戦姫絶唱シンフォギア 戦姫と鬼   作:MHCP0000

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べ、別にBALDR HEARTをやってて遅くなった訳じゃないんだからね!
というわけで第四話です


第四話 動き出す予感

「じゃあ、快翔さんは本当は、その『まかもう』っていうのと戦うんですか?」

「うん、そうだね。でも驚いたよ。なんかすごい光が見えたから来てみたら、なんかすごい格好してるし」

 

特委災害対策機動部が事後処理をしている間、快翔と響は腰かけて待っていた。響は肩から毛布を掛けてもらっている

 

「私もびっくりしてるんですよ~。もう何が何だか…」

 

響が困ったように笑う。「ところで」と響は疑問を口にした

 

「快翔さん、何で顔だけしかもとに戻ってないんですか? 私と違って、ちゃんと快翔さんは変身できるんですよね?」

 

事情を知らない響は、快翔にそう尋ねる

 

「ああ、俺、この下裸だから」

 

あっけからんと言い放った快翔の言葉が響はすぐには理解できずにいたが、徐々に言葉の意味を呑み込む

 

「は、は、裸?! 裸って、あの裸ですか?!」

 

顔を真っ赤にした響が、意味の分からない質問を快翔に投げつける。予想外の返事で、相当困惑しているようだ

 

「ん、裸は裸なんだけど…見たいの?」

「い、いえいえ! もう、ずっとそのままでいちゃってください!」

 

困惑している響は、黒服の人間に連れていかれるまで結局快翔とまともに話ができないままであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第四話 動き出す予感

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さって、これからどうすっかなあ…」

 

ふう、と大きく息を吐きながら、一人つぶやく快翔。先ほどまでとなりにいた響は黒服の男性に連れていかれ、翼はいつの間にか消えていた。そうなると、知り合いのいない快翔は一人になるしかない。

 

「だめですよ、あまり女性をからかっては」

 

そんな快翔に話しかけたのは、先ほど響を連れて行った黒服の男だった

 

「いや、からかったつもりはないんですが…」

「そうですか? それなりに楽しそうな顔をされてたようですが」

 

物腰も言葉づかいも柔らかい男だったが、快翔は彼が普通ではないと直感で感じた。だが同時に、どこかで見たような既視感もあった

 

「えっと、加々井快翔さん、でいいんですよね? あ、ぼくは緒川といいます」

「緒川って…もしかして、風鳴翼のマネージャーの…?」

「ええ、そうです。」

 

以前テレビで放送されていたドキュメンタリーに出ていたのを覚えていた快翔が尋ねる。既視感の正体はテレビだったらしい

 

「つまり、マネージャー公認、というか、共犯ってわけなんですね」

「共犯って…。僕たちは、決して悪いことをしているわけではないのですが…」

 

緒川が困ったように笑う。もちろん冗談で言った快翔だったが、緒川もそう感じたらしい

 

「ところで加々井さん、そろそろ来ていただきたいのですが…」

「あ~、すみません、もうちょっと待ってください」

「??」

 

不思議がっている緒川のところに、一台の車がやってきた。その中から、快翔にとって見慣れた人物が下りてくる

 

「快翔くん!」

 

運転席からりて来た女性――――天美あきらは驚いた様子で快翔に駆け寄る

 

「お知合いですか?」

「ええ。というか、俺のサポートです」

 

尋ねる緒川に、快翔が説明する。その間に、あきらは快翔のもとへたどり着く

 

「いったい何があったんですか? ノイズの警報が鳴ったと思ったら、アカネタカが飛んできましたし」

「すみませんあきらさん。実は…」

 

快翔は、昼間に分かれて以来の説明をする。CDショップを巡っているうちに響と知り合ったこと。一緒に歩いているうちにノイズに襲われ、変身して撃退したこと。そして、それについて特委災害対策機動部二課の本部に来るように言われていること。

 

「私もついていきます。快翔くんでは説明しづらいこともあるでしょうから」

 

あきらはそういうと車のほうを指さし

 

「まずは着替えてきてください。車に積んでありますので」

 

その指示に従い、快翔が車に向かう。その場には、あきらと緒川の二人が残された

 

「あなたも猛士のかたですか?」

 

緒川があきらに尋ねる

 

「はい。快翔くんのサポートをしています。天美あきらといいます」

「ご丁寧にどうも。僕は特委災害対策機動部二課の緒川慎次といいます」

 

挨拶が終わったところで、緒川が言う

 

「申し訳ありませんが、お二人には…」

「ええ、わかっています。可能な限りご説明させていただきます。もちろん、そちらにも説明をしていただきますが」

 

緒川の言葉を遮り、あきらが返す。言葉は力強く、ごまかしがきくものではないと緒川は直感した

 

「ええ、可能な限り、お話しさせていただきます」

 

鬼ではないが、一筋縄ではいかない、と緒川は感じていた

そこに、着替えを終えた快翔が戻ってくる

 

「すみません、お待たせしました。緒川さん、行きましょうか」

 

「ええ、ご案内させていただきます」

 

三人は車に乗り込み、特委災害対策機動部二課へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…」

「リディアン音楽学院ですよね…まさかここが?」

「ええ、僕たち、特委災害対策機動部二課の本部です」

 

緒川に連れてこられた快翔とあきらは、その場所が学校だったことに驚いている

そのまましばらく歩くと、そこに見覚えのある人物がいた

 

「あ、快翔さん!」

「……」

 

二人のうちの一人、響はあったばかりとはいえ知り合いの快翔が来て安心したのか、響が駆け寄ってくる。だがその手には物々しい手錠が掛けられていた

 

 

「立花さん、その手錠、どうしたの?」

「いえ、ここに来るときにかけられちゃって」

 

「あはは…」と響が乾いた笑い声で笑う。まあ国家機密みたいだし、しょうがないか、と快翔が考えていると、後ろからあきらが尋ねる

 

「快翔くん、お知り合いですか?」

「ええ。さっき話した、途中で知り合った女の子で、立花響さんです」

「たちばなひびきちゃんですか…。なんだか、快翔君には呼びにくい名前ですね」

 

あきらが困ったように笑いながら言う

『立花』は世話になっている姉妹の名字であり、『ひびき』に至っては師匠の呼び名である

 

「? 快翔さん、お知合いに私と同じ名前の人がいるんですか?」

「うん、ちょっとね……っと」

 

快翔はもう一人、今まで会話に加わっていなかった翼に話しかける

 

「お疲れさん、俺は加々井快翔。よろしく」

 

そういって快翔は手を差し出す。が翼はその手を握ろうとしない

 

「これは? どういう意味かしら?」

「え? どうって……」

「あなたと私、同じ戦う力を持つものでも目的も違うのだから、慣れ合う必要などないわ」

「あ、ちょっと!」

 

冷やかにそう言い放つと、翼はさっさと歩いて行ってしまった

 

「翼さん、私と待ってた間もあんな感じで、すごくそっけないんです。私もうどうしていいかわからなくて」

 

確かに今まであこがれていた人物に冷たくされ、しかも二人きりとあっては響の心労は相当の物であっただろう

 

「まあ、テレビに出てた時もあんまり誰とでも仲良くなるようなタイプじゃないと思ってたけど…」

「なんだか、あまり仲良くなれそうにない気がしますね…」

 

あきらも同意する。ファンとしての補正が効かないあきらは、響や快翔よりも素直な反応である

 

「それにしても快翔くん、意外と落ち着いていますね。ファンだった風鳴翼に会えたというのに」

「ええ、まあ、本音で言えばサインの一つでももらいたいところなんですが、さすがに状況が状況なので」

 

あきらの問に答えると、快翔は翼を見る。こちらのことは全く気にも留めていないようだ

 

「すみませんみなさん。決して悪い方ではないのですが…」

 

緒川が笑いながらフォローに入る。マネージャーとして、翼といることが多い緒川は思うことがあるのだろう。

 

「さあ、皆さんご案内します。ついてきてください」

 

緒川の先導に、響、快翔、あきらは黙ってついていく。ただ、一般人である響はその緊張感に耐えられないのか、それとも自分が通っている学園に何か秘密があるのが信じられないのか、妙にそわそわしている

 

「あの、ここって先生たちのいる中央棟、ですよね」

「「「「・・・・・・」」」」

 

空気に耐えきれなかったのか、響が恐る恐る聞く。が、それにこたえるものは誰もいなかった。やがてエレベーターに乗り込むと、緒川が端末をかざす。すると、壁の一部が展開し、手すりがせり出す

 

「さあ、つかまってください」

 

緒川が促し、あきらと快翔はそれに従う。響は手錠ということもあってか、緒川が誘導していた

 

全員が手すりを握ると、ガコン!と音を立てて、ものすごいスピードでエレベーターが下降を始める

 

「うおっ?!」

「きゃっ?!」

「ぎゃあああああああああああ?!」

 

初めて乗った三人はそれぞれ悲鳴を上げた。快翔とあきらは短いものだったが、響のそれはドップラー効果を生み出すほど長いものだった

 

 

「ずいぶんと下がるんですね」

「ええ、機密事項なので」

 

三人が悲鳴を上げてからしばらくたったが、一向にエレベーターは止まる気配がない。快翔は独り言だったが、緒川が拾う。しかしそれだけで、また沈黙を五人が包んだ

 

「あ、はははは…」

「愛想は無用よ」

 

耐え切れずに響が漏らした苦笑いを、ピシャリ、と翼が遮る

 

「これから向かう場所に、ほほえみなど必要ないから」

 

 

翼の言葉は響に向けたものだったが、同時に視線は快翔も捉えていた

 

「そんなににらまないでくれよ。別に暴れようなんて気は無いんだから」

「わかっているわ。私はあなたのその余裕そうな態度が気に食わないの」

 

軽口で返した快翔に、翼は殺気だった声で返す

 

「あんたこそ、そんなに気を張り続けてるとそのうち倒れちまうぞ」

 

快翔の言葉に思うことがあったのか、翼はそれっきり黙ってしまった

 

背後では緒川が小さく息を吐くが、それに気が付くものは誰もいなかった




べ、別に次遅くなるのは千の刃濤桃花染の皇姫をやるからじゃないんだからね!
次かその次でもう一度用語解説を挟む予定です

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