「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」」」
演習場にいた多くの生徒がいきなり現れた幻獣神に驚き、悲鳴をあげている。この士官学園は幻獣神に対抗するために作られたと言っても過言ではないのだが、実戦経験が少なく、幻獣神も滅多に出現してない。
「ねぇ!まだ抜剣の許可が出ないの!?」
「救援は!?警備隊は!?」
「どうして三年生がいないときに!?」
そんな声が多く聞こえる。不測の事態に平常心で備えるのが機竜使いの鉄則なのだが、そんなもの女子達は気にせずパニックになっている。
「やれやれ、まだ候補生らしく、皆さんは突発的な騒動には弱いのですね」
「Yes、ですが仕方ないかと。幻獣神一体では上級階層の使い手3人、中級階層の使い手が5人、下級階層の使い手が10人以上で撤退戦、防衛戦をするのがやっとですから」
「それに、今回の場合は一体だけでなく、二体だから仕方ないよアイリ」
普通の人の考えをノクトとライラが言う。三年生がいない状況では防衛戦ができるかといえばできないだろう。経験が浅いし、指揮ができる人も少ない。そこで、アイリから提案が出た
「姉さん、ここは私が…」
「駄目だよアイリ、ここは学園内だし、街の中だから街に最小限の被害で抑えたいから抜剣の許可がなかなか出ない。それはわかっているよね」
抜剣許可が下りないのは、あくまで最小限の被害に抑えるため、防御や回避に専念すると被害が大きくなる。だが、汎用機竜、暴走寸前の神装機竜一機ずつだと倒すどころか殺されるだけだ。
「だから、アイリはノクトと一緒に避難誘導して、幻獣神は私がなんとかするよ」
「だけど!」
「大丈夫、街に被害をもたらさないから、それに私は明日編入するからね。今日のことは不問にしてくれるはずだよ」
そう言って片目を閉じアイリを安心させ、橙色の機攻殻剣を抜剣する。
(生徒はほとんどいないし、この子でいいでしょ!)
あいにく、この神装機竜の詠唱符は知らない。女王からこの剣をもらったときに教えてもらわなかった。いや、正確には教えることができなかった。なぜなら、忘れちゃった♪てへっ♪と言われたからだ。このままじゃ意味がないのだが、昔ウェイド先生に低い確率だが思念操作だけで機竜を展開できることがあると聞いたので実践をしたら上手く機竜を纏えた、よって詠唱符はライラにとってもういらないものとなっている。ライラが橙色の機竜を纏い、空へ駆け出す。
「なっ!?橙色の神装機竜!?」
それに気づいたのは、戦っていたルクスとリーズシャルテ、避難誘導している三和音とアイリである。ライラの正体を知っていたルクス以外が驚いている。
『ルクス、もう一体の幻獣神をお願い!こっちはちゃんと倒すから!あと!無いと思うけどフレンドリーファイアだけは勘弁ね!』
『わかった。リーズシャルテ様、お願いがあります』
ライラの冗談を無視してルクスはリーズシャルテに頼み事をする。リーズシャルテは《閃光の妖精》の出現に驚きを隠せていないが、すぐさま暴走を抑えるようにしながら、ルクスの話を聞く。その間にも
「まったく、ルクスはお姫様に何の頼み事をしているのかな、早く終わらせてこっちに来て欲しいんだけど!」
幻獣神二体同時に戦っていた。街を破壊されないように幻獣神よりも高く飛翔していた。数分後、
「ごめん、お待たせライラ」
「遅い!大遅刻!最初に言った通りに一体お願いね!」
「了解!」
そう言って2人同時に左右別れて散開する。すると上手く幻獣神が別れ、ライラとルクスへそれぞれ向かっていく。程よい距離で幻獣神を離れさせることに成功したライラは
「さて、とっとと終わらせましょうか!」
そう言って剣を抜く。そして
「《神速》に加えて《剣舞》!」
目に見えない速度で幻獣神に向かい、上半身と下半身を別れるように斬り、その後に下から左右真っ二つに割れ爆発する。アイリはその姿を見て
「すごい…」
と感嘆な声を出していた。後はルクスが相手をしている幻獣神だったが、ライラが茶々を入れようとルクスに竜声で声を掛けようとしたら、リーズシャルテの《七つの竜頭》を放ち、幻獣神は消え去る。
「ふぅ…何とか終わったかな」
演習場に戻り機竜を剣に戻す。ルクスも幻獣神がいないと判断し、戻ってくるが…
ガチャン!
不時着をしてしまい、すぐさま医務室へ連れて行かれた。
「はぁ、終わった終わった〜」
今から学園長に事の次第を報告するついでに、シャワーを借りようと演習場から出ようとすると
「姉さん、聞きたいことがあるんですけど?」
振り向くと、鬼のような剣幕でアイリが立っていた、その光景にライラは
「あははは…シャワーを浴びてからね?」
声を震わせながら答えることしかできなかった。
うわぁ、戦闘描写雑だな〜