逸見エリカの聖杯戦争   作:塩珈琲

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初投稿です。

以降はここに前回のあらすじを掲載していきます。
宜しくお願い致します。




第一話「主よ此処に」

 

 

 

 西住流本家まで送ってほしいと、お願いされたのは熊本港に学園艦が寄稿した初日。勿論二つ返事でキューベルヴァーゲンに乗り込んで幾ばくか、背筋がいつもよりしゃんとしてしまう空気を醸し出すその家に後輩として通される。お手伝いさん、の菊代さんに案内された客間で所在無さ気に佇む私にこの西住家の長女である隊長―――西住まほさんは珍しくもやわらかく微笑む。

 

「だいぶ長い話になるだろう、屋敷内は自由にしていて構わない。だが演習場はこの時間だと」

「存じています、西住流門下生ですから」

「ああ、では菊代さん。エリカを頼みます」

「はい。しほ様は離れにあります倉にてお待ちで御座います」

 

 倉、成程あってしかるべき物と言ったところかしら。と変に納得しているとまほさんは部屋から出て行き、あの菊代さんも気を使わせてしまったのか美味しいお茶菓子を持ってきてくれるとの事。一応、副隊長と言う役職の為失礼の無いようにと気を張っていたのに彼女からしてみれば年若い娘でしかないと言う事で…素直にご厚意を受ける事にする。

 さてと、見たところ多少年季を感じさせるものの掃除の行き届いた部屋は、内装が厳かな和風の趣があってやっぱり背筋が伸びてしまう。何度か訪れた覚えはあっても、ここまで長かったことが無いから気が張ってしまって―――え?

 

「鈴の……音?」

 

 見渡してもそれらしき物は見当たらないのに、不思議と響いて聞こえた鈴の音。

 気のせいだと思いながらも庭へつながる障子を開けて探してしまう。綺麗、愛らしい、そう言った賛美の言葉が不意に浮かんでしまってそれでもどこか悲しい、寂しい想いになるこの音はいったい何処から。

 

「エリカさん」

「は、はいっ!」

「ふふ、綺麗なお庭でしょう? 長年、決まった庭師が整えているので…これもまた四季折々様々な顔を見せて楽しませてくださいます」

「確かにその…美しい趣のあるお庭ですね。申し訳ありません、勝手に出てしまうなど」

「いいえ。お好きに、とまほ様から言付かっております。降りてご覧になられますか?」

「……折角なので、御言葉に甘えて」

 

 ああそうだ、と思い出して私は菊代さんに「この鈴の音はどこからですか」と尋ねて―――返された言葉に心臓が跳ねた。

 

 

 

 

「鈴、ですか? さて、私には聞こえません。恐らく、誰も鳴らしてはいない、かと」

 

 

 

 

 

 

 

 気を紛らわす為に西住家の庭園についてそれはもう菊代さんが困った顔をするまで質問攻めをしてしまった。本当に申し訳ないとは思うけれど自分だけに聞こえる鈴の音なんて、気が触れてしまったのかと思うじゃない。疲れの所為だなんても思いたくない、きっと気のせいでしかないと言い聞かせてそろそろ菊代さんとの会話のネタも切れかかった時、戻って来てくれたのは救いの人。

 

「隊長!」

「随分待たせた。学園艦に帰ろう、エリカ。…随分菊代さんと話していたようだが」

「庭園についてご教授頂きました」

「エリカさんはとても勉強熱心な方ですね。また、何か気になる事でもありましたらどうぞお気軽に」

「はい、ありがとうございます」

「慣れてくれる事は嬉しいけれど、……菊代さん。暫く私は西住家に戻れないかもしれません。お母様から恐らく、事情は話されるかと」

 

 家に帰らない? 事情、と言うのは戦車道に関する事なのかしら。菊代さんは何も聞かず頷いて私と隊長を見送ってくれるそう。結局家元にお会いすることは無かったわね。と、言っても私は今日はただの運転手なわけだし。

 停めてあったキューベルに先に乗り込んでエンジンを温めていると、不意に響く鈴の音。

 

「また…」

「ん? どうかしたか」

「いえ、あの……今鈴の音がしたような」

「ああそれは、……恐らくこれかもしれない」

 

 隊長の掌の上、そこには古びてはいるものの美しい(哀しい)輝きを放つ銀色の鈴が一つ。

 もしかして、さっきの音はこれだったの? 良かった、私だけが聞こえるとかそんな馬鹿げたことじゃ―――。

 

「けれど、おかしいな。これは鳴らないと思ったけれど……エリカ?」

「…いえ、いえ何でも、何でも無いです」

「そうか。しかし丁度いい、これは倉にあった物で今日付き合って貰った礼とは物足りないが綺麗だったのでエリカに渡そうと思っていた。エリカなら少し装飾を施して上手く使ってくれるかと」

「そんな、私は隊長の為ならこれ位当然で…お気遣い頂きありがとうございます」

「私とエリカの間柄だ。そう謙遜しないでほしい。…貰ってくれる?」

「……はい、ありがとうございます。隊長」

 

 鳴らない/鳴る筈の無い鈴を、隊長から頂いた。

 いやどうするのよそんな不思議感しかしない鈴、今更怖いのでお断りしますだなんて言える空気でもないし折角隊長が私にとくださった古びていても見れば惹かれてしまう美しさがあるこれを、そう、無下にしてはいけない気がして、結局は気のせいにして胸ポケットにしまい込む。

 

「では、そろそろ帰りましょう」

「頼む。…エリカ、行きよりも少し飛ばして、気を抜かず運転して欲しい」

「え? いえ、分かりました」

「…すまない」

 

 強張った隊長の声に首を傾げるまでも無く慎重に私はキューベルを発進させる。

 何故隊長がこの時気を抜かずと念を押したのか、それがただ単に私に事故を起こすなという事では無いという事を私はこの先嫌と言う程思い知るのだと―――胸の鈴が笑うように鳴った。

 

 

 西住家から出立して隊長は一言も話さない。元よりそれ程お喋りを楽しむ方でもないけれど、もう時刻は夕方を過ぎて夜になりかかった位。気を付けながらも速度を出して運転している私より、張り詰めた空気と言うものが横から感じられる。盗み見た横顔もいつもの凛としたお顔でも、戦車に乗る勇ましさでも無い……不安?

 

「エリカ」

「はっ」

「……いやすまない。運転に集中してくれ」

「いえ、あの……烏滸がましいとは思いますが隊長、何をそんなに身構えておられるのですか」

「っ、何を」

「いえ、申し訳ありません! 差し出がましく」

「いい。…そう、見えるのね」

「…はい」

「これはエリカにも、誰にも言えない事だから許して欲しい。でも、今私は……先行きに不安を感じていると言うしかない」

「先行き、ですか? それは戦車道関連の?」

「いや、戦車道ではなく……っ、止れ! エリカッ!」

 

 反射的にブレーキを踏み抜くつもりでかけながらハンドルをきる。摩擦で擦れる甲高い音を響かせながら車体は横にスライドして停車し、隊長は私を庇う様に引き倒し強すぎる風がキューベルごと私達を吹き飛ばした。

 身体に襲う衝撃に意識が飛びそうになったけれど隊長の焦った声に頭を振って弾けるように起きる。

 

 

 そして私は、見てしまう(知ってしまう)

 

「何、よ……あれ」

「ッ…まさかこんな早く、遭遇するとは」

 

 苦虫を噛み潰した顔で見据える隊長の視線の先、黒い靄を纏ったと言うか靄そのものが人の形をした何かが鋭い刃を構えてこっちを見つめている。異様な光景。約950kgある車体を吹き飛ばすには小柄過ぎる人影は、はっきりと目視できる鋭利なナイフを構えて佇む。

 誰が見たってわかる。あれはまずい。

 

「隊長、逃げましょう!」

「分かって、っく…!」

「脚ッ、出血もしています…さっき私を庇ったせいで!」

「違う、これは私の不遜だ! …エリカだけでも逃げなさい、エリカは本来巻き込まれ無い筈の一般人なのだから!」

「巻き込まれない、はず?」

 

 それは、もしかして―――隊長はあれが何かを知っている?

 それよりも今は逃げる事を考える方が先。車は使い物にならない、隊長は走れない。じゃあ、じゃあ。

 

「…囮…」

「エリカ? きゃっ、え、エリカ何をッ!」

 

 今一瞬凄い可愛い声聞こえたわああもうちゃんと聞いておけばよかった!

 後悔しながら隊長を抱きかかえて必死に車の陰に隠し、私はあの人影の眼前に飛び出る。壊れたサイドミラーを思い切り投げて、当たった瞬間叫びながら走る。簡単適当囮作戦!

 

「ノって来なさい不審者ッ!」

 

 道路から側道沿いの森林に逃げ込んで、後ろを振り向くと私へと視線を向け、追いかけてきた。

 後はもう振り返らずに走るしかない。戦車道には偵察任務もある、それだけじゃなくて鍛えるべき身体をボクササイズでも引き締めて体力づくりを怠っていないから、体力には自信があるけれど。

 

「何でッ、全力疾走するはめになるのよッ!」

 

 木の間を必死に駆け抜けて制服が枝で敗れても頬に傷がついても駆け抜けて、でも確実に私は距離を詰められてる。この感覚嬲られる直前、圧倒的力を持ってる者の余裕のような。狩り獲れる得物を前にして遊んでるなんて趣味が悪いにも程がある。

 けど確実に隊長から気を逸らせるならせめて、逃げられるようになるまでは。

 

「付き合って貰うわよッこの追いかけッわ、きゃ!?」

 

 強く地面に転んだ。迂闊にも私は木の根に気付かずに足を取られてしまってこんな時に不注意すぎる。

 そして聞こえるゆっくりとした足取り。見れば、相変わらずの人型靄。よくよく見れば子供の様な…小柄な人。

 

「おか……あ、さん」

「お母さん? ……母親、を…求めてるの?」

「おかあ、さんっ!!」

「っ、ぐッ!!」

 

 咄嗟に転がって避けたのはあの鋭利なナイフ。お母さん、と何度も言葉にするこの子供はいったいどんな存在なの。切っ先が服を掠める度避け切れるだなんて思わなくて、それでも必死にそれから目を逸らせない。目を逸らせないけれどだんだん見切れなくなってくる。

 スパッと自分の肉が裂ける感触、味わいたくなんて無かったわ。それで結局私は追われた兎、狩られる寸前。もう、隠れられる場所が無い所まで来てしまって…私は向き直る。全く顔が見えない狩人に。

 

「っは、何よ何でよッ…! どうしてこんな所で死ななきゃいけないのよ…ッ。ねぇ、あなた何なの? どうして、私達を襲ったの? 隊長は、何を…知っていたのよ」

 

 答えてくれる訳がない、か。寧ろ相手は私の言葉を理解しているかは分からない、同じ言葉を話せてもこちらをいきなり襲ってくる気が狂った人、いえ人ならざるものかもしれないのだから。血が滴る。避けた場所から激痛がする。それでも、最期まで気を惹きつけて起きたかった。

 私が死ぬまでに逃げてください、隊長……まほさん。

 願った瞬間、顔の真横を過ぎさるナイフ。次は、当てられる確信。死ぬかもしれない現実、高鳴る心臓昂る心、この緊張感は実際の命のやり取り。でも、狩られる側で終わるだなんてそんな、そんな事……認められない。

 

「聞きなさい、よ…そこの子供。私はね、苦労して今の場所まで来たの。でも、今の場所で満足してないのよ。きっとこの先私は倒さなきゃいけない人が沢山いる、尊敬するあの人も、…最近じゃよく話すようにまた触れ合えるようになったあの子もッ! 私はッ、倒したい、まだ戦車道を続けたい! まだ、生きたいのよ! けどみっとも無く命乞いなんてしないわ、絶対にッ!」

 

 心臓の部分、制服ごと握り締める様に、きつく、きつく掌の中。感じる何か。

 

「あんたにいくら傷つけられようと、諦めたりしない! 最期? ふざけないで! 絶対、絶対生き延びてやるわ、狩られる側だなんて最低! もう! そうね私を殺す瞬間まで惹きつけようと思った! けどこの脚はまだ動く、まだ私は!!」

 

 生き残ってみせるッ!!

 声高々に宣告した瞬間、手の中の鈴がリンと音を鳴らして、次の瞬間迫っていた人影が燃え上がる。火柱に包まれて後退するそれを眺めていると急に、左手が痛みだして―――これ、は…模様?

 

「その慟哭、その頑張り他の神様が聞き逃しても私の耳は聞き逃しません! 何処の誰かはこの際置いてしまって、宇迦之御魂神もご照覧あれ! この人は冥府には早すぎるので私が頂いてしまいます! ええだって―――この魂、きっと素敵な人ですもの」

 

 女性の、やけにハイテンションで場にそぐわない声。それから私の中が燃え盛る様に熱いと感じ/覚え硝子が砕ける甲高い音が辺りに響き渡る。

 そしてその一瞬を、きっと生涯私は忘れない。

 桃色の髪に、露出された肌と青色基調の和服、最も目につく正しく狐色の耳と、尻尾。

 

「し、尻尾……」

 

 思わず呟いてまで確認してしまった私の前に華麗に下り立って、その人(キツネ)は柔く微笑んだ。…のは一瞬。

 

 

 

 

「謂れは無くとも勝手に参上! 軒轅陵墓から御機嫌よう、良妻狐のデリバリーにやってまいりました! 貴女が私のご主人様―――です、よね? あれ? あれれ? ドン引き?」

 

 

 

 

 いや普通にドン引きだった。だって目の前にやけにテンションの高い和服美人と言うか、狐耳コスプレ女性って言うかが現れてしまえばこの緊迫した状況にはそぐわなさ過ぎる。夢、夢なの?

 

「現ですご主人様~!」

「誰がご主人様よ! あと勝手に人の心読まないで!」

「お口に出てますし、まずはあそこの擬きさんをタマ、…ではなく私【呪術師(キャスター)】がパパッとお片付けしちゃいます! ええもうそれは、消し炭も残らない程に」

 

 産毛が逆立つ気がした。テンションとは裏腹にどこまでも冷え切った声音は確かに、擬き、と言われたあの人影に向いていて…綺麗なその手に現れる文字の書かれた紙切れ。お札、のようなもの。

 

「まず、無礼にもご主人様を嬲り切り裂いた分」

 

 強い風が辺りを渦巻いて人影の身体を傷つけて、

 

「次に、生意気に私の炎を避けた分」

 

 いやそれは私怨じゃないの? 人影の足元から凍りつき、砕かれて、

 

「これがトドメの! 私より先にご主人様に出会った怒りの分ですッ! 炎天よ、奔れッ!」

「いやもう大半私怨じゃないのッ!」

 

 最期はもう圧倒的に。人影を言葉通りに燃えさせて、宣言通りに跡形もない。

 怒涛の展開に脳が追い付かなくて、何気普通にツッコミをしてしまってる時点で私は結構混乱しているらしい。命の危険は去ったけれど別の危険が目の前にいる。私を襲うどころかあれを倒してくれたことに、まず感謝をしようとして左手の激痛に、意識が。

 

「…何、これ…隊長…」

 

 耐え切れなくなって倒れ込む私を受け止めたのは…暖かで、柔らかな感触だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 頭が重い…のに後頭部が柔らかい? うっすらと、瞼を開けると酷く安心した表情を浮かべる―――隊長がいた。

 

「た、隊長ッ!?」

「そのままでいい」

 

 跳ね起きる前に押し返されてしまって、私はまた柔らかいと思った彼女の太ももの上に。もしかしなくても気絶してしまって、さっきまでの事は夢だったのかもしれない…とした淡過ぎる期待は軽々打ち砕かれる。左手の甲の痣によって。

 見た事も無い痣は何かの模様なのか、はっきりとそこに刻まれていてそれを見つめる私の視線に気づいた隊長が指を絡めて、え?

 

「すまない…」

「な、ななっ何がですかっ?」

「私は結果的に、エリカを巻きこんでしまった…こんな事なら一人で来るべきだったのに…」

「隊長? 巻き込んだって…えっと、夢……じゃなかったんですね」

「…その傷も、昨日会ったアレも全て、本当にあった事だ」

 

 そんな、泣きそうな顔初めて見ましたよ。

 知ってはいたけれどお優しいこの人の事だからまた、自分の所為と抱え込んでしまうんでしょうね。昨日のあれは私が隊長を護ろうと一人飛び出したことが直接的原因だとしても。自分がそこに関わるないし、この場合…関わる筈だった事、なのかしら? それに対しての責任感を持つとなるとこの人は人一倍だった。

 だからと言って、貴女の責任じゃあありません。気にしないでください。だなんて言ったってぴくりとも変わらない決意…なら。

 

「なら、最後まで巻き込んでください」

「何?」

「あの時一緒に居た私にも責任はあります。けれど隊長はそれを背負う事を良しとしてくれません。ならばそれを背負う貴女の傍でより巻き込んでください。最後まで居させて下さい…私は、一人で立とうとする貴女を放っておける程従順ではいられません」

「エリカ…お前は、分かっていない。昨日のアレだけでは済まない。アレだって何かを分かってはいないだろう」

「それでも、です」

 

 じっと見据える隊長の瞳。戦車道の時と同様に凛として、一切揺るがない私の憧れ。一心に注がれると思うと自然と胸が高鳴るけれど、浮かれてないで見返した。何を言っても揺るがないと、想いを込めて。

 はたと気付いたのは、今凄く恰好がつかないんじゃない? だって私、膝枕されている状況だし。と思った時には隊長が珍しく吹き出して笑っていて…肩さえ揺らす程。まぁ、先に顔を逸らしたのは隊長だったのだけれど。

 

「くくっ……ふぅ。まさか、エリカがそう言うとは思わなかった。いや、言ってくれればと…私はきっと無意識にどこかで期待していたのかもしれない」

「と、言うと?」

「嬉しいの。あれだけの怖い思い、…戦車道には無い本当の死ぬ想いを体験したのにエリカはまだ私の傍に居ようとしてくれる。私を責立てる事も、出来た筈なのに」

「…そんな、お顔をされている隊長を責立てるなんて非道私は許せませんから」

「随分と、優しい…それは私がエリカの隊長だから?」

「役職だけであなたを護ろうとはしません。……わ、私が西住…まほ先輩を尊敬していますから。それだけです」

「そうかそれだけ、か」

 

 少し、残念だ。とはにかんだのは、一体何故? 直ぐにきりっとしたお顔に戻ってしまって、私もいつまでも寝ているのは忍びないと起き上がった頃…いい香りが私の鼻孔を刺激する。ようやっと辺りを見回すとここはもうあの道路では無くて、どうやら西住邸に戻ってきた様子だった。造りの良い内装には見覚えはある。匂いの原因はと鼻をすんと鳴らすと隊長は立ち上がった。

 

「菊代さんにエリカの為に夕飯を頼んである、暫くそこで休んでいろ」

「お気遣い、ありがとうございます…情けない話まだ動けないので…」

「構わない。寧ろ…いや、何でも無い。貰ってくる」

「はい、お願い致します」

 

 見送った隊長は部屋から去り、残された私と言えばやっと自覚した節々のまだ滲む痛みに顔を顰めながらゆっくりと横たわる。それにしても、あれは夢じゃ無かった。あの斬りつけてきた靄の人型も…そして。

 

「英雄色を好む…とはよく言ったものです。ええ、良妻/私が見ているにも関わらず他所の女とイチャイチャイチャイチャ…」

「ッ、あ、貴女ッ!」

「おはようございます、ご主人様」

 

 一見にこやかに微笑むあの狐耳の女性。私を助けてくれた人。人?

 いえ、彼女は人ならざる…もっと言えばアレと似た何か。

 

「アレ? あああの、擬きさんですか。とんでもない、あんなのと一緒にされるなんて悲しゅう御座います」

「同じ、じゃないの…? と、言うか何故貴女までここに、そのいるんですか? 助けてもらってなんですけど」

「御礼などは要りません。私はご主人様…主となった貴女の魔力を媒介にして此処に居れる従者で御座います」

「まりょ…く? ちょっと、ちょっと待って大真面目な顔して何、馬鹿な事」

「大真面目な事で御座いますよ。まぁぶっちゃけ? ご主人様魔術師としての素養は一ミリ位と言いますか…殆ど貴女様の魂で選びましたが…んー…現界し続けるのは危うい、かも?」

「お願い分かる様に言って、と言うか何で狐…何でコスプレ」

「失礼な! これはれっきとして本物ですぅ! ご主人様が望むなら、あーんな感じやこーんな感じで! 確認されるのもやぶさかではない、みたいなって無理に御体を動かしてまで引かないで下さい! 流石に傷つきますぅ」

「ご、ごめんなさい…」

 

 これが恩人じゃ無かったら不法侵入者として叩きだしていたわ。

 それ程までに言動が逸脱したこの人は、悪い人ではないと思うのだけれど…とにかくいつからそこに居たのか。

 

「ずっと居ました。ご主人様がいつお目覚めしてもいいように、と。寧ろ! 膝枕は私の特権! 良妻の義務で御座います! それをこの家の娘さんが…まぁご主人様を休ませる場所を提供して頂いたのはありがたい事ですし、丁度いいのがまたここが霊脈と重なる場所って言うか」

「まさか、貴女隊長と話したの?」

「もう、さっきから貴女、なんて他人行儀! どうぞ私の事は気軽にお前、などと」

「いいから! …隊長は、貴女のことも知っているのね」

「ああ、知っている。寧ろ―――私が契約するはずだった」

 

 背後からの声に振り向けば、物悲しげに佇む西住隊長の姿。手に持った、美味しそうな料理がのった盆を置いて私―――ではなく、彼女に向き直る。

 

「昨夜は、私の後輩を助けて頂き有難う御座いました。…さぞ名のある方と、お見受けいたします」

「…貴女は現状を理解しているお方、ですね」

「隊長…あの」

「エリカ、彼女は…魔力を媒体として召喚された過去に偉業を成した英霊だ」

「英霊…魔力、隊長までそんな」

「これは嘘や御伽話じゃない。…本来なら西住が請け負う筈だった業の話」

「業…で御座いますか。兎に角、先ずはご主人様の御身の回復の為、ささ! こちら私があーん♡ してあげますので!」

「いやいいわよ! 話の腰折らないの!」

 

 えーいけずー! 等とブーイングを受ける私はもうかなりいっぱいいっぱい。魔力、つまりは魔法とする非科学的存在を大層真面目にええもう現実だなんて言われてしまえば、混乱だってしてしまう。これをすんなり受けいる事が出来るのはあの子と、…あの子の友人位のもの。

 菊代さんお手製のおかゆを冷ましつつ、私は一から隊長…そして女性―――キャスターに話を聞く事となった。

 

「まず、エリカ。あなたが契約をしたのはサーヴァントと呼ばれる一種の使い魔、のような者だ」

「使い魔、ですか。えっと…」

「よく魔法少女モノのアニメとか漫画とかでいません? こう、愛くるしいと言うかあざといと言うか僕と契約して魔法少女になってよ、みたいな存在。お助けキャラないし、魔法使いのいう事を聞く存在とお考えください」

「いう事を聞く、と言ってもことサーヴァント…従者に関して彼らは最高の存在だ。その元となるのは【英霊】。神話、伝説伝承上の功績が信仰を生みそれでもってして人間霊を精霊の領域とまで昇格した守護者であると考えて欲しい」

「つまるところ、その彼女も…人間、だったけれども幽霊…いえ精霊? としてここに?」

「ええっと、私はただの英霊では無いと申しますか寧ろ…いえいえ。私は神霊、の分類で御座います。じゃないと人間なのにこのキュートでラブリー♡ な尻尾がある筈じゃないじゃありませんか」

「…つまりは神様なの? えっと、キャスター?」

「はい♡ ……あ、冷たい。視線が肌に刺さります…主に、胸、に」

「何故胸を強調するのよ。見てないわよ。…で、その英霊、が契約をすると従者になる。それがサーヴァントなんですか」

「ああ…エリカは召喚術式をしなかったのか?」

「召喚、ですか。いえ…逃げるのに必死でしたし、九死に一生の場面でしたからね。そもそも私は魔法、なんてものはからっきしでしたし」

「では何故彼女が…」

「それはご主人様のお持ちの鈴が原因かと」

 

 これ? と取り出した鈴はチリンと綺麗な音を奏でる。キャスターが懐かしそうに触れて、曰くこれは彼女の拠り所…聖遺物だとか。

 

「成程これが触媒となって…。聖遺物と言うのはその英霊に連なる偉人、神霊が遺した物品だが…まさかそれが西住の倉にあるとは」

「これはどういったもの?」

「昔に貰った贈り物です。気に入ったので結構使っていた…それだけの物ですが所縁が深かったためでしょう、私は貴女様のお声を聞き逃す事無く出逢うことが出来たのです」

「成程、だから触媒…でも私召喚も何も考えられなかったわ。そう言うのはキャスターみたいな英霊が勝手に出来るものなの?」

「いいえ、一般的と言えば術式を用いますが…今回はレアケース。私は魔術師のサーヴァント、これ位の介入は聖杯の寄る辺が無くとも片手間に御座います。って言うかー、あーんなイケメン魂見せられたら意地でも放っておけない! おあげ食べてる場合じゃねぇ! って感じでした」

「あ…ああ…成程? で、話は戻しますけどサーヴァントについてはギリギリ、分かりました。この人が、…人? 神様? がえっと私を助けてくれて、契約したはいいんですけど…」

「ああ。エリカのその左手の甲に刻まれている紋様を見て欲しい」

 

 そこには確かに、紅い紋様。

 

「それは【令呪】、従者に対して絶対の命令権を持つ紋様、ただし三回までのリミットがある。そして同時にそれはマスターである事、そして…【聖杯戦争】参加者たる証でもある」

「聖杯戦争…え? え?! 隊長、戦争をするおつもりだったのですか?!」

「ただの戦争じゃない。魔術師、この場合マスターと一括りにするが選ばれた七人の術者が願いを叶える為に参加し、従者はその魔術師の代わりに戦う者のことだ」

「願いを叶える…それって可能なんですか?」

「ああ、万物全てどんな願い事でも叶う願望機…【聖杯】ならな」

「聖杯…聞いたことがあります。その、アーサー王伝説や、確か最後の晩餐においてキリストが振る舞ったワインを入れた杯…でしょうか?」

「広義には…アーサー王伝説の聖杯に近しい。最高位の聖遺物にして願望機である聖杯は、使用者の願いを叶える。聖杯戦争とはその派遣を七人のマスターそして、召喚に応じて志を同じくする七騎のサーヴァントによる戦争だ」

「……物騒な、話ですね」

「まぁこればかりなら私も早々にエリカを棄権させていたんだが…」

「棄権出来るんですか?」

「いや。それは出来ない。…すまないが本当に巻き込んでしまう」

「そこで首を振る程やわではありません」

 

 苦笑する隊長は佇まいを直す。

 

「今回は聖杯を求める戦争ではない…偽りの、聖杯戦争。その標的となるのは、疑似サーヴァント」

「疑似、サーヴァント?」

「従者については、従者が。と、私がご説明いたします。本来、呼び出される英霊は全てエーテルにより霊体としての肉体を得ます。ですが、元よりサーヴァントとして召喚するに問題のある英霊を人間の肉体を寄る辺に召喚される者の事を指します。その技術、ないし能力は英霊のモノですが生理活動の限界も、肉体的損傷もそっくりその寄る辺の肉体に来ます。つまり普通より頑丈じゃないんですよ」

「え、じゃあそれこそ本物の人間で…その人間が、ターゲット?」

「その通りだ。今回私…いや、西住と他のマスターたる人物に知らされたのは聖杯戦争についてと、疑似サーヴァントの危険性、そして排除目的とその後の報酬についてだった」

「じゃあ家元とのお話って」

「お母様は受諾した。まさか数代経って存在が忘れ去られていたとはいえ、魔術師としての素養がある西住の家が、国の危機に腰を上げない訳にはいかないと」

「国の危機、と言いましたか? 偽りの聖杯戦争…その真意、あなたは何をお聞きに?」

「私が聞いたのは7体の疑似サーヴァントを使って人造の聖杯を起動し、この国…ひいては人類を破滅させる計画がこの日本を中心として密かに計画されているとの事だ」

 

 もうここまで来たらお手上げだった。

 話を纏めましょう。片手をあげて待って貰い、キャスターがいつの間にか用意してくれたメモに書きとめて行く。

 まず、聖杯戦争。これはサーヴァント、とされる従者を召喚し聖杯と呼ばれる願望機をかけて七人が争うもの。一応これが本来の形であって、その召喚も触媒などを用いた術式が一般的。

 でも今回は、偽りの聖杯戦争としてその報酬は何か分からないにしろ選ばれたマスターがサーヴァントを使役して、疑似サーヴァントと呼ばれる敵を倒すことが目標。疑似サーヴァントは何故か人類の破滅を狙ってるつまりは悪の組織。

 

「成程ぶっ飛んでるわ…隊長、よく、理解されていますね」

「私も最初はお母様の気が違ってしまったのかとも思った、だけど…見過ごせない問題もある。真面目に受け取らざるを得なかったのだが」

「見過ごせない問題、ですか? 人類の滅亡だなんてスケールが大きすぎる問題を抱えるおつもりで?」

「いや、疑似サーヴァント。彼らは勿論、そのサーヴァントが生み出す昨日の靄の人影は分かるな?」

「あ、はいあれは…」

「あれはシャドウアーヴァント。従者の残留霊基、英霊を模した偽物に御座います。なので擬き、と呼んでいたのですけれど…ああいった類が現界、つまりはこの世に留まるにはエネルギーが必要とされるのです」

「そう、元よりサーヴァントですら術者の魔力を生命活動維持に必要不可欠とし、……その英霊にも寄っては人の魂を食べてしまう事例があると言う」

「魂を!?」

「わ、私は食べませんよ!」

「彼女は既にエリカと契約しているが、そこは後で話すにしろ…そのシャドウサーヴァント達は間違いなく現界する為に餌として人間を襲うだろう。そしてそれは自ずと、魔力の有る人間」

「でしょうね…しかもあの擬きは勝手に聖杯…ってあるのかも知りませんがあるんでしょうけど、それがぽんぽん生み出す訳ではありません。恐らくそれを生み出している親元は、その疑似サーヴァント。だからこその標的なのでしょう」

 

 魔力のある人間を襲う。確かに黙ってられないし、より身近な問題となってしまったけれど…ん? 魔力がある? 西住の家は確か、元々魔術師だったからって言うけどそれって、あの子にも。

 

「みほ、ですか」

「察しがいい。その通り。このままではみほが襲われる可能性もある。勿論それだけじゃないけれど…私としては何よりも避けたい。やっと平和で暖かな日常が手に入ったのに、それをむざむざ壊させる真似は絶対に認められなかったのよ」

「それは……。それは、貴女にも当てはまります。貴女一人が抱えるべき問題では、ありません」

「…ええ、だから。一緒に戦って欲しい、エリカ。私、西住流は全てをかけてエリカとキャスターさんをバックアップする。私もその為になら何だってする」

 

 真摯な瞳、揺るがない決意。ああこの表情こそ、私の憧れた西住まほ。

 その彼女が私に頭を下げている、頼っている。これ以上のこの人に頭を下げさせるのは正直こそばゆい。私は一瞬、キャスターを見て…やれやれといった仕草をしながらも首を縦に振られて、頷き返してから隊長の手を取った。

 

「私の目的は、隊長の傍で支える事です。副隊長として、ではなく逸見エリカとしてお力になれるのであれば」

「…ありがとう、エリカ。そして、キャスターさんも」

「私はご主人様が危険ならばお助けします、が基本はご主人様のご命令にのみ従います。その御心づもりで」

「私からも、ありがとう。昨日も、そしてこれからも…まだ分らない事ばかりで、色々教えて欲しいと思ってるわ」

「いいんですよ、もう! 水臭い! …マスター。これより先、シャドウサーヴァントは如何様にも出来ます。ですが疑似サーヴァント、そして…本来のサーヴァントにはお気を付け下さいませ。貴女様との連携、信頼がこれより先の命運を分つ鍵となりますことを御留意し、今はまだ信用されずともどうか…」

「変な事を言うかもしれないけれど、私は貴女を信用しているわ。信頼している、とまでは流石に昨日今日だから言い切れない。でも、私は少なくとも命を救われたし、私が呼び出したならその責任も含めて貴女を知り、共に戦って欲しい。だから、そうね…えっと。私を、マスターとして貴女が育てて、いつか、英霊である貴女に釣りあうように必ずなるから」

 

 キャスターは、その蜂蜜色の瞳をまんまるに見開いて……優しく細める。

 

「勿体ないお言葉です…けれどこれはチャーンス! ご主人様をより一層素敵な理想の旦那様に染め上げる絶好の機会! これぞ光源氏計画! キャッ♡ よーしまずは、奥さんを毎日もふもふするようになるために~」

「ごめん間違えたわって言うかマスターって言ったでしょう。何でそっちの方向なのよ!」

「……エリカ、英霊と言う者はこう、個性的だな」

「隊長も冷静に受け止めないでください!」

 

 相変わらず頭が痛いのはもう怪我の所為には出来ない。明らかに他が原因だわ。

 かくして私は図らずとも聖杯戦争と呼ばれる、討伐戦に参加することになった。勿論隊長の助けになりたいけれどもそれ一心では無く、…私自身もう踏み出してしまった以上は後戻りをしたくないから。それに、実際の、戦争。そのワードに引っ掛かりを覚えてしまって…その理由は、分からないままだった。

 

 

「では暫く、エリカは私の部屋に泊まるといい。作戦会議もしやすく、今後監督役からの連絡も受けやすいだろう」

「へぁ?!」

「はぁ?! ご主人様と二人っきりにとか許しませんからね!? 寧ろ私が一緒に暮らしますから!」

「な、もう、ちょっと、これ以上困惑させないで―――ッ!!!」

 

 

 

 夜の校舎で、その人の声が聞こえたのは、聞き覚えがある(馴染んだ声)

 優しく、強く、揺らぎが無い真っ直ぐな声はお姉ちゃんと一緒で誠実で…私が好きな人に似ている。そう、現実逃避をしてしまう位に目の前の異常は恐ろしくて、身体が震えて動けないままでした。

 黒い靄がかかった人は、拳銃を私にとゆっくり向けて、微笑む。もう一人の小さな人が持つ刃から滴り落ちる私の血液。本来人が賑わう筈の学校の廊下は薄暗くて、月明かりしか照らしてくれない。その床を紅い、紅い血が…彩っていく。

 

「――――」

 

 ああ、また。また聞こえる。もうそれは妄想でも幻聴でもなくて、確実に私に投げかける救いの合図。

 もう一度必死に、立ちあがって願う(祈る)

 

「素に、銀と…鉄。礎に石と、契約の大公」

 

 響く声に重なる私の声。胸の内がカッと熱くなって、左手に走る痛みも我慢して、私は…告げる。

 

「降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は…循環せよっ」

 

 向けられた銃口を意識して咄嗟に駆け出し、弾丸を避ける為に教室へ。斬られた腕の傷口を押さえるとべったりと手のひらを濡らす血が凄く怖かったけれど、私を勇気づけてくれる誰かの声が先を促す。

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)!」

 

 ―――そうよ、それでいい。

 

 そう言ったのは、誰なんですか。

 

「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する―――告げる! 汝の身は我が下に、我が命運はな、汝の剣に! 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」

 

 か、噛みそう…でも、あと少し。あと少しで私はこの声の人に、会える。

 この声の人ならどうにかしてくれる。さっきまで微かだった声量は今ははっきりと、私に届いているから。

 

「誓いを此処に! 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者! 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――ッ!!」

 

 最後はもう叫ぶように。教室を壊す勢いで入ってきたあの靄の人達を、何かが吹き飛ばした。

 天井が、壊れて月明かりが差し込むその中心――綺麗な白金髪の人の背中が見える。

 

「全く…鈍臭いにも程があるわ。けれど、貴女にしてはよく耐えた方よ。褒めてあげる」

 

 振り返ったその人、私にずっと助けを求める様に、自分と縁を繋ぐように声を掛け続けてくれたその人。

 月明かりに照らされる綺麗な、長い白金の髪。

 真っ白な肌と対照的な真っ黒な服装は、紅いラインが入っていてどこかの制服を思い出させる。何よりも、何よりも私が気になったのはその人の碧い、宝石みたいに綺麗な瞳でした。

 

「ぼさっとしないで立ちなさい」

 

 凛とした真っ直ぐな声、弾かれる様に立ち上がった私に、その人は―――彼女は、微笑みを浮かべてくれました。

 

「では、まずは形式に基づいて―――問いましょう。貴女が私のマスターね?」

 

 それが彼女―――アーチャーさんと、私…西住みほの、出逢いでした。

 

 

 

 一話 「主よ此処に」

 





キャスター

マスター:逸見エリカ
真名  :????
宝具  :?????????

ステータス

筋力:E
耐久:E
俊敏:B
魔力:EX
幸運:B
宝具:A

クラス別能力 陣地作成:C 神性:A
保有スキル  呪術:EX 変化:A

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