宇宙人ジョーンズ︰幻想郷調査結果報告書《完結》 作:ココナッツ・アナコンダ
宇宙人ジョーンズ︰???
──この惑星では、どれだけ『努力』を重ねたとしても、それが必ずしも『報われる』とは限らない。
「クッソォ〜……また負けたぁ……」
「チルノちゃん。そんなに落ち込まないで……ね? 次また頑張ろうよ」
「次……次かぁ〜……ねぇ、大ちゃん?」
「なぁに? チルノちゃん」
「……アタイ、ガンバったよね?」
「うん、だから今日はいい勝負して──」
「ちがうの。アタイ、勝つためにたくさんガンバってきた。なのに、けっきょくアタイはまた負けちゃった……」
──壁にぶつかる、石に躓く、道を見失う。それぞれによって挫折する理由は様々だ。
「それだけじゃない。リグルにみすちー、ルーミアだって手伝ってくれたのに……アタイ、勝てなかった。みんなのオーエンをムダにしちゃった!」
「……チルノちゃん」
「何より! ずっと一緒にいてくれた大ちゃんが……大、ちゃんに……ウゥア……」
「チルノちゃん泣かないで? 私は──」
「アタイ……アタイもう止める! アイツにもうショーブなんて挑まない!!」
──迷い、悩み、何度も自問自答を繰り返し、そして最後には足を止めてしまう。
「チルノちゃん……」
「おぉ〜い! 大ちゃ〜ん、チ〜ルノ〜!!」
「あっ、リグルちゃん! それにルーミアちゃんにみすちーちゃんも!」
「うんしょっと……よっす。で、どうだった?」
「それがね、リグルちゃん……」
「もうやんないったらやんないの! みすちーもルーミアもあっちいって!」
「落ち着きなよチルノ。ルーミアも何か言ってあげて?」
「チルノはダメダメだな〜」
「わかってるもんそんなコト!!」
「あっ、いいや。チルノの荒れ模様見たら察した」
「うん……どうしよう?」
「どうしようっても──へい、ルーミア! みすちー! 集合ぉ!!」
「はぁーい」
「すぐ行くぞ〜」
──志の半ばで立ち止まってしまうことは、決して珍しいことではないのだ。
「──それで、結局また
「ん〜、まぁ仕方ないんじゃない? 他に手が無いわけじゃないけど、これが一番手っ取り早いし。ね、ルーミア」
「そうだな〜。何より、もう
「いつもごめんね? みんな」
「いいっていいって、チルノは大切な友達だもん」
「リグルの言う通り。面倒くさいとこもあるけど、なんだか憎めないっていうか」
「まったくしょうがない奴だよな〜」
「フフッ──そうだね」
──ただ…。
「さて──チルノ!」
「何よリグ──」
「こんのぉ……バカもんがぁ!!」
「イダッ!? ──何でいきなりビンタするんだ!!」
「何でじゃないよ! 何勝つことを諦めようとしてんの! それこそ私たちのしてきたこと全部無駄にする行為じゃないか!!」
「……え?」
「リグル、タッチ」
「はいよ」
「よし──チルノ!」
「み、みすちー……」
「このぉ……バカたれがぁ!!」
「ふがぁ!? ──イ、イタい……」
「私たちはねぇ! アンタに勝ってほしくて手伝ってんの! こんなショボくれた姿なんか見たくないんだからね!!」
「……う、うん……」
「みすちー、へ~い!」
「へい、タッチ!」
「イッエ〜イ! ──さて」
「……ルーミア」
「っんのぉ……バァカちんがぁ〜!!」
「ぐぅあふっ!?」
「もし本当に申し訳ないと思ってるなら、今度こそ勝つって気概を見せてみろよな〜!!」
「でも……でも、アタイは……!」
「まったく……大丈夫だよチルノ」
「私たちは何があっても」
「チルノの味方だからな〜」
「……グズッ……みんなぁ……!」
──この惑星の住人は、誰かに認められている限り……。
「だから……ね? チルノちゃん」
「大ちゃん……」
「もう一回、頑張ってみよ?」
「…………うん……」
「次は絶対に勝てるよ。なんて言ったってチルノちゃんは『さいきょー』──だもんね?」
「……うん! アタイ、ガンバる! それで今度こそアイツをやっつけて、アタイが『さいきょー』だってショウメーしてやるんだ!!」
「うん! その意気だよチルノちゃん!」
「やるぞぉ〜!!」
「うん。やっぱりこういう馬鹿っぽい方がチルノらしくていいや」
「リグルの言う通りだねぇ。見てるこっちが恥ずかしいくらいが丁度いい感じ」
「これにて一件落着ってとこだな〜」
「ん? なんか言った?」
「「「いや、な〜んにも〜」」」
「そっか、ならいいや! よぉーし、大ちゃん! リグル! みすちー! ルーミア! さっそく帰ってトックンだぁ!!」
「「「「おおぉ──!」」」」
「今度こそ、チューゴクに『だるまさんがころんだ』で勝つぞぉ!!」
「「「「おおぉ──!」」」」
「行くぞぉ!せぇ〜の──」
「「「「「えい! えい! おおぉ──!!!!」」」」」
──『諦める』という選択肢は、選ばないようだ。
「いやぁ〜、何度見ても熱い友情のワンシーンはいいですねぇ! 缶コーヒーによく合います!」
「…………」
「……あの、そんな目で見ないで下さい。違うんですよ、私が大人気ないんじゃなくて、チルノちゃんが弱すぎるだけなんです」
「…………」
「だって、私は特に変なことはしてないのに……なんなら負けるつもりだってあったのに、向こうが勝手に自滅するんですよ? それじゃどうしようもないじゃないですか!?」
「…………」
「私じゃどうにもできないんです! だからお願いです、そんな冷たい目で見ないで下さい!!」
「……仕事ハ?」
「……え、そっち?」
「報告ダナ」
「い、いやいや、それも待って下さいよ! これには理由が──」
「モウ遅イ」
「え? ────あっ」
──遊びに対して本気になれる。
そんな子供時代が、私にもありました……。
今日もチルノたちは元気です。
最後の美鈴は、缶コーヒー要素が入れられなかったので無理やり突っ込みました。蛇足とは……言わないでほしいなぁ……。|・ω・`)チラッ'