白銀の王   作:うたまる♪

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皆さんお久しぶりです!
うたまる♪です!

長い時間が空いてしまい申し訳ありません!

今まで手術やいろんな予定が入り書けずじまいでしたが、久しぶりに書いてみました。


久しぶりなので誤字などが多いと思いますが、そこは勘弁してください!


低評価の嵐が来るぞぉ(白目)


舞い降りる光

 マルド・ギールとグリモアが転移によって去った瞬間、駒王学園を覆う結界を破壊する程の大爆発が炸裂する。

 

 

 天照1000式

 天照100式が大軍を相手するために有効な広域型殲滅魔法だとするなら、天照1000式は小規模な国一つを殲滅するための超広域型殲滅魔法だ。勿論、その術式は瞬時に完成するような簡単なものではない。この術式は如何に優れた使い手だったとしても、開発者であるイースレイが使ったとしても魔法陣の完成に1分はかかる。その完成時間も誰にも邪魔されずに描けた場合の時間だ。

 だが、それはイースレイがこの魔法を開発した時の話。今はあの時よりも数百年の時が流れており、その魔法を知っている者がいるのなら術式を解明し、術式を改良し、効率化を図ることも可能だったかもしれない。そう考えれば少し時間を稼ぐだけで術式を完成できたと考える事はできる。

 

 

 天照1000式が発動する刹那、この中で超越者とも言われるサーゼクスとアジュカは自分たちが何をすべきか理解し、すぐさま行動に移す。

 

 

 サーゼクスは自分たちを覆うように滅びの魔力を練り込んだ防御魔法陣を展開する。

 サーゼクスは過去にイースレイから何度も指摘された魔力の発動までの時間を短縮する術を身に付けるために訓練を怠らなかった。そして、攻撃にのみ滅びの魔力を使うのではなく、防御にも滅びの魔力を使う事も覚えた。その守りは最上級悪魔の一撃を容易く塞ぐことが可能なほどの堅牢な障壁となった。

 アジュカはサーゼクスの意図を汲み取り障壁の外側に何重もの障壁を展開する。その障壁は強度こそ上級悪魔でも破壊できるような強度だが、アジュカの目的は攻撃を防ぐことではない。アジュカは自身の力では防ぎ切ることは不可能と断定し、防ぐことはサーゼクスに任せ自らは威力を殺すために何十もの魔法陣を展開したのだ。

 当然サーゼクスとアジュカもこれで防ぎ切ることはできないとわかっていた。だからと言って何もしなければ超越者と呼ばれる自分達、トップであるミカエル、アザゼルはともかく他のメンバーは死は免れない。大なり小なり怪我人は出るだろうが死人が出るよりはマシだと考え障壁を展開した。

 

 

 周囲に浮かび上がる術式が一際強く光り輝き発動する瞬間、周囲を霧が覆う。

 

 

 ドォォォォォォン‼

 

 

 天照1000式が発動し、アジュカが展開した多重障壁が次々と破壊されていく。アジュカが威力を殺すために展開した障壁は十全な役割を果たさず一枚、また一枚と破壊されていった。そして最後の砦となるサーゼクスの障壁は一瞬の均衡を保った後に容易く破壊される。如何に滅びの魔力と言えどその許容量を超過すれば耐えきれるはずもなかった。サーゼクス達は衝撃に備え身体に力を入れるが、それは杞憂に終わる。

 

 

「聖母の輝き」

 

 

 温かくもそれでいて安心できるような光がサーゼクス達を包み込む。その光はサーゼクス達に襲い掛かる破壊の波を受け流し、破壊の波すらも包み込む。

 

 

 サーゼクス達はその光景に目を奪われる。そんな中、ミカエルは唯一人その瞳から大きな滴を流す。

 

 

 破壊の波はやがて小さくなり、光に包み込まれ光とともに消え去る。

 

 

「まさか街一つを消し飛ばす大魔法を行使するとは。コカビエル(バカ息子)の時も冷や冷やしましたが、正気の沙汰とは思えませんね」

 

 

 サーゼクス達の窮地を救ったのは意外な人物。

 

 

 数百年間行方をくらましていた

 

 

(ババア)‼」

 

 

 ミカエルとアザゼルの驚愕の声が響きわたる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「初めまして、の方もいらっしゃいますね。私はヤハウェ、聖書の神とも呼ばれています。お見知りおきを」

 

 

 暫くし、マルド・ギール、グリモアが撤退したことで事態の収拾がつき、落ち着いたところでヤハウェは会談に参加したメンバーに挨拶をする。

 

 

「はわわわわわ!?ほ、本当に主なのですか!?」

 

 

「ゼゼゼ、ゼノヴィア!?わ、私達は夢を見ているのかしら!?」

 

 

「おおお、落ち着くんだイリナ!まずは夢じゃないか確認するためにお互い一発顔を殴るんだ!」

 

 

「天界では行方不明って言われてたから死んでいるかと思ってたけど、まさか神様が生きていたなんて」

 

 

「ふはっ、くはははは。まさか本当に神が生きていたとはな」

 

 

「この方が神…っすか」

 

 

 ヤハウェの登場にアーシアは狼狽え、イリナは夢では二の過と混乱、ゼノヴィアはそんなイリナに意味不明なことを口走る。デュリオはまさか本当にヤハウェが生きているとは思っていなかったようで驚きを隠せずにしている。ヴァーリはヤハウェが行方不明で闘う事が出来ないと考えていたことからヤハウェと闘う事ができることに歓喜の声を上げる。鳶尾はヤハウェが現れたことにどこかイマイチ実感できないと言った感じだ。

 

 

「聖書の神よ、私達の窮地を救っていただいたことに感謝します」

 

 

「頭を上げてください現ルシファー。トップたるもの軽々しく頭を下げる物ではありません。ですが貴方の誠意はありがたく受け取っておきましょう」

 

 

 サーゼクスの感謝の言葉にヤハウェは笑みを浮かべてながら返答を返す。ヤハウェの姿はまさにトップたる者の物腰だった。サーゼクスはそれを見て私も見なわらなければいけないな、と内心考えたりもするが今はそれよりも聞かなければならないことがあるため本題に移行する。

 

 

「恐れながら神よ、今までどこにいらしたのですか?」

 

 

 落ち着きを取り戻したミカエルは軽く膝をついた状態でヤハウェに質問を投げる。ミカエルの質問は此処にいる誰もが思っていることだろう。ヤハウェはそれに対して苦笑を零す。ヤハウェは明らかに言葉を言い淀んでいる。それにはこの場にいるトップたちはすぐに気が付く。

 

 

「私は今まで自身に課せられた使命に取り掛かっていました。そして、その過程の中で私は幾つもの謎を発見しました。その一つが貴方方も知っている謎の悪魔です」

 

 

「おいバb、じゃなかった。あんたはそのことについて何か知ってんのか?」

 

 

 アザゼルは滑りかけた口をすぐに閉ざし、まだまともな言葉に言い換える。間違ってもヤハウェにババアとでも言った時は、アザゼルはこの場で公開処刑を受けることになっていただろう。神とはいえ、女性にとって年の話題は何時になってもタブーなのは変わりない。

 

 

「先程アザゼルの口から不穏な言葉が聞こえた気がしましたがまあいいでしょう。今回は事態が事態なので聞き流します。確かに私はあの謎の悪魔については貴方方よりも知っていることは多いはずです」

 

 

「そうか、なら合理的に、かつ端的に説明を頼む。あまり時間はない」

 

 

 アジュカが言う『時間がない』と言う言葉の意味はトップたちには理解できたが、他の者達は怪訝な表情を示す。本来ならヤハウェから1から10まで話を全て聞くことが良いのだが、生憎とそんな時間はない。マルド・ギールとグリモアがこの会談中に攻撃を仕掛けてきたのなら冥界、天界にも何かしら敵からの攻撃を受けている、またはこれから受ける可能性がある。その可能性も踏まえて勢力のトップである彼らは早目に話を切り上げなければいけないのだ。

 

 

「では結論から言いましょう。あれらは自然に生まれ育ったものではなく、人為的に生み出された者です。いえ、者と言うのは適しませんね。あれは物ですから」

 

 

「物だと?それは一体どういう事なんだ?」

 

 

「簡単なことです。あの謎の悪魔達の正体は高濃度の魔力が結晶化された姿。そして、一冊の魔導書なのです」

 

 

「「「なっ!?」」」」

 

 

 ヤハウェの言葉に一同は騒然とする。アジュカやアザゼルは「魔導書にあの膨大な魔力を?」「理論的には可能かもしれないが」「いや、やはり非論理的だ」などブツブツと言葉を繰り返す。サーゼクスとミカエルはその魔導書を創作したとされる黒幕の存在を考え始める。

 そんな中、セラフォルーはヤハウェにある質問をした。

 

 

「ねえ、話の腰を折っちゃって悪いんだけど、ヤハウェさんはお兄ちゃん、イースレイ・シトリーについて何か知っていることはある?」

 

 

 セラフォルーの言葉にわずかに反応するヤハウェ。一瞬だが、ヤハウェの表情が硬くなったのをセラフォルーは見逃さない。彼女は兄の事となるとかなり敏感に反応するのだ。

 

 

 ヤハウェは自身の中で起こったわずかな動揺をセラフォルーに悟られたに気づいた。だが幸いにも気が付いたのは彼女だけだ。セラフォルーさえ丸め込めればこの場を凌ぐことはできるだろう。だが、セラフォルーは嘘は絶対に許さないと言わんばかりの眼光でヤハウェを見つめている。

 

 

(どうやら嘘は付けそうにありませんね)

 

 

 セラフォルーの眼光に参ったわけではないが、イースレイについて知っていることは話さなければいけないようだ。ヤハウェは観念して自身の情報を開示する。

 

 

「ええ、少し程度なら知っていますよ。彼も彼なりにこの事態を鎮静化するために独自で動いています。念のために行っておきますが、私はイースレイの連絡先や居場所は全く知りません。心当たりのある場所はいくつかありますが、今はそんなところに人員を割いている時間はないでしょう」

 

 

「イースレイさんは生きているのか?」

 

 

「はい、イースレイ(・・・・・)は生きていますよ(・・・・・・・・)

 

 

 ヤハウェの言葉にサーゼクスとセラフォルーは喜び、アザゼルは「本当にあいつが生きてんのか?」「いやいやいや、そんなわけがねぇ。心臓が止まってたんだぞ?」「もし会ったら解剖でもしてみるか?」などと混乱気味の言葉を口にしている。

 

 

「私が知っている情報はいくつかあります。一つはイースレイ・シトリーが生きていること。二つ目が謎の悪魔の正体。三つ目が神殺具(ロンギヌス)の現在の所在。四つ目が若干推測になってしまいますが謎の悪魔の目的。以上が今の私が知っていることですね」

 

 

 何度目かわからない驚愕が一同を襲う。一つ目と二つ目はまだわかる。だが、三つ目と四つ目は看過しがたい情報だった。

 

 

「おいこのクソババア!神滅具(ロンギヌス)の所在を知っているって本当なのか!?」

 

 

「当然です。誰が神滅具(ロンギヌス)を生んだと思っているんですか。それとババアじゃありません。いい加減にしないと貴方から先に葬りますよ?」

 

 

「ヤハウェ、アザゼルは煮るなり焼くなり好きにしていいが『おいちょっと待て!』神滅具(ロンギヌス)が今相手側にいくつ渡っている?それと奴らの目的なんだ?」

 

 

「現在神滅具(ロンギヌス)は相手側に二つ手中にあります。そのうち4つは私が持っています。6つは貴方方の各陣営が保持しているので問題はありませんが、問題は残りの一つです。残りの一つが場所を特定しずらく、さらに各地に転々としているので発見が困難になっています」

 

 

「マジでいい加減にしてくれよ!あんたはどんだけ爆弾を落とせば気が済むんだよ!なんであんたが神滅具(ロンギヌス)を4つも確保してるんだ!?てか、二つも相手側に渡ってんのかよ!しかも俺らの各陣営に6って、数が合わねえじゃねーか!」

 

 

 アザゼルのマシンガンのようなツッコミが炸裂するが、流石聖書の神。そんなことをものともせず話を続ける。

 

 

「四つ目の目的についてですが、それについては話せません。あくまで推測がはいっていますので、確実性に欠けます。余計な先入観は思考を鈍らせるだけでしょう。ですので私からこのことはまだ話すことができません」

 

 

「ふむ、確かに下手な先入観を持つことは控えるべきだな。忠告感謝しよう。では最後に今後はどうするつもりなんだ?」

 

 

 アジュカの言う今後とは聖書の神ヤハウェの事についてだ。

 

 

 今までヤハウェの代理としてミカエルら熾天使が天界を支え続けていたが、それにも限界はある。本来ならすぐに戻るべきなのだろうが、ヤハウェにはそれはできない。ミカエルらにも役割がある様にヤハウェにもヤハウェにしかできない役割がある。

 

 

「本来なら今すぐにでも天界に戻るべきなのでしょうが、それはできなのです」

 

 

「何故ですか!?私達では天界を総括することは困難です!我々にはまだ神の力が必要なんです!」

 

 

 やはりと言うべきかミカエルはヤハウェに再び天界を纏めるように懇願をする。確かにミカエルらではヤハウェの代わりにはなれないが、何もヤハウェの様になる必要はない。ミカエルはヤハウェにはできない方法で今の天界を纏め、勢力を維持しているのだから。

 

 

「ミカエル、今の天界は貴方方熾天使がまとめていると聞きます。貴方達は既に私の手から離れました。今更私に縋る必要もありません。ミカエルには今後も天界を纏めていってもらいたのです。私も、私の務めを果たさなければいけません」

 

 

 ミカエルもここまで言われては反論するわけにはいかず

 

 

「わかりました。ですが、神の場所は常に空いております。神の帰るべき場所は常に天にあります。何卒それをお忘れにならないでください。私達は何時までも神を待ち続けております」

 

 

 ミカエルの返答に満足したヤハウェは満足そうに天使の様ににっこりと笑顔を浮かべる。

 しばらくするとヤハウェの周囲を霧が覆う。

 

 

「ではみなさん、私はそろそろ失礼させていただきます。今後も私は陰ながら助力をさせていただきます。くれぐれも神滅具(ロンギヌス)所持者は丁重に扱ってください。万が一があるといけませんので」

 

 

 

 ヤハウェは一方的に言葉を告げ、霧と共に再び姿をくらました。

 

 

 

 こうして、三大勢力の会談は終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 会談を終えた各勢力の動きは早く、アザゼルは堕天使領に戻り、重要な物資や研究材料を全て悪魔の領土に輸送を開始する。アザゼルも半ば信じがたいことだがあのイースレイが思念体を使ってまで無駄なことを言うはずがない、と考え被害予測も考えながら悪魔領土へ移住準備を進めた。

 

 

 サーゼクス達は今回の会談の結果を上層部に伝え堕天使の受け入れ態勢に移る。当然市民や上層部の一部は反対する者がいたが、そこは和平、今後の悪魔の為にと言う言葉を巧みに使い反対派の意見を封じ込めた。

 

 

 天界は聖書の神ヤハウェの行方が知れたことから活気に満ち溢れていた。それに伴って過去に行われた非人道的な実験の完全廃止、悪魔、堕天使陣営との交流を行うための人選などを行った。

 

 

 




矛盾や間違いがあると思いますが、そこは優しく指摘していただけると幸いです。

今後も気ままに更新していきたいと思います。

よろしくお願いします。

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