インフィニット・ストラトス ~グレモリーの白騎士~   作:ELS@花園メルン

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GW~織斑家で過ごす一日~小猫編

SIDE 一夏

 

 

千冬姉と電話した翌日、合宿所で朝を迎え早朝の眷属全体での基礎トレーニングを行い、朝飯を今日はアーシア先輩と祐斗が作り、それを食べた後に小猫と一緒に部長へあいさつして自分の寮の部屋へと転移の魔術で飛んだ。

 

 

「うし、じゃあモノレールの駅まで行ったら、真っすぐ家に向かってそれから夕飯の買い出しにでも行くか」

 

「わかった」

 

 

で、俺たちは実家のある地区までのモノレールに乗って、久しぶりの我が家に帰ってきた。

当然ながら、庭の草は結構生えていて、何か汚らしくなっていた。

まあ、久しぶりに帰ってきたんだし…と思い、簡易の人払いの術式を張って、草抜きを魔術を用いて手早く済ませた。

……結構、この力を変な方に役立ててるなぁ。

 

 

「良し、じゃあ、部屋も確認しようっと」

 

 

と、俺は小猫を引き連れ家に入った。

 

 

「ただいま~、千冬姉いるか?」

 

「お邪魔します」

 

 

すると、リビングへ続くドアが開き、私服姿の千冬姉が出てきた。

 

 

「久しぶりだな、一夏、それと塔城も。

ああ、それとおかえり、元気そうでよかったぞ」

 

「そっちも元気そうだな。

――リビング汚してないよな?」

 

 

俺はそう言いながら、リビングへと向かってみた。

いつも千冬姉と冬八だけなら散らかっている筈なんだが…。

リビングを見て唖然とした。

綺麗なままだった。いや、多少の使ったような跡はあったんだけど、普通に掃除をされているような感じにきれいになっていた。

 

 

「千冬姉、家事ができるようになったのか…!?」

 

「それほどに驚くことか!?

んん!ま、まあ、お前が家を空けることも増えてた時期があったが、その時に凰の奴に『家事もできないなんてこの先、生きていけるんですか?』と、言われたことがあってな……。

お前ほどにはできなくても私や冬八も掃除や洗濯なんかはできるようになってるんだぞ」

 

「アレほど嫌がっていた家事をとうとう千冬姉が…ウっ、何か目から汗が…」

 

 

と、俺は何か千冬姉の話を聞いていると眼頭が熱くなっていた。

 

 

「一夏君、泣きたいときは泣いていいんだよ?」

 

 

と、小猫が俺の頭を撫でる。

 

 

「まあ、その話は置いておいてだ。

お前たちの距離、やけに近くないか?」

 

 

と、千冬姉がそう俺たちに聞いてきた。

 

 

「そのことなんだけど、俺たち正式に交際することになったんだ」

 

「何!?あの唐変木とまで言われていた弟たちの一人にやっと恋人ができたのか!!

私も、なんだか泣けてくるぞ…」

 

「な!?唐変木ってなんだよ!?」

 

 

唐変木だなんて心外だ…。

 

 

「苦労を掛けるな、塔城いや小猫」

 

「いえ、もう慣れっこですし」

 

「ふ、やはりいい子だな。

一夏、こんなにもいい子は滅多にいないぞ、手放すなよ?」

 

「…わかってるよ。

あ、それと今日は小猫が来てるんだけど、明日、用事があるから小猫は明日帰るんだけど、部活の先輩の朱乃さんを呼んでもいいか?」

 

「朱乃――ああ、箒に似た長い髪の少女か。

別に構わんぞ、冬八の方もいつものあいつらが付いてきそうな予感もするからな」

 

「いつものって鈴たちのことか?」

 

「そうだ。

それで今日は何を作ってくれるんだ?ちなみに私のリクエストは―――「チーズハンバーグだろ?」流石、私の弟だ。

私の好みを熟知しているな」

 

「何年家族をやってると思ってるんだよ?

じゃあ、買い出し行ってくるよ、小猫も行くだろ?」

 

「うん」

 

「なら費用は私が出そう。

その代わり冷凍用に多目に頼んでもいいか?」

 

「了解。

じゃあ行ってくるよ」

 

 

俺と小猫は必要な物を持って買い物に出かけた。

すると、家からスーパーまでの途中で人に出くわした。

 

 

「あら?一夏じゃないの!!」

 

「鈴?おお、久しぶりだな!」

 

「本当久しぶりね。

それに小猫、アンタも久しぶりじゃない?」

 

「うん、久しぶり鈴」

 

 

鈴が中国に帰って以来、小猫はおろか俺も会うことは無くなっていた。

 

 

「二人がいるってことは、今日は家に帰ってるの?」

 

「そうだぞ、千冬姉がご飯を家族で食べたいって言うから久しぶりに皆でと思ってさ。

小猫は友人を連れて行っても構わないっていうから、一緒に来たんだ」

 

「ふ〜ん?じゃあ私も行ってもいいかしら?

休みだからって学園から出てきたけど思ったより暇なのよ」

 

「いいぞ。

千冬姉はそう言うと思って、鈴たちが来るのを予想してたみたいだし」

 

「うぐっ、流石千冬さん...。

まあ、折角だし私も買い物付き合うわよ?

―――あっ、それともお邪魔だったかしら?」

 

「いや、俺は別に平気だけどさ」

 

「私も良い。

鈴は別にライバルじゃないから」

 

 

ライバル?何のライバルだ?

 

 

「ならイイわね!先にあんたの家に行って千冬さんと一緒てのは流石にキツいから」

 

 

 

鈴を連れて3人で買い物を始めていると、途中で

 

 

「そういや、あんたらってもうくっついたの?」

 

 

と、鈴が発言し、小猫は顔を赤くし、俺はブッと噴き出した。

 

 

「あ、その反応はやっぱり出来ちゃったのね!

あー、羨ましいわー。本当羨ましいわー」

 

 

と、鈴は棒読みで俺たちをからかってきていた。

 

 

「鈴の方は冬八とはどうなんだよ?」

 

「へ!?ま、まあ順調よ!?」

 

「まあ千冬姉から詳細は聞いてるから知ってるけど。

あんまり見栄を張らない方がいいぞ?バレたときに恥ずかしい思いをするんだからさ」

 

「な!?うっさいわよ!?

アイツが悪いのよ!私との約束を全く違う解釈してたんだもん!!」

 

「いや、アイツの性格知ってるんだったらそれじゃあ通じないのは分かってるんだろ?」

 

「そうね、あんたと同じで」

 

「一夏君と同じだね」

 

 

と、小猫と鈴が俺を見ながらそう言った。

 

 

「だから!俺は唐変木じゃないって!?」

 

 

それから近所のスーパーに行って必要なものを買い集めていき、家に帰った。

すると家を出る前よりも靴の数が増えていた。

 

 

「ん?他にも誰か来てるのか?」

 

「げ、この靴は…」

 

 

と、鈴はその靴を見て誰が来ているのかを察しているようだった。

 

 

「ただいま、千冬姉。

冬八の靴以外にも誰かのがあったけど、誰かいるのか?」

 

 

リビングに入ると、そこには千冬姉と、帰ってきたのであろう冬八の他に二人の女性が座っていた。

 

 

「やっぱり!なんであんた達がここにいんのよ!?箒、セシリア!!」

 

 

なるほど、この二人が冬八関連のトラブルメーカーなのか…。

それにしても、箒は久しぶりに見たが、相変わらずのポニーテールなんだな。

 

 

「それはこっちのセリフですわ、鈴さん!!

一番の脅威である貴女がいないと踏んで冬八さんに頼んでお邪魔させていただきましたのに!!」

 

「あ、ちなみに私は千冬さんに呼ばれたからお邪魔してるだけだぞ?

それと、久しぶりだな、一夏。

私のことを覚えているか?」

 

 

ポニーテールの女性【篠ノ之 箒】が俺に話しかけてきた。

 

 

「おう、覚えてるぞ、6年ぶりだな、箒」

 

「うむ。

それでこちらの人は?」

 

「私は塔城 小猫。

一夏君の彼女、よろしく」

 

「なに!?一夏に彼女だと!?

――うぅむ、これはいよいよ危うくなっているぞ…」

 

 

と、小猫の自己紹介を聞き、箒は何やらぶつぶつと話していた。

 

 

「あ、それと鈴も一緒にご飯食べるってことになったけど、別にいいよな?」

 

 

と、俺は千冬姉に尋ねた。

 

 

「ああ、構わんぞ。

予想通りに押し掛けてきたからな。

お前たちは、少し黙れ!!」

 

 

隣でワーワー言っていた鈴と確かセシリアさんだったかな?が千冬姉に拳骨を喰らっていた。

 

すると、冬八もリビングに入ってきた。

 

 

「何だようっせーな。―――なんだ、帰ってたのか」

 

 

と、俺を見るなり、そう一瞥し言った。

 

 

「なんだ?久しぶりに会った兄弟なのに会話が少ないぞ?」

 

 

と、千冬姉は茶化すように俺と冬八に言った。

 

 

「…生きてたんだな、冬八」

 

「勝手に殺すんじゃねぇよ!!

いや、まぁ死にそうな目には遭ったんだがな…。

ホント、お前が早く来ないか楽しみにしてんだぜ?」

 

「お前、そんな風に思って――「俺への被害が減るからな」――そんなことだろうと思ったよ!!」

 

 

と、千冬姉に乗せられてではあるが、俺と冬八は軽口を言い合っていた。

 

 

「まあ、とりあえず作ろうかな。

小猫、一緒にやるか?」

 

「うん」

 

「あ!私も手伝うわよ!」

 

「なら私もやろう。

食事をいただく身だ。何か少しでも手伝いたいからな」

 

「確かにそうですわね。それでは私も―――「いや、あんたは止めときなさいよ」どういう意味ですの!?鈴さん!!」

 

 

と、鈴が止めた。

 

 

「なんで止めたんだ?」

 

「アイツの料理って、実は超が付くほどに激不味なのよ。

前に1度冬八がお昼を作ってもらってたんだけど、食ったアイツは卒倒しちゃったのよ」ボソッ

 

 

マジかよ…

流石にこれだけの人数がいて、そんな事態になれば大変だな。

 

結局、セシリアさんの参加は無くなり、4人でハンバーグ、サラダ、付け合せのパスタなどを作り、大人数での食事を楽しんだ。

 

 

「じゃあいただきます!」

 

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 

全員が俺たちが作ったハンバーグを口へ運ぶ。

 

 

「うむ、やはり一夏の作った料理は美味しいな」

 

「いつも通りの安心できる味」

 

「何よこれ!私追いつける気がしないんだけど!?」

 

「洋食はあまり食べないのだが、これは良い物だな」

 

「本当に美味しいですわ!」

 

「…うめぇ」

 

 

と、皆が色々な感想を言ってくれた。

 

 

「あ、そういえばちゃんとした自己紹介をしていませんでしたわね。

私は【セシリア・オルコット】、IS学園では冬八さんとは同じクラスでイギリスの代表候補生ですわ。

いずれ、貴方は私の弟になるかもしれないんですし、何卒よろしくお願いしますわ」

 

「ちょっと!何が弟よ!それじゃあ、アンタと冬八が、そ、その付き合ってるみたいじゃない!!」

 

「そ、そうだぞ!そ、それに貴様!外堀から埋めようなどと卑怯な手を使うな!」

 

 

と、箒、鈴、セシリアさんの三人が口喧嘩を始めていた。

セシリアさんのさっきの発言はスルーしておこう。

 

 

「喧しいぞ、お前たち!――全く、一夏の食事が静かに味わえんだろう」

 

「一夏君、御代わり」

 

「分かった」

 

「ていうか、なんでオルコットが一夏の弟になるんだ?

別に血は繋がってないだろうし」

 

 

と、鈴たちが痛がっているのを見ながら、冬八がそういう発言をしていた。

 

 

「さて、そろそろ私はお暇しよう。

帰りのモノレールが無くなりそうだからな」

 

「あ、私もですわ!」

 

 

と、二人が帰る支度をし始めたが、

 

 

「鈴?なぜ貴様は準備をしないんだ?」

 

「え?だって私、泊まるつもりでこっちに来てるし」

 

「ちょ!?どういうことですの!?鈴さん!!」

 

「そもそも私、今日は自分の家かここに泊まるつもりで準備してたもの。

良いわよね?一夏、冬八」

 

「ん?いいんじゃねぇの?

ふわぁ~ねみぃ」

 

「まあ、今までにお前が使っていた布団はあるし、構わねぇけど」

 

 

と、冬八は素っ気なく、俺は普通に許可を出した。

 

 

「私も別に構わんぞ、お前が泊まるつもりだったのは見ればわかっていたからな~」

 

 

と、ビール缶を片手に千冬姉も許可を出した。

 

 

「で、では!私も!「―――お前はそもそも外泊届を出していないだろうが」

 

 

と、千冬姉に一蹴されあえなく轟沈。

 

 

「わ、私は「お前もだろう」――ですよね」

 

 

箒も同じくだった。

二人は渋々、荷物をまとめてモノレールの駅まで歩いて行った。

 

 

「さぁて、邪魔な奴らも帰ったことだし、遊ぶわよ!冬八!!」

 

「は?だから俺は眠いって言ってんだろうが!」

 

 

と、はしゃぐ鈴とテンションが激下がりの冬八を見て、

 

 

「遊ぶのも寝るのもいいが、お前たち課題はやっているのだろうな?」

 

 

と、千冬姉が爆弾を投下した。

突如、冬八の表情が変化した。

 

 

「あ、私は貰った時に大体をやってるんで、大丈夫でーす」

 

「ま、まだ、ゴールデンウィークも始まったばかりだし…」

 

 

と、冬八が言い訳をすると、いつもなら怒る千冬姉が

 

 

「まあ、今日くらいはいいだろう」

 

 

と、許可を出していた。

お酒の力ってやっぱりすげぇなと実感した瞬間だった。

 

 

「まあ、俺たちは片付けしたら部屋で少し課題をやるか」

 

「うん」

 

 

こうして、俺たちの長くて騒がしいゴールデンウィークの一日が終了した。

 




今回、IS原作ヒロインの三名が登場しましたが、
箒の性格を少しおとなしい感じにしました。
まあ、冬八がらみになると結構、爆発するんですが・・・


次回は朱乃さんが織斑家に来ての一日になります

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