夜明けの空、響き渡る鐘の音。いつものような日常のような光景であるが、鐘の音は朝を迎えるためではなく、危険を知らせる音であった。
その音を気にせず、士官学園の教官が生徒へこれからの作戦を伝える
「では、全員揃ったので、士官候補生に通達する」
淡々と教官は告げてはいるが、機竜格納庫内では緊張の糸が張っている。が、
「城塞都市の警備隊の機竜使いが討伐に向かっている。しかし、敵は大型だ。城塞都市にまで可能性のために我々は迎撃部隊を編成し戦闘に備える。各自は司令があるまで待機しろ」
この発言によって多くの生徒が安心のため息をつく。
「随分と平和ボケしているのね。この学園のお嬢様は」
ルクスとライラの隣に蒼い髪の少女がやってくる。
「ここの人たちは最悪の場合を考えないお花畑な思考だからね」
「ライラ、それはさすがに言い過ぎじゃ…」
「でも、事実ね。ライラさんの言う通り、自分たちが出撃しないと思ってる」
「それでも、ほら、リーシャ様たちは出撃しようと」
「それは『騎士団』だからじゃないの?率先して出撃しないと待遇は悪くなるでしょ?」
「それでも、言い方ってあるでしょ!」
ライラの発言をオブラートに包み込んで欲しいと言わんばかりにルクスが注意をする。
「でも、安心するのもわかる。あの顔のリーシャ様だと、何故か出なくてもいいと感じさせる」
「でも、なんか嫌な予感がするんだ」
「あら?それは貴方の直感かしら?」
「あはは…そうかな。そういえば…」
ルクスが思い出したかのようにクルルシファーに問いかける
「クルルシファーさんは『騎士団』なのに出ないの?」
「私のような留学生には校則で戦闘基準があるの。幻獣神を相手に出撃することはないわ」
「そうなんだ」
「まぁ、妥当だろうね。他国のために命と機竜を失うなんてもってのほかだから」
クルルシファーが言った後にルクスは暗い表情をする。
「このまま、何も起こらなければいいんだけど…」
ルクスが不安と言葉にしているといつの間にか『騎士団』のメンバーが数人になっていた。
「まぁまぁ、ルクス。落ち着こうよ」
ライラは大丈夫だよと安心させようとしていた。
数十分後、教官から焦りの声が響いた
「安全に撤退をしろ!」
そして待機している生徒たちへ向いて説明をする。説明をしていくにつれて生徒たちが青ざめていく
「これがノクトさんから聞いた現在の戦況です」
説明が終わった時点では静まり返っていた。
「最悪の事態になったですね。これは城塞都市から撤退するか応戦をするかその判断もしなければなりませんね」
「ルクスの嫌な予感が当たってしまったね」
ライラが真剣な表情になり、ルクスへ振り返るとルクスは決心した顔つきになっていた。
「兄さん、どこへ行こうとしているんですか?」
ルクスを止めるようにアイリが言い放つ。
「リーシャ様を助けに行くつもり」
「ダメです!汎用機竜では幻獣神は倒せないし、もう一本の剣も使えない!今の兄さんには何も出来ないんです!兄さんの気持ちは分かります。ですが、この世界はどうしようもないことがあるんですよ!」
「わかっている。けど、僕の目的は帝国を討つことなんだ。それにアイリを1人になんかさせないよ」
「大丈夫だよアイリ。私が付いて行くからルクスを死なせないよ」
「お姉ちゃん…」
ルクスはアイリの頭を撫でながら説得をする。ライラが一緒に行くならば安心したのかため息をつく。
「クルルシファーさん、頼みがあります。僕とライラと一緒に出撃してくれませんか?」
「あら?私は幻獣神に関する任務は出撃できないのだけど」
「もし一緒に来てくれるなら『黒き英雄』の情報を教えます」
クルルシファーが知りたいことを教えてくれるということで目の色を変える
「仕方ないわね、いくわ」
そうルクスの提案を受け入れると、ライラとルクスは汎用機竜を、クルルシファーは神装機竜を纏い戦場へ向かって行った。
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