銀の星   作:ししゃも丸

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第25話

 346プロダクション 本館

 

 時刻は午前8時前。多くの社員が出社するためにこの本館を通ってオフィスビルへと向かっている。その中には社員だけではなく、346プロに所属している歌手やタレント、そして現在最も話題のあるアイドル部門の子達の姿もある。

 本館の一階で社員達が行きかう中、一人の大男――アイドル部門シンデレラプロジェクト担当プロデューサーである武内が立っていた。彼は通行の邪魔にならない場所に立っており、なにやらスケジュール手帳を片手にページを捲っては、また1ページ戻ったりと繰り返している。

 このスケジュール手帳は本来の機能をしていない。以前まではちゃんとスケジュール手帳として機能していたのだが、今は別の目的に使用しているので、最近もう一冊を購入したところだ。

 周囲の目を気にせず熟読している武内であるが、その表情は渋い。例えるなら、解けない問題を必死に解こうとしている学生のようである。

(闇に飲まれよ……暗やみに閉ざされた世界)

 これは……そう、呪文のようだ。

 武内はそれが世間でいう中二病だということには気付いていなかったため、ただカッコイイ文字を並べてはそれっぽく言っているだけなのではと常々思い始めていた。しかしそれが、日常の会話となると話が違ってくる。

 悩みの種である神崎蘭子と最初に出会ったオーディションから今日に至るまで、彼女はこの言葉を常に使い続けており、自分だけではなく他のアイドル達も手を焼いているように思える。その所為で上手く溶け込めていないのではと当初は思っていた。けれど、それは杞憂で終わり神崎さん以上に濃い、というよりも困っている子を放ってはおけない諸星さんや、気付けば自分のペースに引き込んでいる本田さんのおかげでプロジェクトの中で孤立することはなかった。

(それにしても、難しいですね……)

 最初はなんとか理解しようと手帳に書き始めたのが始まりだが、気付けば学生時代に解けない問題や数式を解こうとしたような書き方になり、いつのまにかスケジュールのページにまで書いてしまったので、新調したのである。

 現在の解読度は正直に言えばあまりよろしくない。彼女のプロデューサーとして意思の疎通ができないのはよろしくない。そのために最近朝のこの時間帯で張っているのだ。

 刑事が容疑者を張っているのと似たようなものだ。ただこの場合となると、相手は自分の上司と担当アイドルである神崎さんである。おそらくだが、自分が把握している中で彼女と普通に会話できているのは先輩ぐらいだろう。いや、ただ単に彼以外にちゃんと会話している人間を見たことがないだけでもある。

 正面ゲートから一際目立つ先輩がやってきたのが武内の目に入った。周りにいる社員たちは自然と彼に挨拶している。知らない人間が見れば役員だと思うだろうが、彼は管理職に近いようなものである。

 プロデューサーを目で追っていた武内の前に、ようやく待っていた彼女が出社してきた。彼を見つけた途端駆け足で後ろまでやってくると、

 

「真なる者よ、煩わしい太陽ね! 熱風が降り注ぐが、我の魔力は充分に満ちているぞ!」

 

 これだ。はっきり言って、何を言っているのかがわからない。

 しかしだ。多少独学で得た知識によれば、前半が挨拶で後半は何か一言言っているのだということは分かる。分かるだけで、理解はできないのだが。

 彼女に挨拶? を受けたプロデューサーは振り返った。その顔はあまりよくないように見えた。多分、困っているのだろう。彼は頬を掻きながら、言葉を選びながら答えた。

 

「おはよう、蘭子。あー、熱風……ああ、今日は日差しが強いから気を付けるんだぞ。お前は黒い服ばかり着てくるからな」

「ふ、そのようなモノに臆する我ではない! この漆黒のベールが我を護ってくれようぞ!」

「日傘ね。無駄に凝ってるよな、それ」

 

 会話だ。しっかりと会話が成立している。

 先程までの内容を武内は手帳に記入していく。今回の難易度は普通より下だろうかと自分の中で評価をつける武内ではあるが、傍から見れば「こいつ何やってるんだ?」と通り過ぎる社員に思われているのに気付いてはいない。

 それだけ武内には重要なことであるのだから、周りの目など気にしてはいられない。

 そのあと二人は一緒にオフィスビルへと向かって行くと、遅れて武内も自分のオフィスへと向かう。

(まずは、神崎さんから直接話を聞かなくては)

 武内がここまで真剣に取り組んでいるのは、今度CPでデビューするのが蘭子であるからだ。CPのアイドルデビューに関しては、当初の計画では全員ユニットでデビューする予定であった。しかし、武内は蘭子を誰と組ませていいか最後まで思案をしてきたのだが、結局はソロデビューという形で納まってしまった。

 この件に関しては武内も先輩であるプロデューサーに助言を求めたのだが、

 

「んー、パッと思いついたのは小梅だが、メンバーではないから駄目だな」

「なぜ、白坂さんなんですか?」

「いや、なんかイメージが近いと判断したんだが、小梅はホラー系だからちょっと違うなと気付いた。それでも小梅とは相性がいいと思うんだが……」

 

 二人して悩んだ末に辿り着いたのが、将来的には小梅とユニットを組ませる、こういうことになった。

 正直に言えば、プロデューサーでさえ蘭子をどう扱えばいいのか頭を悩まされた。それでも彼は「断言はできないが、蘭子はソロの方が動きやすいと思うし、今はソロで活動して成長させた方が化けるかもしれない」と言う言葉に武内も共感した。なので、様々な思惑の末CPのメンバーの中で唯一ソロデビューという形になった。

 そして、今日は蘭子のCDデビューの打ち合わせが行われることになっている。そのために武内は必死に蘭子の言葉を理解しようと努力してきた。

 

 

 蘭子のCDデビューの打ち合わせは武内のオフィスで行われた。武内とプロデューサーと向かい合うように蘭子は座っていた。テーブルの上には今回のコンセプトといったようなことが書かれている資料にノートパソコンが置かれていた。ノートパソコンからは歌詞はないが、今回歌う曲が流されている。

 

「どうでしょうか。まだラフの状態ですが、作曲家の方にも神崎さんをイメージして今回の曲を作ってもらっています。私としては、曲の雰囲気も神崎さんに合っていていい曲だと思うのですが」

「おぉ! なんと良い音色か! 魂の波動を感じる!」

 

 武内は隣に座るプロデューサーに顔を向けた。

 

「いい歌だ、と言っているんじゃないか?」

「の、ようですね。また、今回神崎さんにはPVの撮影も行ってもらうことになっています。作詞家の方に依頼することは決まっているのですが……」

「む、何かただらならぬ気配を感じるぞ」

「その、当初はこちらのイメージで作詞の予定で」

 

 その資料を蘭子に武内は渡した。彼女はそれを見上げていく。

 

「夜を統べる闇の眷属、この世に紅き血の惨劇を……」

 

 読み上げていく声はどこか重いように感じた。一通り流し読みして資料をそっと武内に返しながら、

 

「こ、これはすでに過去の姿。我が魔力は満ち、闇の眷属を超越した存在となった」

 

 武内は再びプロデューサーの方を向いた。彼も困惑しながらも解読した内容を告げる。

 

「恐らく、昔はこんな感じだったみたいだがいまは違う。今は別の……別のものになった? つまり、ホラーは嫌だと言っている」

「成程。やはりそういうことでしたか。神崎さん、私は当初貴方にホラーなイメージを抱いていたのですが、どうやら違うのだと最近気づきまして」

「ふ、崇高な存在である我を理解するのも無理というものだが、褒めてつかわす」

「ありがとうございます。つきまして、神崎さんはホラーでなはなく、その……言葉が出てこないのですが、ダークな感じとはまた違うのですか?」

 

 蘭子は突然立ち上がると、

 

「かつて崇高なる使命を帯びて! 無垢なる翼は黒く染まり、やがて真なる魔王へと覚醒!」

『……』

 

 二人は彼女にと唖然とさせられたのか、しばし硬直していた。蘭子は「んふ!」と誇らしげに満足している様子だ。

 プロデューサーはぽんと手を叩くと、スマートフォンを取出し何かを検索し始めた。武内はとりあえず正直に尋ねた。

 

「すみません。私にはわかりません……」

「な?!」

「なあ、蘭子。お前が言っているのって、もしかしてこれか?」

 

 画面にはウィキペディアが開かれており、検索した内容は「ルシファー」とあった。ルシファーとは別名はサタンでもあり、いわゆる堕天使である。昨今におけるゲームなどではメジャーな存在とも言える。片方が天使の翼でもう片方が悪魔の翼といったデザインが多く存在し、蘭子が言っているのはこのことかとプロデューサーは気付いた。

 

「真なる瞳を持つ者よ、流石だと言っておこう!」

 

 どうやら正解らしく、手を腰に当て胸を張る蘭子を前にプロデューサーは武内に耳打ちしながら呟いた。

(最近の子はこういうのが好きなのか?)

(いや、私に聞かれても、その……困ります)

 プロデューサーの年齢は三十代ではあるが、まったくゲームをしないわけではない。むしろ、美希に付き合わさせられてやらされているぐらいである。そのため、最新ゲーム機を購入したはいいが、本人が使っている時間より美希やあの貴音の方が使用時間は長いときていた。

 対して武内はルシファーという名前は知っていたし、堕天使や悪魔という極普通の知識は持ち合わせてはいたが、蘭子の台詞から連想することは容易ではなかった。この歳にもなってゲームはやらない男である武内には、いささか難しかった。

 ようするに、二人から見てなぜ蘭子がこれを押すのかが理解できなかったのだが、当の本人というよりも、ルシファーという存在は子供心をくすぐる存在でもあり、中二病が発病するきっかけとも言えるのかもしれない。蘭子はどちらかと言えば後者に近く、天使の翼と悪魔の翼がカッコイイと思っていたりもする。

 

「で、では、神崎さんが言うようなイメージで作詞家の方には依頼しておきます。ついでと言っては失礼ですが……。神崎さん、実際にこう着てみたい衣装はありますか? 大雑把で構いませんので、あくまでイメージをデザイナーに依頼するので」

「あ、あります!」

 

 これは意外だと二人は普通に会話してきた蘭子に失礼な感想を抱いた。

 

「それは本当ですか?! 簡単でいいので、描いてみてください」

 

 そう言うと紙とペンを蘭子に渡すと、彼女は顔を赤く染めながら言ってきた。

 

「恥ずかしいから、ちょっと席を外します……!」

「ど、どうぞ」

 

 部屋を出て行く蘭子の背中を目で追う二人。見えなくなるのを確認すると、

 

「恥ずかしいことがあると普通の言葉になるんだな」

「ですが、私の中ではかなり前進しています。神崎さんのことを知ることができますから」

「オレも蘭子が好きそうな言葉で会話してみるか」

 

 そんな他愛もない話を5分ほどしていると、蘭子は部屋に戻ってきて描いてきた紙を渡した。

 描いてあるモデルはおそらく彼女本人だと武内は推測した。髪型が似ているからだ。想像するに、この子は空を飛んでいる……いや、神崎さんの言葉を借りるなら降臨しているのだろうかと武内は少しずつ解読していく。衣装はドレスに近いイメージだろうか。特に特徴的なのが背中にある翼。天使と悪魔のような翼は、先程言っていたルシファーを指しているのだろう。

 うむ。似たような衣装を着た大御所がいたような気がする。

 武内は年末の番組でこれよりド派手な衣装をきた歌手を知っているが、すぐに忘れることにした。彼はプロデューサーにも意見を求めるべく絵を渡した。

 

「先輩、どうでしょうか?」

「ふむ。そうだな……」

 

 言うと、一枚の資料を裏返しにペンを走らせた。手際がいいのか、すらすらと描いていく。すると、あっという間によく目にするデザイン画になっていく。衣装のデザインは蘭子が描いたミニドレスのようなフリルが多くあるものではなく、シンプルなタイトミニドレスのようだと武内には見たえた。そして、その背中には蘭子が描いた翼がある。違いのは6つではなく、シンプルに2つ。小さい天使と悪魔の翼。

 

「ざっと出来そうな衣装を描いてみたが、蘭子どうだ?」

「……ぉおお!! まさに魔王の装束! しかし、まだ覚醒には至っていないようだが……」

 

 翼が2つなのが不満だということは二人にも察しがついた。

 

「ちなみに」プロデューサーは試しに蘭子に尋ねた。「お前が希望するのはどんな感じなんだ?」

「このぐらい」蘭子はペンで彼が描いた絵に付けたす

『……それは、無理』

「なぬ?!」

 

 声を揃えて二人は告げた。

 

「針金を通すとか色々と方法はあると思うが、絶対にライブ中に取れるし、多分重いぞ?」

「……あとバランス、ですかね。絵では普通に見えても、実物だと想像と違うモノになるかもしれませんし」

「ぁう」

「とりあえず、今回はこんな感じでデザイナーに依頼することにしましょう。今後はその、神崎さんが希望する衣装も検討してみますから、今回はこれでお願いします」

「よきにはからえ」

 

 

 

 打ち合わせが終わったあと、蘭子はプロデューサーのオフィスに招かれていた。初めて訪れる彼のオフィスに彼女は目を奪われていて部屋中を見渡すが、あまり武内Pと変わらないことに気づくと少し落胆した。

 プロデューサーがコーヒーと一緒に砂糖とミルクをテーブルに置いた。蘭子はコーヒーが好きではなかった。飲めない訳ではないが、ただ単に甘さの調節が苦手で、どちらかと言えば缶コーヒーの甘さが丁度よくて好きだった。

 目の前で何も入れずにコーヒーを飲むプロデューサーをみた蘭子。

(大人だなぁ)

 コーヒーをブラックで飲む。ある意味彼女にとってそれは『カッコイイ』もののカテゴリーに入るらしい。

 

「改めてソロデビューおめでとう」

「あ、ありがとう、ございます」

 

 ここには彼しか居ない。なら、普通に喋ろうと最近は思うようになっていた。それでも、少しまだ恥ずかしいのだが。

 照れている自分の顔を隠すように俯く。コーヒーに砂糖とミルクをとりあえず入れて飲んでみる。

 

「……にがぃ」

 

 渋い顔をする蘭子に気付いているプロデューサーであったが、それに触れ尋ねてきた。

 

「ところでな、蘭子。実はお前にあることを聞きたくてしょうがなくてな。最近はお前の言葉も多少は理解できるようになったし、こうして二人きりの時は普通に話してくれる」

「う、うん。まだ、ちゃんと話せなくて……ごめんなさい」

「いや、謝る必要ないんだ。普段のお前がアイドルとして定着しているのは、お前の魅力であり武器だ。で、それは置いておいて。気になることがあって仕方がないだ」

「えーと、何を?」

「……お前、喋ろうと思えば熊本弁、喋れるのか?」

「ぴぃ?!」

 

 突然のことに蘭子は可愛い悲鳴を上げた。

 

「な、なんで……?!」

「いや、ただ単に興味があって」

「そ、それだけ……?」

「それだけだ」

 

 彼はコーヒーを一口飲んだ。プロデューサーの様子からは、本当にそれだけの理由で呼んだということが蘭子には見てとれた。なぜか、ムカッとした。

 

「プロデューサー、出会ってからわたしを苛めてばかりだから、ヤダ」

「それってつまり、熊本弁を話せるってことだな」

「……」

 

 自分で退路を塞いでしまった。たしかに、自分は特殊な喋り方をするという自覚はある。しかし、常日頃というわけではないことを訴えたい。家族と過ごしている時は普通だし、転校する前の学校では……少し浮いていたかもしれない。

 けれども、都会に出てきたからこそ身を持って理解したことがある。ここでは、地元の方言は浮くということを。むしろ、そっちで話す方が恥ずかしいぐらいだ。

 

「……どうしても、聞きたいの?」

「嫌なら別にいいんだ。本当にただの好奇心だから」

「……じゃあ今度、おいしいハンバーグのお店連れてってくたら、いいよ」

「え、いいのか?」

「うん」

「じゃあ、一押しのお店知ってるからそこに連れていってやる」

「約束だよ? 二人、だけだよ?」

「構わんぞ」

「えへへ……」

 

 我ながら頑張ったと褒めてあげたい。熊本弁で話すのは正直抵抗はあるけど、それだけでプロデューサーと一緒に食事にいけるのだから安いものだ。蘭子は満面の笑みを浮かべてそっと胸の中でガッツポーズ。

 

「それじゃあ、オーディション形式で話すか。えーと、まずお名前は?」

「うちん名前は神崎蘭子ばい。熊本からやってきた。初めてんオーディションで緊張しとるばってん、よろしゅうお願いする……」

 

 とりあえず、向こうでもよく言っていた風に話してみた。すると、目の前にいるプロデューサーの異変に気づいた。

 

「どうしたの?」

「す、すまん。普段とのお前とのギャップが……あ、驚いただけだ。決して、バラエティ番組に出したらよさそうとか、思ってないから安心してほしい!」

「……プロデューサーんバカ! たいぎゃ好かん!」

 

 蘭子は立ち上がり怒鳴った。

 ほんと、プロデューサーはわたしのこといつもいじめるんだから。こうなったら、一番高いハンバーグを頼んでやる。

 

 

 途中不穏な雰囲気もあったが、最初の打ち合わせは無事終了したことにそっと胸をなでおろす。二人が退席したあと、武内は先程の蘭子の会話を忘れないよう書き留めていた。

(今日は多くの収穫がありましたね)

 特に先輩のおかげで神崎さんの会話には一定の法則があることもわかった。いや、法則と言うよりも、特徴と言うべきか。

 神話や伝承の中で出てくる単語を多く引用している、武内はふと思った。自分はあまりゲームなどはやらない人間なのでいまいち共感はできないが、神崎さんや最近の子供はこういうものを好むのだろうか。困ったことに守備範囲外だ。

 これが世間でいう中二病だということに武内は気付かなかったが、ここには似たようなアイドルが一人いたことを思い出す。

(二宮さんの方がまだわかるのですが……)

 ただ、直感であるが神崎さんと二宮さんは似たようで違うと思った。ベクトルというか、方向性が違うのでは……。

 やはり自分一人の力だけではどうにもならないことに気付いた。なら、どうすべきかと考える。知らないなら知ればいい。分からないなら理解すればいいのだ。

 

「荒木さん……いえ、ここは双葉さんに頼ってみましょう。よくゲームをしているのを目にしますし」

 

 善は急げ。さっそく彼は杏の下へ向かった。

 初めてみる彼女の驚いた表情を見た。どちらかと言えば鳩が豆鉄砲をくらったような感じだと思う。彼はそんな杏などお構いなしに尋ねた。そして、色々あって一冊の小説と参考になりそうなサイトを教えてもらった。

 自宅に帰宅しさっそく小説を読んでみた。

 

「タイトルが長いですね。それに最近の小説には挿絵もあって、確かにどういう場面なのかはわかりますね」。

 

 数十分後。目頭を押さえる。正直、途中から読むのが辛くなってきた。自分には、難しすぎたようだ。

 

「これは……かなり難題です」

 

 

 後日。プロデューサーは蘭子との約束を果たすために、彼がおススメする一押しのお店へと向かっていた。今日に至るまで蘭子はどこのお店にいくのか我慢できずに聞いたが、中々プロデューサーは答えてはくれなかった。つまり、とても美味しいお店なのだと蘭子は勝手に想像していた。

 移動する車の後部座席に座る蘭子は、それでも気になって尋ねた。

 

「ねえ、プロデューサー」

「ん?」

「いい加減、どこにいくのか教えてほしいなあ」

「んーまあ、いいか。もう着くし」

「やった! で、プロデューサーのおすすめの場所、なんだよね?」

「ああ、そうだ。仕事で知り合ってからの付き合いで、月に何回かは食べに行ってるよ」

「へえ、そうなんだ。なんてお店なの?」

「ビリー・○・キット東○町店」

 

 そして極稀に、指無しグローブを嵌めて南条光と共にあるポーズを練習しているのが目撃されるようになったという。

 

 

 

 

 

 

 

 




たぶんすごくぐだっているのではないかと自分でも自覚しています。
本当は幕間を書いていたのですが、二万文字ぐらいになって「あ、これ終わんね」と思い本編に移行。ただ、先月から多忙で中々進まずやっと書いた結果がこれ。

今月はたぶん更新は難しいと思うので、次は来月になるかもしれません。

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