多くのビルや建物が立ち並ぶ間は、向きによっては陽が指すことがない別の世界とも言える。そんな場所に、一人の男が身を潜めていた。この時間帯でも多くの人が行きかうが、誰もそれを気に留めない。
男の名は渋澤。俗に言う悪徳記者と呼ばれる男だ。その名の通り、芸能人や企業関係の大物まであらゆるスキャンダルを狙っている。傍から見れば、褒められ仕事ではないことは、渋澤もわかっている。
かつては真っ当な記者であったが、いつしかこんな身に堕ちていた。しかし、そのスキャンダルをテレビは特集を組み、民衆はそれを話題にあれこれ言うのだから、俺を批判する権利はない。渋澤はそれを信条にしていた。そもそもテレビ局や出版社は、それを口には出さないがスキャンダルを求めているものだ。
今も、とある週刊誌のお偉いさんから依頼を受けてこうして尾行中だ。渋澤の視線の先には、道路を挟んだ向こう側の歩道を歩く男と女がいる。それがターゲットである。
男は、サングラスをかけたスーツの男。女は、長い黒い髪をして眼鏡をかけている。それが変装だということはこれまでの調査でわかっている。女の正体は、765プロ所属のアイドル「銀色の王女 四条貴音」である。
対して、男のことは四条貴音より知っている。以前にも二、三度会ったことがある。今では、プロデューサーと呼ばれている。あの961プロの黒井社長の後継者とも言われていた男だ。その黒井社長には、最近スクープやスキャンダルを持ちこんでも門前払いという話だ、俺もそうだったとつい最近のことを思い出す。あの黒井が白くなったと渋澤達の間では話題だった。
だが、あいつは違う。渋澤は、プロデューサーを睨めつけた。あいつは、黒井に似てきている。いや、全盛期の黒井と同じだ。今の黒井よりも黒い、どす黒い。渋澤は、同業者から共有した情報をもとに、確信をもってそう言える自信があった。
あの男が起こしたあの出来事は、今でも伝説と言えるだろう。だが、今はあいつではなく、隣を歩く四条貴音が重要だ。
彼女が今回依頼されたターゲットだ。765プロのアイドルの中で、プロフィール以外が謎に包まれているアイドル。そんな彼女の謎を明かすのが今回の仕事だった。だが、難航しているのが現状だ。あまりにも進展がないので他のアイドルの調査もしていた。むしろ、そっちの方が進んでいるぐらいだ。
こうも難航しているのは、隣にいる男の所為だ。悪行もそれなりに有名だが、それ以上に優秀な男だ。こうして、道路を挟んで距離を取っているのもそのためだ。すぐ後ろで尾行なんてしてみろ。見抜かれて、追い込まれたあとに捕まって酷い目に遭うのがオチだ。つまり、隙がない。それは、765プロのアイドル全員に言えることだった。あそこ程スキャンダルがない事務所も珍しい。普通だったら、どこぞのイケメン俳優と一晩過ごしたとか色々あるだろうが、あそこは良い子だけが集まる幼稚園らしい。それでは、困る。
しかし、未だに進展がないのはとても困る。歩く二人を撮影しても意味はない。
もっと、こうインパクトのある事が起きないか。渋澤は、そんなことを考えながら二人から目を離さず尾行する。
すると、一人の年配の男が二人の前に現れた。
(真面目に働くもんだな!)
普段の行いは褒められるものではないが、日々ちゃんと働いている自分を褒めた。
今現れたのは、エルダーレコードのオーナーだ。形はなんであれ、これはいい写真が撮れそうだ。渋澤は、真面目な表情から一転し、嫌な笑みを浮かべた。カメラのシャッターをいつでも押せるようにしておく。
これで、明日の一面はもらったな。
渋澤は、絶対の自信を確信しながら二人との距離を詰めるため、行動を起こした。
二〇一三年 十一月上旬 四条貴音の寝室
この時期になると、陽が昇るのが遅いためまだ薄暗い。時刻は6時前。部屋の主である貴音は、すでに起床し着替えていた。寝室にある化粧台の前に座り、鏡に映る自分を見ながら変なところがないか確認をする。最後にベビーピンクの口紅をつけて、道具をしまう。
鏡を見て、ニッコリと貴音は笑う。まさか、自分が化粧をするとは思ってもみなかったと貴音は思っていた。というより、無縁だとも。今まで自分がしていたのは精々髪をとかすぐらいだ。それが、アイドルになってこうして化粧をする姿を昔の自分はどう思うだろうか。
事務所では、小鳥や律子が軽い化粧をしているのは知っていた。貴音は、二人とも綺麗なのに化粧などをする必要があるのか。そう思っていた。
こうして化粧をするようになったのはあの人が原因だ。いや、自分が色んなことを挑戦するようになったが正しい。
始まりは、「貴音。お前は化粧とかしてるのか?」と、言われた。わたくしは、「いえ。したことがありませんよ。どうしてです?」と、答えた。あの人は、目を丸くしてこう言ったのだ。それはそれで凄いなと。だが、それではいけないと言われ、あの人から化粧の仕方を教わった。その時に道具も買っていただいた。今思えば、この先(結婚したら)必要になると思うとやる気が出た。化粧の仕方を教わり、小鳥や律子とそう言った話をするとつくづく思う。あの人の方が腕がいいと、それが共通の意見だった。つまり、女として負けているのだ。ちょっと悔しい。
「あ、朝食の用意をしないと」
時計を見て貴音はすぐに行動に移した
「これを忘れるところでした」
大事にしまってあるムーンストーンのペンダントを首にかける。これがないと始まらない。
前もって用意しておいたバッグを手に取り、自分の部屋を出て鍵をかける。そのまま、プロデューサーの部屋へと向かう。鍵を開けて入るとすでに明かりがついていた。いつもの光景だ。
リビングに出ると、すでに着替えおり、上着だけは横にかけてある。プロデューサーはのんびりとコーヒーを飲んでいた。
「おはようございます、あなた様」
「ん。おはえよう、貴音。相変わらず準備がいいな」
「それを言ったらあなた様もです。たまには、寝坊してもよろしいのですよ」
「どうせ、寝室に入りたいだけだろ」
「はい」
「とうとう隠さなくなったか」
ふふっ、と笑いながら貴音はエプロンを身につけてキッチンに立つ。
こんな会話は美希がいるとできないので、自分だけの特権だった。
「朝食は簡単でいい」
「わかっておりますよ」
冷蔵庫から卵とハムをだす。これを焼くだけの簡単な作業だ。
「今後の予定は話したか?」
「大雑把にですが」
「いつもの仕事はいいとして。今月は、一日署長に一周年ライブが控えている」
「もう一年。早いものです」
「そうだな」
こうしてほぼ同棲のような形で過ごしているが、一緒に仕事ができなくなると思うとやはり辛い。貴音は顔に出すが、プロデューサーは平然としている。それでも、彼の内心も自分と気持ちだと、貴音は思いたかった。
「いただきます」
「はい。どうぞ」
二人で食事をするようになって半年は経つだろうか。この人の食べ方の癖に気付くようになった。まず、野菜か漬物を食べる。特にたくあんの古漬けが好きだという。そのあと、おかずを食べてご飯を食べる。今日は食べていないが、あれば納豆を最初に食べる。
それと、
「おかわり」
「はい。大盛りで?」
「もちろん」
この人は毎朝ご飯を山盛り二杯食べる。決まって二杯だ。それを聞くと、「本当は、コンフレークがいいんだが、俺は和食派なんでね」と、言った。どうせまた漫画の受け売りだと、貴音は思っていたがその通りだった。彼が持っている漫画にそんな台詞があった。意外と面白かったのは、彼には秘密だ。
やはり、この時間を独占できるのは自分だけの特権だ。美希には悪いが。
そのあと朝食を食べ終わり、食器を洗う。家を出る時間までゆっくりと時間を潰す。
時間になるとそろそろ行くかとプロデューサーがソファーから立ち上がる。
貴音は、かけてあったプロデューサーの上着をとり、彼はそのまま上着を着る。
「ありがとう」
「いえ」
まるでドラマの夫婦みたい。で、このあと行ってらっしゃいのキスを……と、妄想に浸っていたが、プロデューサーに呼ばれて現実に戻る貴音。
「どうした? 今日は、そのままテレビ局に直行だ。込む前に行こう」
「なんでもりません。では、行きましょうか。あなた様」
出て行く前に部屋を見渡す。よし、大丈夫。貴音は、自分の合鍵で扉を閉めてエレベータの前で待つプロデューサーの下へと向かう。
今日もよい一日でありますように。
そんなことを思いながら貴音はプロデューサーと一緒にエレベータへと乗り込んだ。
二〇一三年 十一月某日765事務所
午前八時過ぎ。プロデューサーと貴音は事務所のある二階へと向かう階段を上っていた。
「そういえば、今日近くの神社で縁日が開かれているそうですよ」
「行きたいと、素直に言ったらどうだ?」
「はい。行きたいです」
「どうせ、皆でいくんだろう? 付き添ってやる」
「ありがとうございます」
甘いな、俺も。担当するアイドルに対していつも甘やかしてしまう自分が情けない。プロデューサーは、そんな自分が嫌になると思いつつ事務所の扉を開いた。
すると、奥からプロデューサーの名前を叫びながら走る少女が一人……美希だ。
「ハニーーーー!!」
奥から走ってきた美希は、プロデューサーの目の前で止まると、彼の顔に雑誌を押し付けた。
「これどういうことなの?!」
「見えないだろ!」
「あ、ごめんなの」
美希は、プロデューサーの顔から雑誌を離して渡した。雑誌を受けると目に入ったのは、「銀色の王女 四条貴音 エルダーレコードに移籍か?!」、「オーナーとの食事をしながら密会の現場!」等々書かれていた。白黒だが写真も載っていた。変装を解いた貴音がオーナーと店から出てきたところの写真だ。二人の前に、スーツを着た男の後ろ姿も載っている。
「ほぉ。よく撮れているじゃないか」
プロデューサーの感想は意外なものだった。
「あなた様?」
「ほれ」
「どうも」
プロデューサーに手渡されて貴音もその記事を見る。まあ、これはと少し驚いているような声を出した。と言っても、全然慌てているようには見えない。
貴音が雑誌を見終えて顔を前に向けると同時に、響がサーターアンダギー、雪歩がお茶を持って泣きそうな声で言った。
「貴音ぇ」
「行っちゃ嫌ですぅ」
「……ああ。そういうことですか」
二人の異変に気付いた貴音。少し何かを考えて閃いたのか、サーターアンダギーを一つ取って口に入れた。
「ふぉうですね(そうですね)……もぐもぐ。冷蔵庫にあるケーキも欲しいです」
「わかったぞ!」
「今すぐ持ってきます!」
貴音は。右手にサーターアンダギー、左手にお茶を載せたお盆を両手に持って二人を見送った。
「行儀が悪いぞ」
「すみません。でも、二人が可愛くて。つい」
「それより! ハニー、これどういうこと!」
気付けばのけ者にされた美希が再びプロデューサーに怒鳴り始めた。
「二人は分かるが、なんでお前はまだ怒ってるんだ?」
「惚けないでほしいの! これ、ハニーでしょ!」
美希は、写真に写る後ろ姿の男性を指して言った。
「よく分かったな、お前」
「ハニーのことを見間違えるわけないの。で、二人して食事したんでしょ! ずるいの、ずるいの!」
「落ち着けって」
「そうですよ、美希。それは、たまたまです」
「二人して食事なんてズルいの! 卑怯なの! というわけで、今度はミキと二人きりで食事にいくの。いいでしょ、ハニ~」
隣に立っていた貴音をどかしながら甘えた声で、プロデューサーの左腕に抱き着く美希。
それを見て貴音は声をあげた。
「美希! 離れなさい!」
「その手じゃ無理なの~」
「は!」
右見て、左を見る。両手は完全に塞がっている。ぐぬぬと貴音は威嚇する犬のように声をあげて美希を睨む。
すると、奥から赤羽根がやってきた呆れた声で言った。
「……先輩。とりあえず説明をしてください」
赤羽根の後ろにいる響と雪歩もいた。その手にケーキを持ちながら。
「わかった。ことの始まりは――」
それは先日の話だ。仕事が終わって時間に空きができたので、二人は街を歩いていた。変装した貴音を隣に、プロデューサーと歩いている二人を知っている人間が見れば、熟年夫婦のようだと言うだろう。
そんな二人の前に今回の話題の男性である、エルダーレコードのオーナーが向こうからやってきたのだ。彼とプロデューサーは面識があり、久しぶりの再会に花を咲かせた
相手が食事でもどうだいと提案をされたのでそれを了承したのだ。
「で、帰り際に撮影されたというわけだ。その日はやけに視線を感じたからなあ。ま、うちは誰もスキャンダルなんてないから丁度いい刺激になるだろうな」
プロデューサーは、テレビのリモコンをとって電源を入れた。チャンネルを何回か変えると、丁度今の話題が取り上げられていた。
映像の中心にはポップがあり、貴音とオーナーの写真がある、矢印で二人の立場や関係などが書かれている。
『しかし、このタイミングで四条さんがエルダーレコードに移籍するのはおかしいですね』
『おかしいですよ。そもそもありえないでしょう』
『どうしてそう思うんです?』
番組の美人アナウンサーがいかにもといった男性に聞いた。
『あれ、キミ知らないのか? まあ、知っている人間にとっては誰もが『ありえない』と言うよ』
プロデューサーはそれ聞くとテレビの電源を切った。
「とまあ、こんな感じだ。各テレビ局やオーナーにも事前に話はしてある。上手くやってくれるさ」
情報は逐一自分の所にやってくる。こういう所で今まで築いた交友関係やコネが役立つ。赤羽根もそこの所を頑張ってもらいたいがとプロデューサーは思ったが、そう簡単に築けるものではないかと諦める。そこは、時間をかけて自分でやっていくことを期待した。
「相変わらず人が心配している間に話が終わってるんですから」
「それが仕事だからな。それに、今日貴音が出演する番組でも取り上げるだろうから、そこで誤魔化すさ」
「それもそうですけど、最近パパラッチというか……」
「視線を感じる、だろ?」
「はい。真を始めとした数人からそう言った話を聞いています」
「わたくしは頻繁に感じておりますよ」
困ったように貴音は言った。プロデューサーは、貴音がパパラッチの存在に気付いているとは思わなかったので素直に驚いた声をあげた。
「なんだお前。気付いていたのか」
「ええ。こう、背後から嫌な気配を感じておりました。あなた様といるときはそこまで感じなかったのですが……」
「俺が目を光らせたからな。この時だって俺達のことをつけていたぞ」
「先輩。気付いていたなら対処ができたんじゃ。むしろ、人の気配とかわかるんですか」
「わかるぞ。ちょっと電話するフリして向こう側の建物と建物間を見てみろ。多分、まだいると思うぞ」
赤羽根は、疑いながらもプロデューサーの言う通りにやってみる。喋るフリもしながら窓の外を見る。建物と建物間……あれか? 窓から見て、正面ではなく少し右側。確かにいる。
あれですかと聞くと、
「多分な。気付かれないように直接顔は見てないから誰だかわからん。見ればわかるんだかがなー」
「何度も言いますけど。言いんですか? 放っておいて」
「有名になればパパラッチは自然と付いてくる。諦めるしかない……と、言いたいところだが今回はしつこいな」
最近出た週刊誌のとあるページを開く。「銀色の王女 四条貴音の謎に迫る!」なんてタイトルだ。確かに一般には、HPのプロフィールの情報ぐらいしか認知されていない。ファンの間では、勝手な憶測や捏造された設定が日々生まれている。プロデューサーは、貴音に無理だとわかっていながらも聞いた。
「貴音。適当になんか言って、ファンにネタを提供してみろ」
「女には秘密の一つ二つあるものです」
「じゃあ代わりにミキが秘密教えてあげるの!」
美希が二人の会話に割って入ってきた。プロデューサーもそれに食いついた。
「実はね。貴音のし、ンンーーー!!」
「美希! それ以上は許しません!」
背後から美希の口を手で塞いだ貴音。美希は、必死に抵抗するが貴音も言わせまいとそれに抗う。
プロデューサーはどうもよくなったのか、二人を無視して仕事を始めた。赤羽根達もいつものことだと見て見ぬふりをした。
(しかし、赤羽根の言う事も尤もだ)
先程、赤羽根に言われたことに肯定した。
顎に手をやり考え込みながら雑誌を見渡す。赤羽根の言う通り、ここ最近アイドル達全員にあのパパラッチかはわからないが標的にされていることに疑問を抱いた。ただ、標的は今の所貴音だけだ。十月下旬から今日に至るまで密着されている。なぜ貴音なのか? 確かに彼女は、765プロのトップアイドルだ。標的になるのもわかる。自分がいる時点で普通は手を引くと思っていたのだが。
プロデューサーはうーんと唸った。
別の見方から見てみる。アイドルではなく自分なのではとプロデューサーは考えた。自慢ではないが、アイドル以上にネタの宝庫だと思っている。現在に至るまで見えないところで色々やっている。怨みもかっているだろうからその可能性はありえなくはない。
考えられるとしたら、事務所そのものが標的か、四条貴音か、自分のどれかだ。ただ、この様子だと事務所ではないとプロデューサーは判断する。もしかしたら、貴音を使って自分を陥れたいか、直接自分に怨みを晴らそうとしているか。恐らく、同時進行で今行っているのかもしれない。
つまるところ相手の最大の標的は自分だと言う事に落ち着いた。その副産物で、玩具のおまけのガムのような感じでアイドルの醜態を晒してやろうと言う事だろう。
だが……とプロデューサーは以前黒井に言われた言葉を思い出した。
ドブネズミが嗅ぎまわっている。そう言っていた。恐らく、あのパパラッチであろう。こいつは有能な男だ。
なにせ、765プロ一番の大スクープを撮るなら自分と貴音だろう。それと、美希を含めた三人。住んでいるマンションは同じで、部屋は隣同士。しかもほぼ同棲している。バレずに済んでいるのはマンションのセキュリティと管理人の本部のおかげ。そう思うと、あのマンションを選んでつくづくよかったとプロデューサーは紹介してきた知人に感謝した。
しかし、嗅ぎまわっていると言ってもなとプロデューサーはスマホをとり出して、連絡先の一覧を見る。黒井に警告されてからプロデューサーも網を張っていた。だが、特にこれといって連絡は来ていない。週刊誌の記事を持ちこんだ人間の事を知人に問い合わせたが匿名でわからないと言う。「それはないだろう」と、少し怒り気味で言ったがそれでもわからないと言われた。
もしかしたら、上の人間が買収されているのかもと言ってきた。つまり、自分の息がかかっている人間を避けていることにプロデューサーは気付いた。すでに、裏取引は済んでおり、情報規制もしている。手の込んだことだ。
やれやれ。人気者は辛いなと内心思ったが楽観視はしていられない。幸い、相手は貴音に夢中だ。注意をこちらに引きつけておくか。
プロデューサーは、必要な書類をバッグに入れて一度スケージュールを確認、営業車の鍵を手に取り立ち上がった。
「貴音、少し早いが出るぞ」
「些か、早すぎると思うのですが」
「ドライブだよ、ドライブ」
「それでしたらすぐ参りましょう」
「あ。ミキも行くの!」
それを聞いて美希も内心二人きりにはさせないのと意気込んだが、
「美希はここでお留守番です」
一緒に行こうする美希を止めて、プロデューサーが座っている椅子に座らせた。
「もう! 貸し二つだからね!」
はて、一つでは?
貴音は惚けながら先に向かったプロデューサーの後を追った。
同日 十一時頃 都内 某出版社のビル
ここ最近、数多くの芸能人のスクープやスキャンダルを発行している週刊誌の本社ビル。その週刊誌を担当している部署のある階の会議室。そこには、一人の男が携帯を片手にどなり怒鳴り散らしてる。
「渋澤、これはどういうことだ!」
『旦那、話がみえませんよ。なんで、俺はあなたに怒られなきゃいけないんです?』
旦那と呼ばれた男はだいたい60代だろうか。頭部にあるはずの髪の毛はすでにない。禿である。体型も少しお腹が出ており、身長も高くない。映画などで出てくるような三下の男と言われるとしっくりくるだろう。
『俺はそれなりのスクープを撮ったつもりですよ。ただそれが、あなたを満足させたかは別問題ですがね。それでも、どのテレビ局もその話題を持ち上げている。旦那の要望には応えているつもりですが?』
「ああそうだな! だが」
男は会議室にある一台のテレビを見た。そこには、生放送の番組で四条貴音が今まさにその話題を司会振られているところだった。
『貴音ちゃん。今日の話題は君のことで一杯だね』
『世間の皆様方の視線を釘づけですね』
『あら。意外と余裕なのね』
『写真は本当ですし。ただ、食事をしただけです。美味しゅうございました』
『あ、これは本当ですわ』
司会者を始め、貴音と共演しているレギュラー陣はそれが本当の事だと気付いていた。実際のところ、彼女のプロデューサーが彼であるのだからとそれで納得していた。
『ま、こういう写真でしかネタを提供できなくて申し訳ありません。これでもわたくし、秘密の多い女で通っているもので』
『おお。煽る煽る。これ、いいのかなー』
男はテレビの電源を切り、乱暴にリモコンを叩きつけた。
「これでは意味がない! もっと効果のある写真を撮れ!」
『そうは言われましてもね。こっちも必死なんですよ。ただでさえ、四条貴音の個人情報はまったくと言っていいほど手に入らない。普段はあの男が常に目を光らせているせいでこっちも駄目。旦那だってそれをわかって俺に依頼しているんだろ?』
言葉に詰まった。渋澤の言う通りだ。隙を見せればこっちらがやられてしまう。そのために金をかけてあちこちに手を回した。あの男に反感を持っている人間と共謀して今回の件を起こしている。
四条貴音に拘るのは、その謎に包まれた正体とアイツの一番のお気に入りだからだ。その所為でこれほどまでに手こずっているわけでだが……。
それに、あの男がいるおかげでこちらの商売は邪魔されている。一番頭を悩ませているのは、アイツが手掛けたアイドルやアーティストは売れていることだ。こちらとしてはそいつらのスクープやスキャンダルを記事にしたいが、あの男や息のかかった人間に邪魔されているのだ。自分が手掛けた人間を我が子のように護っている。そのおかげでこちらは商売上がったりだ。
「それはわかっている! だが、こちらとしては最大の切り札は使えん。そのためにお前に依頼したんだぞ!」
『アレはそちらの身も危うい諸刃の剣ですからね』
渋澤は、男の言う切り札を知っていた。それだけ効果のある代物だが、如何せん彼の身やそれに関わった人間も危険な立場に陥れてしまう。そもそも、アレはもう触れてはいけない代物だ。渋澤はそれを知る当時の人間なので、その危険性を知っていたと同時に、あの男がどれだけ危険かを示していた。
『こちらとしても前金は頂いているのでそれなりの成果は出さないといけませんな』
「なんだ。なにか掴んだのか?」
『ええ。あまりにも四条貴音の情報が集まらないんで他のアイドルについて情報を集めていたら偶然面白いのが手に入りまして』
「なんだそれは」
『もう少しで片付くので、そしたらお渡ししますよ』
「わかった。期待をしている。いい情報なら追加報酬をだそう」
『お願いしますよ。では、失礼しますよ』
電話を切り、男はニッコリと笑う。
見てろよ。必ずお前を失墜させてやる。お前が居なくなれば仕事はやりやすくなる。私も、他の人間もだ。つまり私は、皆を代表して行っているのだと男は自分がまるで救世主なのだと言いたそうだった。
「さて。仕事に戻るか」
男は渋澤の新しい特ダネに胸を膨らませながら仕事場へと戻った。
同日 夕方 都内某所
貴音は、午後の仕事を一緒に行った春香、千早、真美、響、それに呼んでもいないのに気付いたら付いてきた美希とプロデューサーと共に縁日がやっている神社へとやってきていた。
今回の騒動である移籍の話はひとまず一件落着していたが、貴音の秘密が知りたくて何度も話を誤魔化すのに彼女は疲れていた。そこで、美味しいものを食べてリフレッシュしようと楽しみにこの時を待っていた。むしろ、この時のために今日一日頑張っていたと言っても過言ではなかった。
ただ、貴音の目下の悩みは、誘ってもいないのに付いてきた美希であった。全員トップアイドルして売れてきている昨今。人目につかないようにそれなりの変装しているわけだが、美希はプロデューサーの腕に抱き着いて歩いている。傍から見れば援助交際と思われて仕方がないだろう。しかし、貴音も負けずにと空いているもう片方の腕に抱き着いていた。
この人はわたくしの物ですと言わんばかりにアピールしていた。
そんなプロデューサーに真美が冷やかしをしていた。
「プロデューサー、モテモテですな」
「お前も来るか。前が空いているぞ」
「では。お言葉に甘えて……とぉ!」
本当に飛びつきやがった……。
プロデューサーは、それに動じることなく真美をぶらさげたまま歩く。彼は平然としているが春香が真美を注意した。
「真美、降りないと人目につくよ! ただでさえ目立っているのに……」
春香の視線は安定せず、周囲を見渡している。一番後ろを歩いている千早も呆れていた。
「はあ」
「ひびきんもかもん! これで最強のプロデューサーの完成だよー」
「じ、自分はそんなはしたないことしないぞ」
「おやおや。本当は飛びつきたい顔をしていますな~」
「ち、違うぞ! そんな顔をなんてしてない!」
照れながら反論する響を真美は面白がってからかっている。プロデューサーもさすがに疲れたのか、
「サービス終了のお時間です。とっと離れやがれ、この野郎」
「ぶぅ~」
「物騒なシステム案内なの」
「女性の扱いがなっていませんね」
「好き放題言うお客様だとこと」
呆れた声を出しながらプロデューサーは言った。先程春香が言った様にだんだんと人が増えていく。このまま歩いて行ったら注目の的になっていただろう。その前の時点でも注目の的だったが。
神社の近くまで来ると、それなりの人が行きかっていた。時間的にも子連れの親子やカップル、友人たちが多く見える。
プロデューサーが無礼講だからというと真美を筆頭に、彼は歩く財布と化していた。
辺りを見わすと金魚すくい、綿あめ、りんご飴……よく見る屋台がずらりと並んでいる。今は丁度射的の所にいた。真美が前のめりになりながらコルク銃を構えて景品に狙いを定める。舌なめずりをしながら……ここだ! 引き金を引く。発射されたコルクはそのまま景品の隣を素通りした。
「ああん! 外れちゃったよ~」
「狙いが甘いんじゃない?」
と春香が言った。
「そんなに難しいの?」
「真美の狙いが甘いだけぞ」
「そんなことないよ! ね、プロデューサー真美の仇をとってよ!」
死んでいないのに仇とはどうだろうかと思いながらも、貸してみろとプロデューサーは真美から銃を受ける。
「よし。では、一から説明してあげよう。コルクを銃口に装填。次にボルトを引く。カチッと音が鳴るまでだ。これでロックされた。構え方は肩の前面にあてて、頬はストックに押し付けるように。左手はここ。で、狙いを定める」
真美と違ってプロデューサーの構え方はまるで素人の構え方には見えない。立ち姿勢の状態で構えている彼の姿は、そう、様になっている。
そして、引き金に手をかけ……引いた。パンと呆気をとられるような音がなるとぽこんとコルクは景品に当たり、落ちた。
プロデューサーはそれに目もくれずに次のコルクを装填、発射、再び景品が倒れる。真美たちは歓喜の声をあげた。
「すごいよプロデューサー!」
「ほれ。やってみろ」
「え、でも」
「いいから。まずは――」
再び真美にコルク銃を渡し、自分が説明したことを真美に教える。真美の後ろから優しく教える姿を見て、約二名が羨ましそうに見ている。
プロデューサーから言われたように真美は景品に狙いを定めて引き金を引くと、景品は後ろから落ちた。
「できた!」
「お見事! 名スナイパーの誕生だな」
「えっへん。褒めてよいぞ」
「調子に乗るなよ。さ、ここはもういいだろう。さ、次に行こう」
射的をあとにして七人は屋台を軽く一周回った後わかれて見て回ることにした。
プロデューサーはそこら辺で待っていようかと思っていたが、貴音に連れ回され一緒に歩いていた。ふと、お面を売っている屋台があった。ヒーローものや戦隊ものに女の子向けのお面もある中に、やけにしっかりとしたお面が目に入った。動物とか鬼とか……髑髏とか。
その中で気に入ったのがあったのか、貴音はそれを指しながら言った。
「あなた様。あれが欲しいです」
「アレって……狐のお面か。ふむ。これ、一つ」
「あいよ」
お金を渡し、お面を受け取る。貴音は、お面を自分の顔に被せた。その姿は彼女の髪の色も相まって似合っている。だが、謎が多い彼女には狐のお面は似合いすぎて不気味だ。
「こんこん。どうですか」
「似合いすぎてて怖い。化かされそうだ」
「こーん。酷いお方ですわ」
その声はお面も相まってこちらを誘惑するような響きだ。
「少し離れる。俺も自由行動がしたいんでね」
「わかりました」
そう言ってプロデューサーは貴音と別れた。
さて、どうしましょうかと貴音はあたりを見回した。すると、通りから外れた場所に一人で千早が立っていたことに気付き、彼女の所に向かう。
正直に言うと貴音は、千早が来るとは思っていなかった。本人には失礼だが、断ると思って駄目元で聞いたら行くと言ったのだ。しかし、今はこうして一人でいる。表情から察するにどこか辛そうだ。身体とかそう言うのではなくて……精神的に。
千早の視線がある所に向いているのに気付いた。幼い姉弟だろうか。弟が水風船をぽんぽんと上下させていた。すると勢いが着きすぎてしまったのか、手から離れて地面に落ちてわれてしまった。弟が、「ああ! 割れちゃった」と、「もう。また買ってあげるから。いくよ」と、弟の手を引っ張ってどこかへ行ってしまった。
貴音は声をかけるか迷ったが、結局声をかけた。
「千早。あの姉弟がどうか……?」
「四条さん……いえ、なんでもありません」
そうは見えないと言いたいが、言える雰囲気ではなかった。こんな時、どんな言葉をかければいいのか貴音は少し考えた。それは意外にも千早から話かけてきた。
「今は、みんないつものように振る舞っていますけど、やっぱり気になっています」
午前中に問題は解決したと思っていたがそうではないらしい。彼女の言う通り、午後の仕事でもそわそわしている感じだった。
やはり気になっているのは自分の秘密だろうか。秘密と言っても、色々あるのではないか。例えば、わたしには執事の爺やがいるとか、メイド長の婆やも子供の頃から世話をしてもらっていたとか言えばいいのか。周りの人間より、自分自身のことが知りたいのだろうか。
「秘密と言っても色々あります」
貴音は肩をすくめた。
今回の件でみんな敏感になっているのだと貴音は思っていた。普段だったらそんなことを気にもしない。ただ、みんなと普段から自分のことを話さないのが原因の一つだと自覚はある。あるが……誰だって自分のことをぺらぺらと喋る人間はいない。
特に最大の秘密は絶対に教えることはない。ただでさえ、美希のことだけでも我慢しているのだ。これ以上増やされたら困る。最近は響も怪しいのだ。
「誰にだって知らなくてもいいことはありますし、知ってほしくないこともある」
「それは……」
「わたしくにだってそれはあります。人間誰しも秘密の一つや二つと言わず、多くの事を隠しているものです」
秘密、隠し事……その言葉に千早は反応した。十一月だし、時間も時間だ。寒いのはわかっているのに……体が寒い。
「それに――」
お願い! その先は言わないで。お願いだから私にそれ以上聞かせないで、思い出させないで。
身体の震えが止まらない。千早は両手で身体を包み込むように支えた。
(……?)
近くのたこ焼き屋にいたプロデューサーが二人の会話が耳に入った。そちらを振り向くと、何やら雲行きが怪しい。「はい、お待ち」と、若い男からたこ焼きを受け取る、ゆっくりと二人に近づく。貴音が千早に何かを言ったと思ったら彼女の様子がおかしい。全部ではないが聞き取れた。
(秘密? 隠し事? おいおい)
ゆっくり動かしていた足がだんだん速くなる。
「如月千早。あなたにも知られたくない秘密があるのではないですか」
「やめて!」
「貴音!」
「?!」
プロデューサーと千早の声が重なり、それに驚く貴音。目の前に彼が貴音の前に来ると、持っていたたこ焼きの一個を爪楊枝で刺して、彼女の口に無理やり入れた。
「あつぅ!」
プロデューサーは、貴音が苦しんでいるのに目もくれずに千早に声を掛けた。
「千早、落ち着け。貴音の言うことを真に受けるな、いつものことだ。な?」
「プロデューサー……」
千早は震えた声で彼の名を呼んだ。
「大丈夫だ。大丈夫だから」
「あ、あなた様……?」
「貴音。お前の言いたいことはわかる。俺だってそういうことを言う時だってある。けど、時にはそんな当たり前に使っている言葉で傷つけることもあるんだ。俺は千早を送っていく。お前達も気を付けて帰るんだぞ」
貴音に言葉を言わせず、プロデューサーは千早を連れてその場を去って行った。
その後、貴音は皆に説明して美希と共に帰宅したが、彼はいなかった。結局、プロデューサーと会う事が出来たのは翌日だった。貴音はあの後のことを彼に聞いたが、答えてはくれなかった。
二〇一三年 十一月 一日署長イベント当日
警察署で用意された待機室で貴音は待っていた。すでに警察官の制服に着替えている彼女の姿はよく似合っている。今は女性警官の一人と会話をしながら時間を潰していた。
「よくお似合いですよ」
「ありがとうございます。ですが、本職のあなた方には敵いません」
「あなたにそう言っていただけるなら私達も嬉しく思います」
互いに年が離れている割にはうまい具合にやれていた。すると、扉をノックし署長とプロデューサーが入ってきた。
「四条さん、本日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
署長と握手を交わす貴音。次にプロデューサーを見た。
「意外と似合ってるな。変なところもないし、問題ない」
「ありがとうございます」
先日の縁日の一件から二人の関係は特に変化はなかった。縁日の翌日は気まずいと思っていた貴音だったが、プロデューサーの対応はいつも通りであった。彼もあれ以上のことは言わなかったし、聞かれることもなかった。それでも、貴音自身は気まずかった。プロデューサーに対してもそうだが、特に千早には悪いことをしたのではないかと思っていた。
「改めて今日の日程を説明します。署員らに訓示。その後は、警視総監や参加されているゲストと握手したあとにパレード。これが大まかな流れです」
プロデューサーが手元の資料を読みながら説明する。特に質問等もなく円滑にミーティングは進んだ。最後に一人の警官からあるモノを渡された。
「一応、形だけということになりますがこれを」
警官が渡してきたのは日本警察が採用しているS&W M37だ。わからない人に言うならばリボルバーである。
警官は貴音に渡そうとしたが、プロデューサーが横からとった。
「ふむ……ふむ」
そう口ずさみながら彼は銃を弄り始めた。サムピースを押してシリンダーを出し、エジェクターロッドを押して弾を出した。
「本物じゃないんですね」
「もちろんですよ。いくら一日署長と言っても、さすがに本物をお渡しすることはできません」
「弾は……BB弾じゃないな」
「それはアレです。撃つと国旗が出るやつですよ」
「ああ。アレですか。本当にあるんですね」
シリンダーに弾を一つ一つ戻していく。その手際はやけに早く、精確だ。映画のように銃を横に振ってシリンダーを戻し、誰もいない方向に向けて構えた。その一連の動作を見て、貴音や警官も驚きの声をあげた。
「いやあ、手際がいいと言いますか、手馴れていると言えばいいんでしょうか。ハワイとかで撃ったことが?」
恐らく、日本人で銃を撃った経験がある人にまず言うが、「ハワイで習ったんですか?」と、聞くかもしれない。
「いえ。仕事でアメリカに滞在していた時がありましてね。その時にできた友人経由で教わったんですよ、色々と。まあ、でも。リボルバーってやっぱり憧れません?」
「ああ。わかりますよ! オートマチックも悪くないないんでしょうけど、やっぱりリボルバーって浪漫がありますよね!」
「漫画の受け売りですか?」
蚊帳の外に居た貴音が聞いた。
「そりゃあ直撃世代だし。リボルバーと言えば、次元大介、冴羽僚、コブラ。それに、ゴルゴ13だって使ってるんだぞ!」
「はあ……?」
貴音が唯一分かったのはコブラぐらいだった。でも、彼はどちらかというとサイコガンのが有名ではと思った。
「あなた様の動きを見てるとかなり手馴れた感じがしますが、それなりに上手? だったのですか」
銃の腕前を上手と言っていいのだろうかと貴音は言ってから変だと気付いた。
「俺がオリンピックに出ればメダルでオセロができる。そう言われたぜ」
「それ、漫画の台詞です」
「ばれたか」
嘘じゃないんだけどなあと、聞こえない声でプロデューサーは呟いた。
貴音に銃を渡して、プロデューサーも気持ちを切り替えた。
「さて。そろそろ行きますか、署長」
「ええ。行きましょうか」
息が合っているなと残された警官は思った。口には出さなかったが、恋人のようにも見えた。しかし、それはないかと心の中で笑った
そして、一日署長のイベントが始まった。署長を始めとした代表者とゲストが参列。その後ろでは多くのテレビ局や記者団がカメラを構えている。その中も渋澤もいた。背が低いためか、前にいる他の記者たちに阻まれてカメラを構えることもできない。
「最後になりますが、わたくしがこの重要な役職に任命されてとても嬉しく思っています。今日一日だけですが、それで地域の安全の向上につながることを願っております。そして、署員みなさまの一層のご活躍を祈念します」
一礼して壇上を降りる。拍手が彼女に送られた。
一日署長は芸能人やアイドルなどから一人選ばれる。意外にもあのガチャピンも選ばれている。芸人ならここで気の利いた事を言うだろう。しかし、四条貴音という女性はアイドルという器に収まる人間ではない。こういった場でも冷静で自分の仕事を果たしている。
そういったところが、彼女の魅力の一つでもあり、世間の注意を引くのだろう。
あいさつと訓示が終わり、警察官の代表者らとゲストと握手を交わす。
警官たちからはいい言葉でしたよと称賛を送られた。
「とても制服がお似合いだ」
「あら。あなたは……」
貴音の前に現れたのは、エルダーレコードのオーナーであった。彼は先日のスクープのことを謝罪した。
「先日は私の軽率な行動であなたに迷惑をかけてしまった。すまなかったね」
「いえ。そのことについてはもう気にしておりません」
「そうか」
「おい、止まれ!」
一人の警官が叫んだ。
二人が話し出したその時。渋澤が決められた場所から飛び出したのだ。渋澤は、二人の傍まで近づきシャッターを押し始めた。
なんであれ、写真に収めればこちらのものだ。あとは、向こうが勝手に捏造する。
「あなたですね! ここ最近、わたくしたちを付け回していたのは!」
「へ、写真は撮った。あとは去るのみよ!」
渋澤は一目散にその場から去ろうと振り返る。しかし、彼の目の前には大男が立っていた。プロデューサーだ。
「おっと。通行止めだ……ん? そうか、アンタだったのか」
プロデューサーは、その顔に見覚えがあった。昔、黒井がよく利用していた悪徳記者だった。
「アンタには色々と聞きたいことがあってね。ご同行願いたいのだが……聞いてくれそうな感じではないか」
「へ。怪我したくなきゃどきな。元柔道黒帯の俺に勝てるもんか」
「どうかな。俺だって元白帯だ」
「ふざけやがって!」
叫びながらプロデューサーに襲い掛かろうとする渋澤。柔道をやっていたこともあって、スーツの襟を掴もうとする。柔道では相手の襟と袖を掴む。その癖が出たのだろう。それは、彼にはお見通しだった。襟を掴もうとした渋澤の右手を掴みながら彼の後ろにまわし拘束した。しかし、ほらと言ってすぐに開放した。
舐めやがってと苦汁を味わされた渋澤。だが、プロデューサーには勝てないとすぐに判断し振り返る。そこには、銃を構えた貴音がいた。
「そこまでです!」
「それが玩具だって知ってるんだよ!」
「それはどうでしょうか」
今度は貴音に襲い掛かった。動揺か、それとも焦っているのか。我武者羅に貴音に襲い掛かろうとする。まるで、チンピラだ。本当に柔道経験者かと疑う。
貴音は瞬きをせず、渋澤を捕えていた。彼の勢いを利用しながら、右手を掴み、胸を押し上げるように投げた。そのまま、渋澤は受け身も取れずにコンクリートの上に叩きつけられた。
「女性に手をあげるとは。恥を知りなさい!」
銃を上に向けて引き金を引いた。警官が言っていたように国旗と国旗が繋がれたものが空から降ってきた。それを聞いて、周りのテレビ局の人間や記者団が集まってきた。
「これにて一件落着です」
「それはいいんだが……その技どこで習った?」
「乙女の嗜みの一つです」
「あ、そう。まあ、とにかく。お手柄ですな、署長」
貴音は、笑顔でそれに答えた。この騒ぎのせいでパレードは中止。その後の予定も全部取材などになってしまった。
先日の週刊誌の一件でオーナーもいたことから、はっきりと移籍等の話はないと記者団に対して伝えられた。
その日の夕方や翌日のニュース、新聞で「一日署長お手柄」と一面を飾った。貴音とエルダーレコードのオーナーとの一件はこれで完全に解決した。
だが、渋澤から情報を聞き出そうとしたプロデューサーだったが、それは叶わなかった。予定の変更に伴う対応と、記者案や放送局の対応で時間を割いてしまったからだ。
ただ、警官に連行されながら彼は笑っていた……勝ち誇ったように。
二〇一三年 十一月某日 765プロ 事務所内
四条貴音の一周年ライブ終了後にプロデューサーと貴音は、馴染みのラーメン屋を立ち去った後事務所に来ていた。
プロデューサーは、もう一年は世話になった自分の椅子に座りながら書類整理をしており、貴音は給湯室でお湯を沸かしていた。。
机の上にはA4用紙の山が積み上げられている。処理が終わったものとまだこれから必要な書類等々。小鳥や赤羽根が見たら悲鳴をあげそうだが、彼はてきぱきと片づけていく。
(これが……こっち。これはもういらないな)
一日署長のイベントから一周年ライブの今日まで、そちらにかかりっきりでこちらの仕事を疎かにしてしまったのだ。
自分が居られるのはあと一カ月。赤羽根と律子の二人に引き継ぎことは全部終わっていて、問題であった一周年ライブも無事終了した。明日からは765プロではなく、346プロへと本格的に仕事場を移すことになる。
元々、必要以上の物を持たない癖があったので、机周りの整理はすぐに終われる状態だ。346プロに行けばきっと今以上に物が増えるのだろうなとプロデューサーは困りながら思った。
(しかし、結局何もなかったな)
ふと、あの事を思い出して手が止まった。それは渋澤の事だ。あれ以来、貴音だけではなく、765プロに対するパパラッチや騒ぎは収まった。尾行されることもなくなり、皆安心していた。もちろんそれは良いことだ。良いことなのだが、不気味だった。
貴音のスクープを持ちこみ、発行した出版社に問い合わせしても答えてはくれなかった。まあ、当然だろうなとわかっており、伝手を使って情報を集めたが黒幕はわからなかった。はっきり言えば、どこもスクープがあればそれを掲載する。全員が黒だと、言い方は悪いが仕事上仕方がない。こちらもアイドルだし、芸能人や有名人ならスクープを常に狙われるのもしょうがない。
狙いが最終的に自分だとして、もっともスクープを狙いやすい、いや。標的になりそうなアイドルは誰か。今回のように、謎が多くミステリアスな貴音。最近、ハニーとつい喋ってしまった美希。家が金持ちの伊織。考えようと思えば色々と理由は出てくる。もし、一番スクープとしての価値があり、本人にも影響を及ぼすアイドルがいるとすれば……
「あなた様。コーヒーです」
「あ、ああ。ありがとう」
貴音に呼ばれてプロデューサービクッと体を震わせた。
「どうかなされましたか?」
「いや。集中しすぎてて驚いただけだ。気にすることじゃない」
「それならよいのですが……あら、これは」
プロデューサーの机の上にある書類に紛れて何枚かの写真があった。その内の一枚を貴音はとった。
「月見用に撮影した奴だな」
「そうでしたね。先方がちゃんと満月で撮りたいと言っていたのを思い出しました」
写真には、部屋の窓から月を眺める貴音の姿があった。モデルはかぐや姫だそうで、衣装もそれなりのモノを着ていた。彼女はよく和服が似合う。髪は銀色だが、今回の場合はがかぐや姫ということもあって、非常にマッチしていた。よく見ると、供えられていた団子が減っているのがわかる。
「お前、隙を見て食っただろう」
「そんなはしたないことはしておりません。ただ、撮影が止まるたびに暇だったので食べていただけです」
「はあ。だろうと思ったよ。カメラマンにスタッフも笑いを堪えてた。俺は飽きれていたが」
「ふふ。中々美味でしたよ」
そうかいと答えてプロデューサーは止めていた手を動かし始めた。一人ならともかく、貴音がいたので会話をしながらするかと思って仕事をしながら口も動かし始めた。
「そう言えば美希が言ってたぞ。家族から手紙が来てお前が喜んでいたって」
「家族と言えば家族ですが、少し違います。わたくしはそう思っていますが」
「ん? どういうことだ」
「手紙の主は爺やからです。爺やたちや民たちもわたくしのことを応援している。そういった内容です」
民とか気になる言葉が出たが、プロデューサーは適当に相槌を打った。すると、なぜか会話が続かなくなり、しばらく無言だった。時間的にどれくらい経っただろうか。わかるのは、彼が整理していた書類がかなり減ったことからそれなりの時間が経ったと推測される。
「あなた様」
「なんだ」
「今日は……満月です」
「そうだな。寒いが、屋上で見るか?」
「はい」
プロデューサーの提案に貴音は喜んで答えた。事務所に戻る気はないのか、電気を消して入口の扉を閉めた。二人はそのまま階段を上り屋上へと出た。
風が吹くとコートを羽織っていても少し肌寒い。露出して顔に風がそのまま当たるので余計に寒く感じる。
貴音は、プロデューサーの隣に立って月を見ていた。彼女はよく月を見るのが癖だとプロデューサーは思っていた。趣味ではなく、癖だと思ったのは勘だった。夜になると、月がどんな形であれ見ていたからだ。その顔はなんと言ったいいのか。笑っているのか、悲しんでいるのか、それとも両方なのか区別がつかない。はっきりと言えるのは、月に対して何か思い入れがあるから、そう思っている。
「ねえ、あなた様」
「なんだ」
「もし、わたくしが……かぐや姫だと言ったらどうします?」
そこは、「信じますか?」ではないのかと思った。彼は思っただけで、追及や詮索はしなかった。
「その質問はつまり、助けてくれますか、ということか?」
はあと溜息をついた貴音。彼女はプロデューサーと向き合い、
「あなた様はいけずで。わたくしは、いつになったらあなたの本音を聞けるのですか」
「言葉だけが、思いを伝える方法じゃない。そうだろう? 仮にだ。お前が、皆や世間が思っているような存在だったとしても、お前に対する俺の対応は変わらない」
「では、行動で示してくれると?」
「なんだ。どこかへ消えるのか?」
「もう。そうやってまた誤魔化す」
「俺は恥ずかしがり屋なんでね」
「……ほんと。嘘ばっかり」
貴音は、プロデューサーの左手を掴みながら彼を見つめた。彼は貴音の右手に握られたまま何もしない。ただ、貴音を見つめているだけだった。
「なあ」
「なんです」
「お前、自分がかなり特別扱いされてるって自覚はあるか?」
「……さあ?」
惚けているような返事だ。人の事を言えないだろとプロデューサーは思いながら微笑した。
「俺だってちゃんと自覚してるぞ。こんなにも誰かを特別扱いするのはどうかしてるって。それが女で、しかも自分が担当しているアイドルにだ。俺も男だ。女に対して甘い所がある。それは、今まで担当したアイドルにもそうだった。何番とは言わないが、お前は……群を抜いている」
「美希はどうです?」
「お前の次だ」
「そうですか。それは、よかったです」
とても嬉しそうに貴音は答えた。
美希は自分の次だと言う事はつまり、そういうことだ。美希は自分の二番目。答えはわかった。胸が高鳴る。悪い気分ではない。
貴音はプロデューサーの前から隣に移動した。二人の身長は大体10㎝から少し上。貴音も765プロのアイドルの中では高い方だ。後ろから横に並ぶ二人を見ると、絵になる。そう思えてくる。
貴音は、ゆっくりと顔を上に向け、再び眺めながら言った。
「月が、綺麗ですね」
「……」
プロデューサーは、ゆっくりと顔を貴音の方に向けた。
それは、嘘か真か定かではないが、かの夏目漱石が英語教師をしている時、生徒が「I Iove you」を、「我君を愛す」と訳したが、彼が「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と、言ったのが始まりらしい。
プロデューサーも雑学としてそれは頭に入っていた。つまり、意味もわかっている。
だが、隣にいる彼女はそんなことを知っているか?
答えはNO
ただ純粋に気持ちを言葉に表しただけに過ぎない。
しかし、本当に知っているか気になる、そんな好奇心が湧いて出てしまった。だから、プロデューサーは聞いた。
「貴音」
「はい」
「お前、わかってて言ってる?」
「はい。今日は満月で、とても綺麗ですので。それぐらいわたくしにだってわかります」
「あ、そう」
ほら見ろ。結果は分かりきっているではないか、つまらんと自分に言った。
「でも、お前の言う通り今日は月が綺麗だ」
「はい」
いつも見ているはずなのに今日はどこか違う。
今日の月は確かに、綺麗だった。
それは、隣に貴音がいるからか?
彼はそんなことを考えたが、そっと胸の奥にその思いを閉まった。
二〇一三年 十一月下旬 346プロ 第五会議室 午前八時半過ぎ
都内に数多くのビルが並ぶ中、他とは違いかなりの私有地を持つ会社がある。その名も美城プロダクション。通称346プロ。建物にはレッスン場、撮影スタジオ、衣装部屋等々数多くあり、各フロアごとに部門別に分けられている。
346プロに数多くある会議室の一室は、正式に許可されたアイドル部門が仮に使っていた。人数は約二十人以上。全員がアイドル部門の人間という訳ではない。人事部、経理部に補佐で事務員。しかし、要でもありその存在理由であるアイドルは……まだ、いない。
本来であれば、今年から活動だったがわけあって本格的に活動するのは来年になった。
現在やっとその下準備に取り掛かっているところである。と言っても、事前から計画や根回しだけはしっかりとしていたので問題なく進んでいた。
そして、それを指揮しているのは、
「プロデューサー、こちらにサインをお願いします!」
「ああ」
「プロデューサー! これはどうすれば」
「それはこうしてくれ」
「プロデューサーさん、総務部からオーディションに使う部屋はどこかって通達来てます!」
「なにぃ? 俺は前もって伝えたぞ! しっかり仕事しやがれと言っておけ」
「アイ・サー」
プロデューサーを中心としてアイドル部門は活動を始めた。こんなに慌ただしいのはやっと彼が本格的に合流できたことにあることが一つ。これにはもう一つ理由があり、来月には初となる346プロアイドルオーディションが行われるためである。
コンコンと誰も聞こえないが扉をノックして一人の女性が入ってきた。
蛍光グリーンのような色をした事務員の服を着こなしている。髪が長いのか三つ編みにしている。彼女は千川ちひろ。この346プロの事務員であり、ここアイドル部門を担当する事務員である、ただ、
「プロデューサーさん。お待たせしました。今回のオーディションで送られてきた全員分のプロフィールです」
「ありがとう、ちひろちゃん」
ある意味、彼の専属事務員と言っても過言でなかった。
「いえ。それが仕事ですから」
「にしても多いな。さすが、346の広報部は優秀だな」
「それもあると思いますけど。原因は応募資格だと思いますよ?」
「……そうかな」
そうですと力強くちひろは肯定した。
本来であれば、応募資格に○歳から○歳とあるものだ。だが、実際に表記されていたのは「応募資格特になし ※こちらでやむを得ないと判断された方には追って連絡をいたします」と、表記したのだ。
「そのおかげで人事部が泣いてましたよ。まさか、0歳の子供から高齢のお婆さんまで来たって」
「しょうがないだろう。このアイドル部門の目的は『誰でもアイドルになれる』なんだから。さすがに無理はあるが」
このアイドル部門ではその言葉を掲げて活動すると前々から決まっていた。特にまだスタート地点に立っていないためこれと言ってプロジェクトもないのだが。
二人が話している中、人波をかき分けて彼と同じくらいの身長で大柄な男がやってきた。
「先輩。こちらの資料をお持ちしました」
「ありがとう。武内、先にプロフィールに目を通してくれ。気になる子がいたら付箋でもつけておいてくれ」
「私が先に確認してもよろしいのですか?」
「暫くこっちで手が離せないからな。それに、お前もプロデューサー志望だろう?」
「はい。ありがとうございます」
武内はそう言うとかなりの量がある書類を軽々と持ち邪魔にならない場所で目を通し始めた。
「遠慮しちゃって」
「わたしだって同じ立場だったそうなりますよ」
「そう?」
「ええ」
自分にもそんな時があったかと思い出そうとするが出てこない。多分、自分はもっとハキハキしていたということだろう。
そんな時、プロデューサーの名を呼んで一人の男が血相抱えてやってきた。その手には、雑誌らしいものを持っていた。
「今西部長どうしたんですか?」
「大丈夫ですか、部長」
「私の事は言いんだ。君、今日の――」
「ちょっと待ってください」
今西が何かを言いかけようとした時、プロデューサーのスマホが鳴った。画面を見ると黒井とあり、疑問を抱きながらも通話ボタンを押した。
「もしもし」
『貴様、今日の週刊誌をチェックしたか?』
「いえ。今日はまだですが……」
何故、そんなことを聞いてくるのかと思ったが瞬間、何かに気付いた。ふと、今西の手にある雑誌に目を移した。
「ちょっと待ってください……今西さん、それ」
「あ、ああ。私も驚いたよ」
すぐ見せられるようにしていたのか、ページが折り曲げてあった。肩で上手くスマホを固定してそのページを開く。
『見たな』
「ええ。すみません。また、後で俺からかけなおします」
『わかった』
「……」
「プロデューサーさん?」
「大丈夫かね」
手に持っていた力が入り、雑誌が曲がる。彼は表情には出さなかったが、怒りの籠った声で静かに言った。
「今西さん。ちょっと急用ができました。お昼までには戻ってきますので、その間お願いします」
「わかった。こちらでできる範囲の事はしておこう」
「ありがとうございます」
礼を言ってすぐさま会議室から出ようとする。擦れ違い様に武内が異変に気付いたのか声をかけたが、「少し出てくる。今西さんに指示を仰いでくれ」と伝えて出て行った。
多くの人間が行きかう廊下でプロデューサーは走るとまではいかないが、それなりの速さでエレベーターに向かう。
ボタンを押して少し待つとエレベーターが到着。誰もいない、すぐに乗り込む。一階のボタンを押して壁に背中を預ける。
プロデューサーはもう一度雑誌を開いた。
「凄惨な過去!?」、「家庭崩壊」、「両親離婚」、「弟を見殺し!?」と書かれていた。
「やってくれたな……!」
ドン! と、自分の拳をエレベーターの壁を叩きつける。
プロデューサーはそのことを知っていた。
それは……如月千早。
彼女の知られたくない過去だった。
念願の貴音回と意気込んでいたが、気付けば美希回を超えることはなかったなと。
よくよく考えれば、分割だったけど一話は貴音回みたいなもんだし、どっこいどっこいかなって。
千早のスキャンダルを事前に止めれなかったのと、プロデューサーが犯人を特定できなかったのは、ツッコまないでください…じゃないとストーリが進まんとです。
アニマスでもそうだったのですが、19話はなんだかんだで貴音回というより千早回のようなものでちょっと物足りない感じでしたね。
警察のくだりもネタがないので遊びました。すみません。プロデューサーに変な設定が出て来たけどあまり本編では関係ないです。幕間で使えればいいかなぐらいです。
幕間もアニマスよりデレマス関連のがパッと思いつくんですよね…
今回貴音に告白させようかなと思ったがやめてあんな感じになりました。
彼女の恋が実ることはあるのだろうか…
デレステも報酬でシュガハと翠ちゃんなんで頑張らないと…!
たぶん次回はちょっと遅れるかもしれないです。内容的に手間取りそうで。
では、また次回で。
花粉症が辛いです…