もしも衛宮士郎が召喚したのが隻腕の騎士であったら   作:熊本

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滅級凄いきついです。オリオンも我が王をいない弊カルデアではとてもきついです。
鎖が12個集まったのでベディの軍略を上げましたら次は32個要求してきました。周回ですね。


05

 

 ◇

 昨日、衛宮邸には色々あった。色々、あったのだ。

 詳しくは割愛するが夕飯——セイバーのリクエスト通り蒸し野菜だ——時にセイバーを紹介した。ただめし食らいの大河や後輩の桜にも切嗣の知り合いで納得してもらえたがどういうわけか「知らない人が士郎と泊まるなんてお姉ちゃんは心配だよぉ」とかなんやら、泊まると言い出した。そこに桜も便乗し泊まることになった。

 家族として育ってきた大河はまだしも異性の、友人の妹はまずいだろうと士郎は抗議するも話は進む。

 そして朝がきた。

 士郎の存ぜぬ所で大河はセイバーを気に入ったのか仲が良いように見える。本当にいつ話をしたのやら。

 

「藤ねえ、セイバーが着る服を貸してくれないか。ほらさ、来たばっかで荷物がないんだよ」

 

 霊体化できなく、かといってそのままの服装では居られるわけもない。切嗣の服を着せているのだがいかんせんセイバーは背が高い。裾が足りていない。顔に似合わず背の高いセイバーに関心を抱くと同時に士郎は悔しさを覚える。

 

「あー、セイバーさん大きいもんね。帰ったらうちの者の服でも貸すね。じゃあ桜ちゃん、行こっか」

「先輩、後片付けよろしくお願いしますね」

 

 行ってきます、と大河の元気な声が段々小さくなる。

 桜と大河は弓道部の朝練があるため先に家を出たが退部した士郎には無縁の話である。後片付けの続きをしようかと台所にたつ。

 

「明るい女性ですね」

「セイバーも疲れただろ、あんなのと付き合って」

「いえ、あの女性は周りを元気にする。あの方がいたからシロウも素晴らしい、何の曲がりもなく成長したのですね」

「……」

「シロウ、どうされましたか?」

 

 恥ずかしいことを何の躊躇いもなくセイバーは口にする。聞いてる士郎が恥ずかしくなる。

 

「片付けも終わったし、俺も学校に行くからな。家で待っておくんだぞ」

「え」

「あのなぁ、昨日言っただろ」

「で、ですが」

「セイバーを連れて行ったら目立つだろ。それに昼だし、人も多い。大丈夫だろ」

「……わかりました。しかし何かあればすぐにでも令呪を使い私を呼んでください」

 

 皿洗いも終わった。さあ学校に行こうとした時だった。

 セイバーはついて行こうとしたらしい。ちなみに昨日、大河の弁当を届ける時にも同じことが起こった。

 

「大丈夫だって。学校には遠坂もいるんだ」

「レディ・遠坂は敵ですよ」

 

 遠坂凛は敵、そんな実感はわかない。例え凛が聖杯を狙うマスターだとしても、きっと見過ごしてくれるのではないか、甘い考えがあった。

 

「何かあったら呼ぶからさ、大人しくしとけよ。行ってきます」

「…………はい、わかりました。お気をつけて」

 

 セイバーがいるから戸締りはしなくてもいいだろうか、終わったらすぐに帰ってこよう、などと考えながら家を出た。

 

 

 ◇

 命の危機に瀕している。

 放課後、人影も少なくなった学校で遠坂凛に命を狙われている。

 ガンドと呼ばれる北欧の魔術。フィンの一撃とも呼ばれるそれは凛の実力によりもはやフィンのガトリングと化している。

 

「ちょっと待ちなさい!!」

「待てと言われて待つ奴がいるか!!」

 

 凛が滅多やたらにガンドを撃ちまくるため廊下に被弾する。公共の施設だ、と叫ぶと教会が何とかしてくれる、と返ってきた。何とかしてくれるのか。

 セイバーの言う事を少しでも聞いていれば、と士郎はこの時ばかりは後悔した。

 

 

 ◇

「……………シロウ、遅いですね」

 

 衛宮邸で一人セイバーはごねる。

 もう日も暮れかけている。だというのにセイバーのマスターは帰ってこない。

 

「やはりシロウを一人にするわけには……」

 

 帰ってこないマスターを心配する。何かあったのではないか? しかしマスターからは何も連絡はこない。不安が胸を支配する。

 

「たっだいまー! 士郎? 服持ってきたわよ」

 

 ガラガラ、と引き戸が勢いよく開くとともに元気な女性の声が響いた。藤村大河だろう。大河の後に続いて聞こえてきた声、女性らしいお淑やかな声は間桐桜であろう。

 

「レディ・藤村、レディ・マトウ、おかえりなさいませ」

「やだぁもー、レディなんてセイバーさん」

「お迎えありがとうございます、セイバーさん。……先輩はまだ」

「ええ、まだ帰ってきておりません。いったいどこをほっつき歩いているんでしょう」

 

 桜も帰ってこない士郎が心配なのか表情が陰る。

 

「士郎をぬいて先にご飯を食べようよぉ」

「あ、では私が作りますね」

「ありがとー、桜ちゃん。セイバーさんは着替えましょう。似合う服、選んできたの」

「感謝します」

 

 大河からおそらく衣服が入ったであろう紙袋を受け取る。聖杯からの知識で現代の衣装も問題なく着れる。着替えるため与えられた部屋へと移動する。

 

 衛宮士郎が帰ってきたのは日も落ちた、藤村大河も間桐桜も帰った夜だった。

 


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