気まぐれで投稿していますが、此処までたくさんの人が読んでくれるとは思ってもいませんでした。
皆さんには感謝してもしきれません!
今後も気まぐれになりますが、投稿していきたいと思います。
では本編をご覧ください。
何と退屈なことだろうか……
背中に12枚の漆黒の翼を広げた堕天使が、眼下の出来事を冷ややかな目で見下ろす。
眼下には地面を這いつくばり、こちらを憎らしげに睨みつけてくる悪魔と教会の戦士が見える
堕天使の名前はコカビエル。過去の三つ巴の戦い、二天龍との戦闘で生き残った
コカビエルがこのような暴挙に出た理由は表向きには戦争を再開させるためだといっているが、実は違う。本当の理由はあることを確かめるためだ。第一、このような小規模な出来事で戦争が起きるならとうの昔に三つ巴の戦いの再来は訪れているだろう。コカビエルは三つ巴の争いを再びしたいという願望もあるが、それ以上に確認したいことがあった。
コカビエルは今回のような暴挙に出ればもしかしたら自分の望みがかなうかもしれないと思い、今回の騒動を引き起こした。
「くっ!ここまで実力差があるなんて……」
紅髪の少女、リアス・グレモリーは自身の認識の甘さを後悔しながらコカビエルを睨め付ける。だが、睨めつけるだけだ。それ以上の事をすることができない。なぜならすでにリアスは眷属総動員させ、コカビエルに戦いを挑んでいる。そして、なす術もなく、返り討ちにされたのだ。
コカビエルは目の前で這いつくばるリアスを鼻で笑う。
「はっ!この程度の力しか持たんとはな。大戦時では貴様程度の実力は下の下だ。その程度の実力で俺に挑むとは、貴様は無能なのか?」
コカビエルの言葉に言い返すことができないリアス。
「ま、まだ……負けてねぇ……!」
そんな中一人の少年が立ち上がる。
「ほう、まだ立ち上がる気力を残していたか………だが見苦しい。赤龍帝、今の貴様の力では俺に到底かなわん。勇猛と無謀は違うぞ?」
気力を振り絞りその場から立ち上がった赤龍帝、兵藤一誠を見るにも耐えんと言い、コカビエルは少し強めの光の槍を作り、地面に投げつける。
一誠はその衝撃波だけでその場から吹き飛ばされ再び地面に叩きつけられる。
「つまらん、実につまらんな。やはり貴様ら程度では何の感慨もわかん。見るに耐えんほど脆弱だ」
コカビエルは12枚の翼を閉じ、地面に降り溜息を吐く。目的の物は見つからず、噂に聞く赤龍帝とサーゼクスの妹、教会から派遣された聖剣使いは脆弱過ぎるほど弱い。大戦を生き抜いたコカビエルにとって、この程度の戦いはほんのお遊びに過ぎない。全力で戦うことはできなくとも少しぐらいは楽しめると思っていたせいか落胆も大きい。
コカビエルは溜息を吐き、全てを終わらせようと力を解放しようとした瞬間
「———————ッ!この龍の波動は……白龍皇か!」
コカビエルはここから少し離れた上空から発せられる心地よい龍の波動を察知する。
コカビエルは歓喜した。
つまらん戦いだと思っていたが、コカビエルもまさか赤龍帝に惹かれ白龍皇までこの場に現れるとは思っていなかった。コカビエルはようやく血沸き肉躍る戦いができると思い12枚の漆黒の翼を再び広げる。
パリンッ!
校舎を覆っていた結界が破壊され、空から白い鎧を纏った謎の人物が校庭に着陸する。謎の人物から膨大な魔力と力強い龍の波動が発せられる。
コカビエルはその姿を見て歓喜に震え、確信した。
目の前の敵は自身に匹敵するほどの力を持つ強者だという事を
コカビエルはまずは挨拶代わりに光の槍を三本ほど掃射する。白龍皇はその攻撃を最低限の身体捌きで躱し、コカビエルに肉迫する。コカビエルはそれに応じるように両手に光の剣を作り、迎撃態勢を整える。白龍皇は背中に展開されている光の翼から魔力を迸らせながら加速する。コカビエルの光の剣と白龍皇の拳が衝突し、辺りに衝撃波が走る。二人の一撃に耐え切れず、地面は陥没する。
白龍皇の拳とコカビエルの光剣が鍔迫り合いのように火花を散らす。
「うれしいぞ、白龍皇!貴様のような強者と闘うことができるとはな!目的とは関係ないが、これは嬉しい誤算だ!赤龍帝は相手にならんが、貴様は違う!俺と同じ。同類の匂いがするぞ!」
コカビエルは先程と打って変わって饒舌に歓喜の声を上げる。
「アザゼルの命令で仕方なしに来たが、これは想定外だ………実に俺好みの展開じゃないか!」
「ククク、フハハハハハ!どの口が言うか!同じ俺にはそのような戯言は通じんぞ!本当はアザゼルの事なんかどうでもいいはずだ。貴様は強者の匂いを嗅ぎつけここに集ってきた、俺と同じ……同類だ!」
それが開戦の銅鑼となった。
交錯する漆黒と白い閃光。コカビエルが光の槍を投げる。白龍皇は圧縮された魔弾を放つ。互いの一撃がぶつかり合い相殺される。何度も白と黒がぶつかり合う。
白龍皇の能力は半減、触れた物の力を半減し自身の力の糧にする。そんな凶悪な力を持っている白龍皇だが、白龍皇は何故か攻めきれずにいた。
コカビエルは大戦時にアルビオンと戦闘したことがあり、白龍皇の能力の凶悪さを身をもって知っている。だからこそ、コカビエルは白龍皇相手に近づくことはせず、中距離、遠距離から光の槍を掃射し、牽制する。もしも、白龍皇が一瞬でも隙を見せればコカビエルは防戦から一転し、攻勢に出るだろう。そこからは白龍皇が攻める手立ては限りなく少数となる。故に白龍皇は常に最善の手を打ち続け、コカビエルを攻め続ける。
そんな緊迫した状況が続く中、白龍皇の攻撃が乱れる。時間にして数コンマ0秒ほどの短い時間。そのわずかな綻びをコカビエルは見逃さなかった。
コカビエルは数十もの光の槍の一斉掃射し、白龍皇の視界を封じる。白龍皇は急降下し、地面擦れ擦れになりながら回避する。コカビエルはこの好機を逃さんと言わんばかりに上空から光の雨を降らす。白龍皇は左右に移動しながらギリギリの状況で躱し続ける。
「流石と言うべき実力だ。堕天使幹部武闘派は伊達じゃないという事か!」
白龍皇はコカビエルの攻撃を紙一重で躱しながら反撃を行おうとするが、コカビエルは一切手を緩めず、白龍皇を追い詰めていく。コカビエルは理解していた。この好機を逃せば、白龍皇を仕留めるのは難しいことに。
事実、白龍皇は未だ手の内を全く見せておらず、奥の手を使用すればコカビエルを葬ることなど造作もない。だが、奥の手を使うには少なからず準備が必要であり、今の状況ではとてもじゃないが準備をすることなどできない。単純な力量差で言えば、
それ故に白龍皇は後手に回らざるを得なくなっていた。
「どうしたどうした!逃げてばかりでは二天龍の名が泣くぞ!」
「やけに口数が多いな!堕天使は口を開き続けなけば戦うことができないのか?」
「ほざけ!これほど心躍る戦い、血が騒いでたまらん!」
白龍皇は光の槍を弾き、時には躱しながらコカビエルに肉迫する。
白龍皇は魔力で強化した拳を、コカビエルは光を収束した拳を引き絞る。互いの拳が衝突する瞬間
一つの閃光が上空から流れ落ち、二人を吹き飛ばす。
「懐かしい龍の波動だ………」
銀色の髪
優しそうな風貌
のんびりとした口調
コカビエルが待ち望んでいた、コカビエルが態々ここまでの事をしてまで確かめたかった事。
コカビエルは本日2度目の歓喜に打ち震える。
「やはり生きていたか!イースレイィ!」
白銀の王が再び表舞台に現れた瞬間だった。