比企谷八幡が北斗神拳伝承者だったら   作:メガネコ

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メガネコといいます(´・ω・`)
本編が進まなくて息抜きに書きました。


シリアスにはならない予定です。
原作には沿っていません。
それでも良ければどうぞ。



ご指摘ご感想があればしていただけると幸いです。


八幡は奉仕部部長である。

天気は快晴。

雲ひとつない青空が広がっている。

今日は総武高校の入学式だ。

天も入学生を祝福しているようだ。

 

 

そんななか颯爽と肩で風を切りながら進む大男がいた。

顔の彫が深く、整った顔立ちに澄んだ目。

身長は180センチ。

胸囲は130ほどある。

ボディービルダーと呼ばれてもよいほどに筋肉がついている。

彼こそがこの物語の主人公。

 

これはそんな彼の平凡な日々を描いていくものである。

 

 

 

 

俺は比企谷八幡。

どこにでもいる北斗神拳伝承者だ。

今日は総武高校の入学式があるため普段よりも一足早く学校に登校している。

 

 

そんななか視界の端にちらりとシベリアンハスキーを連れた少女がジョギングをしているのが見えた。

最近の若い人には珍しいと思いそんな様子をほほえましく見ていると

 

「サブレ待って!!!」

女性の叫び声が聞こえてくる。

 

シベリアンハスキーが女性のもとから離れ車道に飛び出してしまう。

運が悪いことに黒塗りの高級車が犬に迫っている。

 

入学初日にこれとは…。

だが犬を見捨てるわけにはいかない。

羅王(ラオウ)兄さんや冨喜(トキ)兄さん、謝義(ジャギ)兄さんにも日ごろ言われている。

弱きものを助けよと

 

八幡は足に力をこめる。

 

「ショウッ!」

爆発的な加速とともに犬のもとへと走る。

およそ人類の中でも最高速に見える加速だった。

そしてそのまま犬を小脇に抱える。

 

だがそんな人間離れをした八幡をもってしても車の速さにはかなわない。

もう目前に車が迫ってきている。

 

「ヒョウッ!」

両足に力を入れ空中に高く飛び上がる。

これは南斗水鳥拳の達人零(レイ)さんから教わったものである。

左手で犬を抱えたまま空中で回転し、右手で車の天井に手をつきバクテンの要領で飛び越える。

 

道路に着地し、ゆっくりと息を吐く。

 

犬は元気そうにこちらを向き

「ワンワン」と吠えている。

 

先ほどの黒塗りの車から二人の人物が下りてくる。

初老の男性と総武高校の制服を着た女子高生だ。

 

「申し訳ありません。お怪我は?」

そういいながら初老の男性が頭を下げてくる。

 

「いえいえ、お気になさらず。私もけがをしておりませんし、犬も無事なようですから。」

 

そういうと犬も

「ワンワン」と気にするなというように吠えている。

 

「しかし…」

そういう運転手の方に俺は懐からメモ帳を出し、ボールペンで書き込む。

「今日が入学式ですし、私は学校のほうへ行かせていただきます。もし何かありましたらこちらのほうに。」

 

そういって連絡先を書いた紙を渡し、犬をまつ飼い主のもとへ。

 

 

「私は雪ノ下よ、何かあったら私に言いに来なさい。」

 

そう背中から声をかけられた。

 

 

黒髪をお団子にしてまとめている女性だ。

 

「さ、さぶれぇえええ」

そういいながらこちらに走ってくる。

犬も俺のわきから飛び出し飼い主のもとへと向かう。

 

俺はその様子をほほえましく見ている。

 

「勝手に走っちゃだめだよ!」

涙目で訴える彼女に犬も反省しているのか

「クゥーン」とすまなそうにしている。

 

大型犬の引っ張る力かなり強い。

女性では時にリードを離してしまうこともあるだろう。

 

 

俺はその場を静かに後にする。

感動の時を見ず知らずの人間が邪魔するわけにはいかない。

 

(もう勝手に走るんじゃないぞ…。)

 

心の中で犬にそうつぶやき八幡はまた風を切りながら歩き続ける。

 

 

 

 

「あのありがとうごz……」

自分の犬を助けてくれた少年?の姿はなかった。

総武高の制服をきていたからきっとまた会うことができるだろう。

 

「すごかったなぁ…。今度お礼したいなぁ…。」

そう思い由比ヶ浜結衣は今日の出会いに運命を感じたのであった。

 

・・・

・・・・・

 

 

 

高校の入学式も終わり、兄たちが待つ自宅へと帰ってきた。

 

 

「ただいま、兄さんたち。」

 

「お帰り、弟よ。」

柔和な笑みでこちらを迎えてくれたのは冨喜兄さんだ。

身長は俺よりも高く188もある。

筋肉もしっかりついている。

顔だちもすっきりとしていて、肩まである長い髪とあいまって穏やかな雰囲気を醸し出している。

北斗神拳の歴史の中でももっとも美しい技を使うといわれるほどの人だ。

「困っている人々を救いたい」と心の底から思っている優しい人物だ。

今は千葉県内の病院で医者を務めている。

北斗神拳の秘孔と現代医学、漢方を使った治療で小児科医として働いている。

 

「羅王兄さんと謝義兄さんは?」

今家にいない二人のことを聞いてみる。

 

「羅王兄さんは夜遅くに帰ってくる。謝義はいまアメフトの国際選手だからアメリカにいるだろう。」

 

羅王兄さんは、日○で働いていて、皆も一度は食べたことのあるであろうカップラーメンの「羅王」を作った人だ。

今は35歳という若さで課長にまで上り詰め、血のつながらない俺と謝義兄さんのことを養っている。

羅王兄さんは結婚して独り立ちするようにほかの三人が説得したのだが、俺が大学卒業するまではそんなことはできない。

と言い、今でも独身を貫いている。

 

 

 

 

謝義兄さんは有名になり時々CMで見る。

ビールのCMや車のCMで。

絶対に勝つことができないといわれたアメリカとの試合で日本代表として活躍し、世界一位へと導いた選手になっている。

決め台詞は「俺より優れたアメフト選手はいない」

だがそんなことをいう割には、自分に自信があるわけではなく、他の選手の何倍も練習している姿をチームメイトに見られている。

チームからは頼りになるリーダーとして見られているようだ。

見た目はこわもての人だが、優しい人であるのを知っている。

なんだかんだ言って、俺の入学式に誰も来れないのを知ったとき一番心配してくれた人でもある。

 

 

そんな話をしながらリビングに行くと小さな女の子が一人正座をしてテレビを見ている。

 

この子は比企谷小町。

五歳の女の子だ。

トキ兄さんが虐待されているところを助けた子供である。

物心つかない頃から暴力を受けてきたせいで口数がすくなく、比企谷家の人以外には幼稚園の先生のサウザーさんとシュウさんとしか話さない。

それでトキ兄さんが引き取り、今では家族の一員になった。

 

 

両親といえるような人が比企谷家には今は存在せず、羅王と冨喜は血がつながっているが、謝義と俺と小町は血がつながっていない。

ただそれでも血はつながっていないが大切な家族である。

 

 

「ただいま。小町」

そういいながら優しく頭をなでる。

 

「おかえりなさい、八にい」

小さくだけれど返事を返してくれた。

少しづつだが、この子が明るくなってくれればよいと俺は本当に思う。

 

「今日は幼稚園で何をしたんだい?」

 

「サウザー先生とクラスの子で砂場に星帝十字陵を作ったよ!」

楽しそうに笑う。

サウザー先生は子供好きとして知られている。

こわもての見た目だが、園に不審者が入ってきたとき、それを捕まえてから子供たちからヒーローのように好かれるようになった。

サンドアートが得意でよく星帝十字陵やスフィンクスなどを作っている。

 

 

「さあ、二人とも夕食ができた。食べようか。」

 

冨喜兄さんがそう声をかけてくる。

 

 

「「「いただきます。」」」

元気良く三人の声が響いた。

 

 

 

 

入学から数日が立ち、俺はなぜか様々な部活から勧誘を受けている。

うちの学校は部活動もしくは生徒会に所属しなければならない。

 

 

テニス部、サッカー部、柔道部、バレー部、陸上部、様々な運動系の部活からだ。

あまり目立つほうではないのだが…。

制服も着崩すことなく着ている、話しかけられれば対応する。

しかし何分兄弟だけで過ごしていて兄さんたちが働いているから、家の家事はすべて俺が行っていて、勉強に取れる時間が少ない。

休み時間にはなるべく復習をするようにしている。

小町はまだ小さいし、迎えがいるから部活はなるべく自由参加できるものではないとな…。

そう思いながら勉強をする八幡だが、本人は影を薄くしているつもりでも、身長180近い筋肉もりもりマッチョマンが勉強しているのはひどく目立つということを彼はまだ自覚はしていなかった。

 

 

「比企谷はいるか?」

凛とした女性の声が聞こえる

 

「俺が比企谷ですが…。いったい何でしょうか?」

 

声のほうを見ると漆のようにきれいな黒髪に服の上からでもわかるスタイルの良さ。

顔も美人に分類されるほうだろう。

 

「今から職員室に来てくれないか?」

 

そういってクラスを出ていく。

 

とりあえずついていくか、まだ入る部活も決めてないしな…。

 

 

 

職員室につき女性の教師の前に立つ。

「あのなんで呼び出されたんでしょうか?」

 

俺は聞いてみる。

 

 

「君はまじめな人間で、誰かを助けるということを好んでしているよな?」

 

俺が疑問に思っていると、

 

「君の噂は聞いているよ、カツアゲされそうな場面にいた中学生を救い。

見ず知らずの老人の重そうな荷物を持ち。

そういう感謝の電話が高校にかかってきている。」

 

 

「はあ……。」

困っている人がいたら助けるのは当たり前ではないのか?

古事記にもそう書いてあったはずだが……。

 

「そんな君に一つ頼みたいことがある。奉仕部という部活の部長をやってほしい。」

 

 

「奉仕部ですか?それはいったい何を?」

 

「困っている人間に手を差し伸べる。そういう部活だ。

ただ手をかすのではなく、相手の成長を促すようなものだ。」

 

 

なんとも自分にぴったりな部活があったものだ。

 

「しかも君のところは家庭が大変だろう。依頼がない日は普通に帰ってもいい。どうだ?

やってみないか?」

 

 

それなら小町の迎えにも行けるな。

 

「わかりました。引き受けます。」

 

 

・・・

・・・・・

 

依頼人を連れてくるから、ここで待ってろと言われおとなしく待っている。

何もなく長机だけが置いてある。

適当に椅子をとり、待っている間に英単語帳を読んでいると、いきなり扉が開く。

 

「この子が今回の依頼人だ。」

 

そういって平塚先生が連れてきたのは、犬を轢きそうになった車に乗っていた女の子だ。

 

確か名前は

「ユリアだったか?」

 

「雪ノ下なのだけれど…。」

そうジト目でにらまれた。

 

「す、すまない、あの一瞬ではよく聞こえなかったのでな…。平塚先生この人をどうすれば?」

 

 

 

「人との交流をうまく取れるようにしてあげてくれ。」

 

 

それを聞いた雪ノ下が

「私は一人でもうまくやっていけると自負しています。」

 

 

「変わりたいのではなかったのかな?それとも自信がないのかな?」

挑発するように雪ノ下に向かって先生が言葉を発する。

 

「っ、わかりました。喜んで比企谷くんと部活動をさせてもらいます…。」

 

 

喜んでいる割には、こめかみの稼働の仕方がおかしいのだが…。

 

 

まあいいか…。

 

平塚先生は任せたと一言だけ言って立ち去ってしまった。

 

 

「ここは何部なのかしら?」

 

 

 

「ここは奉仕部だ。

改めましてよろしく頼む。

北斗神拳伝承者比企谷八幡だ。」

 

 




イラストから始まったこの作品ですが、内容はほのぼの形です。


最後まで見てくださりありがとうございました!

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