白銀の王   作:うたまる♪

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連☆続☆投☆稿!

全開の話が短いと思ったので慣れない連続投稿をしてみました!


急ぎ書いたので誤字があると思いますが、そこはご了承ください。
見つけ次第すぐに訂正させていただきます。


やっと原作が開始します!

此処からはイースレイの物語ではなく、原作主人公である兵藤一誠の物語が始まります。
原作とは少し相違点があると思いますが、其れでも言い方は閲覧してください!


ではどうぞ!


第二章 人外の巣喰う街
兵藤一誠


 夢をみた

 

 

 

 紫色の空

 

 

 荒れ果てた大地

 

 

 燃え盛る森

 

 

 

 そんな現実からかけ離れた場所で、1人の男と一匹の赤いドラゴンが戦う夢を見る。

 その戦いは壮絶で、アニメや漫画のような綺麗なものではなく、命を賭けた生々しいものだった。

 

 

 俺はこの夢を何度も見た。

 

 

 俺はこの夢の結末を知っている。最後は決まって赤いドラゴンがやられ地に落ちる。

 

 

 勝利した男は嬉しそうに喜ぶ事もなく、唯悲しそうな表情で赤いドラゴンを見下ろしている。俺はこの時の男の人の悲しそうな眼は夢が冷めても忘れることができなかった。

 

 

 その男の最後は急激に老化していき、地面に倒れると言う余りにも悲惨な結末を迎える。そこで俺の夢は終わりを迎える。

 

 

 この光景を見て俺は泣きそうになる。

 

 

 戦いに勝ったにもかかわらず、あんなに悲しそうな表情をして、最後は死んでいくなんて、それじゃあ、あの男の人は報われない。

 

 

 何故そこまでして戦ったのか

 

 

 何故その結末を受け入れたのか

 

 

 俺はこの夢が終わりを迎えるとそんな風に悩まされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「——————————ッ?!またこの夢か………」

 

 

 俺は眼から流れる涙を拭いながらベットから降り、ベトベトと張り付く汗にまみれた服を脱ぎ、身体をふく。

 

 

 あの夢を見た後はいつもそうだ。起きたら眼からは涙が流れていて、身体中に嫌な汗をかいている。

 

 

「5:30か……」

 

 

 俺は目覚まし用のヤンデレボイスの時計を眺める。この時間なら親も起きていないだろう。俺は身体にべたつく汗を流すために風呂に入り、汗を洗い流す。風呂から出た後は自分の部屋に戻り、髪を乾かし制服に着替え下に降りる。

 

 

「あら、イッセーにしては珍しく早いわね」

 

 

「おはよう父さん、母さん」

 

 

 俺はテーブルに朝ごはんを並べる母さんとすでに椅子に座り新聞を広げながら朝食を食べる父さんに挨拶をして椅子に座る。今日もおいしそうなご飯だ。

 

 

 俺は手早く朝食を済ませ、鞄を片手に家を出る。

 

 

「いってきまーす」

 

 

「いってらっしゃい」

 

 

 俺は家を出ていつもの通学路を歩く。俺の学校は元女子高で有名な駒王学園だ。俺がそこに進学した理由は偏差値が高かったからでも就職に有利だったからでもない。そう!女子が沢山いる学園で俺のハーレムを作るためだ!男だったら一度は憧れるだろうハーレム、俺は駒王学園に入学できた時は感動に涙を流した。そして、元女子高と言うのもあって、周りは女子ばっかだ!ここから俺のハーレム伝説が始まるぜ!と思っていた時期も俺にもありましたよ。でも現実は非情だった。

 入学しても女子と接点を作ることは愚か、話すことすらも難しかった。そんな感じで彼女を作ることもできずにあっという間に一年が過ぎていった。そして、そんな今の俺の、いや、俺達のあだ名が

 

 

「変態三人組か……」

 

 

 俺は女子に飢え過ぎたが為に何度も更衣室への覗きをあいつらと行い、そのたびに制裁を受けた。仕方ないよね!だって男なんだぜ!目の前で女子が着替えているんだ、覗かないと言う選択肢があるか?!そんなことを繰り返していたら俺達は何時かこんな不名誉な名前を付けられてしまった。

 

 

 ハーレムへの道は遠いぜ……

 

 

 そんなことを考え、憂鬱になっているといつの間にか学園についていた。普段より登校時間が早いせいか、生徒の人数が少ないな。俺はそんなことを考えながら教室に向かう。教室のドアを開けるとそこにはいやらしそうな顔をしている俺の友達がいた。

 

 

「よう、松田、元浜。何やってんだ?」

 

 

 俺が声をかけるとビクッとしながら二人は後ろを振り向く。

 

 

「イッセーか、何をやっているかなんて決まっているだろう?」

 

 

 松田は入ってきたのが俺だとわかった途端、安堵の息を吐き、再びカメラのレンズを磨き始める。

 

 

「その通り、今日は剣道部の朝練がある。そして、もうそろそろその朝練が終了する」

 

 

 なるほど、二人の言いたいことはわかった。つまり、それは俺も珍しく早起きして来てよかったことか。

 

 

「わかった、二人とも準備はできているか?」

 

 

 俺は真剣な表情で2人に目を配る。それに対して二人は不敵に笑みを浮かべながらその場から立ち上がる。なるほど、お前らも準備万端という事か。

 

 

「愚問だなイッセー」

 

 

「わざわざ早起きしてここに来たんだ。やることと言ったら全員同じだろう?」

 

 

 いや、俺は偶々早起きしたから準備もクソもないけど、そんなものは必要ない。この身が一つあるだけで俺には十分だ。

 

 

 俺達はふっと笑いを浮かべながら目的の場所に向かう。

 勿論、その笑いは三人からしたら普通の笑み何だろうが、第三者から見たらそれは犯罪者が、今から犯罪を起こしにくような危険な笑みに変わりない。とてもじゃないが、自ら進んで近寄りたいとは誰も思えないような気持ち悪い微笑みだ。

 

 

 俺達はこっそり隠れながら目的の場所に向かう。その隠密性は犯罪者もびっくりなほど、ひっそりと影に溶け込んでいる。そこまでして彼らが何をしようとしているのか。それは常人の感性では計り知れないだろう。

 

 

 なぜなら

 

 

「周囲に人影は?」

 

 

「問題ない」

 

 

 松田が念を押すように二人に問いかけ、イッセーがそれに答える。

 

 

「目標地点には工作済みか?」

 

 

「ぬかりない」

 

 

 元浜がカメラを構えながら頷く。

 

 

 今の三人を邪魔をする者は誰もいない。彼らはごくりと唾を飲み込み、形容しがたい表情をしながらゆっくりと音をたてないように目的の場所に移動する。

 そこはどこにでもあるような小さな木造の建築物。その中からは十数人の女性の声が聞こえる。そう、そこは部活動で使われる部室だ。その建物の壁には不自然に空いている小さな空洞が一つあった。

 彼らはその空洞の中を見るために顔を近づける。そこには彼らの理想郷(ユートピア)が広がっている。

 

 

「うほっ!これはまた中々の絶景だ!」

 

 

「中々やるではないか元浜氏!」

 

 

「おい、俺にも見せろよ!」

 

 

 彼らは我先とその小さな空洞に詰め寄る。

 

 

 壁の中にいるのは女生徒たちだ。

 

 

 すなわち、彼らがここまで綿密に計画を立て、ここまで来た理由は

 

 

 

 

 部活後の女性との着替えを覗くためだ

 

 

 

 

 そんな卑猥な行為をされている事に気づいていていない女生徒たちは部活の朝練でかいた汗をタオルで拭いながら運動着から制服に着替えはじめる。 

 その光景を松田と元浜は鼻を伸ばしながら眺める。隣にいるイッセーは早く変われと言わんばかりに二人を急かしている。

 

 

「慌てるなイッセー。俺は今写真を撮るので忙しい!」

 

 

「そうだ、俺は女子のスリーサイズを調べねばならんのだ!」

 

 

 二人はそう言いイッセーの提案を跳ね除ける。ここで余談だが、彼らには変態三人組以外にも不名誉な異名がつけられている。松田にはエロ坊主、セクハラパパラッチなどの異名がついており、元浜にはエロメガネ、スリーサイズカウンターなどの異名がついている。松田にしろ元浜にしろ普通にしていれば女子からこのような異名がつけられることはないのだが、それは彼らの性格からして無理なことだった。彼らは毎朝学校に来るたびに集まり、紳士の嗜み、所謂エロ漫画、AVと言った18禁の物を公共の場で貸し借りているのだ。これで女子から評判がいいはずがない。

 

 

 そんなことを話している間に女子たちは女性特有の女の勘により、自分たちを卑猥な目つきで眺めている視線に気が付く。そこからの行動速かった。女子たちはすぐに部室に常備されている竹刀を片手に外へ飛び出し、男2人はばれたことに勘づき、生贄(スケープゴート)を用意する。

 

 

「イッセー、俺は満足したからそろそろ変わってもいいぞ」

 

 

「そうだな、俺も満足したし、変わってやる」

 

 

「マジで!?うっひょ―――!」

 

 

 松田と元浜はイッセーが小さな空洞に飛びついた瞬間、音もなくその場から走り去る。二人は自分達の為に生贄となったイッセーに小さく黙祷しながらその場から走り去った。

 

 

 そんなことを露知らず、イッセーは小さな空洞を覗きこむが

 

 

「あれ?女子が誰も居ない?」

 

 

 そのことを不審に思ったイッセーは松田と元浜にどうしてか訳を聞こうとするが、既にイッセーの周辺には二人の影もない。変わりにドドドッと言う地響きが聞こえる。その光景を見てイッセーは現状を理解した。

 

 

「あいつら俺を見捨てやがったな!」

 

 

 言うが先かイッセーはその場から逃げるためにその場から走りだす。

 

 

「待ちなさ~い!」

 

 

「この変態!」

 

 

「野獣!」

 

 

 イッセーは背後から聞こえる女生徒から発せられる罵詈雑言を聞きながら必死に逃げる。

 

 

「俺は覗いてねぇ~!」

 

 

 イッセーの悲鳴が学校中に木霊する。

 

 

 まず、覗こうとした時点で罪に問われることに気がついてもいいと思うのだが、今のイッセーにそんなことを考える余裕はない。第一、イッセーはこれが初犯ではない。すでに覗きの常習犯と言っても過言ではない。社会に出れば真っ先に刑務所にお世話になることは間違いないだろう。教員の会議では彼らが刑務所にお世話にならないか気が気でないものも多い。

 

 

 こんな光景が兵藤一誠の日常だった。

 

 

 

そして、兵藤一誠の非日常が幕を開ける時でもあった。

 

 

 

 この後、松田と元浜を巻き込み、三人の悲鳴が学園に再び木霊したのは別の話。

 

 

 

 

 

 

 


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