作者は実家に帰って寝てました。
今回も数学の話が盛だだくさん。
果たして、こんなマニアックな二次創作を読む人はいるのだろうか?
あと、変なところで切れています。
ご注意ください。
俺はゆっくりと瞼を上げた。
あれ?どうしてここに?
というか、ここはどこなのだろうか?
見渡した感じでは和室だ。
それに、どうして俺は寝ていたんだ?
確か十六夜が蛇神と戦って勝って、黒ウサギがはしゃいでて……そこから先が思い出せん。
分からないことだらけだが、まずはこの部屋から出てみよう。
そう決めた俺は襖を開けた。
「おんしらが望むのは”挑戦”か ——— それとも”決闘”か?」
襖を開けた先には北極や南極で見られる白夜が広がっていた。
何を言ってるかわからないと思うが俺にもよくわからない。
夢であって欲しいと思うが、これが夢でないことは分かっている。
本当にどうしてこうなった。
「あ、一さん!目が覚めたんですね、起きても大丈夫なんですか?」
「ああ、体と頭ともに問題ないと思う。それよりも、この状況を説明して欲しいんだけど」
「あ、それはですね……」
「おんしも起きたのか。おんしは”挑戦”するのか?それとも”決闘”するのか?」
おい、言葉を被せるなよ。
しかも、いきなり挑戦だの決闘だの言われてもピンとこないし、いろいろと黒ウサギから説明受けるところだっただろ。
あれか?空気読めないのか?
まあ、そんなことを言おうもんならすぐにプチッと潰されそうなもんだが。
「わるかったの、空気を読めなくて」
………
……
…
お前もあの蛇と同じかー!
ていうか、よく見たら「ああ」てなったわ。
正直、俺もあんまり人のことを言えないみたいです。
「おんしは特別に”決闘”をしようではないか」
「ご愁傷さま」
「骨は拾っておくね」
「ニャー」
「頑張れよ」
やめてー!
死んじゃう!
チリ一つ残らずに死んじゃうから。
勝てるわけがない。
ていうか、十六夜たちも少しは助けてくださいお願いします。
「巨大数で決闘なら勝てる可能性があるから、そっちでお願いしたいです。はい」
「ん?頼み方が違うのではないか?」
「巨大数で決闘してください、お願いします」
きれいな土下座を披露した。
プライド?何それ食べれるの?
命が助かるなら安い安い。
しかも、人生初土下座だから価値はたぶんあるよ。
「しょうがないの……ちょっと待っておれ」
ふう、助かった……のかな?
まぁ、巨大数対決だと先攻取られたらまず負けるだろう。
何せ一番大きな数を言えばいいわけだから。
ビックフットって言われたら死ぬな。
余談ではあるが、ビックフットとは巨大数の世界で現在一番大きい数である。
これはラヨ数という数の定義を拡張したもので、急増加関数のレベルはω_1を超えるとか。
ω_1って何だよ?と思うかもしれないが、とにかくやばいとだけ覚えてくれたら大丈夫だ。
閑話休題。
「一さん、大丈夫なんですか!?」
「黒ウサギ、今回ばかりは無理かもしれない」
「ええぇ!!?」
こちらが先攻なら勝ったな!ってなるんだけどね。
でもあれだ。
箱庭は地球と同じ数学の公理が敷かれてるとも限らないし、あきらめちゃだめだ。
公理とは数学の土台であり、簡単に言うと疑ってはいけない物事である。
公理には無前提の定義がある。
『1 + 1 = 2』というのも、”ペアノの公理”からなりったっているので、ペアノの公理の定義とは違うような公理を作って選択してしまえば『1 + 1 = 3』にしてしまうことも可能だったりする。
補足ではあるが公理(2)を作る際は、公理(1)に矛盾するような定義でも構わない。
実際に数学界にもそのような公理は存在している。
ユークリッド幾何学と非ユークリッド幾何学など。
つまり何が言いたいのかと言うと、公理が違うなら数学体系も違ってくるということだ。
それは巨大数だって例外じゃない。
「待たせたな。おんしにはこの箱を開けてもらおうか」
「箱?」
「うむ。この箱には巨大数の定義が書かれているのがだ、それを読解してもらう。もしも読解できれば箱が開く仕組みになっておる。
制限時間はグリフォンが帰ってくるまでとしようかの」
「グリフォン?」
「あれじゃ」
差された指先を見てみると、今にも飛び立とうとしているグリフォンとその背中に跨る耀が見える。
マジか。
『ギフトネーム ”巨大数の読み解き”
・プレイヤー一覧 宇居 一
・クリア条件 箱に書かれた巨大数を解読し、箱を開く。
・クリア方法 箱に書かれた巨大数を解読する。
・敗北条件 降参か、”鷲獅子の手綱”のギフトゲームが終わるまでに巨大数の読解ができなかった場合。
宣言 以上を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
”サウザンドアイズ”印
』
「その箱は確か、約10年ほど前にここを訪れた旅人が白夜叉様に”この箱を開けた人に中身を渡してほしい。箱に書かれた巨大数を解読できれば開くようになってるから”と言われたもの!
ですが、あまりにも書いていることがわからず、白夜叉様が諦めてしまった……というか、ご自身で開けられないものを一さんに開けてもらおうとしないで下さいよ!」
「いいではないか。それにあやつが開けられないとも限らん」
「そうですが……」
確かに白夜叉が解けなかったものを俺に渡されても……という感じではある。
ラヨ数やビックフットの定義が書かれてたら、マジで降参するしかないんですけど。
それだけはやめてくれよ……!
「それでは始め!」
グリフォンが高く飛ぶのを横目に白夜叉から箱が手渡された。
そこに書かれてあったのは……
「ほう」
「うそ」
カチンという音と共に箱が開いたのだった。
自分でも驚きだ。
まさか箱庭でこの数を見ることになるとは思いもしなかったのだから。
本当に人生何が起きるか分からないものだ。
「おんし、それが解るのか」
「解らないと箱は開かないみたいだし、解ったってことなんだろうな」
実際、これは大学生時代に勉強した巨大数で、2回ほど心を折られて当時のことはよく覚えている。
本当に強敵だったよ。
これで一番最弱なのに……。
「凄いですよ、一さん!白夜叉様でも解けなかったのに!!」
俺の両手を握って、黒ウサギははしゃいでいた。
女性に手を握られるのは嬉しいけど、どこか恥ずかしい。
でも、こんなに喜んでくれるなら勉強していてよかったと思う。
「ねえ、問題を見せてくださる?」
耀のギフトゲームが終わったのか、三人と一匹がこちらにやってきた。
「いいけど……たぶん見てもわけわからんぞ」
「いいから」
「はい」
そこにはこう書かれていた。
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
B(1,n) = f(n)
B(m+1,0) = B(m,1)
B(m+1,n+1) = B(m,B(m+1,n))
g(x) = B(x,x)
[2]自然数、関数、S変換から同様の組を生み出す写像SSを以下で定義する。
SS:[m,f(x),S]→[n,g(x),S2]
ただしS2とn,g(x)は順次以下で与えられる。
S2 = S^f(m)
S2 : [m,f(x)]→[n,g(x)]
[3][3,x+1,S]にSS変換を63回繰り返して得た自然数をふぃっしゅ数、関数をふぃっしゅ関数とする。
………
……
…
「ごめんなさい。わけがわからないわ」
「だからいったじゃん」
「想像以上」
「ニャー」
「やはははは!」
これは定義の[3]にも書いてあるが、ふぃっしゅ数と呼ばれる数である。
これができたのは2002年インターネットの某巨大掲示板『一番でかい数出したやつが優勝』というタイトルでの出来事である。
「それで説明してくれないの?」
「え?説明するの?」
「当たり前」
「ニャー」
「腹をくくれよ」
言葉で説明はできなくはないが、面倒というのが実際の感想だろう。
大学数学知識がいるので全部説明してると日が暮れてしまう。
なので、ここは大雑把に説明して納得してもらおう。
「じゃあ、大雑把にだけど説明するぞ。細かくやってる時間はないし」
「「「はーい」」」
「ニャー」
仲良いな、おい。
「この数は『アッカーマン関数』てのを土台として作ってるんだ」
「アッカーマン関数?」
「そう、こんな感じの関数」
Ack(1,n) = n+1
Ack(m+1,0) = Ack(m,1)
Ack(m+1,n+1) = Ack(m,Ack(m+1,n))
「あ、[1]の部分と似てるわね」
「そう、一番最初のところを『f(n)』から『n+1』に変えて、『g(x) = B(x,x)』を削除したのがアッカーマン関数なんだ」
アッカーマン関数の定義に従ってAck(1,1)を解いてみる。
Ack(1,1) = Ack(0,Ack(1,0))
= Ack(0,Ack(0,1))
= Ack(0,2)
= 3
「まあ、ふぃっしゅ数を解く上で大前提にある知識だから、アッカーマン関数の形をよく覚えておくように」
「「「はーい」」」
「ニャー」
ほんと、仲良いな。
悪いよりかはいいけどさ。
「さて、[3]をみるとSS変換を63回しろって書いてるから、SS変換が含まれる[2]を見てみると」
[2]自然数、関数、S変換から同様の組を生み出す写像SSを以下で定義する。
SS:[m,f(x),S]→[n,g(x),S2]
ただしS2とn,g(x)は順次以下で与えられる。
S2 = S^f(m)
S2 : [m,f(x)]→[n,g(x)]
「ここで[3]から『m=3』、『f(x)=x+1』、『S=S』となっていることを気をつけて『S2 = S^f(m)』を求めよう。
『f(x)』と『f(m)』で変わっているのは関数の中の変数で、関数自体は変化してない。つまり『f(x)』の『x』に『m』が代入されただけなんだ。
つまり『f(m)=m+1』となる。ここで『m=3』から『f(3)=3+1=4』となる。よって『S^f(m)』は『S^4』となる。
これはS変換を4回しろという意味になる」
さて、地獄はここからだ。
「では、S変換が含まれる[1]を見てみる」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
B(1,n) = f(n)
B(m+1,0) = B(m,1)
B(m+1,n+1) = B(m,B(m+1,n))
g(x) = B(x,x)
「ではSS変換と同じく『f(n)』は『f(x)』の『x』に『n』が代入されたものであるから」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
B(1,n) = n+1
B(m+1,0) = B(m,1)
B(m+1,n+1) = B(m,B(m+1,n))
g(x) = B(x,x)
「あ、これアッカーマン関数と同じになってる」
「そう、これはアッカーマン関数と等しくなっている。まあ、せっかくだしアッカーマン関数の頭文字AをBの代わりにしてみよう。すると」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
A(1,n) = n+1
A(m+1,0) = A(m,1)
A(m+1,n+1) = A(m,A(m+1,n))
g(x) = A(x,x)
「そして『g(x) = A(x,x)』であることから、『g(m)』が求まる。何故なら、これも先ほどと同じく『g(x)』の『x』が『m』に置き換わっているだけだから。
つまり『g(m) = A(m,m)』となり、『m=3』であることから『g(3) = A(3,3)』となる」
「へえぇ。じゃあ、『A(3,3)』はいくつになるの?」
「1000行以上の計算を経て61になる」
「え?」
「だから61だって」
「違う。その前」
「1000行以上?」
「ええぇ!?」
驚くのも無理はない。
俺も最初は驚いたしね。
「じゃあ、S変換2回目ね」
「さらっと、驚いてるのを無視したわね」
「……さっき変換した『[g(m),g(x)]』は『[m,f(x)]』とも等しいんだ。つまりS変換2回目では『[m = A(3,3),f(x) = A(x,x)]』というものが入ることになる」
「どうしてそうなった」
今回の場合、写像の記号である『→』は『=』としても問題ないというだけのことだ。
一方が変化しただけなら『=』だと矛盾するが、一方が変化した結果がもう一方にも伝わるのであれば『=』は矛盾しない。
中学生の式で言ってしまうと『y = x+1』があったとする。しかし『y = 3×(x+1)』であれば矛盾するが『3y = 3×(X+1)』であれば矛盾しないようなものだ。
「そういうわけで、[1]はこんな感じに変化する」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
A(1,n) = A(n,n)
A(m+1,0) = A(m,1)
A(m+1,n+1) = A(m,A(m+1,n))
g(x) = A(x,x)
「これだと次の計算を考えるときに大変だから『A(n,n)』以外のAをBに戻す」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
B(1,n) = A(n,n)
B(m+1,0) = B(m,1)
B(m+1,n+1) = B(m,B(m+1,n))
g(x) = B(x,x)
「この状態でもし『B(1,1)』を計算するとどうなると思う?」
「「3」」
「……61だ」
「十六夜正解」
B(1,1) = B(0,B(1,0))
= B(0,B(0,1))
=B(0,A(1,1))
=B(0,3)
=A(3,3)
=61
「こんな感じになるんだけど、本来計算するのは『B(61,61)』だからからなり大きくなる。具体的にいうとこの状態でグラハム数が越えられる」
「グラハム数ってなに?」
「それは一回説明したら後から黒ウサギにでも聞いてくれ」
「私知りませんよ!」
『B(61,61)』でグラハム数を超えるためここからは具体的な計算はあまり行わない。
「S変換3回目はBの関数をCとでもして考えると」
[1]自然数と関数のペアから、自然スト関数のペアへの写像S(S変換)を以下で定義する。
S:[m,f(x)]→[g(m),g(x)]
ただしg(x)は以下で与えられる。
C(1,n) = B(n,n)
C(m+1,0) = C(m,1)
C(m+1,n+1) = C(m,C(m+1,n))
g(x) = C(x,x)
「この状態で仮に『C(1,1)』を計算すると」
C(1,1) = C(0,C(1,0))
= C(0,C(0,1))
=C(0,B(1,1))
=C(0,61)
=B(61,61)
=巨大数
「こんな感じなる。本当に計算するのは『C(B(61,61),B(61,61))』という数だからね」
本当にどうしようもないよ。
でも肝心なことを忘れている。
これはあくまでSS変換1回目の途中である。
「まあ、S変換4回目はDに変えて計算するから、SS変換2回目はこんな風になる」
2]自然数、関数、S変換から同様の組を生み出す写像SSを以下で定義する。
SS:[m,f(x),S]→[n,g(x),S2]
ただしS2とn,g(x)は順次以下で与えられる。
S2 = S^f(m)
S2 : [m,f(x)]→[n,g(x)]
であり、『f(m) = D(D(C(B(61,61),B(61,61)),C(B(61,61),B(61,61))),D(C(B(61,61),B(61,61)),C(B(61,61),B(61,61))))』という数だけS変換をすることになる。
「つまり、SS変換63回目はめちゃくちゃでかい数になるってことだよ!」
「数の暴力ってこういうことをいうんでしょうね」
「だけど、これはあくまでふぃっしゅ数の中じゃ最弱だぞ」
「え?」
「ふぃっしゅ数にはバージョン(Ver)があって、これは1。7まであるからこれは最弱なの」
「……」
言葉に出ないとはこういうことをいうだろうな。
しかし、今日1日だけで数学をかなりしゃべったというか、考えたというか……。
もう、説明はないだろう。
たぶんね。
「そういえば中身は何が入ってるんでしょうか?」
「そういえば……」
中を見てみると中には何も入っていなかった。
まさか、この箱を開けて得られるものって満足感とかそういうものの類なのか?
気持を上げるために箱を用意したという感じになるな、それだと。
まさに、自己満足。
「ま、満足感は得られたしいいか」
「そういうもんかの」
「そういうものだよ」
「それにしてもおんしら全員ゲームクリアとは……”決闘”を制したおんしがいるチーム全員に贅沢な品を与えようではないか」
すると2回拍手を行うと4枚のカードが現れる。
・コバルトブルー 逆廻十六夜 ギフトネーム”
・ワインレッド 久遠飛鳥 ギフトネーム”威光”
・パールエメラルド 春日部耀 ギフトネーム”
・ホワイトトランスペアレント 宇居一 ギフトネーム"急増加関数””力の体現者”
ん?一つ目はいいとしても、2つ目はなんだこれ?
もしかして、これが本当に箱の中に入っていたものなのか?
分からん。
「それの正式名所は”ラプラスの紙片”。即ち全知のカードというわけだ。それを見ればおのずとギフトの正体がわかるというもの」
「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
十六夜のギフトカードを覗き込むと、そこには”正体不明”の文字が浮かび上がっていた。
「馬鹿な……。ありえん、全知である”ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」
「ありえなくはないだろ。これが本当に”ラプラス”であるならな」
「どういうことだ小僧」
これ、説明しないといけない流れか。
もう説明しなくていいと思ってたんだけどな。
「たぶん、これが全知であり”ラプラス”でもあるなら、これは”ラプラスの悪魔”ってことになる」
「”ラプラスの悪魔”?」
「”ラプラスの悪魔”っていうのは簡単に言うと”ある瞬間に全ての物質の状態や力が知れたとして、それらを解析できる能力がある知性があるなら、その目には過去、現在、未来全てが見えるだろう”というもの。
とどのつまり、全知ってわけ」
「それがどうかした?」
「そんで、実はこの考えはかなり否定的になった定理が存在するんだ。それは量子力学不確定性原理。あと関係があるとすればゲーデルの不完全性定理かな」
量子力学不確定性原理、通称不確定性原理と呼ばれるものには2つある。
1つは位置と運動エネルギーの不確定性原理。
もう1つは時間と運動エネルギーである。
ここでは位置と運動エネルギーの不確定性原理を扱う。
「不確定性原理は簡単に言うと”ある電子や原子と呼ばれる『量子』を観測しようとした場合、電磁波等を使って位置を特定する。
だけど、電磁波を使うことによって『量子』がもつ本来の運動エネルギーが分からなくなる。そこで電磁波を弱めるわけど、今度は電磁波が弱くなったおかげで位置が分からなくなる。つまり一方を得ようとすると一方は得られない”というものなんだ」
「そんなことがあるのか」
「まあね。あとゲーデルの不完全性定理というのを簡単に言うために2つ言っておくね。数学の公理、簡単に言うと疑ってはいけない物事なんだけど、それらをいくつかまとめたものを公理系って言うんだ。
また、無矛盾という言葉が存在するんだけど、これは矛盾する結果を引き起こさないこと。
それでゲーデルの不完全性定理を簡単に言うと『公理系が無矛盾であるなら不完全である』のと『公理系が無矛盾であれば、自身の無矛盾を証明できない』ということを言ってるわけ。
つまり、”ラプラスの悪魔”か全ての物質の状態や力の中に公理系的に無矛盾があると分からないことが分かってしまう」
ゆえに正体不明なのだろう。
数学的に考えればの話だけどね。
もちろん、全然違う場合もあるけど、理論的に正しいなら納得できると思う。
そんなこんなで”俺”の忙しい初日は終わりを告げるのであった。
Q.主人公、数学キチなだけで問題児じゃなくね?
A.まごうことなき問題児になります。ただし、物語の終盤で問題児化します。それまでは数学キチな主人公な感じで行く予定です
Q.どこまでやるの?
A.アニメ範囲は一通りとオリジナルで行く予定です。
Q.飛鳥たちの描写は?
A.基本主人公視点で書いているので飛鳥視点で書くのは変かな?ということで書いていません。ただし、たぶん次で回想くらいは入るかと。(本当は今回入れようとしたけど、長くなりそうだったので却下
Q.原作1巻分でものすごく強くなるんじゃなかったの?
A.なります!(なるとは言ってない