バイオハザード インクリボンがゴミと化した世界で   作:エネボル
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09 メメント・モリ

 ウィルスの拡散は未だに続いており、未だ予断を許さない状況にある。
 アンブレラ社は事態の収拾と社員の救出の為に契約した傭兵による武装集団U.B.C.S.を街に投入した。
 しかし街に展開したU.B.C.S.は過酷な状況の中で人員の約半数を瞬く間に失い、投入から僅か数時間と言う短い時間の間に事実上の“壊滅”へと追い込まれていた。
 そうした現場の報告により事態の収拾が容易でないと判断したアンブレラの上層部は発想を転換。ラクーンシティに試作型B.O.W.の実践投入を決定する。
 目的は戦闘データの収集と証拠の隠滅。及び情報拡散の阻止を目的とした“生存者”の抹殺である。
 ――作戦名『ラクーンシティ』
 アンブレラ社が今後も社会で権力を保持するには、街での出来事を必要以上に語られるわけにはいかない。
 作戦はそうした考えの末に下された非情な決断であった。
 そしてこの作戦を冷徹に遂行するように求められたメンバーこそ、九月某日の秘密作戦に失敗し、パンデミックの決定的な引き金を引いたとされる同社の特殊部隊――U.S.S.の生き残りであった。

 九月某日。
 ラクーンシティに秘密裏に派遣されたU.S.S.は、同社の主任研究員ウィリアム・バーキンの抹殺と、バーキンの開発した新型ウィルス“G”の回収作戦を社の上層部より命じられた。しかしバーキンの抹殺が成功したと思われた直後、バーキンは自身に注入したGによって暴走変異。その結果彼らはUSSを率いた隊長ハンクを行方不明(MIA)と言う形で失い、そして秘密作戦自体も事実上の失敗に終った。
 アンブレラ上層部は施設から辛くも脱出に成功した残存するU.S.S.隊員に失態の責任を追求する形で『ラクーンシティ作戦』のサポートを厳命する。

『――生存者の中にはアンブレラにとって不利益な情報を持つ者が存在するかもしれない。よってこれ以上の生存者を街から出すわけにはいかない。しかし全員を抹殺している時間は無い。通信を断つ為に発電所を破壊しろ』

 本部から送られた命令を遂行する為、U.S.S.の残存勢力デルタチームは発電所の停止に必要な電磁パルス(EMP)発生装置の回収の為にラクーン総合病院へと進撃する。
 感染者、そして互いに任務を妨害しあう形となったアンブレラの傭兵部隊U.B.C.S.との戦いの中。非道な作戦を冷酷に遂行するU.S.S.デルタの進路の前に、運悪く立ちはだかってしまった二人の民間人が居た。

 そして必然的に彼らはU.S.S.の放った凶弾に倒れた。

「――っ」

 胸を突いた激しい衝撃。
 混濁する意識の中でジョーは傍らに同じ様にハミルトンが倒れている事を知った。
 耳に反響する無数の銃声と複数の断末魔。それらを無視してジョーはハミルトンを見た。素人目に見てもハミルトンは重症だった。薄汚れた背広の代わりに身につけた白い白衣が鮮血に染まり、ジクジクと穿たれた穴から血があふれ出していた。
 ――どうしてだ?
 息も絶え絶えなハミルトンの口から漏れる言葉は唯一、それであった。
 ジョーは視線の先に己とハミルトンを撃ったガスマスクの集団を見た。
 彼らは高価なコンバットスーツに身を包む機械の様に統制された戦闘集団で、瞬く間に敵対する勢力を打ち倒していた。
 彼らに対しジョーは酷く冷たい氷のような印象を受けた。
 その時、嘲笑のような笑い声が一階に響いた。
 “ニコライ”の声であった。

「――ハハハ、おやおや可哀想に」
「もう弾除けは無いぞ、ニコライ!」
「弾除けか。そう言えば先程君達に撃たれた二人の内、そっちの彼(ジョー)は私の友人(・・)でね。動けない別の友人の為に態々単身でインスリンを探しに来たそうだ。まったく可哀想に――」
「そう。――で、その程度の事でまさか心を痛めるとでも?」
「いや、まさか。君達U.S.S.の事は良く知っている。だからふと思った事がある」
「……なにかしら?」

 一階のホールでU.S.S.とニコライとの“銃撃戦”が再び始まった。
 ニコライに応じて言葉を返したのは女性の声だ。
 蚊帳の外からニコライの嘲笑とU.S.S.のやり取りを聞いたジョーは、床に倒れて天井を見上げたままの姿勢で状況を理解して行く――

「――もう一人の方も恐らくは、この病院での唯一の生き残りだろう。そんな彼ら一般市民を命令とあらば無情に殺してのける貴様達“U.S.S.”と、金を目的に動く俺との間に一体どれほどの差があるのかと思ってね。――寧ろ、お前達の方がより邪悪(・・)なんじゃあないか? アンブレラの猟犬」
「……貴様よりマシだ」
「クハハハハハ!!」

 ニコライの所属するU.B.C.S。ハミルトンとジョーを撃ったU.S.S.。
 そのどちらもがアンブレラの傘下にある。
 ウィルスを作ったのもアンブレラ。
 それを流出させて大量の死者を作ったのもアンブレラ。
 ニコライの嘲笑を聞いて、ジョーは思わず拳を握りこみ、砕けるほど強く奥歯を噛み締めた。

「――私と貴様達との一体何が違う? 善人を気取るつもりか?」
「意図して仲間を餌にする程、外道になった覚えはないわね」
「ほぅ、それは――」
「――っ!?」

 ニコライの投げ込んだグレネードが床に落ちる音がした。
 爆風から身を守る為にジョーは咄嗟に身をよじった。
 姿勢を低くしたまま院内の備品に身を隠し、そこでジョーはようやく己の状態に気づいた。
 胸の位置に打ち込まれた三発の銃弾はケンドの銃砲店を出発する際に着込んでいた防弾チョッキと、胸のポケットに入れたステンレス製のスキットルが防いでいた。
 しかし胸骨に走る鈍い痛みから、皹が入っているであろう事が判った。
 ――朦朧とした意識が急速に覚醒(・・)を始め、ジョーは己の生存を自覚した。

「――おい、ジョージ!」

 床を這うようにジョーはハミルトンに寄り添った。
 ハミルトンに既に視力は無くジョーの声の方に顔を向けて、血を吐きながら囁く声で言った。

「――ワクチ、ン……の、資料……持って脱出しろ……」
「っ!?」

 末期の瞬間。ハミルトンは最後の力を振り絞ってジョーの腕を掴み、懐の手記の位置を教えるように示した。ジョーが懐の手記を手にしたと同時にハミルトンは息絶えた。

「………………」

 周囲に“ぞわり”という無数の気配が集まり始めた。
 新鮮な血液が床にばら撒かれた事に奴ら(・・)が気づいたのだ。
 そして奴らを身に纏う怪物も――
 酷く冷静な頭で状況を察すると同時。ジョーの脳裏には激しい怒りがその発露の先を求めて渦巻いた。
 ジョーは無言のまま、視界の端にチラリと見えたU.B.C.S.の死骸からAK(アサルトライフル)とマガジンを毟り取った。





 一階のホールから階段の方へと移動しつつあるニコライとU.S.S.デルタの銃撃戦が、強い混乱の感情が伴う生存を賭けた戦いに変質するのは間もなくであった。
 彼らは銃声をかき消すような“咆哮”を横殴りに受けた。
 無数のヒル(リーチ)に全身を侵食され、既に生物兵器の使命すらも忘れたハンターの成れの果て。
 それが壁を破砕しながら戦渦の渦中に飛び込んだ。

「おいおい、これは――」
「ちょっと……なによ、コレ!?」
「醜悪な……」

 ハミルトンを含む病院の生存者が便宜上リーチマンと名付けた怪物。その亜種とも言える“ハンター”を捕食して侵食した異形の名は、差し詰めハンターリーチ(狩人蛭)と言ったところか。
 U.S.S.デルタのメンバーは、ニコライとの銃撃戦の最中に飛び込んできたゾンビとも違う怪物に強く動揺した。
 彼らの脳裏を過ぎったのは先日の秘密作戦でウィリアム・バーキンが変異した異形のそれであった。
 しかしバーキンの変異体とも明らかに姿が違う。
 共通するのはどちらも醜悪だという点のみだ。
 
「くっ!」
 
 ハンターリーチの突進の想像以上の速さに隊員の一人が思わずショットガンの引き金を引いた。しかし弾け飛ぶのはハンターリーチの表皮を覆う無数のヒルのみであった。
 飛び掛り、同時に振りかぶられた両腕の端から覗く鋭い爪が、男のタクティカルアーマーとショットガンを切り裂いた。
 吹き飛ばされて背中から床に倒された巨躯の男――ベルトウェイに覆いかぶさろうとするハンターリーチ。
 それを咄嗟に横から蹴りつけるU.S.S.の衛生兵バーサ。
 ――しかし体重が足りず、バーサがハンターリーチをベルトウェイの身体から蹴り剥がす事は出来なかった。
 ベルトウェイの上半身に無数のヒルがボトボトと降りかかると同時。ニコライのレーザーサイトがベルトウェイの足を狙った。
 
「――っぁ!」

 銃声が響きベルトウェイのふくらはぎから鮮血が飛び散った。
 ハンターリーチが引き連れるおびただしい数の吸血ヒルが、噴出したベルトウェイの血液に歓喜するように一斉に身を震わせた。そして瞬く間にベルトウェイの右足に群がった。

「――まずは一人、だな」
「くっ!」

 ニコライが悠々と後退する中。隊長のルポがU.S.S.デルタで一番の巨躯を誇るベルトウェイの後退を指示するか否かを迷った一瞬。
 ――U.S.S.デルタの背後からフルオートの銃声が響いた。

「――ぐぁ!?」

 咄嗟に遮蔽物に身を隠したデルタのメンバーの内、背面から肩を撃たれたベクターが出血した。出血によりハンターリーチの矛先がベクターに向いた。

「――――――」

 位置的にニコライが最も早くに銃撃を放った“第四勢力”の正体を看破できた。
 それはニコライにとっては数時間前に出会った間柄。先程までの膠着した状況(・・)に、態々隙を作ってくれた間抜けな友人のジョー・ナガトであった。
 遠巻きからでもニコライにはジョーの内に渦巻く感情が手に取るように理解出来た。
 強い怒りと激しい憎悪だ。それはニコライが傭兵稼業を続ける中で、同業者から自然と向けられる類の感情を秘めた瞳であった。

「………………ふっ」

 ニコライは口元に笑みを浮かべて撤退の足を止め、そしてAKを構えた。
 それは図らずもジョーを援護する形となった。
 U.S.S.の存在はニコライの目的にとって酷く邪魔な存在である。故にそれを排除しようと目論むジョーの復讐者さながらの眼を見て、ニコライはそんなジョーを目的のために利用してやる事を決めたのだ。
 ――もっともジョーの側も、そんなニコライの立てた皮算用を成立させてやるつもりなど毛頭無かった。
 ジョーにとってU.S.S.もニコライも同じ穴の狢である。目的も意思も判らないが、信用できる類の人間ではない。何よりハミルトンを殺した“傘の印”を身につける存在に対して抱く感情は、“怒り”の一言に尽きる。

「まとめて死にやがれ、クソ野郎共!」

 ジョーのニコライに対する認識は確かに正解ではあった。
 ニコライの目的とは己以外の生存者を排し、ラクーンシティに存在するデータを含むあらゆる情報をアンブレラに高額で売る事である。
 その意味ではジョーもまたU.S.S.と同じくニコライにとっては排するべき存在であったからだ。
 しかし「所詮は民間人。いずれ死ぬ――」と、ニコライはこの瞬間でもジョーを侮っていた。
 加えて彼我の物理的な距離が、互いの攻撃を阻んでいた。
 ジョーの銃撃はニコライにも確かに向けられていたが、直ぐに攻撃が難しいと判断し、ニコライへと向わせるべき憤りの分も纏めてハンターリーチとU.S.S.に向けた。
 傭兵の死体から拝借したAKを構えて年若い顔に強い憤怒と憎悪を貼り付けたジョーが願うのは、ニコライとU.S.S.の両方の死。またニコライが願うのはU.S.S.とジョーを含む全ての生存者の死。そしてハンターリーチに意思があると仮定しても、恐らくそれが望むのは恐らくこの場の全員の死である。
 ――ならばU.S.S.はどうか?
 彼らU.S.S.デルタの全員の脳裏にあるのは、互いの死を願い合う戦渦の渦中でも微塵も薄れる事の無い徹底した任務遂行への意思であった。そもそもラクーン総合病院はU.S.S.に下された任務の中の通過点に過ぎない。彼らの本来の目的は屋上にて装備を受け取り、通信設備を破壊する為に発電所を襲撃する事なのだ。
 しかしそれを阻むジョー、ニコライ、ハンターリーチの三つの勢力――

「くっ――」

 縦横に飛び回るハンターリーチの攻撃と、それを援護するかのようなジョーとニコライの攻勢によって生まれた膠着状態に、U.S.S.の一同は遮蔽物に身を隠しながら強く歯噛みした。引くも押すも出来ない戦渦の中で、無為に消耗するという悪夢。特に負傷したベルトウェイとベクターの内に秘めた不安と苛立ちは酷く大きなモノとなる。

「クハハハハハ!」
「死にさらせ、アンブレラ!」

 狂ったように笑うニコライと、憎悪を込めたジョーの慟哭。
 ジョーは収拾がつかないごちゃ混ぜの感情を発露するように引き金を引いた。――――が、均衡が崩れたのはそこからだった。
 
「っ! 弾が――――」
「今だ!」

 マガジンの装弾数を見誤った初歩的なミス。
 リロードの一瞬の隙を見てベクターがジョーを牽制するように銃撃を放った。
 ジョーは咄嗟に身を隠した。
 同時にニコライは膠着状態が途切れた瞬間を見計らい、嘲笑を残して早々にジョーを見限り冷静に撤退を開始した。
 砲火の中で最も銃撃に身を晒されていたハンターリーチが膝をついた。更にそれを押し込むようにU.S.S.はチーム三人で牽制し、残る二人――ベルトウェイとベクターが負傷を省みずにジョーに発砲。そして隊長ルポが撤退するニコライの背後を狙う。
 が、ニコライは窓を突き破っての脱出に成功した。
 それと同時にジョーも遮蔽物に身を隠しながらモスカートを抜き、そしてU.S.S.とハンターリーチを纏めて葬るがごとく、装填された火炎弾を撃った。

「――くっ!」

 ジョーの撃った火炎弾から爆炎が発生した。
 飛び散った可燃液によって大きく吹き上がった猛火がU.S.S.とジョーとの間の通路を塞ぎ、天井を舐め上げるように空間に広がった。

「――――――ッ!!」

 急速に広がった炎に対し最も大きなリアクションを見せたのはハンターリーチだった。
 ハンターリーチは炎を見た瞬間。足早にその場を離脱した。
 その様子を見てベルトウェイとベクターが傷口に群がるヒルの対処法を思いついたが、直後に炎の壁に遮られた奥からグレネードが投げ込まれた。

「カバー!」

 一拍置いた後に耳を劈く轟音が響き、その衝撃で天井が崩落した。

「――逃げられたか」
「……あのガキも傭兵か?」
「――――っ!?」

 もうもうと塵埃が舞う中。
 先程までの喧騒が嘘の様な静寂の中で、U.S.S.の一同は規則的な電子音を耳にした。
 ――それが時限タイマーであると気づくと同時。“ニコライ”の仕掛けた罠が、病院の一階部分を大きく吹き飛ばした。

 



「――――――」

 脱出の最中に身体を掠めた銃弾と突き破った窓のガラス片によって受けた顔の傷。
 強く湧き上がる怒りがそれらの痛みをジョーに感じさせなかった。
 病院を脱したジョーはやり場の無い怒りに身任せて滅茶苦茶に走った。
 出発した頃にあったゾンビや暗闇に対する恐怖など、もはや微塵も無く、無心に怒りを叩きつけるサンドバックを欲するように、視界に映ったゾンビをAKで片端から撃ち殺した。

「クソが――」

 銃や拳足。時にはその場で拾った角材等でゾンビの群れを一掃した。
 そして後に残ったのは、やはりやり場の無い感情であった。

「――――すまん」

 ハミルトンに贈るべき言葉が上手く思いつかず。
 ジョーは何を謝るべきかも理解できぬまま、ただ心に浮かんだ言葉をポツリと口にした。
 病院を出た時よりも重い足を引き摺りながらフラワー通りを目指すジョーの背中には、ハミルトンの託した抗ウィルス剤と、彼の残した治療薬完成までの記録を書き記した手記が入っていた。
 ハミルトンが作った抗ウィルス剤は試作品で、それが本当に効くのかという疑問は、本人も口にしていた。
 今後の感染を防げるのか?
 ふたたび傷を受けた際はどうなのか?
 疑問は尽きなかったが、もはやジョーにはそれらを含めて、どうでも良いとすら思えた。
 出来るだけの事はやったのだ。コレでダメなら、もはやどうでもいい。
 目的を果した達成感など微塵も無く。また感染を治癒した安堵も無い。
 身体に残ったのは傷と抗い難い強い疲労と眠気。そして強い怒り――――

「――チクショウ!」

 ジョーはまぶたに焼きついたハミルトンの最期を思い出し、幾度も怒りを吐露した。
 ハミルトンが生き残れる可能性は確かに存在した。
 しかしゾンビに襲われたのならまだしも、同じ人間の手によって殺害されたのだ。
 これ程の非道を前にして、それに対し怒りを覚えずに居られるほど、ジョーは温厚な人間ではなかった。

「アンブレラ……」

 何もかもが彼の企業の仕業であると知るが故に、向けるべき矛先は直ぐに見つかった。
 しかし、あらゆる意味で手が届かない。
 そんな苛立ちを紛らわすように赤、青、緑の三種類の葉を纏めて乱暴に口に含むと、ひどく苦い味と強烈な歯磨き粉のような辛さが舌の上で爆発した。
 その不快さを以てしてもアンブレラに対する怒りは微塵も薄れなかった。

「っ――」

 不意に複数の足音を耳にした。
 暗闇の中に複数の荒い息遣いが聞えてから程なく。ジョーの前にゾンビと化した三体の“犬の群れ”が現れた。
 感染して死す事で野生が目覚めたのだろう。
 獲物を狙う獣としての本能を取り戻したゾンビの犬達が獲物として見据えたジョーを取り囲み、グルグルと唸り声を上げた。

「………………クソ犬が」

 唸り声が徐々に大きくなる。
 その口から垂れる酸の混じった涎の強い臭気がジョーの鼻にも届く。
 ジョーは惜しげもなくマグナムに手を掛けた。
 が、直後。ジョーが放つよりも早くに連続した銃声が響いた。

「っ!?」

 病院での嫌な記憶が脳裏を過ぎり、ジョーは咄嗟に乱入者に向けてマグナムの銃口を向けた。

「下がりなさい!」
「っ!?」

 ――聞えた声には聞き覚えがあった。
 そして直後に、懐かしい声だと素直に思った。
 三体のゾンビ犬を蹴散らしたのは青いチューブトップを身に纏う軽装の女傑であった。

「……ジル?」

 ケンドの銃砲店で調整した自動拳銃――サムライエッジを構えた女傑の名を、ジョーは思わず呟いた。



 チャプター2 終了

 ジョージ・ハミルトンが生存するルートは、病院地下の下水道から巨大ヒルをしっかり倒しての脱出しかないかも。
 USSが屋上でEMPを受け取る予定なので、エレベーターで一階か四階かを選んでも確実に戦闘に巻き込まれます。

 そして1対1対6対1+α(数百匹のヒル)の大混戦を一応全員生存したUSSの皆さんですが、恐らくコレで出番は終了かと思います。