ぐるめにいこぉう   作:猫座頭 (旧名ねこです。)

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ねこです。

今回のMVP緑谷出久。

よろしくおねがいします。




いちげぇき

その瞬間

 

 

 

周囲は何が起きたのかわからなかった。

 

 

 

 

傍観していた死柄木も

 

 

齧りついたカニバルも

 

 

齧りつかれたイレイザーヘッドも

 

 

 

ただこの場で理解出来てたのは…

 

 

 

 

カニバルの頬に拳を穿つ

 

 

緑谷出久だけであった。

 

 

 

 

 

 

数分前……

 

 

 

水難ゾーンに飛ばされた緑谷出久は同じく蛙吹梅雨、峰田実とともに見事ヴィランを一網打尽にしていた。

 

 

無事…とはいかず作戦で緑谷は左親指と中指が骨折してしまっていたがそれ以外は大きな怪我もなく作戦は大成功であった。

 

 

「あれで全員でよかった…もっと冷静に…念のために何人かいても可笑しくない…ほんと運がよかった……」ブツブツブツブツ

 

「緑谷ちゃん、怖いからやめて」

 

緑谷は自身の反省を呟いていると蛙吹に止められる。

 

「次どうしようかしら?」

 

「とりあえず救けを呼ぶのがいいかな…このまま水辺に沿って出口に向かうのが最善かな」

 

 

これからどうするのか。緑谷はそのことを考えていた。

 

「先生が広場で敵を引きつけている…でも多すぎる。正直先生はムリをしていると思うんだ」

 

「えっ?緑谷まさか……」

 

「ケロ」

 

緑谷が何を考えていることに蛙吹と峰田は不安を抱く。

 

「いや邪魔になることは考えてないさ!でも…」

 

緑谷がなぜそのようなことを考えたか。敵の多さともう一つの理由があったから。

 

「先生がさっき13号先生に指示を出すとき『特殊対策ヴィラン』って言っていたんだ」

 

「特殊対策ヴィラン?なんだそれ?」

 

「あまり詳しくないけど……ヒーローにしか情報公開されないヴィランらしいんだ」

 

これが緑谷の不安の種であった。

 

「おそらくその『特殊対策ヴィラン』がいるんだと思う」

 

「はぁあ⁉︎ならなおさらやめた方がいいって‼︎ぜってーロクな奴じゃねえよ‼︎」

 

緑谷の言葉に峰田が吠える。

 

「だからこそ先生の負担を減らせたらと思っているんだ」

 

「そうね。それにどのみち広場を通らないと出口に行けないもの」

 

しかし2人によって峰田は鎮められてしまった。

 

「っ〜〜〜!お、俺は危なくなったら逃げるからな‼︎」

 

「僕もそのつもりだよ。あまりに危険だったら隠れて出口に向かおう」

 

峰田をなだめ緑谷一行は広場へ向かう。

 

 

緑谷は先ほどの作戦がうまくいったために自身の力がヴィランに通用したと過信していたのだ。特殊対策ヴィランもなにか手伝えるのではないかと。

 

 

 

 

でもその自信は打ち砕かれた

 

 

 

 

 

視界に映るのは相澤先生、イレイザーヘッドが一方的に嬲られてる様子によって。

 

 

 

 

 

「………なっ……」

 

声は出なかった。

 

あの先生が、プロヒーローである彼が手も足も出ずにボロボロにされてる。

 

それだけでいっぱいいっぱいだった。

 

「嘘だろ……先生が……」

 

他の2人もそうだった。

 

無理しているとわかっても自分たちより強い先生だ。そう易々とやられる訳がない。

 

そう思っていた。

 

「…あれじゃ…先生が危険だわ」

 

蛙吹は明らかに命の危機が迫る先生を見て悲しげに呟く。

 

「おい緑谷ぁ……あれでも先生を救けるのか……?」

 

峰田の絞り出したかのような声を出す。

 

「救けたい……だけどあの様子だと救けたらこっちも先生も危ない……」

 

 

緑谷は先生を嬲る男を見つめる。あの男が『特殊対策ヴィラン』だ。そう確信していた。

 

遠目から見てもわかる邪悪さ。肌に感じるピリピリとした狂気。只者ではない。

 

「だけどあのヴィランは先生しか見えてないみたい……だからそこを突けば………」

 

だが緑谷は感じた。周りにもヴィランがいるにもかかわらず注意を先生だけに向けているように…

 

 

 

「はぁぁあ⁉︎バカお前あんなのの隙なんてあるわけねーじゃん!頭冷やせ‼︎」

 

「ケロ。そうよ緑谷ちゃん。それは峰田ちゃんに賛成よ」

 

しかし緑谷の案は2人に却下される。あまりに無謀と。

 

「で、でも……!」

 

緑谷もその無謀さには気づいていた。だが彼の心の奥底にあるヒーローとしての素質が見捨てたくなかった。

 

「むしろ早く出口に行って救けを呼んだ方がいいわ」

 

「そうだな!そうしよう‼︎」

 

だけど2人の猛反対には抗えなかった。緑谷は理性で救けたい気持ちを抑え込んだ。

 

「……分かったよ」

 

 

こうして一行は出口に隠れて向かって行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時緑谷は何かを感じた。

 

ふと先生の方へ振り向くと先ほどまで先生を嬲っていたヴィランが先生の傍に屈んでいた。

 

そして先生の腕を持ち上げ祈る所作をした。

 

緑谷にはこれから起こることが恐ろしく思えた。

 

 

 

ヴィランは先生の腕に齧りついた。

 

 

 

「……蛙吹さん…」

 

「?」

 

「ごめん‼︎」

 

「‼︎」

 

 

 

 

緑谷は飛び出した。

 

右足にワン・フォー・オールを発動しヴィランに向かって行く。

 

蛙吹や峰田が止められるはずもなく2人は驚愕した。

 

 

 

まるで時がゆっくり進んでいるかのように頭だけが今の状況を理解していた。

 

 

(僕はバカか⁉︎なんで飛び出したんだ‼︎無理だとわかってそれでいて納得しただろ‼︎ああもう取り返しがつかない‼︎)

 

 

足は折れてはいるが必死ゆえに痛みに気づかない。

 

どんどんどんどんヴィランに近づく。

 

(もう…決めてやる‼︎)

 

覚悟を決め緑谷は緑谷は右手に力を溜める。

 

(卵が割れないイメージ‼︎)

 

あと1メートル。

 

(今だ‼︎‼︎)

 

 

 

 

 

「SMAAAASH!!!!」

 

 

 

ヴィラン、カニバルの頬に緑谷の一撃が決まる。

 

そしてこれが緑谷が初めて力の調節ができた瞬間でもあった。

 

 

 

 





ねこです。

一撃決められたカニバル。どうなるかな?

よろしくおねがいします。


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