話しを進めるために少し強引に話を書きました。
不満な方もいると思いますが、作者の都合上勘弁してください。
それでもいい方は読んでください。
この瞬間、世界が震えた。
日本では
「京の結界が振動しておる!この波動は……」
今日を守護する九尾が突然の異変に困惑し
北欧
「はるか遠くから感じるこの途方もない魔力、友よ……本気か?」
北欧の悪神が驚愕し、空を見上げ
西ヨーロッパ
「この異常なまでの強力な魔力は……」
オリュンポスの主神が恐れ
冥府
「ファファファファ!自ら滅びの道を歩むか!あの愚か者め!」
祭服を身に付けた三大神の一人が複雑そうな顔で笑い
アジア
「HAHAHA!冗談だろこの魔力……」
常に陽気で笑いを浮かべるアジア最大の主神が渇いた笑いを浮かべ
次元の狭間
「この力……凄い……でも…それ……だめ…」
世界最強の龍が悲しそうに顔を歪める。
イースレイの
大地は膨大な魔力により裂け、魔力による渦がいくつも形成される。それだけでも異常だという事が見て取れる。
「なるほどね……
次の瞬間、その場からイースレイの姿が消失する。行先はもちろん
『き、貴様!消えたと思えばその途方もない魔力!あの一瞬で何をした?!』
赤龍帝ドライグの元だ。
イースレイに残されたときは少ない。それはイースレイ自身が分かっていた。こんな膨大な力を継続的に使うことはできない。今のイースレイは一時的に
赤龍帝ドライグはイースレイから垂れ流れている底が見えない魔力量に恐れ戦く。ドライグからしたら今のイースレイは先程までと同一人物とは思えなかった。そして目の前の底の見えない力を感じ取り、それでも戦い勝てると思うほど、ドライグも自信過剰ではない。今のドライグを支配している物はたった一つの感情だけだった。
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死!
圧倒的な力量差から齎される明確な死のイメージだった。今のドライグは未だかつてないほど、恐怖を感じ、自身が小さく弱いと感じさせられた。もし、仮に最大回数まで倍加を行い攻撃したとしても自身ではかすり傷程度しかつけることができない。そう実感させられるほどの明確な力の差だった。
「七つの星に裁かれよ、
上空に展開された魔法陣から七つの光がドライグを襲う。その威力は一つ一つが地形を大きく変えるような魔力の塊だ。ドライグは余りの威力に空から地上に叩き落とされる。ドライグは痛みを堪えながら眼前のイースレイを見据える。だが、既にイースレイは次の魔法を発動するための動作に入っている。そして、ドライグにはそれを止めることはできなかった。
イースレイは状態を低くし、両手を下に構え、右腕をゆっくりと上空にあげていく。
「真・天体魔法
紫色の空がうねり、大きな渦を形成する。大地が振動し、巨大な渦に瓦礫が吸い込まれていく。バチバチとした音に伴い、渦の中心に巨大な隕石が形成され、それがドライグに降り注ぐ。
『クッ!バケモノが………』
その言葉を最後にドライグは隕石に呑まれた。隕石が地上に落ちると同時に巨大な爆発が起きる。およそ、悪魔の手で起こすことができないほどの爆発だ。爆発が収まると辺り一面は浄土とかし、命あるものすべてを無に帰した。ドライグは流石と言うべきかあの一撃を受けても尚、その身体は健在だった。最も、その赤き翼は両翼とも焼け落ち、鱗は剥がれ落ち、息をするだけで精一杯と言った状態だ。
イースレイは冷めた目でその光景を一瞥した後、星霊王に
そして、イースレイは最後の準備に取りかかる。
『どういうことだ!如何に古き友であろうと、そのようなことは余が許さんぞ!』
星霊王が柄にもなく声を荒げるが、既にイースレイとの通信は途絶えており、星霊王の言葉は空に消える。
『どうした星霊王!動きが鈍いぞ!』
星霊王がイースレイと交信している間もアルビオンは執拗に攻撃を行い、星霊王を倒さんとしている。だが、その戦いはアルビオンには不利なモノだった。無傷の星霊王に比べ、アルビオンは今までの戦闘で力を消費しており、傷も負っている。それにアルビオンの力は対象者に触れねば発動ができない。星霊王はアルビオンの攻撃を全て躱し続け、交叉法の要領で攻撃を仕掛けていた。そうなると必然的にアルビオンの傷は増えていき、その力を少しずつ削られていった。
『Half Dimention!』
アルビオンは起死回生と言わんばかりに再び広域に半減の能力を行使する。その力は星霊王にも届き、星霊王の動きを鈍らせる。
『もらった!』
アルビオンは好機と言わんばかりに鋭利な爪を振り下ろす。星霊王は腕に装着していた籠手を盾にその一撃を受け止める。だが、この行動によりアルビオンの狙いは達成された。
『私に触れたな?』
『DivideDivideDevideDivide!』
一瞬のうちに四度の半減を使い、星霊王の力を削ぎ、自身の糧にする。星霊王はすぐさま、アルビオンを大剣で振り払い距離を置く。
『ぬかったか』
星霊王は自身の周囲を見渡し、その被害状況を確認する。三大勢力は更なる半減を受け、地に足をつけ、息を乱している者が多くいた。それを見かねた星霊王は自身の力をふるう。
『全天88星照らす星明りの夢幻、ギャラクシアブレェェイドォォォ!』
広域にわたり戦場に光が満ちる。その瞬間、アルビオンの半減がかき消される。
『小癪な真似を!』
だが、星霊王の狙いはそれだけではない。この一撃は唯の目くらましで在り、本命は別だ。
『メテオブレイドォォ!』
星霊王の一撃がアルビオンをその場から吹き飛ばし、強制的に戦場から離脱させる。
星霊王はその間に三大勢力に向かってイースレイからの伝言を伝える。
『古き友からの伝言だ。今すぐこの戦場から離れよ。光の一撃が降り注ぐ』
三大勢力は星霊王の言葉の意味が分からず困惑する。だが、星霊王が言う古き友がイースレイだという事はイースレイと親しいものはわかった。そして、イースレイはいまだ健在だという事も。
「アザゼル、ヤハウェ、彼の言う通り、この場から離れるわ!レイの邪魔になる!」
星霊王の言葉をいち早く理解したカテレアはアザゼルとヤハウェに言葉を伝え、悪魔にも指示を出していく。それに倣いアザゼルとヤハウェも自身の勢力に指示を出し、戦場から離脱していく。最後にカテレアと傷を負ったセラフォルーに肩を貸すサーゼクスが戦場に残る。そんな彼らに星霊王は小さな声で呟く。
『古き友の友人よ、後悔したくなくば、古き友に会いに行け。残された時は少ない』
星霊王はそれだけ告げ、再び戦場に身を投じる。サーゼクス達はそれがどういう意味か分からなかったが、その言葉が只ならぬことを意味していることは分かった。
サーゼクスとカテレアは嫌がるセラフォルーを連れ、イースレイが戦う戦場に向かう。
その途中に上空に巨大な
そして、光の一撃が降り注ぎ、暫くした瞬間、遠くから感じていたイースレイの膨大な魔力が消失した。
突然の事に困惑しながら一行は移動速度を速める。
長い道のりの中、ようやくイースレイが戦う戦場に辿り着いたサーゼクス達は呆然とした。
大小問わずにできた百を超えるクレーターの数々、変形した地形、およそ生命と言う物が感じることができない死地と化した戦場に彼らは呆然とした。どうすれば、此処まで悲惨な出来事が起こるのか、彼らには考えもつかなかった。これを見ただけでもどれだけ壮絶な戦いがあったのか予想がつくと言うものだ。
彼らは呆然とする中、ゆっくりとした足取りで、死地と化した戦場からイースレイを探し始める。暫く、散策すると、イースレイは簡単に見つけることができた。
だが、その姿は弱弱しく、綺麗な銀髪は白髪に変わり、顎に白いひげが無差別に生え、顔には沢山のしわに覆われ、その肉体はやせ細っていた。
そして、イースレイはその身体を地面に預けた。