一色いろはルート
(よし、これならきっと先輩達にだって負けてないよね?)
あたしと先輩じゃ学年が違うしましてやクラスメイトの沙希先輩や優美子先輩達に比べたら背負うハンディキャップが大きすぎる
先輩の妹さんの小町ちゃんに言わせると
「学年の違いは年下…つまり後輩であるいろは先輩に甘えられると弱いから強力な武器になるとも言えるんですよ?」
そう言ってくれていたからあたし的にもそれに掛けるしか無いと思う
いくら泣いたって後輩だって言う現実は変わらないんだからそう割りきるより他ないのだから
先輩の為に焼いたバースデーケーキとは別のマッカン風味クリーム味のケーキを用意するあたしは改めて気合いを入れ直すと鏡に向かってみた
「はるさん先輩や沙希先輩に優美子先輩と比べたらまだまだ子供っぽいし色々負けてるけどあたしにだって三人に勝ってるところのひとつや二つくらい有るよね?」
そう呟いてみる
この春先輩があたしの誕生日にくれたエプロンは先輩の手作りでデザインも自分で手掛けたって聞いてる
で、それ以降先輩に誕生日を教えてエプロンを作ってもらおうとする女子が奉仕部を訪れるのが今年の総武の女子のトレンドとまで言われている
凄いのかすごくないのか微妙な話ではあるけどあまり面白くない話であるのは確かな話
あたしが知ってる範囲では生徒会長の三河さんと書記ちゃん、家庭科クラブの金居先輩にはるさん先輩に姫菜先輩の五人だけが貰っている
それともう一人、戸塚先輩もいらっしゃいましたね…まぁ、この方は見た目はともかく男性ですから問題はないと思いますけど…実際のところはどうなんでしようか?
しかしこうして改めて先輩の事を改めて考えてみると面倒臭がりで自分が着るのは嫌がる癖に結構センスは良いんですよね、服のチョイスとか…
そんな先輩が料理やお菓子作りに引き続き裁縫までこなすとかって先輩の女子力マジ半端ないですね
そう言えば先輩って小さいこの子の面倒見も良いんでしたよね……
ってそう考えたら先輩ってかなり理想的な結婚相手なんじゃないんだろうかって…今更ながら気付いちゃったんですけど…
そんな事を母さんと話していたらいきなり私の手を掴むと
「そんな人絶対に逃がしちゃダメよ、いろは…後悔しない、泣きを見ないためにもね」
そうあたしの目を見ながら何度もうなずいたっけ
で、その後の台詞が台無しで
「早く私の彼ですって連れてきなさいよっ!」
だって…それができるんならあたしだって一日も早くそうしたいよっ!そう言いたかったけど今は未だその時じゃないから皆との先輩の誕生日を祝う今を楽しもう…そう思ってパーティー会場に足を向けるのだった
生徒会長になってませんから生徒会の仕事を手伝って欲しいとか葉山とのデートの下見とか言い訳使えませんし八幡の本物もないので攻め手の無いいろはです