水面に映る月   作:金づち水兵

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本作のUAがさ、ささ、3万を超えました!!

読者の皆様、誠にありがとうございます!

まさか、毎回1000近いUAがあるとは・・・・・。



40話 浸透

横須賀鎮守府 1号舎 会議室

 

一点の汚れもない純白で清潔感溢れる布が掛けられた長方形の大きなテーブル。床には赤紫色の絨毯がひかれ、踏むたびに靴が沈み込む柔らかな感触が足元から伝わってくる。20人近くがつけるほどのテーブルを想定して作っているためか、そんな代物が部屋の中央にあるにも関わらず室内は広々としていて圧迫感は皆無。ここを外や隣の部屋と仕切る壁は焦げ茶色の木目調。そのため若干暗い印象を受けるが、天井中央に吊るされている装飾豊かな西洋風の照明がこれでもかと言わんばかりに、窓からの日光と張り合い室内を照らしている。

 

そのどれも、布から壁、照明、花瓶などの調度品に至るまで全てが素人目でも分かる高級品だ。もの自体が放っているオーラの格が違う。

 

それだけでも緊張感が煽られ、「壊したらどうしよう、私の財産が一瞬で消える」という恐怖感が湧いてくると言うのに、目の前の光景がそれのレベルを更に引き上げていた。

 

これまた高級感丸出しの椅子に腰かける参謀部と第5艦隊の重鎮たち。彼らと相対する形で位置する百石や筆端。

 

そして、その横須賀鎮守府トップ2の隣に座る、みずづき。

 

「・・・・・・」

「どうしたんだ、みずづき? 視線を泳がせて落ち着きのない」

「いやぁ、その・・・・・。なんか場違いな感じが凄くてですね・・・。緊張するといいますか・・・」

 

固い苦笑。笑う以前に、表情を柔らかくする余裕がないのだ。髪の毛の生え際が冷や汗で少しばかり湿っている。なんだか、瑞穂に来てから、冷や汗をかいてばかりのような気がする。そんなしおらしいみずづきの姿を見て、筆端が握った冊子を叩きながら笑い声をあげる。

 

「場違いも何もない。この会議は君の力をみなで共有するためのものだ。いなければそもそも話が進まん。演習で見せた闘志はどこへ行ったんだ? ()()()()?」

「う゛・・・・・。や、やめて下さいよ、その二つ名みたいなもの。恥ずかしくて堪らないんですから!」

 

冊子を見ながら語られた「鬼神」という言葉に、面白いほど顔を赤くするみずづき。それを見た百石や参謀部の何人かも微笑ましさについ頬が緩んでしまう。

 

「鬼神」。みずづきは演習で見せたあまりにも強大な力によって、瑞穂側の驚愕と興奮、衝撃を総なめにし、気付けば将兵・艦娘問わずそう呼ばれるようになっていたのだ。みずづきにとっては驚愕しかない。また、厄介なことに畏怖の意味合いが強ければ良かったのだが、いまのところこの二つ名はおおかた筆端のようにからかいの定番と化しつつあるのだ。

 

みずづきは顔を火照らせたまま大きくため息を吐き、目の前に置かれている筆端と同じ冊子に目をやる。これは二人に限らず、ここにいる全員に配布されていた。表題は「日本国海上国防軍 特殊護衛艦みずづきの要項」。内容はそれの通りである。そこにはみずづきの装備や武器、それらの性能、そして設計思想や戦闘方法などが日本の書店で一般国民が知ることができるか、それより少し深い程度の事が記されていた。もちろん、これのもととなった報告書を書いたのはみずづきである。

 

それを見ると、製作時の苦労を思いだし手首をさすってしまう。まだ文章を考えるのは良かったのだが、パソコンによる文書作成が当たり前の世代にとって、手書きで報告書を作るのはさすがに苦行だったのだ。

 

「筆端副司令、冷やかしはほどほどに。では、早速本題に入ろう。先日の演習で我々は彼女の力を目の当たりにした。それを見てどのような感傷を抱いたかはみなそれぞれだろう。だが、それはあくまで感覚的なものにすぎない。これから、みずづきと共に戦っていく上で、彼女の、日本の常識を感覚ではなく我々の兵器と同様に理論的に把握して把握しておかなければならない。ここにはみずづきもいる。不明な点や理解しがたい点があれば、今のうちに解決しておいてくれ」

 

この報告書はここでの議論をを円滑かつ有意義なものとするため事前に配布されていた。ここに集まっている者たちは全員一度では飽き足らず食い入るように何度も報告書を見返している。つい内容の次元がおかしくため息や瞬きの連発を行ってしまいがちだったが、何人かは内容の前にあることを懸念していた。

 

「司令。その前に1つ確認しておきたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「大戸艦長。なんだ?」

 

軍人らしい荘厳な口調。普段艦娘や親しい者に囲まれて比較的砕けた姿を目にしてきたみずづきにとって、公人として振る舞う百石は新鮮だ。

 

「いえ、みずづきには失礼なのですが、この報告書に書かれている内容の真偽をお伺いしたいのです」

 

その言葉に同席している第5艦隊第5戦隊司令結解、同第10戦隊司令花表をはじめ数人の幹部が大戸に視線を向ける。そこには叱責と正反対の色が浮かんでいた。大戸たちを見て、百石はため息をつく。その次に出てきた言葉には若干のあきれが含まれていた。

 

「その点については、みずづきから答えてもらう。みずづき、頼む」

「は、はい! えっと、この報告書に書いたことは全て事実です。虚偽は一切含まれていません。但し、私の知識全てということは不可能ですので、その点はご了承頂ければと思います」

 

断言するみずづき。対するは鋭い眼光を覗かせる大戸。彼はみずづきの目を直視し続ける。

 

「では、具体的にどの程度を?」

「一般市民、ここでは日本国民のことですが、書店やマスメディアから得られる程度としています」

 

一挙に鋭くなる視線。大戸だけではない。懐疑的な見方をしていた幹部以外からも、疑念を感じる視線が向けられる。これは解釈によっては「瑞穂側は信用できない。だから情報の開示は行えない」とも捉えられるのだ。いや、何の不純物もなく普通に受け取れば、誰でもそう思うだろう。それはみずづきも当然分かっていた。「善は急げ」ということわざを思い出し、慌てて「そうではない」という補足を付け加える。一気に汗が吹き出しそうだ。

 

「こ、これは今回、私や日本の武器・戦術を皆様に分かりやすくお伝えするために作ったものです。そのため、専門的なことはできる限り言及しておりません。専門的なことや技術的なことを必要とされる場合は、これはダメというものを除き逐次開示いたしますので・・・」

 

一気に弛緩する会議室の雰囲気とみずづきの緊張。バレバレの安堵が微笑ましく、さらに緊迫した空気は四散していく。

 

「無礼なこと聞いて申し訳ない。ありがとう」

 

笑顔を浮かべる大戸。結解たちからも既に鋭利な眼光は失われている。それにはみずづきのみならず、百石も安堵してしまう。

 

「余興も済んだことだし、みなも大戸艦長のように気兼ねなく発言してくれ。ここはそういう場だ」

 

(た、他人事だと思って・・・・。調子よすぎでしょ)

柔らかい笑顔の百石とは対照的に、固い笑顔のみずづき。若干のいら立ちを含めた意識を向けるが、気づいているだろうに当の本人は無反応だ。

 

「じゃあ、いいですか?」

 

参謀部長の緒方が先陣を切る。出来れば静かに報告書を読んで、お開きになって欲しかったのだが、開始序盤でそのささやかな願いは打ち砕かれた。

 

「ど、どうぞ・・・・・・」

「君の兵装や武装の概要、性能については・・・・・・・まあ正直分からないことだらけだが、私は専門外だからここは置いておく。だが、仕組みはどうであれ演習やこれを見るに君の戦い方は、私たちの大艦巨砲主義に則ったものではない。対空・対艦の双方において、君はミサイルと呼ばれる噴進弾を中核に据えているとみていいんだね?」

「はい。おっしゃる通りです。私、いえ私たちの世界では、日本をはじめとした先進国から発展途上国まで、ミサイルを主軸とした戦術に転換しています。大砲で有視界の敵と撃ち合う戦闘方式はすでに過去のものです」

「それはどの範囲までかな? この間の演習では君の電探性能を見越して、索敵を省略し30kmの距離を保って行われた。これにはESSMと呼ばれる対空ミサイルの射程が約50km、17式艦対艦誘導弾ブロックⅡ、対艦ミサイルの射程が・・・約150kmと記されているんだが・・・・・」

 

言葉を重ねるにつれて小さくなっていく声量。それだけで緒方が心の中で何を思っているのか、丸わかりである。その反応と報告書の文字により瑞穂側はただただ苦笑するしかない。

 

「私の装備している武装では、対艦ミサイルが最大の射程を誇ります。そのため、その・・・・おっしゃられた150kmが最大交戦距離となります」

「・・・・・そうか、そうか・・・・・・・そうか」

 

日本海上国防軍のみずづきから見ても、厳めしい軍人たちが「ははははっ」と全てを悟ってしまったかのような笑みを浮かべるのはほとんど遭遇したことのない事態である。そのため、例え純然たる事実であろうとこちらも少し物腰の非常に柔らかい言い方になってしまう。それでも緒方は天を仰いでいるのだから、きっぱりと言った方が良いのか、相手の感傷を理解しつつゆっくりと話していった方が良いのか分からなくなる。緒方の視線の先には白く調度された天井があるものの、彼の目には少しも映っていないようだ。

 

150km。射程1万km越えの大陸間弾道ミサイル(ICBM)や1000km越えの巡航ミサイル、そればかりか艦載砲でもGPS誘導砲弾などを使用すれば射程100km越えなど、長射程兵器が跋扈する日本世界において、150kmはたかだか150kmであり、聞いたところでインパクトはほぼ皆無。しかし、これは日本世界での常識であって、瑞穂世界の常識ではない。150kmとは直線だと東京から横須賀を悠々と越え、静岡県の静岡市までの距離に相当する。大艦巨砲主義に基づきせいぜい十数kmの範囲で海上戦を行ってきた世界にとって、この数字は“たかだか”ではなく化け物である。それだけの長距離で攻撃可能な兵器が存在していることだけでも意識が飛びそうになるというのに、それを運用しているは誰かという至極簡単な問いが百石たち横須賀鎮守府上層部に頭痛の嵐を巻き起こしていた。みずづきは、ただの護衛艦・・・・瑞穂側から見れば軽巡洋艦、非常に低く見ても駆逐艦なのだ。戦闘機を運用可能で長距離打撃力を有する空母でも、ましてや巨大な主砲を備えている戦艦でもない。

 

そんな彼女が、命令や意思一つで150km先を叩ける。これは戦術を通り越え、もはや戦略の領域だ。

 

「みずづき? SSM-2B blockⅡの誘導方法が慣性航法とアクティブ・レーダー誘導の併用とのことだが、君の対水上レーダーは30kmが探知限界のはず。にも関わらず、これは射程が150kmで命中精度もほぼ100%と記述されている。そんな向こう・・・・・レーダー波の届きようがない遥か彼方の目標をどうやって見つけるんだ?」

 

緒方とその他が昇天しかかっているのを尻目に、工廠長の漆原が技術屋の漆原らしい極めて技術的な質問を行う。みずづきはそれに思わず感嘆してしまう。演習時に発動された対みずづき作戦、「狩月作戦」。演習終了後、両者の健闘を称えあう「大隈」の艦上で百石から彼がチャフによるレーダー妨害やレーダーの死角である超低高度を飛行しての肉迫、目標識別を惑わすための偽装工作など作戦の骨子を立案した立役者と聞いたのだ。それに肉付けを行ったのが百石や作戦課員たちとはいえ、今回の作戦は漆原がいなければ成立しなかったであろうことは作戦を仕掛けられた側のみずづきでも容易に想像がつく。漆原に対する豪快で現場主義、少し強面の軍人とイメージはそれを聞いた瞬間、180度転換せざるを得なかった。おそらく、横須賀鎮守府で最もみずづきが宿している“未来の技術”を理解しているのは、質問を投げかけてきた彼だろう。

 

「えっと、ですね、それはE・・・。う~ん・・・・・。資料と合わせた方がいいかな・・・。お手数ですが、今見られているページを2枚ほどめくっていただけますか? そこに電波妨害について記述した箇所があるんですけど」

「ああ、あった、あった、そういうの」

 

みずづきの声に合わせ、昨夜読んだ時の記憶を思い出しながら報告書に手をかける漆原。緒方なども例外ではない。ページをめくる紙のこすれる音が室内を一時的に支配する。

 

「ここに電子対抗手段の1つとして電波妨害装置について書いているんですが、これが胆です。電波妨害装置とはその名の通り、電波を妨害して相手の通信、レーダー、そしてSSM-2Bと同じように何らかの電子装置を用いて向かってくるミサイルの攪乱を行う装置です」

「これのおかげで我々は一泡ふかされたわけか」

「その通りです。五十殿課長」

 

忌々しげに報告書の「電子対抗手段」欄を人差し指でつつく、横須賀鎮守府参謀部作戦課長。完敗している頭部の激戦地が情緒ある照明の明かりを反射させているため、思わず吹きそうになる。だが、絶対に吹いてはならない。軍人としても、一人の人間としても・・・・・。人の道を外れないよう、お腹に力を入れる。なんとか耐えられた。

 

「・・・ですが、これには受信モードと発信モードがあり、妨害には発信モードが使われます。そして、受信モードは相手のミサイルや軍艦、航空機からの誘導電波をキャッチする際に使用されます。ミサイルの誘導には高周波・高出力の電波が主に用いられるため、数百km彼方でも補足は可能です。その情報をもとに慣性航法の情報を入力、目標近くまで飛翔するとアクティブ・レーダー装置が起動し突入、という流れです」

「なるほど・・・・・・・・な。よく分かった。敵攻撃手段の大まかな位置を知り、対処するだけならそこまで詳細な位置情報を掴む必要はない。どのみち、敵はこちらへ向かってくるから、待っていればいい話。しかし、それほどまで先の電波を収集、識別・分析可能とは・・・・・俺たちと君たちの技術格差をつくづく思い知らされてしまうよ」

「あははははっ・・・・・」

「みずづき、俺からもいいか?」

「は、はいなんなりと。筆端副司令」

 

次から次へと、日本にいれば言葉を交わすこともなかったであろう幹部から投げかけられる質問。平静に答えているように見えるかもしれないが、1つ1つの体力消費は半端ではない。なにせ、質問を投げかけ、答えなければならない相手は“お偉いさん”である。しかも、ここは横須賀鎮守府。同じ階級でも辺境の基地に配属されている士官たちとは出身が全く異なる。覚悟していたのだがそんな方々による連撃のダメージは想像を超えていた。いくら慣れてきたとは言っても、ここは軍隊。緊張はするものだ。

 

「今回の演習では、対空と対水上戦闘において君の力を見せてもらった。それはもう十分すぎるほどにな。ただ、既に艦娘たちや将兵たちから話を聞いて君も十分分かっていると思うが、我々の敵は船や戦闘機だけじゃない。海中に潜み、肉食獣の如く船を狩る悪魔・・・・・・・潜水艦もだ」

 

潜水艦。この言葉を聞いただけで幹部たちの表情が曇る。同時にみずづきも、だ。珍しいことにここでは世界・技術の差異は存在していなかった。いくら日本世界の技術が発達しているとはいえ、潜水艦の脅威は21世紀も変わらない。そして、瑞穂世界では深海棲艦が登場するまで戦艦や空母と同じくこの世界に潜水艦は存在していなかったのだ。そのため、通常兵器による対潜兵器。対潜戦術は艦娘たち・妖精たちの協力があるとはいえ発展途上も初期の初期。みずづきの想像以上に瑞穂海軍の潜水艦への危機感は深刻なのだ。

 

ただ、みずづきが表情を曇らした理由は潜水艦への純粋な危機感だけではない。あの日から、深海棲艦潜水艦は明確な仇にもなっているのだから。

 

「ここには、演習で見れなかった対潜戦闘についても記載がある。これも我々からすればもうファンタジーの領域だ。ファンタジー過ぎて、どれほどあてにすれば良いのか・・・・申し訳ないと思うのだが、正直図りかねる」

「対潜捜索・追尾・戦闘に使われる装備は書かれている通りです。私も自分が使っている装備は信頼していますが、水中のレーダーたるソナー次第としか、お答えは難しいです。水中は空気中と異なって液体である水に満たされているため、日本の最先端技術でも完全な捜索は・・・。しかし、そうは言ってもソナーの性能は織り込み済みです。一たび探知に成功すれば、かなりの確率で敵の撃滅は可能です」

「小型の水中探信儀を内蔵した誘導魚雷に、それを遠方まで即座に投射できる対潜用のロケット。そして対潜哨戒機と攻撃機を両立し、母艦の外周に展開可能な回転翼機。爆雷によるまぐれ狙いの対潜戦闘法とは格が違いますね。空だけでなく、海までハリネズミとは」

「ブリテンも対潜水艦兵装の開発を進めていると聞いているが、やつらこれを見たら卒倒するかもしれんな」

 

顎をさすりながら感慨深げに語る花表。隣に座る彼を見ながら結解はつい、頭をかきむしり、ラッパーも拍手を送ってしまうほど悶えているブリテン科学者の憐れな姿を想像してしまい、笑みを浮かべる。

 

「するかもしれん、じゃなくて確実になるだろう。兵本の連中も同様だな。しっかし、なにもかもレベルが違い過ぎる・・・・・・・。捜索装置と攻撃兵器がこれだけ発達してるんだ。それを受ける側である日本世界の潜水艦は、それはもう怪物だろうさ」

 

冷や汗をかきながら、泣きそうな目の筆端。みずづきが雑魚同然に捉えている深海潜水艦でも、この世界の人間にとっては脅威どころの話ではない。みずづきの兵装を持って立ち向かむ潜水艦など、怖すぎて想像もしたいくない。そんな目を向けられれば、余程の鈍感でない限り筆端の心情を把握することは容易だ。みずづきも潜水艦に何度も苦しめられ、大切な存在を奪われたのだ。無意識のうちに拳に力が入る。その気持ちは痛いほど分かる。

 

「みなさんから見るとそうでしょうが、私から見ても現代の潜水艦は怪物ですよ。潜水艦の建造にはその国の英知が総動員されますから、技術は日進月歩。私の兵装でも対潜水艦捜索・戦闘は、見えない恐怖もあって対空や対水上よりも正直厳しいです。装甲がない私たちは、魚雷が当たれば良くて戦闘不能、悪ければ轟沈ですしね」

「そうだよなって・・・・・・・ん? ちょ、ちょっと待ってくれみずづき。え? 君、装甲ないの?」

 

目を点にして、資料をめくりまくる漆原。その反応が理解できず、「そ、そうですけど・・・・」と歯切れの悪い返答しか返せない。だが、それを聞いてますます呆然とする漆原。彼だけかと思い周囲を見渡すが、一同全員が同じ表情になっていた。狐につままれたような、という表現がもってこいだ。何故、このような反応をするのか。思考の海に浸りかけるが、すぐに答えは導き出せた。「あ~あ、そうだったそうだった。昔の軍艦は」と独り言。それが一瞬分からなかった自分自身のバカらしさに、そして百石たちの表情に笑みがこぼれる。

 

「えっと、申し訳ありません。このことは報告書に明記しておくべきでした。私たちはミサイルの主力兵器化によって、防御性能より高機動性の確保に主眼が置かれているんです。いかに軽くするかという船体の軽量化が優先されてため装甲はありません」

「それでは攻撃を受けた時ひとたまりもないじゃないか」

 

目を若干大きく見開いた第5艦隊参謀長掃部尚正少将の至極当然な言葉。それに結解や花表をはじめ、何人かが真剣に頷いて同意を示す。

 

「私たちは、そもそも敵の攻撃が命中することを想定していません。ミサイルや戦闘機の迎撃が大前提で、何重にも張られた防衛網を破られれば後は・・・・・・」

「後は・・・・?」

「死なないよう祈るのみです!」

「・・・・やはり、私たちとはそもそも軍事戦略や運用概念が違いますね。装甲がないなんて、恥ずかしながら想像だにしていませんでした」

「それは私もだ工廠長。正直ここで聞いておいてよかった・・・・」

「そうですな。もしそれを把握しなければ、俺たちは大きな過ちを犯すところでした」

 

筆端の感嘆。それに百石は大きく頷く。先の演習やみずづきからの情報を基に百石たち横須賀鎮守府上層部は、みずづきの運用方法についてそれなりに突っ込んだ議論を交わしていた。彼女の力は対空・対水上・対潜などの戦闘任務から、電波妨害能力を生かした敵情報網のかく乱などの後方支援任務など想定しうるほとんどの任務に参加可能だ。また、1人で空・海上・海中いずれの敵とも対処可能であるため、極端に言えば今まで艦娘6人を使って行っていた船舶の護衛任務を1人で担うことも理論上は可能。こんな汎用性の高い戦力を一つの任務に限定して運用することは「宝の持ち腐れ」である。そのためどの任務や作戦の場合でも出動できる機動運用、特定の艦隊に編入せず、今後実施されるであろう作戦や優先順位の高い任務を念頭に置いて、逐次各艦娘部隊に“派遣する”という形で話がまとまりつつあった。しかし、「装甲がない」ならば機動運用に少なからぬ制約を加えなければならない。いくら戦闘能力が高いとはいえ、被弾可能性の高い作戦、戦艦が殴り合うような作戦には到底みずづきを加えることはできない。

 

「はあ~」と安堵のため息。一旦熱を帯びた会話が途絶える。その瞬間、正躬が遠慮そうに手をあげる。少し前から身じろぎを頻繁に行っていたが、発言の機会を窺っていたようだ。

 

「それでは・・・私も。漆原工廠長? 先の演習や報告書、艦娘たちの話からみずづきの凄まじさは身に染みて分かっている。だが、どうだろうね。彼女の劣化版でもいいから、似たようなものを作れないのかな?」

 

第5艦隊司令官、正躬少将の言葉。漆原は背筋を伸ばしつつも、彼が抱いているわずかな希望を一刀両断しなければならない。浮かべている笑顔には複雑な心境が反映されている。

 

「作れるか否かでいえば作れるでしょう。80年先とはいえミサイルやレーダーに使われている技術は魔法のような未知のものではなく、我々と相違ない科学をもとにしています。ただ、見るのも忍びない劣化版になるでしょうが」

「何かに例えて言ってくれないかね?」

「・・・・・31式戦闘機から100mも飛べない黎明期の複葉機しか生み出せない、と解釈して頂ければ・・・・」

「なんと・・・」

 

うめく掃部。みずづきは首をかしげるしかないが、31式戦闘機とは2031年に実戦配備された、それまでの瑞穂戦闘機とは異次元の最新鋭戦闘機である。それを必死に真似ても、今では博物館に収蔵されているレベルのものしか作れない。再び突きつけられたあまりの現実に海軍兵学校・一般大学出身に関係なく、特に文系専攻の幹部たちが重たいため息を吐く。

 

「虎の子にして、唯一無二の存在。みずづきの戦略的重要性は、新編中の機動艦隊をも容易に凌駕するほど高い。頼もしいかぎりだよ」

 

みずづきを見ながら語られた百石の言葉にうんうんと頷く一同。反論は出ない。いや、恥ずかしそうに視線を落としている者がいるため、瑞穂側に限っては反論や異議はなさそうだ。

 

「べ、別に私は、そんな大層な船ではありません。機械にばっかり頼っていて、個人的な技量は・・・・・。それに艤装のもととなったあきづき型護衛艦は2010年に進水した旧式艦ですし、主砲も時代遅れの大砲ですし・・・・」

 

1対12で勝利、計101機の猛攻を防ぎ切った鬼神・・・・などなどあの演習によってあきづき型特殊護衛艦の力はこの世界において、はっきりと証明された。それは実をいうとみずづき自身にも言えることだ。みずづきは自身がこの世界において演習での戦果を発揮できる存在であることをはっきりと認識したのだ。

 

世の中にはこのような劇的な成績を収めると調子に乗って、有頂天を極めるおバカさんがそれなりにいるが、当のみずづきはそうならなかった。百石の言葉に対する謙遜も社交辞令ではなく、心の底から思ってることだ。

 

この世界において、みずづきは確かに強い。

しかし、視点をこの世界から日本世界に向けたならどうか。「世界」という言葉に瑞穂世界と日本世界の二つの並行世界を内包する身にとると、自身の評価は決して高くできない。

 

この世界に来た衝撃で忘れていたものの、あきづき型特殊護衛艦は日本世界において既に陳腐化し始めているのだ。

 

「ん?」

 

みずづきにとっては散々、ここへ来る前に知山やかげろうたちと話していた言葉や内容だった。2018年に就役したまいかぜ型護衛艦をモデルとするまいがぜ型特殊護衛艦のかげろうはまだしも、みずづきが隊長を務めていた第53防衛隊には、あきづき型護衛艦より古い護衛艦をモデルとする艦娘が2人いた。その2人とは元気で男盛りなおきなみと無口で物静かなはやなみである。彼女たちは2003年に一番艦が就役したたかなみ型護衛艦をモデルとするたかなみ型特殊護衛艦で、深海棲艦には対抗できていたもののあきづき型のみずづきよりも能力の陳腐化は否が応でも意識せざるを得なかった。だから、作戦時や平時に関係なく、愚痴を言ったり、素直に現代技術の凄さを語り合ったりしていた。そのため、違和感など覚えようもなく滑らかに紡がれたのだが、瑞穂側にとってはそうもいかなかったようだ。百石が若干焦りの色を浮かべ、筆端が体をこちらへ傾け言葉をまくし立てる。

 

「みずづき、ちょっと待ってくれ。今、君は自分を旧式艦といったな?」

「は、はい。そうですが」

 

返答を聞いて、ますます困惑気味の筆端。彼だけではない。みずづき以外の全員が筆端と同様の状態に陥っているといっても過言ではなかった。みずづきは筆端に問われた時、いったいなぜそこまでなるのかわからなかった。鬼気迫る表情と乗り出す身に思わず、背中を反りそうになる。

 

「君以上の能力を持つ軍艦や艦娘が、日本世界には存在するのか? 私は、私だけではないと思うが、てっきり君は日本の最新鋭艦だと・・・・・」

「あ・・・・・・」

 

一瞬驚いたが、それは次の言葉できれいさっぱり融解した。安堵からか自然と強張った表情が緩む。

みずづきにとっての「世界」に2つの並行世界が内包されているといっても、いくら艦娘たちから日本世界のことを聞いているとはいえ瑞穂世界しか見たことがない百石たちは1つの「世界」しか知らない。そして、自身が日本世界の詳しい様相に口を噤んでいる以上、当然“現在”の日本世界を知る術を彼らは持っていないし、知らないのだ。

 

「なんだ、そういうことですか・・・・。まぁ、そりゃそうか・・・・・。私も属しているあきづき型特殊護衛艦のモデルとなったあきづき型護衛艦は今から23年前の2010年に就役した艦で、高い対空戦闘能力を持っていたため当時はかなりの注目を集めたそうです。私の艤装もそれをしっかりと受け継いでいますから確かに高い戦闘能力を有しています。しかし、当然ながらそのあとに建造された護衛艦をモデルとしている艦娘や近年建造された通常の護衛艦を比較すれば見劣りは隠しようがありません。さすがに20年も経てば、陳腐化は免れません。技術は日進月歩ですからね」

「いや、本当に・・・・・」

「我々もあちらさんの科学者を見習わなければなりませんね」

 

ため息をつく筆端に、みずづきの発言を一語一句逃さないとばかりに必死にメモをとる漆原が応じる。彼はまだまだ元気なようだが、筆端をはじめとする士官たちには疲れの色が見え始めている。さすがに、経験豊富な軍人といえども驚愕の連発はみずづきと同じく体力を消耗するようだ。

 

「筆端副司令。それも分かりますが初めに聞くことはそれではないでしょう」

「そうです、そうです」

「私たちのような大砲屋からすると、大砲が時代遅れという方がよほど衝撃です」

「お前たちの言うとおりだな。時代遅れとはいかに」

 

しかし、そんな士官たちとは異なる一団も存在していた。血相を変えて声を上げる大戸・結解・花表。中堅軍人の3人に老練の掃部が同調する。彼ら4人は艦隊勤務が長く、大艦巨砲主義にもっとも慣れ親しんできたいわゆる「大砲屋」であり、みずづきの言葉をいくら疲労が溜まっているとはいえ素直に飲み込めないのだ。それを知っているからこそ、批判したり顔をしかめたりする士官は皆無で、百石や正躬たちもことの行方を見守っているのだ。ただ、彼らにもみずづきの発言の真意を確かめたいという想いはあるだろうが。

 

「と、いうことだ。どうなんだみずづき?」

「申し訳ありません。舌足らずで少し誤解を生んでしまいました。火薬によって砲弾を射出する砲や大砲は2033年の地球でも様々な兵器において主力武器であることには変わりありません。砲にもいくら時代が移り変わろうとも不変の有用性がありますので。ただ、長い年月をかけて実用化された別の兵器へと移行が進んでいることもまた純然たる事実です。その兵器とは電磁投射砲、いわゆるレールガンと指向性エネルギー兵器の一種であるレーザー兵器の2種類です」

「な、なんだと!?!?」

 

驚愕のあまり、漆原がテーブルを思い切り叩き勢いよく立ち上がる。鎮守府司令官、副司令官、各部・各課長、第5艦隊の首脳などそうそうたる面々が出席している幹部会議で、マナー違反も甚だしいど派手な行動を起こした漆原に視線が集中すればいいものを、何故か視線は全てみずづきに集中していた。「なぜに?」という疑問が心の中で噴火するが、自力で鎮火するしかない。しかも、静かにだ。自身の発言がよほど衝撃的だったようで、会議室には一時の心休まらぬ平穏が訪れた。

 

「レールガンって、あの電磁石の原理を用いるっていう・・・・・・・・・」

 

とある課長の呟き。それが合図となって、瞬く間に発言の波が広がっていく。

 

「空想科学小説で出てくる定番の架空兵器だ。レーザーも同じ」

「個人的な研究でそれらについて言及している論文を大学時代に呼んだ覚えがありますが・・・」

「まさしく空想の産物だよ。瑞穂はおろかどの国もそんなもの、今後100年間は絶対に開発不可能と言われている代物だ。それを・・・・・」

 

興奮のあまり着席した瞬間、昇天してしまった漆原の隣でまだ意識を保っている幹部たちが口々にどうしていいか分からない動揺を周囲に吐露している。あまりの驚きように、これの元凶たるみずづきも若干ひいてしまう。だが、彼らの驚愕を大げさとは思わなかった。これまで幹部たちの言うとおり、架空の兵器であった両者。そのインパクトは、火砲によって成立していた現代の戦闘を大きく変えるほどの威力を持っていた。かくいうみずづき自身も初めてレールガンを見たときの衝撃と興奮はいまだにはっきりと覚えている口だ。だから、童心に帰ったような、まるで過去の自分のような様子を見ていると、つい笑ってしまう。

 

「あ、はは、はははは・・・・・」

 

急に響く、乾いた笑み。ひどく自嘲的で白旗を振っているような声。そう感じたのはみずづきだけではなかったのだろう。室内に充満していた興奮と衝撃が一気に影を潜め、全員の視線がとある1人の男に集中する。

 

「隔絶しているな」

 

しみじみと語った百石は、漆原に視線を合わせる。昇天していた彼も雰囲気の変化に触発されたのか、意識が回復していた。

 

「私たちがどれだけ策を巡らそうと、やはりあの世界には・・・・・みずづきには敵わない。悔しいな」

「百石司令・・・・・」

「勝負である以上、私も本気で勝ちを目指したのだが・・・・・。みずづき、君はどう思う?」

「え・・・・・」

 

もとより、いまいち会話の流れを把握していなかったため、問いかけの真意が分からない。少しあたふたすると、こちらの気持ちを察してくれたのか百石が会話の流れと問い噛み砕いたくれた。

 

「先日、行われた演習。まぁ、予想通りというかなんというか君の勝利で幕を下ろした。あれにおいて、私たちは勝つために工廠や参謀部・作戦課、そして私や先輩、艦娘たちも携わって狩月作戦を練り、発動させた。そこまでしたにも関わらず、私たちは負け、君は勝った。それなりに議論した代物だったからな。作戦を受ける側だった君の意見を聞きたいんだ。もともと、この会議も君が作ってくれた報告書の説明と、それを聞こうと思って招集したものだしな」

「え゛・・・・・・」

 

作戦の評価を聞くため、など今が初耳である。作戦に多くの人間が関わっていたため大勢の前で語って欲しいという考えも分からなくはないが、できれば提督室で百石と長門、筆端あたりと相対する環境で述べたかった。

 

「それで、君はどう思った?」

 

その問いは、百石1人だけではなく、漆原も当然含めるとしてこの場にいる全員から問いかけられているような気がした。

 

ものすごい重圧だが答えるしかなさそうだ。

 

「どう思ったか、ですか・・・・・・。正直に言って・・・・・」

「言って・・・・・」

「さすが、横須賀鎮守府だなと思いました」

「ほ、本当か?」

 

自然に出た笑み。百石がまるで少年のように、混ざり気のない表情で聞き返してくる。そこには安堵が浮かんでいる。周囲の士官たちも同様だ。笑みの中の自然さが効果的だったようで、お世辞ではなく本音と受け取ってもらえた。

 

「はい。私も相手が12隻で空母を2隻含み、有する航空戦力はあの誉高い海軍のしかも空母航空隊、という状況では勝てるかどうか分かりませんでしたが、百石司令や鎮守府の方々の作戦がなければ、もっと・・・・その、楽に戦えていたと思います。CIWSを使用したり、榛名さんたちと砲撃戦をしたりする状況まで追い込まれなかったのではないかと・・・・・・・・。ですから、作戦中は畏怖・安心もしました」

「安心?」

「敵でなくて、良かったと・・・・。深海棲艦にあんな戦術を使われたら、たまったものではありませんから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありませんから」

 

脳裏に点滅する記憶。近頃よく見る夢のせいだろうか。夢を見るようになってから、日本にいたころは抑えられていた記憶の浮上回数が心なしか増えている気がするのだ。

 

「ですから、大変心強いです。地球における現代の科学水準をご存じないにも関わらず、あそこまで私を追い詰めたのですから。それはみなさんの努力の賜物だと思います。私も寝首をかかれないよう精進しなければなりませんね」

 

みずづきの発言が終わり、一気に静まり返る会議室。窓の外を飛び回っているのであろうスズメたちの鳴き声が聞こえてくる始末だ。

(あ、あれ・・・・・・・・?)

「へんなこと言っちゃったかな」と急激な体温の低下を感じていると、突然百石が豪快に若い出す。それに続いて、漆原と緒方・五十殿もだ。筆端などの他の士官たちも爽やかな笑みを浮かべている。戸惑うばかりだが、彼らの中で何かの踏ん切りがついたようだ。

 

「そうか。私の、我々のやったことに意味はあったか・・・・・・・。ならば、反省会をしなければ、な」

「そうですとも。演習の経験は艦娘たちに、そして我々にとって何物にも代えがたい貴重な経験と情報です。この際、しっかりとまとめて、今後の財産としなければ」

 

漆原がぎっしり文字で埋め尽くされたノートを掲げる。そこには絶対的強者に対する諦めも、無力感もない。そこにあるのは、絶対的な力を前にしても不屈の精神と探究心と向上心のみであった。

 

「漆原の言う通りだ。作戦を立てた者の責任として、事後検証もしっかりやらなくては」

「ちょっと待って下さいよ、百石司令」

 

情緒が溢れんばかりの百石とは対照的に、ニヤニヤといかにも悪そうな笑みを浮かべる筆端。先輩後輩のやり取りを日常的に見ていたため、筆端が百石に対して敬語を使っている状況は違和感しかないが、親近感が滲み出る彼の表情がその違和感をかなり中和してくれる。かなり親密な間柄でなければ、このような場でそのような表情はやろうと思っても出来ない。

 

「随分とやる気をたぎらせておられますが、今夜は演習の打ち上げ。早とちりしたり、飲んでる最中にかたっくるしいことをいえば、艦娘たちからの寵愛は避けられませんよ?」

「おっと、そうだった、そうだった。私もこれ以上、彼女に構われるのは勘弁願いたい」

 

筆端に応じるようにおちゃらけた口調の百石。横須賀鎮守府最高司令官殿と艦娘たちのやり取りはここにいるもの全員が把握しているため、一挙に笑い声が会議室を支配する。歓迎会を起因とした長門とのひと悶着や第5遊撃部隊所属空母のコンビネタを諌めようとして、両名から集中攻撃を喰らう百石の姿などを間近かつこの目で見てきたみずづきもその輪に交じる。

 

そこでふと、思い出した。

 

某実験だのなんのが大好きで、ほぼ工厰専属艦娘になっている一人の影を・・・・・・・・・。

(・・・・・・・。どうやって、逃げ回ろうかな)

打ち上げは演習の無事終了と全員の労を労う名目で行われるため、当然みずづきも呼ばれているし、こちらとしても楽しみなので参加する気満々だ。ただ、その反面、「演習の打ち上げ」という嫌でも演習を想起する場のため、彼女が襲いかかってくるような気がしてならないのだ。

 

「はぁ~~~」

 

艤装を背負っていようとも、一般の女子たちと変わらない嘆息。みずづきにとって両親と同等かそれ以上の年齢である男たちの笑い声が響く空間に、それは溶けていく。




いまいち、レーザー兵器をはじめとする指向性エネルギー兵器、電磁投射砲の原理が分かっていない作者ですが、いくら深海棲艦と全面戦争をしているといっても2033年にはかなり一般化が進んでいると思い、少しだけ取り上げてみました。既にアメリカやイスラエルでは実戦配備されていますしね。(あちらさんは怖いです)

来週は文中でも語らさせていただいたとおり、艦娘たちもいる「打ち上げ」をお送りします。2週連続で艦娘たちが舞台袖に下がってしまって申し訳ありません(汗)。本当は40話と41話は1つの話だったのですが、文章が多くなりすぎたため分割しました。何度も文章を練り直していると量が・・・・。

っと、そういえば、「艦これ」公式クラシックスタイルオーケストラ Grand Fleet Tour 2017の受付が開始されましたね。2連敗&リアルの用事によりそもそも応募すらできなかった作者としては、今度こそが当たって欲しいところです!!! (将来に関わる用事とかぶったら、嫌だなぁ・・・・・)

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