インフィニット・ストラトス ~グレモリーの白騎士~   作:ELS@花園メルン

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8 冥界到着します!

SIDE 一夏

 

 

列車は次元の狭間を抜け、紫色の空が広がる冥界に入った。

窓の外から見える景色は凄まじいものだった。

 

 

すげぇ・・・。町が小さく見える・・・。

 

 

「ふふ、驚いていますわね、一夏君」

 

 

朱乃さんが外を眺めている俺を見て話しかけてくる。

 

 

「ええ!だって自分の住んでいる町さえもこんなに上から見下ろすなんてできませんでしたから!とても新鮮です!!」

 

「あらあら、年相応の可愛さがあふれ出ていますわね」

 

 

あ・・・。思わず、興奮しちゃった。

ちょ、朱乃さんその暖かい目で見るのやめてくれません!?

 

 

朱乃さんに弄られ続けてしばらく、列車は大きな駅に停車した。

 

 

「着いたわ!ここが魔王ルシファー様が治める都市ルシファードよ!」

 

 

名前からしてここがリアスさんのお兄さんが治めているんだということが分かる名前だな・・・

 

列車を降りると駅の外に豪華な馬車がスタンバっていた。

 

 

「お嬢様そして眷属の皆さま、お迎えに上がりました」

 

 

馬車のそばには歴史の教科書で見たことのある着物を着た男の人がいた。

着物かぁ・・・!柳韻(りゅういん)先生みたいだなぁ・・・

 

俺が通っていた剣道場の師範 篠ノ之 柳韻 先生。

篠ノ之流の師範で千冬姉と何故か俺は剣道では無く、剣術をやらされていた。

その道場の娘の 箒 という少女は、剣道少女と呼ぶにふさわしく、剣術をしていた俺に剣道をやらせようと必死で俺はストーカーのような行為を受けていた。

 

そういうのが嫌で俺は小4で道場をやめ、それ以来、顔を出していない。

 

 

「沖田!?お兄様の騎士である貴方がどうして!?」

 

 

リアスさんはとても驚いていた。

お兄さんの眷属?なんでこんなところに?

 

 

「お迎えに上がったというのは本当です。

ですが、もう一つ目的があります。今日から私の弟子となるそこにいる織斑 一夏という少年を見に来ました」

 

 

弟子!?俺が!?そういえばグレイフィアさんが戦闘は別の人が教えるっていってた気がするな・・・。

 

 

「あなたがイチカを鍛えるというのね。それなら安心だわ。イチカ、彼はお兄様の騎士 沖田 総司(おきた そうじ)よ。あなたの戦闘面は彼が見てくれるそうだわ。

それと、彼の名前に聞き覚えは無いかしら?」

 

 

リアスさんの質問に俺は頭を悩ませる。

沖田・・・総司・・・?・・・!?

 

 

「新撰組の沖田総司ですか!?」

 

「ええ。日本の歴史に残っている新撰組の沖田総司。彼がその本人よ」

 

 

驚いた・・・。まさか歴史の偉人に会えるなんて・・・・。

 

 

「リアス、お話はそれくらいにしませんこと?実は先ほどからギャスパー君が眠そうにしているのだけど」

 

 

朱乃さんの方を向くと、確かにうつらうつらとしているギャスパーがいた。

 

 

「そうね、とりあえず家まで移動しましょうかしら」

 

 

リアスさんの言葉に賛同し、馬車を使ってグレモリーの屋敷に移動した。

荷物を使用人の人がせっせと中に運んで行くので手ぶらになってしまったが、沖田さんに声を掛けられる。

 

 

「さて、改めて名乗らせていただきます。

元新撰組所属、現ルシファー眷属騎士の沖田総司です。

今日からあなたを主の命により鍛えさせていただきます」

 

「お、織斑 一夏です。よろしくお願いします」

 

「では、早速ですがあなたの力を見せていただきたいので―――」

 

 

そう言いながら俺に木刀を取り出し放って来る。

 

 

「―――その木刀で私に攻撃を仕掛けてください」

 

 

ええ!?いきなり修行を!?

 

 

「ちょ、ちょっと待ってください!沖田さ―――ぐっ!?」

 

 

急に嫌な感じがし、俺は防御するように木刀を構える。

木刀にとてつもなく重い衝撃がのしかかる。

沖田さんの手刀が木刀に当たった衝撃だった。

 

 

「ほう?いきなりのこれを防ぎますか・・・。とりあえずは合格ですね。・・・ですがっ!」

 

「うっ!?」

 

 

次に、蹴りを無防備だった腹に喰らい、俺は近くの岩に蹴り飛ばされる。

 

 

「剣士たる者、常に周囲に気を巡らせておきなさい。

それを第一に守っておきなさい。

・・・私は人に教えるというのは些か苦手でして、この様な実戦形式が多くなると思いますが、死なずに生き延びてくださいね。あ!後、私の事は『師匠』と呼ぶように」

 

「は・・・い、し、しょう」

 

 

俺・・・死なずに生き残れるんだろうか・・・?

 

 

俺の意識は暗闇の中に沈んでいった。

 

 

SIDE 一夏 END

 

 

 

SIDE リアス 

 

 

イチカがいきなり沖田に蹴り飛ばされてダウンしてしまい、私達には何が起きたのか理解が追い付かなかった。

 

 

「リアス、先ほどの音は何だい?」

 

 

屋敷の中から兄様(サーゼクス)が出てきた。

 

 

「お、お兄様!?なぜ、ここに!?」

 

「君の新しい眷属を見に来たんだよ、リーアたん!

っと、もしかしてあそこでのびてるのが君の騎士かい?」

 

「ええ、私の騎士の織斑 一夏よ。

って、お兄様!その呼び方はやめてくださいって何度も言っているではありませんか!!」

 

 

本当にお兄様は・・・!

 

 

「ところで、リアス。

君に縁談の話が来ている」

 

「え、縁談ですって!?

そういう関連の話は私が成人してからと言っていたではありませんか!!」

 

「ああ。それは分かっている。

だが、冥界の上層部の彼らが是非にと推してきていてね。

前向きに検討はしてみる、と言って話は中断したんだが、どうする?」

 

「相手は?相手は誰なのですか?」

 

 

どうせ、あの男だ・・・。

私の中では一つの確信が生まれていた。

 

 

「フェニックス家第三男のライザー・フェニックスだ」

 

 

ああ・・・・、やはり・・・。

私が最も嫌っている相手の名だった・・・


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