ラブライブ! Day Day Day   作:文才皆無。

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私の懇意にしていただいているとあるラブライブ!作家の方が今日二十歳の誕生日を迎えたと言うことで急遽執筆させていただきました。
彼の推しである穂乃果ちゃん回です。
昨日の23時頃知りましたので急いで取り掛かりましたよ!だって二十歳の誕生日って大切な日じゃないですか。
まあ、書いた事自体はまだ伝えていないので後でしっかり伝えるのですが…

二十歳の誕生日おめでとうございます。

そしてご覧にいただける皆様へ
この回の穂乃果ちゃんと主人公君は二十歳です。元々付き合っているという設定の元構成していますのでよろしくお願いします。


1月28日 そのカクテルは『いつも二人で』

明るすぎる訳ではないが暗いわけでもないそんな照明で人の入りも緩やかなそんな落ち着いた雰囲気のお店の中、そんなお店のカウンター席に二人の男女が隣り合いながら居た。

 

「ふふふ誕生日おめでとー‼」

 

女性は自分の事のように嬉しそうに祝いの言葉を言った。それを受けた男性は照れくさそうにしながらありがとうと感謝の言葉を返す。

 

二人の前のテーブルの上には綺麗なオレンジ色のカクテルが置かれていた。

それは彼女がお店に入ってすぐに頼んだもので名前は『サイドカー』。カクテルグラスにギリギリまで注がれていて先程目の前でバーテンダーの方がシェイカーでシェイクしていた。材料はよく見かける茶色い瓶に入ったアルコール…たぶんブランデーだろう、とレモンジュース、見慣れぬ青い瓶に入れられていたアルコール。匂いからはそれなりに度数はありそうな気がする。

 

「今日は折角の誕生日だからね、穂乃果からのプレゼントってところだよ。飲んで飲んで!」

「えっと…か、乾杯?」

「硬いなぁ〜まあ、いっか。乾杯」

 

軽くぶつかり合ったグラスはチンと音を鳴す。カクテルは溢れそうになるも表面張力が働いたいたからか溢れ出ることはなかった。

隣り合う彼女は自分の慣れぬ姿におかしそうにはにかむ。その笑顔にドキッと鼓動が早まったがそれを悟られるのはなんだか尺で熱くなる顔を冷やすために誤魔化すようにカクテルを呷る。

カクテルは冷たかったのだが、やはり度数があったようで段々と内から身体がポカポカとしてくるのが分かった。

 

「へぇ…でもなんだろう。マイルドというか優しい感じがするね。飲みやすくて美味しいよ」

「えっと確かなんだけどさっき店員さんが振ってたじゃん?それがシェイクって言われててそれのおかげなんだって。」

 

えっへんと言いそうなぐらいに胸を張る彼女の姿にちょっと意地悪したくなった。普段ならそんな事ないんだけど少し酔っちゃったのかも?なんて免罪符を得てしまったからか興味からか口から出てしまった。

 

「ふーんそうなんだ。…で、誰に教わったの?」

「うぇ!?ち、違うよ!!男の人じゃなくて絵里ちゃんに連れて来てもらった時に教えてもらっただけだから!!」

 

焦りなにか勘違いする彼女に大丈夫という意味を込めてアハハと声を出しながら笑うと彼女も次第にからかわれたのに気付いたのかほっぺを膨らませた。

 

「もう!不機嫌そうにするから浮気でも疑われちゃったのかと思ったじゃん‼」

「僕が穂乃果を疑うわけ無いだろう?二十歳の誕生日にこんな素敵な思い出をくれたんだ。どうせ事前にいろいろ考えてみんなにも相談してその時お教えてもらったんじゃないかな?」

 

事実、僕は彼女である穂乃果を疑った事など付き合いだしてからも一度もない。

昔、好きな人がいて応援して欲しいと言われた時ぐらいじゃないかな?

それならもう会わない方がいいと身を引こうとした事もあったけど、それだって結局好きなのが僕だったと言うのを聞かされて解決したわけだし。いつだって僕は彼女一筋だったからね。

懐かしいかぎりだ。

 

「もしかしてエスパー?」

「穂乃果のことで分からないことはほとんどないよ」

「そこは全部って言わないんだね。」

「そりゃあね。付き合い長いとはいえ分からないこともあるでしょ」

 

今日の誕生日に合わせて念入りに下調べしてくれてたのだって僕は知らなかったからね。おかげで嬉しくて照れくさくて朝から意識してなかったら顔だって赤くなっちゃいそうだったからね。彼女に嘘はつきたくない。誠実に付き合いたいから冗談でも嘘は付きたくないんだ。

 

「穂乃果は優しい嘘ならそれでも嬉しいよ」

 

まるでこちらの心の中を見透かしたような言葉にドキリとする。驚きから思わず横にいる穂乃果をみつめてしまう。

彼女の表情はどこか大人びていて感傷に浸るようなそんな雰囲気があった。お店の雰囲気と相まり呑まれてしまいそうになる。

 

「穂乃果はね?貴方がいつも私の事を一番に考えてくれているのを知ってるよ。だから貴方が好きなんだもん。誰よりも私を愛してくれて、想ってくれて、大切にしてくれて…」

「…穂乃果」

「だから、生まれてきてくれてありがとう。私と出会ってくれて、選んでくれてありがとう。改めて誕生日おめでとう」

 

嬉しい。恥ずかしい。愛おしい。そんな気持ちがごちゃまぜになり顔が熱くなる。だが、この気持ちを隠したくなくて何か話さなくてはなどと思うも何も言えなくて穂乃果を見つめることしかできなくなってしまう。

なんて言えばいい?こちらもだよ?何故だろうこれじゃない気がする。確かにそれは穂乃果に抱く想いでもあるがそれでは足りていない。全てを伝えきれない。

でもどうしたら…

 

そう思い悩んでいた時だった。

渋い容姿をした先程とは違うバーテンダーさんが僕と穂乃果の前に一つずつカクテルを置いた。僕たちは思わず見上げてしまう。

 

僕の前に置かれたのはカクテルグラスに白く丸い物がピンに刺されて入っていた透明なカクテルで、穂乃果の前に置かれたのはタンブラーと言われるグラスにカットレモンが入っていた茶色がかった暗いオレンジ色のカクテルだった。

 

「あの…僕たち頼んでいないのですが」

 

渋いバーテンダーさんは特に気にした様子はなく

、目を閉じたまま口を開いた。

 

「こちらは私から貴方がたに贈った物ですのでお気になさらず。盗み聞きなどするつもりではございませんでしたがどうやら貴方は今日誕生日だと聞こえてしまいましたので贈らせていただきました。」

 

は、はあ。なんていう生返事しかできなかった。

気を使わせてしまったのだろうか?と考えてしまったがそのバーテンダーの表情からは何も読み取れなかった。だが出されてしまった、贈られた物を無碍にするのは気が引けてまずは一口と口をつけた。

 

そのカクテルは喉にガツンという衝撃を与えるような喉越しだった。穂乃果が頼んだ『サイドカー』よりも度数は強かったようでそのアルコールにクッとなるがキレがよく突き抜けていく爽快感があった。

味わい終えるタイミングを熟知しているようでそのタイミングでバーテンダーは説明を始めた。

 

「そちらはウォッカギブソンというカクテルでございます。ウォッカとドライ・ベルモットでステアしパールオニオンをカクテルピンに刺し加えた物となります。また、カクテル言葉は『隠せない気持ち』となっています。」

 

カクテル言葉というのは聞き慣れないが花言葉や宝石言葉のようなものだろうか?

表情からは何も読み取れないのだが何故だかこのカクテルを贈った意味は読み取れるような気がした。

隠せない気持ち…か。

しみじみとその言葉と共にそのカクテルを飲み込む。

 

気付けばどうやらアルコールがだいぶ回ったのか少し眠くなってくる。

身体はどうしようもなく正直らしく隣の穂乃果にしなだれかかってしまう。

 

「あー…重いかもなんだけど甘えてもいいかな?」

「全然重たくないから大丈夫だよ。落ち着くまでこのままでいいよ」

 

隣にいるからその表情までは見えなかったがどこか心地よくて何も考えたくなかった。

あえて言うならなんとなく穂乃果の声が弾んでるような気がした。あくまでも気がする程度なんだけどね。いいと言ってくれるならそれでいいや。

 

一体どれくらいそうしていたのか迄は分からないがバーテンダーさんが水を入れてくれた時までそうしていた。そのときにはだいぶ落ち着いてきていたのでふらつくことなく体勢を戻すことができた。

心の中にあった何かはいつの間にか軽くなっていて救われたような気がした。

 

そのまま会計を済ませ穂乃果とお店を後にする。

その帰り道は手を繋ぎながら帰った。

僕は穂乃果に感謝を述べた。

最高の一日をプレゼントしてくれたことを。

そして一つだけ謝った。

言葉にしなければいけないことを黙っていたことを、その覚悟ができていなかったこと。

 

意を決して、その言葉を紡ぐ。

 

 

「僕は貴方が好きです。誰よりも貴方を愛し、ずっと一緒にいたい。これからもずっと、ずっと…

僕に貴方の時間を下さい。僕と…結婚してくださいませんか」

「勿論だよ。むしろ誰にも渡さないって決めてたぐらいだもん。喜んでお受けします‼」

 

僕のプロポーズの言葉に間髪入れずに返答をくれた穂乃果。僕はずっと迷っていたんだ。この言葉を言ってもいいのか、その言葉の責任を取れるのだろうか…と。

隠せない気持ち…きっと穂乃果自身にもその悩みは見抜かれていたのかもしれない。

そのせいで不安にさせてしまっていたのかもしれない。だからこその『優しい嘘』だったのかもしれない。今はまだ虚勢でもいいから勇気を出して欲しい。後少し歩み寄って欲しいということだったのかもしれない。

今はまだ分からないけどこれから不完全を二人で完全にしていこう。同じ時間を共にする決意は出来たから…

 

夜の帰り道、街灯に照らされる二人の影はそっと寄り添うように重なったのだった

 

 




飲酒はしっかり二十歳を超えてからにしましょうね?
未成年者飲酒禁止法に引っかかりますのでそこはお間違いありませんようお願いします。

そしてご覧いただきありがとうございました。

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