いつもより長めで分けようかとも思いましたが内容的に分けるのもどうかと思い一話で出しました
金居可南子ルート編
(我ながら素晴らしい出来映えだ…)
比企谷君に食べてもらいたくて作った真っ白なウサギをモチーフに仕上げた月見まんじゅうを見ながら一人悦に浸っているとカシャッと音がして
「ほい、送信っと…せっかくの渾身の力作を比企谷先輩に食べてもらわなくてどうするのよ?なんならお姉ちゃんも一緒に食べてもらったら?」
何て事言われて
「彼の周りに居る美人美少女達を知ってるんでしょ?あの中に入り込む勇気なんか私にはないよ…」
悲しい現実だけど上は奉仕部顧問の坂月先生…本人は比企谷君への想いを隠してるつもりだけど全然隠せてないからね?
それが余りにもの痛すぎる貴女の姿に誰も何も言えずに居るだけですからね?
あまり人の事は言えませんけど前任の平塚先生みたいに独神と呼ばれる日が来ないことをお祈りします
うん、本当に他人事じゃないですね…
「って一体だれに誰にメールしたのよ?」
そう聞いたら帰ってきた答えは
「八兄と小町先輩、いつまでも下らない言い訳してうじうじしてるつもりならアタシがモーションかけるからね?
あたしだって八兄はタイプだけど恋愛音痴なお姉ちゃんが珍しく乙女な振る舞いさせる八兄はお兄ちゃんでも我慢するけど他の女の物にさせるくらいならあたしだって八兄争奪戦に名乗り上げるからね?
いい加減腹くくりなよ?お姉ちゃん…あんな人そうそう居ないしお姉ちゃんの思いに応えられなくてもお姉ちゃんを粗略に扱う人じゃないのは知ってるハズじゃないの?
ならダメ元でも良いから思いを伝えなよ?
ナニもしないで後悔するよりはずっと良い」
そう妹にハッパをかけれた私は今彼の通う予備校の玄関前にて彼の出待ちをしてます…
授業が終わって受講生が次々に吐き出されていく中で彼のトレードマークのアホ毛が見えたので嬉しくなって駆け寄りました
そんな私に気付いた彼は驚いたけど一瞬嬉しそうな顔をしてから真面目な顔をして
「こらっ、金居さんみたいに可愛い女の子がこんな時間に用もないのに一人で出歩くモンじゃありません」
と、言ったら後ろから彼の頭を叩いて
「アンタに用がある以外に決まってるだろうが、この唐変木が全くさ…」
そう言って深い溜め息を吐いて私が手にしている包みを見た川崎さんが私に近寄り小さな声で
「今夜はアンタに譲るけどあたしも負ける気はないんでね…まぁ、アイツの鈍さにゃお互いに苦労させられるだろうけどお互いに正々堂々と頑張ろう」
そう言って離れた川崎さんは
「そんな偉そうな事をゆーならアンタが家まで送りゃ良いんだろうが?」
そう言って一足先に家路に付くと照れ臭そうに右手の人差し指で頬を掻きながら
「まぁ、確かに沙希の言う通りだな…送っていく」
そう言って自転車置き場に向かう彼について行くと
「後、乗るか?」
そう聞かれた私はいつもなら絶対無理だけど勇気を出して
「お願いしましゅ…」
と、しっかり噛んでしまい落ち込んでると
「気にしなくても良い、俺も昔はかみまくってたからな…」
そう言って苦笑いする彼の笑顔はかわいく見えそんな彼の表情を見れてスゴく嬉しかった
ご都合主義により私の家は彼が通う予備校と自宅の中間位に在るのでたまに自転車で家路を急ぐ彼を見掛ける事がある
ただし…見送るだけで声を掛ける勇気はありませんでしたけどね
だから今夜は思いきって彼を近所にある児童公園に誘う事を決意しましたから
「今夜は中秋の名月だよね?だから比企谷君と一緒にお月様を観ながら食べれたらな…って」
「金居さんの妹ちゃんが送ってくれた写メのヤツな、アレを俺に?」
言葉に詰まった私をフォローするようにそう言ってくれたからうつ向いたまま小さく頷くと
「その公園ってすぐ近くにコンビニか自販機って有ったか?」
そう聞かれたから
「うん、コンビニはないけど自販機が入口側に置いてあるよ
しかも、この時期ならマッカンもホットとアイスが置いてあるんだよね」
そう私が答えると彼は嬉しそうに
「おう、そいつは良いことを聞いたぞ
これから寒くなってきたら予備校の…帰りが辛いからホットのマッカンの置いてある自販機の場所は重要な情報だからなっ♪」
そう嬉しそうに言ってくれたから私も嬉しかった
それからもう少し自転車を走らせると公園と自販機が見えてきてたばこ屋さんの名残のある建物の横に置いてある自販機にマッカンも置いてあった
「ここのおじさんががマッカン好きだからその人の希望で置いてあるんだけどおじさんいわく『類は友を呼ぶ』らしくて結構売れてるんだって」
そう話すと
「そうだな、悔しいがこの時期に一台の自販機でホットとアイスで置かれているコーヒーは少なくマッカンは見たこと無かっただけにこの光景は衝撃的だな」
そう言って二人乗りで自転車を走らせてきた彼はうっすらと汗をかいていたのでアイスのマッカン私もホンの少し前まで彼と密着していたことを思い出してしまい急激に体温が上がっちゃったみたいな感じだからアイスにしました
公園にあるテーブル付のベンチに並んで座り、共に月を見上げる私達はしばらくは黙って観ていたけど彼は月を見上げながら何やら真剣に考え込んでいたけどが不意に
「お饅頭もらって良いかな?」
そう言われてそっと彼の前に差し出すと
「ウサギの形の大福か…可愛いのな…」
そう言って一口かじると
「いもアン?」
そう言って驚いた顔の彼に
「苦手だった?」
心配になって聞いたら
「いや、逆だな…母ちゃんの方の婆ちゃんが元気だった頃いもアンの蒸かし饅頭をよく作ってくれたっけ…」
そう懐かしそうに言うから
「何でいもアンだったのかなって思わず呟いたら」
「大した意味はないぞ、婆ちゃんが自分のお茶うけの分もあるから好きないもアンにしたっていってたからな
そのえいきょうでいもあんは結構好きだぞ?なかなか売ってないけどな」
そう言って笑うから
「最近は夜遅くまで勉強してるんでしょ?もし良かったらいもアンの蒸かし饅頭をお夜食に差し入れしても良いですか?」
そう言われて再び驚いた彼は
「あーっ、そうだな…」
と、何か言いにくそうな彼は頬を指で掻きながら
「たまには俺も気分転換に菓子作りでもしたいから一緒ににどうかなって思うんだが…どうかな?」
って断られたらって…心配していた私の真逆のその答えに
「それが比企谷君の気分転換になるなら喜んでお手伝いします」
そう答えると
「今度の週末の都合良い日と居る材料をメールしてくれ、材料は俺が用意する
何せ母ちゃんと小町も好きだからどうせ作るならたくさん作らんと足りないと文句言われそうだからな」
と、おどけたように肩をすくめて言う彼に
「私なんかで良いのかな…」
震える声でそう呟く私に
「おう、実は皆が祝ってくれた俺のバースデーパーティーからずっと気になってたんだけど今日確信した」
そう言って一度立ち上がった彼は片方膝を地面に着けると
「金居可南子さん、俺は貴女の事が好きです…大学に進学し未だ学生を続ける俺にでかい口は叩けないがいつかその先の約束を交わせる仲になりたい、俺とお付き合いしてもらえませんか?」
『時が止まりました…』私だけ
ー夢なら覚めないでほしいー
そう願いつつ私は答えた
「わ、私で良ければ喜んで…」
そう答えたけど
ー夢なら覚めないでっ!ー
そう心の中で叫んだ
その後お饅頭を食べ終えマッカンものみ終えた私は比企谷君に送ってもらい家に帰るとやきもきして待っていたお母さんと妹に上の空で
『ただいま』
と、言って部屋に戻ったけど玄関前にて彼がお母さんに
「未だ学生を続けるつもりの俺が無責任な約束はできませんがいつか来るその先の約束を交わせる間柄になりたいからお付き合いしてください
そう言って承諾をいただきました
取り敢えず未だ学生で受験生なので取り敢えずは共通の趣味であるお菓子作りとして気分転換を兼ねたおうちデートを考えますのでこちらにお邪魔することもあると思いますがよろしいでしょうか?」
そう言って頭を下げる比企谷君に妹は
「それは八兄が本当にお兄ちゃんになる日が来るってこと?」
そうきいたら
「そのつもりで勉強も頑張るつもりだしさいわい共通の趣味も色々有るから勉強に差し支えなく楽しめるから焦らず絆を深めたいと思っている
未だ、土曜と日曜のどちらにするかは決まっていませんが家で蒸かし饅頭を作りますのでお嬢さんをお借りしてもよろしいでしょうか?」
そう言って言って再び頭を下げる比企谷君に妹は
「その日は私もついていっても良いですか?」
ってとんでもない事をいったらしいけど彼の返事は
「告白の後から心ここに非ずって感じでな…このまま決行して指を切ったらとかやけどするんじゃないとか心配…それ以前に事故が心配だから迎えに来た方が良いんじゃないのかとか悩んでたから協力してもらえたら嬉しいな」
そう言ってくれたそうです
「今日から比企谷君とお付き合い…」
そう言ってボーッとしていたら新聞紙を丸めたもので頭を叩いて
「家まで送ってくれた彼氏見送らないでなにヘラヘラ笑ってるの?
未だ、お姉ちゃんはライバル達に一歩リードしてるだけで諦めるような人達じゃないんだからしっかりしなよ?ってお説教されました」
でも、それで彼からの告白が夢じゃないってわかったから幸せです…週末が楽しみです
こちらは初デートを後日談で書きますが二人の妹と比企谷母が乱入しますからデートと言えるかは微妙ですけどね