銀の星   作:ししゃも丸

15 / 60
「今回は幕間と言ったな」
「そ、そうだ大佐」
「あれは嘘だ」
「うわぁあああああ!!」

というわけで本編始まります。


第12話

 竜宮小町のファーストライブから少し経ち。765プロのアイドル達の環境は変わった。貴音や竜宮小町はもちろん、春香達全員が以前にも増して仕事が増えた。壁にかかっているホワイトボードのスケジュールには空欄はなく、予定で埋め尽くされているほどだ。

 吉澤をはじめとするアイドル雑誌の記者が765プロのアイドルを大きく取り上げたのが一番の原因だろう。特に吉澤が書いた記事はとても好評だった。当事者である彼女達は、彼のことを社長のお茶飲み友達と思っていたそうだが。その実態はベテランと言っても差し支えないぐらいの優秀な男だ。

 そのおかげか、今では街中に流れるCMやポスターは765プロのアイドルが一面を飾っていた。プロデューサーが前に美希に言ったように、ファーストライブが彼女達のターニングポイントであった。

 プロデューサーや赤羽根、律子の活躍もあって仕事はラジオや舞台、レギュラー番組に全員参加の生放送の枠を取ってくるぐらいだ。忙しく、大変でもあるがアイドル達は楽しく仕事を行っているようだ。

 前と違い全員がかなり多忙な生活になったため、プロデューサーも貴音一人をメインで担当することができなくなったしまった。本人としては、全員の名前が売れ出せばこうなることはわかっていたが。貴音は些か不服そうであった。美希は大喜びではしゃいでいたが。

 彼女達全員が売れ始め、赤羽根、律子の二人もプロデューサーとして大きく成長した。高木が夢にみた光景でもあり、プロデューサーが待ち望んだ瞬間でもあった。

 月日は流れ、今は十月である。あと二カ月。それが、プロデューサーが765プロにいられる最後の時間。765プロでの仕事はもちろん、現状では346プロに関する仕事も平行して行っていた。両社の仕事はどちらも大切であり、期限は限られている。

 十月を含めた残り三か月。プロデューサーにとっても、765プロ全員にとっても大変な三ヶ月が始まろうとしていた。

 

 

 二〇一三年 十月某日 撮影スタジオ

 

「という訳だ。赤羽根はこっちに。律子はこっちだ。何か質問はあるか?」

「ありません」

「はい。わたしもそれで大丈夫です」

 

 撮影スタジオの端で赤羽根と律子の二人は、スケジュール手帳を互いに確認しながらこのあとの仕事の指示をプロデューサーから受けていた。プロデューサーも含め、三人の手帳はびっしり文字で埋まっている。すべて彼女達の仕事だ。全員の仕事を把握しつつ、プロデューサーの指示のもと自分が担当する仕事にチェックをつける。彼女達も忙しいが、プロデューサーである三人ももちろん大忙しだ。大変であるが、皆自分の仕事にやりがいを持って取り組んでいた。

 本日の仕事は全員参加の撮影だ。「テレビチャン」という雑誌の表紙を飾ることになっている。果実をイメージした衣装で独特な雰囲気がある。貴音や竜宮小町が雑誌の表紙を飾ったことはもちろんあるが、全員でというのは今回が初めてだ。あのライブ以来、全員で仕事をする機会は中々なく。今回の撮影はみんな楽しそうにみえる。それは赤羽根と律子も同じで、

 

「こうしてみんなと仕事ができてよかったよな」

「そうですね。みんなで一緒の仕事より、個人での仕事が増えましたから」

「長かったな。ここまで……」

 

 哀愁のこもった目でプロデューサーは目の前で衣装に着替えた彼女達を見つめた。そうですねと、二人は悲しそうに言った。事情を知っている二人はプロデューサーがあと少しで765プロから居なくなってしまう事を知っている。二人にとっても頼れる先輩として慕っていた分、余計に寂しく感じる。プロデューサーもやはり寂しいのだろうと、二人はそれを感じ取った。

 

「二人も十分問題ないレベルだ。あいつらもこのままトップアイドルの階段を上っていくだろうな」

「改めてそう言われると照れます」

「でも、よくよく考えると。先輩とはライバル同士になるわけですよね」

 

 赤羽根がそう言うと、プロデューサーもそうだなと頷いた。

 

「プロデューサーさんが相手とか。勝てる気しません」

「頑張れよ。まだ、これからなんだから」

「もうアイドルとかって探しているんですか? まさか、貴音を連れて行ったり……」

 

 プロデューサーは手を振りながらそれを否定した。

 

「ないない。一からスタートだよ。アイドルに関しては企業秘密」

「そこは仲間としてちょこっと教えてくれてもいいじゃないですか」

「律子の言う通りですよ」

「その内、嫌でも目に付くさ。あいつらより凄いアイドルを見つけて――」

「すごい何を見つけてくるの?」

『うおっ!』

 

 突然割って入った美希の声に驚く三人。衣装に着替えた美希がプロデューサーの前にやってきた。

 

「み、美希か。ビックリするだろう」

「ごめんなの。ハニー、どう? ミキの衣装。結構可愛いとミキは思うんだけど」

 

 くるっと一回転して衣装を見せる美希。プロデューサーは顎に手を当てながら評価した。

 

「メロンをモチーフにした衣装か。なかなか似合ってるな」

「えへへ。ミキね、こことかかなりイケてると思うんだ」

「そうだな。お前はセンスがいいからな。この間のファッションショーでも評判はよかったし」

「でしょでしょ。ねぇ、ハニー」

「ん?」

 

 すると美希は腰に手を当てながら卑しいポーズをしながら、色気のある声で誘った。

 

「ミキを召し上がれ」

「もうメロンの時期じゃないんでな。遠慮しとく」

「ぶぅー。ノリが悪いの」

 

 二人のやり取りを、赤羽根と律子はいつのまにか離れたところでみていた。美希がプロデューサーのことを「ハニー」と呼びだしたことに二人を含め、765プロではそれが普通となった。美希曰く、「プロデューサーは特別だから、ハニーって呼んでるの」とのことだ。彼女達はそれを納得したが、赤羽根や律子と言った年長者は美希の本心に気付いていた。美希が最初事務所でそれを口にしたときは白い目でプロデューサーをみた。

 今では諦めの境地に達した。ただ、問題だったが……

 

「ふ、美希も甘いですね。これからはリンゴの時期です!」

 

 突然現れて、胸を張って自信満々に告げた彼女。そう。貴音である。ライブ以降、美希はプロデューサーにべったり。貴音も負けずと美希と張り合う。プロデューサーは気付けば逃げ出しているのが最近の765プロの光景である。

 

「リンゴなんて一年中食べられるの」

「そうですね。メロンと違って一年中食べられますから」

「むむっ」

「ぬぬっ」

 

 火花を散らす二人に対して、プロデューサーは面倒くさそうな顔をしている。二人が一斉にプロデューサーの方に向いて聞いた。

 

『あなた様(ハニー)はどっちがいいの(ですか)!!』

「……冬は炬燵でミカンに決まってるだろ」

 

 バッサリと二人を斬り捨て、プロデューサーはカメラマンのところに逃げ出した。

 思考が一旦停止した二人は再起動。口を揃えながら小さな少女に目を定めた。

 

『みかん……』

「な、なんですか?!」

 

 みかんと言うよりはオレンジだろうか。その衣装を着ているやよいに二人の視線が注がれる。

 

(許せ、やよい)

 

 心の中で犠牲になったやよいに言葉を贈るプロデューサーであった。

 その後、撮影は無事終了した。全員が納得いく写真が撮れたと、雑誌の発売日が待ち遠しかった。

 

 ――しばらくして。

 961プロの社長室。ここの主でもある黒井は机の上でオセロをしていた。相手はいない。別にオセロがしたくてやっているわけでない。彼は黒が好きだ。名前に黒がつくだけあって、子供のころから黒色が好きだった。嫌いな色は白。いつからかは覚えていないが、気付けば白が嫌いになっていた。

 オセロの駒は黒と白。つまり自分にピッタリと思っていた。他の物で例えるならチェスだろうか。あれも黒と白である。黒井は暇があればマス一面に並べる。最初は白。そして、一枚一枚黒に変えていく。だんだんと自分の色に染まる。いや、侵略とも言えるだろう。今日まで当然のようにこうしてきたのだ。

 そして、今回もそれを行った。765プロに対しての妨害行為。向こうから見れば嫌がらせだろう。我ながら小さいことをしていると黒井は思った。順一朗と順二朗は優秀な男だと認めている。だが、自分の敵ではない。潰そうと思えばいつでも潰せる。あいつらは甘い。アイドルに対しても、仕事に関しても。この世界(芸能業界)は力がなければ生き残れない。俺達はそれを身を持って知っただろう、といない二人に問いかける。だからそのための力を手に入れた。その結果はここに居る時点でそれを証明できる。後ろを向けば街を一望できる。いつしか相手は自分を恐れるようになった。昔は自分がその側だった。だが、今は違う。支配する側になったのだ。

 こうしてオセロの駒を白から黒に裏返す。端から中心に向けて徐々に黒に染めていく。逆らう者など一人もいない。誰もが自分にひれ伏す。そんな風に思いながら黒井は白から黒へと裏返していく。

 

「……」

 

 しかし、最後の一枚。ボードの真ん中で黒に囲まれながらも、たった一枚の白が残っていた。先程までいたジュピターの天ケ瀬の言葉を思い出した。

 

 ――しかし、黒井のおっさんもよくやるよな。いくら四条貴音や竜宮小町、事務所全員が売れているからって、所詮は弱小だろ? 

 

 弱小、確かにその通りだ。以前までは四条貴音だけが売れていたが、今でも竜宮小町、星井美希とそれぞれ全員の名前が売れ始めている。去年まで名も売れていないような事務所の名前が今ではいたるところに目につく。すでに弱小と呼ぶには相応しくないだろう。

 しかし、実際はこれだ。黒井は横に置いてある雑誌をみる。その表紙には本来、ジュピターが載ることになっていた。だが、実際にはジュピターと765アイドル全員の写真が不自然に載っている。本来であれば、こういった雑誌は特集のアイドルといった人物が表紙を飾る。なのに、二つのユニットが半分ずつ載っているのだ。不自然でしょうがない。

 コラボ、というには両社には接点がない。買う者が見れば首を傾げる。わかる者がいれば、これはそういうことだということがわかる。

 このことはジュピターも知らないことだ。だが、発売日は明日。どうせ知ることになると黒井は思った。三人も黒井がどれほどの影響力を持っているかは知っている。だからこそ気付くだろう。

 こんなことをできる人間がいるのか、と。

 それが天ケ瀬の言った「弱小プロダクション」にできることなのか。黒井は知っている。この業界でたてつくことができる人間を一人いることを。黒井は思い出す。

 

 あの三人とたもとを別ち、自分についてきたあの“見習い”。二人でゼロから再スタートし、この世界を生き抜いた。その中で数多くのことをアイツに教えた。いや、叩き込んだ。それからすぐに今ほどではないが961プロダクションを立ち上げた。あの時の自分は何と言ったか。「ふん、当然だ」と言ったに違いない。それを否定する気もない。

 自分にはその能力があると思っているし。アイツにもそれがあった。二人と数人の事務員だけしかいなかった事務所が今のようなビルに事務所を構えるようにもなった。あの時とは比べ物にもならないぐらいの社員が働いている。アイドル氷河期と言われたあの時からここまでのし上がったのだ(当時のアイドルブームはあることが原因で下火になり、アイドル関係の仕事だけでは生きていくには難しすぎた)。

 アイツをさらに鍛え上げるためにハリウッドにいかせてまで勉強させてやった。それは会社にとっても奴自身にも大きなプラスとなった。それからしばらくして、961プロは芸能業界においてその名を知らしめたのだ。仕事を依頼すれば完璧にこなす。ただし、敵となれば容赦なく潰す。いい意味でも悪い意味で961の名は広まっていた。

 そして、あの日が訪れた。アイツは辞表を持ってやってきた。

 

「辞めるだと!? 今の地位を捨ててか!」

「はい。自分の力がどこまで通用するか。やってみたいんです」

「馬鹿が! 今までは961の肩書があったからいいものの。フリーになればそれがなくなる。一人で生きていくほどこの世界は甘くはないんだぞ!」

「わかっています。」

 

 それから口論になった。いや、自分だけが怒鳴っていた。結局、俺はアイツを手放した。

 

「……貴様は大馬鹿者だ。好きにしろ」

「ありがとうございます」

 

 確か、アイツが24歳の頃だったか。アイツは961を去った。自分でも信じられないぐらいにアイツを心配していたのだろう。アイツがどうなっているか、それを調べた。だがそれはいらぬ心配だった。調べずとも勝手に情報が入ってきたからだ。

 アイツは上手くやっていた。事務所、テレビ局、その他多くの場所でその力を振るっていた。俺が持っていたコネなども上手く利用して、似たようなことをしていた。アイツだけの武器を手に入れ、いつしか自分と同じように称えられ、恐れられた。

 それからは一切アイツのことを気にすることはなかった。もう問題ないと判断しからだ。そのあと、アイツの事を気にかけたのは二度あった。

 一度はアイツがアイドルのプロデュースを始めたこと。アイドルを始めとして、アーティストや女優と短い期間ではあるがプロデューサーとして活動していた。アイツがプロデュースした人間は今では有名と付くぐらいに売れていた。最初は気にかけたがそれだけだった。

 そして、二度目。それはつい最近だった。アイツがあの順一朗が建てた事務所で、順二朗が社長として経営しているアイドルプロダクションにアイツがプロデューサーとして仕事をしていると聞いたからだ。

 俺は最初かなり怒鳴り散らしていた。アイドルをプロデュースするならまだ許せた。自分でもそれに関しては時間が解決したからだ。問題はあの二人の所でアイドルのプロデューサーとして仕事をしていることが気に入らなかった。

 四条貴音。アイツの集大成と言うべきアイドル。四条貴音は瞬く間にトップアイドルの仲間入りを果たした。

 そして、俺自身もアイドル業界に再び踏み込む決意をした。

 

「ふんッ」

 

 黒井は鼻を鳴らしなら椅子から立ち上がり、街を一望できる窓の前に立つ。

 あの日、アイツが俺に言ったようにこれは順一朗への宣戦布告だ。どちらのアイドルが優れているか。俺のやり方が間違っていないということを証明するため。

 だが、今は違うものになっているだろうと黒井は思っていた。

 

「これは俺とお前の戦いだ。喰うか喰われるか。ふん。見習いがデカく育ったものだ」

 

 黒井はどこか嬉しそうな声で言った。彼はスーツのポケットからキーケースを取出しした。机の一番端の鍵がかかっている引き出しに鍵を差す。そこには二枚の写真があった。その内の一枚を取って見る。それは961プロを立ち上げたばかりの頃に撮った写真だった。そこには数名の事務員とまだ10代の頃のプロデューサーと黒井が写っていた。

 黒井は苦悶しているよう表情をしながら呟いた。

 

「未練、か」

 

 

 765プロダクション 事務所内

 

 その日は珍しく全員が事務所で揃っていた。多忙な日々の中であってもこういうことがたまにある。全員揃ってもやること言ったらお菓子を食べたり喋っているだけで、誰かがいない時と左程変わらない。

 そんな彼女たちの今日の話題はこの間撮影した「テレビチャン」の発売が今日だということだ。本来なら前もって編集部の方から送られてくる。そのことに気付いた亜美と真美はそれを赤羽根に伝えた。赤羽根も二人に言われて改めて気づいたが、実際に手元にはそんなものは届いていない。隣に座り、新聞を広げているプロデューサーに聞いても「いや、知らん」と、どこか冷たい態度で返事をした。

 

「そういえばいおりんが事務所に来る前に買ってくるっていったよね」

「あ、そうだったね」

 

 二人が思い出しように言うとその本人が事務所に入ってきた。二人は伊織に声を掛けるが彼女はそれを無視して歩いて行く。その表情から察するに怒っているようだと二人は感じた。伊織は手に持った雑誌を赤羽根の机に叩きつけながら怒鳴った。

 

「どういうことなの、これは!?」

「い、伊織。どういうことって……!」

 

 叩きつけられた雑誌を見るとそこには「テレビチャン」とあり、表紙には765プロのアイドル達が写っている。だが、そこには写っているはずのないジュピターが一緒に載っている。

 

「私達が表紙のはずなのになんでジュピターが一緒に載っているのよ!」

「どれどれ。うわ、なんか変な感じなの」

 

 伊織の隣から覗き込むように美希が雑誌を見て酷評した。不自然すぎるし、違和感バリバリだからだ。

 他の子達も気になったのかそれをみるために集まっていく。彼女達から疑問の声があがる。事務所に常にいる小鳥でさえもそんな連絡はもらっていないと言った。それは赤羽根と律子も同じだった。

 そんな中で一人。無言でただ新聞を読んでいるプロデューサーは何も反応を示さなかった。

 赤羽根がプロデューサーが知っているか聞こうとした時、社長室から高木出てきた。その後ろには善澤もいた。

 

「どうしたんだね。そんなに騒いで」

「社長。これを見てください」

「これは……」

 

 律子に渡された雑誌をみて、高木は彼女達がなんで騒いでいるかを理解した。高木はそのまま後ろにいる善澤に見せる。彼も高木と同じような反応をした。

 高木はどうするか少し悩んだ。横目で自分の椅子に座っているプロデューサーを見る。あんな態度をとっているということは“知っていた”と高木は推測した。原因が原因なだけに、彼も下手に変なことを言いたくないのだろうと察した。だが、目の前で不安で辛そうなアイドル達を見る。胸が痛む。どうするべきか。高木は苦しい決断を迫られていた。自分の娘のように可愛がっている彼女達に教えるべきか。だが、同じように自分の息子のように育ててきた彼の気持ちを汲むべきが。しかし、事は起きてしまった。彼女達にも知る権利はある。高木はそう決断した。

 

「善澤くん」

「……わかった」

 

 善澤はその一言で高木がしようとすることを理解した。長年連れ添った中だからこそ通じ合えた。二人はソファーに座った。

 まず、善澤から話を始めた。

 

「おそらく、いや。今回の件に関しては間違いないなく961プロの黒井社長が絡んでいる」

『961プロ?』

 

 声を揃えて彼女達は言った。彼女達からしたらあまり他のプロダクションの名前を気にかけることはないので仕方ない。たが、ただ一人。小鳥だけはそれを聞いて辛そうな顔をした。

 

「ジュピターが所属する事務所、と言えばわかるかな」

 

 善澤が彼女達にもわかるように説明する。すると、今まで解けなかった問題が解けたような顔をした。どうやら伝わったようだ。

 

「まず、961プロについて話そうか。961プロはこの業界じゃトップの芸能プロダクション。仕事を依頼すれば文句なしの成果を出し。向こうから依頼を受けてもよい結果に終わる。少し前では芸能人や女優、アーティストと幅広く扱っていたが、ここ最近はアイドル業界にも手を伸ばしてきた」

「それが、ジュピターですか?」

「ああ。今まではアイドルだけはあそこから出ていなかった」

「それも気になるけど。どうしてその大手プロダクションがうちなんかにこんなことをするのよ!」

 

 一番腹を立てている伊織が聞いた。その問いには高木が答えた。

 

「それは私が原因なんだ。いや、正確には会長である順一朗と私が、だがね」

「社長、それはどういうことですか?」

 

 赤羽根が驚いた顔をしながら質問した。彼だけではない。まさか、社長と会長が関係しているとは思っていなかったのだ。

 

「それを今から話そう。今から昔。私達二人と黒井は共にいた。そこには私達三人とアイドル一人と見習いのプロデューサーの計五人。私達は小さな事務所で一人のアイドルをトップアイドルにするために頑張っていた。主に順一朗と黒井がアイドルのプロデューサーを担当し、私は事務員のようなことをしていた。一応二人のようにあちこち走り回ったりもしていたがね」

 

 少しずつ昔のことを語る高木。その顔は嬉しくも悲しくもある。そんなような顔をしている。同じように小鳥も皆から見えない位置でその話を聞いていた。腕を抱える手に力が入る。高木と違ってとても辛そうである。小鳥の異変に気づかず、高木は話を続ける。

 

「順一朗と黒井は正反対の人物だった。順一朗はアイドルを尊重するような姿勢を貫いた。黒井はどちらかと言えば効率と言えばいいのかな。まあ、アイドルをちゃんと大事にするかしないか。黒井はよく無茶な事を言った。しかし、今にしてみればちゃんとできるとわかっていてそういったことをしていたのかもしれない。そんな正反対の二人だったが仕事はうまくやっていたよ。よく言い争っていたがね」

「どういったことで言い争っていたんですか?」

「育成方針。仕事内容、その他もろもろだよ。よく言うだろう。喧嘩する程仲がいいって。二人は仲間であると同時にライバルだった。そんな二人でも互いのことは認めていた」

「ちなみに社長は黒井社長とはどんな感じだったんですか?」

 

 律子の質問に他の子達も興味が湧いたように高木をみた。

 

「私かい? そうだなあ。よく二人の間に入って仲裁していたよ。黒井は順一朗と同じようなことを私に抱いていたんじゃないかな。どちらかと言えば、私は順一朗側だったからよくそれに関して怒鳴られたがね」

「話を聞いている限りだとそこまで悪い関係には見えないんですけど」

 

 赤羽根に言われて高木は先程までの顔とは違い、真面目な顔をした。

 

「ある日。そう、ある事が原因で……私達と黒井はたもとを断った。今までにないぐらいに口論をした。それはもう喧嘩に近かった。順一朗も、それに私も黒井を引き留めようとした。だが、私達と黒井の道はもう交わることはなかった。黒井が765プロにこういった嫌がらせをするのは順一朗、765プロに対しての宣戦布告だろう。自分は間違っていない。自分の考えが正しかった。それを証明するために。そのためのジュピターだ」

「宣戦布告って。だからってこんなことを――」

「こんなことをするのは間違っている。そう言いたいのかい?」

「……はい」

 

 高木は赤羽根が言おうとしていることを当てた。彼と同じようなことを彼女達も思っていたように見える。だが、高木は辛い言葉を彼らに送った。

 

「あんまりこういうことを言いたくはない。むしろ、アイドルである君達には知ってほしくはなかった。だが、起きてしまった以上は伝えなければいけない。はっきり言えば、こういうことはこの業界じゃ珍しくもないんだよ」

「記者である私が言うのもあれだがね。高木の言う通りなんだよ。今は違うが、無名の事務所がどんなに素晴らしい才能を持ったアイドルを売りたくてもそんな簡単にできることじゃない。例え売り出して名前が売れると、それを気にくわないと思った相手から今回のようなことが起きる。事務所だけじゃない。テレビ局からだってそういった要求をされることだってある。他の子を売りたいから君はその踏み台になってくれと」

 

 二人が全員に辛い現実を突きつけた。赤羽根と律子に至ってはわかってはいてもそれを受け入れたくはない。アイドルである彼女達は、自分達がいる世界がそんな黒い世界だと知りたくはない。そう言った反応をしていた。

 高木は辛かった。こうなるとわかった上で伝えたのだと自分に何度も言い聞かせる。そして、高木は衝撃の事実を口にした。

 

「それに今回に関しては私よりも……彼のが詳しい。そうだろ、キミ。元961プロの社員だったキミならわかっているんだろ」

『えーーーッッ!!』

 

 高木が向く方に全員が向いた。そこには窓際でただ一人。この場に交わらず新聞を広げている人物。プロデューサーである。全員がプロデューサーに向くとタイミングよく一枚捲り、記事を読む。新聞を広げていため顔は見ることはできない。だが、その新聞が彼と彼女達を隔てている壁のようにも見える。

 

「……」

 

 プロデューサーは無言だった。彼の代わりに彼女達が口を開いて騒ぎ出す。

 

「え、え。それってどういうことですか?!」

「つまり、プロデューサーは961のスパイってことなのか!」

 

 勝手な憶測で色んな言葉が飛び交う。全員が彼の名を呼ぶが彼は一向に反応を示さない。そんな中、貴音と美希が彼の名を呼んだ。

 

「あなた様」

「ハニー」

 

 呼ばれたから少し経ってプロデューサーは溜息を吐いた。流石の二人に言われたらお手上げといったころだろうか。プロデューサーは新聞を広げたまま、閉ざしていた口を開けた。

 

「社長。勝手に昔のことを話さないでくださいよ」

「すまない。だが、この子達には知る権利がある。そうだろう?」

「……はあ」

 

 プロデューサーはもう一度深いため息をついた。

 

「先に言っておく。俺がスパイだったらとっくに潰してるよ」

「キミ。いくらなんでも酷過ぎないかい」

「例えですよ。例え。で。俺が961プロに居たっていうのは本当だ。でも、もう昔の話だ」

「昔ってどのくらいなのですか」

 

 貴音がとても興味深そうに質問した。話の内容よりも、プロデューサーの事を知ることができて嬉しそうにしている。

 

「確か……俺が24の時だから7年前? でいいのか。その時に俺は961プロを辞めた」

「じゃあその前は何してたの?」

 

 今度は美希が質問した。プロデューサーはそれに対してはぐらかすことをせずに答えた。

 

「小さな事務所でプロデューサー見習いとして働いてた」

「見習いって……」

「まさか――!」

「そう何を隠そう。彼が私達働いていた見習い君なのだよ」

 

 高木は胸を張りながら自慢そうに答えた。「えぇー!」と驚きの声が響き渡る。先程までの暗い空気から一転し、暗く重い空気はどこかにいってしまった。

 

「じゃあ、先輩と社長がやけに親しいのって」

「まあ、私からしたら彼は自慢の息子のような感じかな」

「親父、金くれよ。金」

「調子に乗るんじゃない」

「すんません」

『……』

 

 今のやり取りをみてそのことが本当なのだと再認識した。高木もほんとうに怒っているわけではなく、それが冗談だとわかっていえプロデューサーの台詞に乗っかった。

 

「話が逸れたな。で、あの出来事のあと、俺は黒井さんの下についていったわけだ」

「それはどうしてですか。先輩」

「不思議そうだな。黒井さんは社長が言ったようにアイドルの対応に関しては少し問題があった。だが、それ以外に関しては有能な人だった。俺はあの人からそれを学んだ。それがこの業界で生きていく上で必要なことだと思ったし、黒井さん以上の人間なんて俺はいないと思った。18の時から数えて約6年。俺はあの人の下で仕事をしていた」

「どうして辞められたのですか?」

「一人でどこまでやれるか挑戦してみたかった。それに、やりたいこともあった。まあ、辞めた後はあちこちを行ったり来たりして過ごしていた。で、今に至ると言うわけだ。話を今に戻すと、今回の件については連絡をもらっていた」

 

 プロデューサーは数日前のことを思い出す。プロデューサーもそろそろ雑誌が届くだろうと思っていた時だ。一向に届かないので直接テレビチャンの編集部に連絡を取ったのだ。

 

「あ、高橋か?」

『プロデューサー! すみません、こちから連絡をしようと思っていたところなんです』

「それは構わない。まだこちらにサンプルが届いてないんだが」

『ええ、その件でお話が……』

 

 小声で話す相手に違和感を覚えた。周囲の目を気にしているのか慎重な声で話し始める。プロデューサーも相手の事は知っているので何か問題があったのではと勘付いた。

 

『実は上から圧力がかかりまして。765プロではなく、961プロのジュピターに差し替えろと通達されまして』

「なるほど。まあ、よくある話だ」

『ええ。よくある話です。ただ、相手が961プロとなると話が別です』

 

 高橋はプロデューサーが元961プロの社員だったということは知っていた。彼も若くして会社に勤め、今では編集長という肩書を持っている。年も近く、プロデューサーとはよく仕事でも会う機会が多かった。なので、彼が961プロで働いていた頃を知っている一人でもあった。

 

『上も今回の仕事にプロデューサーが関わっていることを知っているのでかなり渋っていましたよ』

「だろうね。で、どうしたんだ? 何かもう手を打ったんだろ」

『相変わらず鋭いよ。表紙は765と961のW表紙にしました』

「それは……色んな意味で無茶をしたな」

『今回ばかりは売り上げがでないことを覚悟しての決断だよ。周りも今回ばかりはしょうがないと腹を括った。だから、次は頼むよー』

「わかったよ。迷惑をかける」

『で、これは私的なことになるんだけど。なに、黒井社長と戦争でも始めるの?』

「俺はその気はないんだけどね。今回に関してもジャブみたいなもんだよ」

『色々大変そうだね。こっちでも何か情報を掴んだら教えるよ』

「ありがとう。今度、奢るよ」

『楽しみにしているよ』

 

 プロデューサーは電話で話したことを大まかに伝えた。事のいきさつを聞いた彼女達はこんかいの件に関しては納得した。だが、伊織は皆を代表するかのように言った。

 

「つまり、これからもこういった事をされるかもしれないってことでしょ! 何も解決してないじゃない」

「そういうことだな」

 

「権力には権力ってことでしょ! だったら。新堂に頼んで水瀬財閥から直接――」

「それは駄目だ!」

 

 伊織を止めたのは赤羽根だった。水瀬家の執事である新堂に電話をかけようとする伊織の手を赤羽根が止めた。

 

「伊織、そんなことしちゃいけない。それだけは絶対に駄目だ」

「どうしてよ! アンタだって悔しいでしょ! やっと皆でできた仕事なのに。こんな形で邪魔されて!」

「俺だって悔しいよ。でもな。例えどんなことがあっても伊織はそれをしちゃいけない」

「赤羽根の言う通りだ」

 

 プロデューサーはやっと彼女達に素顔を見せた。新聞を畳み、机の上に置くと伊織の前まで歩いてきた。

 

「伊織。お前はアイドルだ。アイドルがそういう汚いないことををするな。それは俺の仕事だ。お前の仕事はファンに笑顔を、歌を届けるのが仕事だ。赤羽根もそう思ってお前を止めているんだ」

「先輩……」

 

 赤羽根と顔を見わせて頷くプロデューサー。赤羽根は自分の考えがわかっていてくれたことが嬉しかった。伊織も納得はしたようだがそれでもと続けてプロデューサーに聞いた。

 

「もし、私達になにかあったらどうするのよ」

「……潰す。徹底的に」

 

 プロデューサーは冷たく、冷酷な顔をしながら伊織達に告げるとそのまま事務所を出て行った。

 始めてみる彼の一面にその場にいる全員が戸惑う。貴音と美希でさえも互いに顔を見合わせる程だった。

 小鳥はそんな中でただ一人、プロデューサーは追いかけた。

 

 事務所を出たプロデューサーは屋上にいた。まだ陽は落ちてお非ず、車の行きかう音が聞こえる。ポケットから煙草を取出し、火をつける。煙を吸って吐くと空いた左手で髪の毛をくしゃくしゃとかき乱し声をあげた。

 

「ああ、もう! 何やってんだ俺は。恥ずかしいったらありゃしない!」

 

 先程の行いを思い出してプロデューサーは後悔した。らしくない、そう思った。何が潰す、だ。格好つけて言う台詞じゃない。だが、言葉自体には嘘偽りはない。本当のことだったとプロデューサーは断言する。アイドルに直接何か危害があれば、例え黒井さんであろうと容赦はしない。それぐらいは覚悟していた。それに、プロデューサーにとってこういった事は初めてではなかった。

 

「いつだったけなあ。まだ30になる前だったよな……」

 

 思い返すと自分は年をとったと実感した。感傷に浸っていると、屋上の扉が開いた。後を追いかけてきた小鳥がプロデューサーを呼んだ。

 

「プロデューサーさん」

「小鳥ちゃん」

 

 誰かが追ってくるとは思っていたが、それが小鳥だったことにプロデューサーは驚いた。小鳥はプロデューサーの隣まで歩いてきた。彼女はプロデューサーが一番気にしている事を容赦なく言った。

 

「さっきのプロデューサーさん。かっこつけすぎですよ。それに、みんな怖がってます」

「反省してるよ。でも――」

「でも、本当にやるんですよね」

 

 小鳥に遮られて、プロデューサーはああと一言で返した。それから少し無言が続いた。互いに気まずい顔をしながらただ目の前に広がる街並みを見ていた。そして、先に口を開いたのは小鳥だった。

 

「“順一朗さん”。私に気を使ってくれたみたいですね」

「そう、だね」

 

 社長ではなく、順一朗と小鳥は昔に呼んでいた呼び方で言った。プロデューサーもどこか口調が優しかった。

 

「ある事が原因で黒井さんと喧嘩したのは本当ですけど。でも、本当の理由は……私。なんですよね」

「それは違う! あれは、しょうがなかった! 人が、時代がアレを望んでしまった。求めてしまっただけなんだ。だから、小鳥ちゃんの所為じゃ……」

 

 でもと、小鳥はプロデューサーの言葉を遮った。彼の方を向きながら……小鳥は泣きながら言った。

 

「でも、私が、私がアイドルをやめるなんて言わなければこんなことにはならなかった。あの子達が辛い目に遭う事もなかった。私がアイドルを続けていたら……黒井さんも居て、プロデューサーも一緒にいて、五人で一緒に居られたかもしれないのに――!!」

 

 最後が彼女の本音だ、プロデューサーはそれに気付いた。プロデューサーは涙を流す小鳥をそっと抱きしめた。プロデューサーの胸で身体を震わせる小鳥。社長の話に出てきたアイドル。それは音無小鳥、彼女のことだった。

 プロデューサーはあの日。黒井と一緒に小鳥たちと別れてからも、黒井には内密で三人とは連絡を取っていた。プロデューサーからしたら仕事に関しての悩みや相談を順一朗と順二朗の二人に話していた。黒井のことについても本人は内緒で教えたりもした。だが、小鳥とはほぼプライベートな感じであった。自分より年下の小鳥に対してプロデューサーは兄のように接した。当時の年齢で言えば高校生である。勉強や友達とそういった悩みを彼女からも受けていたし、彼自身も仕事の愚痴などを聞いてもらったりもした。小鳥が成人した年は飲みに連れて行ったりと、少し特別な関係だった。だが、プロデューサーが忙しくなると連絡はメールのみで、直接会う機会は減った。それでも年に数回。多いときは月に一度は食事にいったりした。

 あの日から彼女も子供から大人になった。それでも、彼女の心にはあの日の出来事が心に深く刻まれていた。プロデューサーは小鳥も近くでそれを見ていた。互いの思いを、考えを知っているからわかっていることもある。それを小鳥に教えた。

 

「小鳥ちゃん。遅かれ早かれ、黒井さんはきっとみんなのところを離れたと思う。社長も言ったろ。正反対だって。今までは歯車のようにうまくかみ合っていた。でも、二人の考えは、思想は違う。今のような形になっていたと思ってる」

「プロデューサーさんは……黒井さんのこと、どう思ってるんですか」

「尊敬している。黒井さんだけじゃない。順一朗さんに順二朗さん。三人を俺は尊敬しているし、感謝している」

「私もです。私も三人に感謝しています。でも……」

 

 悲しい。そう言おうとしたが言葉に出なかった。プロデューサーは言わずとも、小鳥の言おうとしたことを理解した。

 

「小鳥ちゃん。あの日、君がアイドルを辞めると言った時。黒井さんは一人反対していたのを覚えているかい」

「はい。諦めるな、お前なら同じ場所に立つことができる。ちゃんと覚えています」

「黒井さんは至上主義で、よく無理なことを言った。でもあの人は、できるとわかっているからそういう事を言う人なんだ」

「知ってます。黒井さん、素直じゃないですから」

 

 小鳥の顔に少し笑みが戻るとプロデューサーは安堵した。

 

「所謂ツンデレだから、あの人」

「ふふ、そうですね。前から思ってましたけど、プロデューサーさん。黒井さんに似てきましたよね」

「嘘だろ?」

「本当です」

 

 そうかなと頭をかくプロデューサー。小鳥も泣き止み、そっと彼の傍を離れた。

 

「それにしても、泣いたらなんだかもっと愚痴りたくなってきました」

「そこはすっきりしたって言うべきじゃないのか?」

「私だって色々と悩みをかかえているんですぅ! 」

「わかった、わかった。今日は飲みに行こう。久しぶりに二人で」

「そうですね。たまには……二人で昔話に花でも咲かせましょうか」

「そうだな。前はよく二人で行ってたんだ。それがまたやるようになった。それだけさ」

「じゃあ、ご馳走になります!」

 

 ビシッと敬礼しながら小鳥は言った。プロデューサーは呆れながらはいはいと答えた。いつも二人で行くときは自分が払っていたのが当たり前だったので特に気にしてはいなかった(年上でもあり、お金を持っているからなのだが)。

 

「それじゃあ、先に行ってみんなをフォローしておきますから」

「世話をかけるよ」

「いつものことですよ」

 

 小鳥はそう言って事務所に戻った。プロデューサーも煙草を片付けて扉を開けた。ふと、足を止めて振り返る。何故か、あの言葉が脳裏を過った。

 

 ――なんで辞めるかって? だって張り合いのあるライバルがいないからよ。まあ、いたけど彼女はもういないし。それだけよ。

 

 テレビか雑誌のどちらかは忘れた。が、あのトップアイドルは確かにそう言った。プロデューサーは名残惜しそうに呟いた。

 

「可能性はゼロじゃなかったんだよ……」

 

 後から知ったからそういうことが言えると自分でわかっていた。プロデューサーはその怒りの矛先を、扉を強引にしめることで八つ当たりした。このあと事務所に戻ることを考えると気が重くて仕方がなかった。

 だが、戻らならければ仕事は終わらない。このあと飲みにいくと約束したのだ。

 だから我慢しよう。そのことを彼女に愚痴りながらビールでも飲んでやろう。

 そう思えば頑張れるような気がした。

 

 

 





弁明というか解説なのですが長いです

今回はどちらかと言えば黒井社長がメインな話になっています。アニマスではゲームよりも765の敵として表現されています。ただ、やっていることが小さいなと私は思ってまして。表紙の差し替えはともかく、響をロケ現場から遠ざけたり? ライブのスタッフを使っての妨害。なんか小さいなと。もっと、仕事が来ないようにするとかなんか色々とあると思う(自分で言っておいて思いつかない)。

で、前にも言っていた通り物語の後半はかなり削る予定と言いました。まず、15話、17話をカットで、次回は16話と21話を一緒にします。時系列は14話から16話の間に21話が入ると思っていただければ大丈夫です。
本作品においてのジュピターは少し出るぐらいだと思います。ジュピターよりも黒井社長がメインです。なので、黒井社長が関わっている話をまとめます。
今回が前編、次回が後編みたいな感じですかね。
なので、結構無理やり感が半端ないです。時間軸で言えばちゃんと時間は経っているのですが、こうして文に起こすと短く感じてしまいますね。

あと、高木社長もそうなのですが。黒井社長と年齢は少ししか違わず、黒井社長は54なんですよね。で、本作品の設定上プロデューサーの年齢から逆算すると42の時に独立して、一気に大手芸能事務所になったわけです。黒井社長は有能な人間なのでそれぐらいはやってのけると思っています。ただ、プロデューサーがいて、小鳥がアイドルという設定をいれたため、少し無理かがあったなと思ってます。

自分でも765を弱小と書きましたが、弱小の定義がわからなくなった。なんていうか物語の進行上仕方がなかったんや。

小鳥がアイドルというのも公式では明言されてなかったと思います。確か、アニマスだと小鳥のお母さん?がそうだったのでは?と言われているのでよかったかな。二次創作でも日高舞のライバルに小鳥になっているのをよく目にしたのでそれを採用しました。
ちなみに私は小鳥さんの太ももとホクロが好きです。

自分で言うのもなんですが徐々にプロデューサーの過去(設定)が明らかになっています。そのことについては次回に回します。一応補足で2013年時点で彼は31となっています。

そうなってくるとアニマス編も残りわずかです。更新の感覚も週一になってしまっていますが申し訳ないです。

長くなりましたが次回もよろしくお願います。

追記 木曜日に艦これアーケードをやったら建造で熊野がでた。やったぜ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。