その第一弾、川崎沙希ルートです
沙希ルート編
今夜はいわゆるところの中秋の名月と言われる日だけど特にナニをするって訳じゃなかった
いつもの様に予備校が終わり荷物を片付けて帰り支度を済ませアイツと合流した
「まぁ、気分転換にお茶と月見まんじゅうでも買って食いがてら月でも眺めるか?」
そう八幡が誘ってきたからあたしは頷いてアイツと一緒に予備校近くのコンビニに来ている
ホットの緑茶とまんじゅうを選んでかごにいれると支払いをするアイツを見ながら待っている
支払いを済ませ二人ならんで店を出て近くの公園を目指すあたし達はゆっくりと歩を進める
月明かりに照らされそぞろ歩きをするこの時間が愛しい…そう思えるから
綺麗な真円を描く月を眺めながらお茶とまんじゅうを食べながら特に交わすこともなく空を見上げるあたしら二人
「沙希に聞いてもらいたい話かあるんだが構わんか?」
唐突なその言葉にあたしはただ頷くだけで
「そうか、なら聞いてほしいんだが…」
そう言って目を閉じしばらく考えてから
「本当なら大学の合格発表位は待つべきなんだろが…川崎沙希さん、貴女が好きです結婚を前提にお付き合いしてください」
時が止まり音を失った
そう言って頭を下げるアイツが見えるがあたしは声も出せないでいる
驚きのあまり…夢じゃないのかと疑いたく…いや、夢としか思えないんだけどさ
でも…頭を下げあたし返事を待つアイツの姿を見ている内にあたしも少しずつ落ち着きを取り戻していき息を飲んで右の手を握ると大きく息を吐き出し
「あたしもアンタの事が好きだから…来春を笑って迎えたい…アンタと一緒にキャンパスライフを謳歌したい…だから今は頑張ろうよ?」
そうあたしが答えると
「おう、付き合うっても今は受験優先だから一緒に弁当を食たり互いに励まし合い勉強するくらいであとはこんな感じで少し気分転換にお茶でも飲むくらいのもんだがな…」
そう言ってあたしをまっすぐに見つめてくる
この瞬間の訪れをどれ程待っていたことだろうか?
色んなシチュエーションを思い浮かべアイツはあたしになんと言って告白してくれるんだろうかそう夢想した夜を幾度過ごしたんだろうか?
そして今その待ちわびた瞬間がついにきた
アイツは結婚前提にって予想を遥かに上回る言葉を口にしてくれた
とても嬉しい言葉だ
「その申し込み、慎んでお受けします」
アイツの手を握りそう答えると
「受験、頑張って春から同じキャンパスに通おうな」
照れ臭そうに言って
「あまり遅くなったらまた大志が心配する…」
そう言って差し出された右手を受け取り手を繋ぐと公園に入るときより近い距離となって公園あとにした…月の明かりに照らされながら