 

 これだよ! これのせいだよッ!!

 

 

 

 なんとヒットさん(御年千歳)、ここにきて戦いの中で成長するという主人公補整を習得。

 

 死ねる。

 

 

 

 ヒットVSベジータは、あとちょっとでベジータが勝てそうなところまで行ったんだ。その証拠にベジータの攻撃を数多く身に受けたヒットは、現在かなりの消耗をしている。だけど追い詰め過ぎたのが悪かったのか、それとも悟空に続いてベジータともいい戦いが出来てアサシンなのに格闘家としての熱いハートに目覚めちゃったのか……土壇場でヒットが化けた。

 

 なんとヒットは試合の中で急成長し、最終的に時とばしで飛ばせる時間を0.5秒まで引きのばしたのだ。

 

 そしてヒットはカウンター気味にベジータに超ヘビーな攻撃を仕掛けて大逆転。ベジータは場外に落ちるとかではなく、その見事に決まり過ぎた攻撃で意識を刈り取られ、戦闘続行不可能とみなされ負けた。

 これにはシャンパ様大興奮、大歓喜である。反対に私のテンションはダダ下がりである。

 

「空梨ー! ビルス様ご自慢のモナカが控えてるからって、手抜きするんじゃないわよー! 頑張んなさーい! 応援してるからねー!」

「空姉さま、頑張るだぞー! 子供たちも楽しみにしてるからなー!」

「空梨さん、頑張ってくださいねー! 悟飯くんにもあとで活躍聞かせてあげたいですからー!」

「後一勝なんだ。気張んな、空梨! 」

 

 ブルマ、チチさん、ビーデルさん、18号さんと、女性陣からの華やかな声援が耳に潤うが……それだけでは私のささくれ立った心は治りそうにない。しかも子供たちもわっくわくした目で見てるから余計に追い込まれるんだけど……!

 

 そして何より。

 

 

 

「勝てよ」

 

 

 

 短く口にしたビルス様の台詞が超重い。ジーザス。メシア求む。

 

  

 

「そろそろ始めたいんだが、いいか?」

「えっ。いや~、その~……。連戦で疲れてるだろうし、もうちょっと休んでからでもいいんですよ?」

 

 私が頭を抱えていると、黙ってこちらを見ていたヒットが口を開いた。

 消耗しているにもかかわらず、もう試合を始めようってのか。ちょっとは休めよ! ぐいっと口元の血をぬぐって「構わん」って言う姿が男前すぎやしませんかねぇ!? かっこいいけど休んでいいんですよ! お互いのためにも!!

 

 一応私も悟空の発言を聞いてから、ヒットが時とばしを使う時の空間の歪みを察知しようと試みてはいる。そしてそれが可能にはなってきたけど……そもそも悟空の時とは前提とする条件が違う。止められる時間5倍になってるとかマジふざけないでくださいとしか……!

 消耗を差し引いても成長を続けるヒットの地力が私のフルパワーと拮抗、もしくは上回ったらベジータみたいな事も出来ないし……。まだ対策考えてないんだから、もうちょっと待ってくれませんかね!

 

「何を馬鹿言ってるんだ! むしろ相手が消耗してる今こそチャンスだろうが!」

「お、いいこと言うじゃねーか第七宇宙の女サイヤ人! そうだよな、もうちょっと後でもいいよな! いいねいいねぇ、これぞスポーツマンシップにのっとったフェア精神ってやつだ!」

「お前は黙ってろシャンパ!」

「お前もなビルス!」

 

 そして相変わらず外野のにゃんこたちが煩い。集中できなくなるからもうちょっと静かにしてほしい。

 

(…………ん?)

 

 しかしそこでふと、ぎゃんぎゃん言い合っている神にゃんこ達を見た私はあるものに目を止める。それは二柱の言い合いに合わせてちょろちょろ又はぴょこぴょこ動く、紫色の長い尻尾と短い尻尾。そして私は次いで自分の背中をのぞき込む。

 そこにもまた、尻尾。

 ……サイヤ人特有の、しかし現在では私の家族以外には生えていない猿に似た尻尾が、私のお尻から垂れ下がって揺れていた。

 

「………………ッ」

 

 思いついてしまった可能性に、私は数秒間眉間に思いっきり皺を寄せて悩む。が、すぐに「ダメもと」と割り切って決行することにした。もう時間がない。そろそろ始めないと、またビルス様にどやされてしまう。

 

 しかし、それをする前に問題がある。

 だが観客席を見回したところで、すぐに解決法があることに気が付いた。

 

「ビーデルさん!」

「え!?」

 

 私はキッと表情を引き締めると、観客席に居るビーデルさんに向かって呼びかけた。そして半ばやけっぱちの心境で、こう叫んだのだ。

 

 

 

 

「二号のコスチュームを!!」

 

「!!」

 

 

 

 

 それを聞いたビーデルさんは雷に打たれたかのような衝撃の表情をした後、すぐに心得たとばかりに腕に装着していた時計のような装飾品をはずして私に投げてくれた。お、おう。言っておいてなんだけど察するの早いな。

 

 ビーデルさんの表情は満面の笑みであり、私もまたそれに笑顔とサムズアップでもって応えた。

 おお! もうヤケだよどうとでもなれ!! どうせもうフリーザ様には現時点で最強の奴二人の内一人の最終形態見られてんだ! 今さら私が何見せたって問題ねぇよ! だったら全力でビルス様の破壊から保身するためにどんな手段でも使って勝ってやるわ! 相手が疲れてるからって手加減とか一切しねぇわ!!

 

 けど、そんな私の決意に水を差すような声が割り込んでくる。シャンパ様だ。どうやらそれがどんなものか知らないながら、私に道具が渡された、という部分が気にくわないらしい。要するにいちゃもんである。

 

「あ、卑怯だぞ! 何か道具使うのは反則だ! これは格闘試合なんだからな!」

 

 だが、私が何か言う前にこれにはまさかのビーデルさんが答えてくれた。

 

「それはただのコスチュームチェンジ用の機械ですから反則じゃありません!」

「へ? いや、でも」

「とにかく、反則じゃないんです!!」

「知るかそんなの! こすちゅーむちぇんじぃ? そんなの嘘っぱちで、何か変な機能あるんじゃないのかー!」

「いいえ! これは純然たる変身のための機械です! 見ればわかります!」

「こ、この! 破壊神に向かって口答えを」

「娘のパンちゃんに誓って!」

「え」

「母親として、正義の味方としてのプライドを賭けて言います! 反則じゃ、ありません!! いいから見ててください! 変身って最高に格好いいんですからね!」

 

 パンちゃんを片手で抱え、反対の手で握り拳を作り熱く語ったビーデルさん。……その瞳と背後には、メラメラ燃える炎が見えた。そしてパンちゃんはそんなママの姿に何故か大喜びで、きゃっきゃと楽しそうに手の叩いている。

 

「………………。お、おう。そ、そうか……」

 

 でもってその様子に押されたのか、シャンパ様がちょっと引きながら頷いた。マジか。

 

「あ、あの女すげぇな……。破壊神を押し切ったぞ」

 

 ボタモくんに同意見だよビーデルさんすげぇ。謎の気迫でシャンパ様黙らせやがった。さすが今でも正義の主婦系ヒーローグレートサイヤマン二号続けてるだけあるわ。

 なんかパンちゃん生まれたからヒーロー活動は控えるかと思ったのに、逆に「パンちゃんが安心して生きていける、平和な世界を作るわ!」って張り切って正義の味方の活動続けてるもんなビーデルさん……。セルとの強制修業で日々強くなる夫に感化されたってのもあるんだろうけど。あと新生ギニュー特戦隊の面々の影響か。悟飯ちゃんと一緒に「負けてられない」って、ひっそり燃えてたもんな……。

 

「さあ、空梨さん! 変身よ!」

「あ、はい。慎んで変身させていただきます」

 

 その熱い姿勢に押されて思わず敬語になったわ。

 何だかビーデルさんの目がキラキラしている。めっちゃ期待してる。ああ……今まで誘われても断ってきたからなグレートサイヤマン……。

 

「えーっと、申し訳ない。もうちょっと待ってもらっていい?」

「…………。いいだろう」

「いや本当に申し訳ない」

 

 一応確認を取ってからと思ってヒットに伺いを立てれば待ってくれた。いい奴である。その分申し訳ない気持ちも凄いけどな。これは同じ宇宙に住んでたらお歳暮くらい送ろうかなって考えるレベル。

 

 

 

 そして私はビーデルさんから受け取った装置…………かつてブルマが悟飯ちゃんのオーダーによって作った、グレートサイヤマンへのコスチュームチェンジ装置を起動させた。

 

 変身こと衣装チェンジは、まさに一瞬。

 

 身を包むのは、ウエストのあたりを白いベルトできゅっと絞った、道着を意識しつつワンピースにも似た浅黄色をした正義の戦士のコスチューム。その下の体に沿ったボディースーツは幼い頃着ていたサイヤ人の戦闘服を思い出す。白い手袋とブーツはぴったりで、少しも動きを邪魔しそうにない。そしてばさりと翻る、濃いサーモンピンクのマント。

 

 

 

 私はグレートサイヤマン二号の衣装を身に纏い、ヒットに対峙した。

 

 

 

 だけど私の変身バンクはまだ終わってないぞ!!

 

「はあッ!!」

 

 歓声を上げる子供たちに応える暇もなく、私の変身は続く。

 

「お! なんか悟飯みてぇなことしたかと思ったら、姉ちゃんもいきなりスーパーサイヤ人ゴッドか!」

「ほう、あれが。やはり赤ですか」

 

 そう。衣装チェンジの次は、フォームチェンジだ!! フリーザ様がめっちゃ見てるけどもう気にしないからな!!

 

 私は悟空のようにスーパーサイヤ人から様子見する事も無く、現在私が最も強化される形態……スーパーサイヤ人ゴッドに変身する。私はブルーにはなれないからな。正真正銘、これが今の私の最強形態だ。

 赤い神の気が身を包むと、その影響か心が鎮まる感覚を覚える。気分が高ぶるスーパーサイヤ人とは反対のこの性質は、いつ体感しても不思議な気分だ。

 

「準備は整ったようだな」

 

 そう言って構えをとるヒットに、私は赤く変化した三つ編みをばさっと掻き上げるようにして手ではらうと(特に意味は無いが気分的にやりたかった)、ニヤリと口の端を持ち上げて答えた。

 

 否と。

 

「いや、まだだ」

 

 言うやいなや、私はラディッツに向けて念話を飛ばした。それを受けたラディッツは目を見開いてから盛大にため息をつくと「無茶はするなよ」と返してきてから、私の要望通りにうちの子供たちにあることを言い聞かせ始めた。その内容に対してエシャロットだけは残念そうにぶーたれていたが、ラディッツに滾々と諭されると渋々といった風に頷く。

 

 よし! 大丈夫みたいだな! さて、そしたらすっごい嫌だけど、すっごい嫌だけどやるか! すっごい嫌だけど!!!!

 

 私は私の家族……尻尾のあるサイヤ人が全員目を瞑ったのを確認すると、実に半世紀近くぶりの技をするべく集中し始めた。

 この技って実質習った時一回きりしか使ってないんだよな。使うのが嫌すぎて。でもまあ、なんとかなるだろ。

 

(よっしゃなんとかなった!)

 

 そして私の希望通り、その技の原型とも言うべき気の塊である光球が完成する。同時に体力が結構もっていかれたが、まあこの程度なら目的を達成するためには必要経費だ。

 

「!? まさかあの女!」

「んん? な~んかあれ、見たことあるような……」

 

 さすがにベジータは気づいたみたいだな! 悟空は思い出せないみたいだけど、無理もない。悟空がこの技を見たのは一回きり。…………ベジータとナッパが地球に攻めてきた時、ベジータが使ったのだけだ。

 

 

 私は余計なちゃちゃが入って決心が鈍る前にと、その光球をさっさと上空に放り投げた。この何もない星の大気がどんなものかは知らないが、今現在ドーム内はウイス様達が私たちが生活、行動できる大気へと調整してくれている。だからきっと出来るはず! 多分!

 

 私は放り投げた光球を見ながら、腕を上にのばして手のひらをぎゅっと握った。

 

 

 

 

「弾けて混ざれぇッ!!」

 

 

 

 

 すると光球……私が作ったパワーボールが破裂し、続いて大気中の酸素と交じり合う。そしてそれとほぼ同時に、しびれを切らしたビルス様が「ええい、何でもいいからさっさとはじめろ!」と言いながら試合開始の銅鑼を鳴らした。お、いいタイミング。

 

「何……?」

 

 ヒットが私に起きた変化に対して、攻撃を仕掛ける前に思わずと言った感じで動きを止めた。そりゃ、対戦対手の体がいきなりもりもり巨大化し始めたら驚くよなぁ!!

 心はゴッドのおかげか平静だが、体そのものには熱い血潮が駆け巡っている。ああ、この感覚……久しぶりだ。今までこの姿が嫌なのと、どうせ的になるだけだと思って変身した事皆無だったもんな。

 

 ちなみに服だが、ブルマがサイヤ人の戦闘服の作りをベースにしたグレートサイヤマンの衣装はもくろみ通り私と一緒に伸びてくれている。体に密着していないマントまで一緒に大きくなっていくのは謎だが。

 ……体毛で覆われるにしても、流石に全裸ファイトは嫌だからな。ビーデルさんが変身装置を持っていてくれて助かった。

 

 

 そして変化は終わり、私はゴッドの赤いオーラそのままに変身出来たことを知るとほくそ笑んだ。

 サイヤ人の本質は、認めたくはないがこの姿…………大猿。いくら凶暴性が際立つとはいえ、本質たる姿が"サイヤ人の神"としての性質と喧嘩はしないはず、という考えは当たったようだ。

 ゴッドの力が、大猿化によってそのまま強化されているのがわかる。

 

 私は改めてヒットに向き直り……否、見下ろす。

 

『待たせたな。さあ、勝負をはじめようじゃないか! クックック、今の私に勝てるかな?』

 

 パワーボールによって人工の満月を作り出し赤みがかった黒っぽい体毛の大猿に変身した私は、人差し指を立てながらそう言った。

 

 さあ、時とばしでもなんでも使ってかかってこい! わざわざデカイ的になってやったんだから、存分に当てるがいいわ! ただし今から大猿化とゴッドとしてのパワーを防御に全振りする私の鉄壁の守りを突破出来たらの話だがなぁ!!!!

 

 パワーが上がっても巨体でスピードが死ぬ? 知った事か! 防御に徹すればそんなデメリットなんて関係ねぇ! ヒットが攻撃を打って打って打ち込んで、体力が擦り切れたところで捻りつぶしてやる!! 消耗したヒットを見るに、それには遠くかかるまい!

 

 

 

 悟空が"柔"でベジータが"剛"なら、私は"防"によって時とばしの攻略をしてやろう。

 

 

 

 

『ふははははははは!! さあヒット、かかってくるがいい!』

 

 

 

 

 

「空梨さん。それ、完全に悪役の笑い方と見た目だよ……」

 

 高揚する心のままに高笑いしていた私に、ひっそりクリリンくんがツッコミを入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 













何度か感想欄で尻尾や大猿化について聞かれましたが、今回いい機会だったのでやっと大猿化使えました(´ω`*)

今の主人公こんな感じ。

【挿絵表示】














次回ネタバレ:ヒットさんはパワーボール作るとこ見てるよ!

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