「なんで私がルクスの雑用の手伝いをやってるんだろう…」
「あはははー、ごめんねライラ」
日も落ちた夜に男女一組のペアがお風呂にいる。だが、健全男子が妄想するようなシチュエーションで、ライラは裸にはなってはいない。それどころか湯船にはお湯が入っていない。彼らがやっているのはお風呂場の掃除である。ルクスはもちろん雑用で受けてしているが、ライラがやっている理由は
「食堂で待っていないだけなのにお風呂掃除をさせられるの?普通」
アイリの命令で掃除をしていた。お昼の授業が始まる前にアイリが怒っていたので理由を聞いたら姉さんと兄さんはなんで食堂にいなかったんですか!!??と声を荒げていた。許してもらおうとなんでも聞くと言ったら、兄さんの手伝いでもしてなさいと言われたから授業が全て終わった後にルクスと合流し、雑用を一緒にしている。
「まあ、依頼の詳細を聞くために屋上とか行かないからね」
「それで、その依頼はどうするの?ルクス?」
「いずれバレちゃうことなんだけど、できるだけバレる人は少なくしたいから言わないかな」
「私もそうしたいなぁ…」
2人は喋りながらも掃除する手を止まらせない。その後に洗面台などを綺麗に掃除しているときに不意にルクスが呟いた
「僕なんかがこんなところに居ていいんだろうか」
そう言い終わったとき、コンコンと扉が鳴る音がした。ルクスは急いで弁明しようと慌ただしく
「す、すいません。もうお風呂は終わって、今は!」
「期待していたことじゃなくてごめんなさい。それとも私たちの裸を見たいと思ってましたか?」
入ってきたのはルクスの妹、アイリとその親友ノクトであった。ご期待通りの裸ではなくちゃんと制服を着ていた。
「な、何を言ってるの!」
「あれ、ノクトもいらっしゃい」
「Yes、こんばんはルクスさん、ライラ。それにしてもルクスさんは身内にでも欲情するのはいかなものかと…」
「欲情なんかしてないよ!それにその前にライラがいるし…」
「私の裸が見たいのですか?ルクス?」
「ライラ!悪ノリしないで!」
「ルクスさん、童顔だからエッチな事を考えるんですね」
「ノクト!もうやめて!童顔っていうのも関係ないからね!」
ルクスがゼイゼイ言っている。そろそろ弄るのをやめようか、そう思いライラは話題転換をする。
「そういえば2人とも何しにきたの?私たちに用があるんでしょ?」
「そうでした。二人とも雑用はいつ終わるんでしょうか?」
「これが最後だよ。後少しで終わる」
「なら、ちょっとしたお仕事です。二人とも大広間にきてください。寄り道は禁止ですよ」
「えぇ!私もう寝たい〜」
「姉さん。来てくださいね」
アイリから強い圧力を感じる。絶対に来てくれますよねと念を押している。ライラはそれに震えながらハイとしか言えなかった。
「それではお願いしますね」
「わかった。終わったらすぐに行くよ」
ルクスにも依頼の了承を得たアイリは嬉しそうな顔をしながら風呂場を出て行った。
「さて、可愛い妹分のためにさっさと終わらせましょうか」
「そうだね」
ライラの提案にルクスが返事した数分後にはこの依頼主である寮母さんにチェックをしてもらい、一発OKをもらった。
「待ってましたよ二人とも」
大広間の前にアイリがいた。そして、アイリは二人が見えた瞬間に走ってこちらへ向かい二人の手を取る。
「みなさんがお待ちかねですよ。さぁ、早く早く!」
ライラとルクスは首を傾げていたが、アイリに手を取られ、大広間の扉の前まで連れて行かれる。
「さぁ、開けてください」
二人は片側ずつドアの取っ手を掴み押す。開き切った後には
「編入おめでとう!」
ライラとルクスは大勢の少女達に祝福されていた。