救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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超高校級の不運が超高校級の殺人と超高校級の処刑と超高校級の絶望を引き寄せた理由⑦

「………………」

「あ、葉隠クン……」

「…うぉっ!苗木っち!?」

 

 体育館につくと先客の葉隠と出くわす。葉隠は苗木の顔を見て大袈裟に驚き、逃げるように去っていった。

 やはり、猜疑心を埋め込まれる類のヒントのようだ。

 

「やあモノクマ。お待たせ」

「いらっしゃい!じゃ、最後のヒントをあげましょう!オマエの──」

「ん?これかな……」

 

 モノクマが何かを言い終わる前に、苗木は床に落ちていた封筒を取る。視界の端でモノクマが無視されて落ち込んでいたが気にせず中身をみる。そこには、一枚の写真が入っていた。

 写っていたのは〝苗木以外の78期生の生徒達〟。場所は………京都の金閣寺の前。横ピースをして満面の笑みを浮かべた江ノ島を中心に、皆笑顔で写っている。

 苗木は、いない……。

 

「………ふーん、そう来るわけね」

「ありゃりゃ?なんか反応が薄いなぁ。ツマんない!」

「キミ的には、予想通りにならない方が嬉しいんじゃない?」

「……………………」

 

 モノクマと苗木は暫く見つめ合った後、体育館から出て行った。

 

 《集合写真》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

 苗木は体育館から出て次は何処を調べるかと迷っていると、廊下を走る音が聞こえてくる。振り向くと、朝日奈が物凄い速さで走ってきていた。

 

「苗木ー!」

「ぐは!?」

 

 苗木が挨拶するより早く、勢いそのまま飛びつかれた。振りほどこうにも、苗木と朝日奈では朝日奈の方が筋力が上だ。最近鍛え初めてもまだ力関係は変わらない。

 

「な、何?朝日奈さん………」

「この写真、見覚えある!?」

 

 朝日奈が見せたのは苗木とは別の集合写真。ハロウィンだろうか?様々な仮装をした皆が移っている。戦刃は自衛隊の服に赤い絵の具を塗っている。敗残兵のつもりだろうか?とても残念だ。苗木は狼……の着ぐるみ。ゾンビナースに扮した江ノ島にマジ噛みされてる。

 

「さくらちゃんに聞いても覚えてないって……だから合成かどうか皆に聞き回ろうとしたんだけど逃げられちゃって……」

「……それで逃げないように抱きついた、と……」

「………え?」

 

 苗木の言葉に自分の体勢を思い出し、朝日奈はボッと顔を赤くして離れた。

 

「ご、ごめん……」

「その写真についてだけど、ボクは間違いなく希望ヶ峰学園に入ってから皆と会ってるよ」

「………そっか。そうだよね!まったくモノクマめ!」

 

 朝日奈はプンプンと起こりながら去っていった。

 

「うんまあ、嘘はついてないよね。ボクは悪くない」

「何が?」

「あ、霧切さん。もういいの?」

「ええ……」

 

 不意に声をかけられ振り向くと霧切が立っていた。

 その手には何やら〝DVD〟が握られている。

 

「それは?」

「『78期生緊急面談』だそうよ……あなたが居なくなった後、あの隠し部屋で見つけたの」

「………見て良い?」

「どうぞ……」

 

 霧切はそう言って苗木にDVDを手渡す。

 

 《緊急面談のDVD》を手帳に記入しました。言弾メニューで確認できます。

 

「ありがとう。早速見てみるよ……」

 

 霧切からDVDを受け取ると、苗木は早速DVDが見れる場所に向かう。念のため、モノクマに邪魔されるであろう視聴覚室は避け、学園長の部屋のパソコンで見ることにする。

 

 

 

 

「ああ、緊急面談ってこれか………」

 

 苗木は流れていく映像、78期生達が学園長の共同生活を受け入れる事の了承を尋ねる問いに答えている映像を見て呟く。

 こんなもの、覚えている苗木にはなんの価値もないのだが……と、切ろうとした時、苗木の手が止まる。

 

「………コレ、使えるね………」

 

 苗木はDVDを一時停止させ呟く。

 

 《緊急面談のDVD》を更新しました。言弾メニューで確認できます。

 

「……さてと、そろそろ行くか」

 

 苗木は学園長の部屋から出て、一通り調べ終わったか改めて確認しながら歩いていると………。

 

『キーン、コーン…カーン、コーン』

「…………」

『物事には、始まりがあれば必ず終わりがあるのです。そして、終わりがあれば新しい始まりもあるのです。明けない夜はないよ…真っ暗な朝だけどね!止まない雨はないよ…干ばつ状態になるけどね!そう、終わりがあるから、新しい始まりもあるのです。だから、また会えるよね。だって、終わりこそが始まりだから……じゃあ、始めましょうか!【終わりの学級裁判】の始まりだよ!前の場所で、また会いましょう!うぷぷぷぷぷぷぷぷ!!』

 

 それだけ言い残しモノクマの放送が終わった。苗木はモニターを見つめ微笑んだ。

 

「じゃあ新しい章始めるために、前章を終わらせに行こうか……」

 

 次章は仲間でも集めて、終章では彼女の望んだ絶望的な世界を徹底的に破壊しよう。それがきっと、彼女の望む『絶望』だから。

 

「……絶望か……ボクには難しくてわかんないや。手っ取り早く絶望するDVDとかあれば、彼女の気持ちがわかるのかな?」

 

 と、ぼやいている内に赤い扉の前に来る。

 

「頑張ろうね!さくらちゃん!」

「うむ……」

「これで終わる。漸く終わるんだ……」

「兄弟、外に出れたらツーリングでもしようぜ」

「そ、その前に免許をちゃんと取ってよぉ……」

「………………」

「………………」

「あ、苗木君!私、頑張っていろいろ調べたんですよ!」

「……………」

「戦刃さん。あなたは余計なことを言いそうなので絶対に喋らないでくださる?」

「……うん……あ、喋っちゃった………ごめん、あ!また……」

「だから、不用意に喋んなアホアホアホアホ!」

 

 朝日奈、大神、石丸、大和田、不二咲、霧切、桑田などはともかく、十神達などは明らかにこちらを警戒している。ぼっちだから、他人が信用できなかったのだろう。

 

「うぷぷ……揃ってる揃ってる…シケた顔が揃ってやがるよ……さてと、じゃあ始めましょうか!真っ黒に塗りつぶされた《最後の学級裁判》!これぞ、【昏いマックス】!」

「そうだね。虚言も狂言もすべて〝真実〟に飲み込ませて、絶望を希望で押しつぶすための学級裁判を……」

「うぷぷ、勝つのは絶望(ボク)さ」

「いいや、勝つのは希望(ボク)だ」

「「テレビの前の皆にもわからせてやる。『希望(絶望)絶望(希望)よりも強し』ってね」」

 

 モノクマと苗木は数秒見つめ合い、モノクマはクルリと背を向ける。

 

「んじゃ、さっさと始めよっか。ボクは下で待ってるよ……逃げんなよ……アーッハッハッハ!」

 

 モノクマが消え、皆次々とエレベーターに乗り込んでいく。

 動き出したエレベーターは真っ直ぐ下に下に向かっていく。深く、落ちていく。

 

「殺風景な場所だなぁ……」

「頑張って考えたんだよ!」

 

 苗木の言葉に怒りを露わにするモノクマ。モノクマは16番目の席に跳び箱を置きその上に立つ。

 

「そんじゃあ、始めまーす!」




写真が原作と違ったのは戦刃の正体がバレてる以上顔を隠す必要がないと判断したため。


超高校級がドンドン増えてきた。中には敵キャラも……ヤバい、場つなぎのつもりが結構書くかも……。
 てか人数制限無くすか。うん、出し過ぎても混乱するから全員は出せないけど……。

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