閃光の機竜   作:叶絵

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『騎士団』への誘い

編入祝いをした次の日、主役の二人であったライラとルクスはリーシャに呼ばれて演習場へ訪れていた。ルクスはライラが来る前から機竜の格納庫へ行っていたらしく、リーシャ様に機竜の整備をしてもらったらしい。なぜリーシャが整備してもらったのか理由を尋ねると。

 

「これから二人には騎士団の試験を受けてほしい」

 

そう言った。すると、名前も知らない女の子が

 

「大丈夫なんですか?二人を『騎士団』に勝手に入れてしまって…」

 

不安そうに言ったのだが、リーシャ様がドヤ顏で

 

「勝手に入れようとしていない。『騎士団』に入る条件の一つに現『騎士団』の過半数が認める人でなければならない。今は三年生がいないが『騎士団』の過半数はギリギリいるから大丈夫だ。それに…」

 

言葉を紡ごうとするが、そこにライラが横槍を入れる。

 

「すいません、リーシャ様。お誘いしてもらっているようですが、私は『騎士団』に入るつもりはありません」

 

「なにっ!?それはどういうことだ?」

 

リーシャは驚く。ライラ程のスピードと射撃の正確さ、剣筋は眼を見張るものがあるから『騎士団』へ誘ったのだ。

 

「私は誰かを守れるほど強くありません。それに私は団体行動は苦手で多くて10名以下の部隊でないと私の機竜は役に立ちません」

 

ライラはそう言って断った。半分本当で半分は嘘だ。団体行動は苦手というのは一度王国軍の訓練で体感したからであり、自分の持ち味であるスピードを活かせずに、もどかしい思いをしたからだ。基本的に単独行動が多いライラは10名の部隊編成で戦ったことがない。というより少人数部隊でも戦闘経験がないので少なく見積もってみた結果である。

その答えにリーシャは

 

「そうか…あのスピードが出せないならば仕方ないな」

 

と諦めていた。

 

「ということで、ルクスは頑張って認めてもらいなさい」

 

そういって不敵に笑う

 

「えぇ…」

 

ルクスが頼りたい人は頼みの綱を切られてしまった。

 

「そう言えばなんでそんなに急いで私達を『騎士団』に入団させようとしているんですか?」

 

「あぁ…それはだな」

 

「それは騎士団長であるセリスティア・ラルグリスに関係しているのよ」

 

リーシャが答えようとした時にクルルシファーが即座に言った。その瞬間にライラは疑問を感じた。なぜお姉ちゃんが関係しているのだろうかと疑問に感じる

 

「三年生で公爵家の令嬢。その人が非常に男嫌いであるから王女さんはその人が来る前にルクス君を『騎士団』に入れたいと思ったんでしょう」

 

(お姉ちゃんが男嫌い?そんなことはないはず、でもあれからしばらく経っているから変わっていてもおかしくはないけど…)

 

ライラの中では釈然としていないが、お姉ちゃんは男嫌いとしておこうと決めた。

 

「うむ、クルルシファーの言う通りだ。そこで今いる『騎士団』で模擬戦をし、ルクスの信頼を獲得しようとしているのだ」

 

そう言ってリーシャとルクス、その他の女子達は演習場のフィールドへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなんだよーもう!」

 

リーシャが声を荒げる。リーシャは目論見通りにルクスの評価を上げるように計画を立てていたのだが

 

「さすがは最弱無敗ね。ここでも守りに徹するとは」

 

ライラの言った通りルクスは守りに徹していて、攻撃を一切しなかった。全ての機竜はリーシャが墜としルクス、リーシャチームの勝ちだったが、ルクスは評価に値する人ではないと少人数の生徒が言ったため『騎士団』に入れなかった。

 

「私の計画が台無しになったんだぞ!」

 

そう言うがルクスは騎士団に入るか入らないか迷っていた。雑用と雑用以外のもう一つの目的とを天秤にかけていたらしいが、結局後者を優先したらしい。

 

「ルーちゃん、はいオレンジ」

 

そう言ってフィルフィがオレンジを差し出しところで

 

「ちょっと、シャリスさん、いいですか?」

 

そう言ってこの場から離れるようにライラはシャリスを誘った。誘いを受けたシャリスを一旦、寮の部屋に連れてきたライラは早速、姉について聞き出そうとした。

 

「あの、お姉ちゃんのことについてなんですけど」

 

「セリスのことについてか?」

 

「この学園に来る前から男嫌いだったのでしょうか?それともここへ来て?」

 

「あぁ…そのことか…それは違うぞ」

 

意外なことを口に出されて驚く

 

「で、では何故、お姉ちゃんは男嫌いと噂されるようになったのですか?」

 

「以前、生徒に『男は少し苦手です』と言って、その生徒がセリスは男嫌いと噂をながしたんだ」

 

(なんていうか、相変わらずお姉ちゃんは不器用なんだから…)

 

「ありがとうございますシャリスさん。お姉ちゃんは相変わらず不器用なんですね」

 

「全くそのとおりなんだよ、この前なんて…」

 

姉についてシャリスと語り合うライラは少し嬉しそうな顔をしていた。


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