インフィニット・ストラトス ~グレモリーの白騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE 織斑 一夏
リアスさんに提案のもと、新しく眷属入りした俺と他の眷属の人たちとの自己紹介を行うことになった。
部屋にこの屋敷の召使の人たちが来て、お菓子やらジュースやらを持ってきてくれた。
っていうか、悪魔と人間て食事は同じなんだろうか?
「改めて、私はリアス・グレモリーよ!年は人間で例えるなら13歳、ジュニアハイスクールの1年よ。よろしくね、イチカ」
「初めまして、織斑 一夏君。私は
「・・・塔城 小猫です。戦車をやってます。好きなものはお菓子です。年は11。よろしくお願いします」
「ギャ、ギャスパー・ヴラディですぅ。こ、こんな格好してますけど、男です。年は小猫ちゃんと同じでランクは僧侶です」
「何で、男なのにスカートはいてるんだ?」
俺は率直な疑問をぶつけてみた。
「だ、だって可愛いじゃないですか!」
可愛いからってスカートはくんだ!?イヤ、まあその容姿だと女に間違われるけど、数年したら流石に変態だろ!?
「ええと、織斑 一夏です。年は11歳。特技は家事全般と剣術を少々。あ、俺ってどのランクなんですか?」
そういや、聞いてなかったな・・・。
「イチカのランクは騎士よ」
「もしかして、眷属ってチェスに見立てているんですか?」
「ええ、そうね。魔王ベルゼブブに就いたアジュカさまが人間界のチェスを取り入れて、配下の数を減らすことでそれぞれに強い力をもたらしているの。
それぞれの駒の数は人間界のチェスと同じ個数で、駒によって価値もバラバラなの。
ちなみに、兵士は1、僧侶、騎士は3、戦車は5、女王は9よ」
「てことは、俺の駒価値は3ってことですか?」
「それが違うのよ・・・」
?さっきは3って言ってたのに?
「実は、悪魔の駒の中には稀に変異の駒というものに変化するものがあるの。
イチカを転生させる際、突然、騎士の駒が変異の駒になってしまったから、イチカの実際の駒価値は分からないの」
へ~そんなのまであるのか・・・
「それと、イチカに注意事項よ!
悪魔に転生したことで、力は格段に上がって、魔力も使えるようになった。
そして貴方の寿命は人間のモノをはるかに超えてしまったの」
「ざっとどれくらいですか?」
「10000くらいかしら?」
「そ、そんなにですか!?」
「ええ。つまり、貴方は人間界で過ごしていたころの友人とは比べきれないほど長生きすることになてしまったわ。
それと、悪魔にとって光や聖なる物は猛毒。
これは用心しておいて。もし、今後、堕天使や天使と戦闘になった場合、向こうの使う光の槍や聖水には触れないで。触れてしまえば最後、激痛と共に消滅していくだけよ」
しょ、消滅・・・!?
「後は・・・朝が弱くなるくらいかしらね。悪魔の活動時間は本来、夜。
朝の早起きがきつくなるかもしれないわよ」
だから、今朝はあんなにめまいがしたのか・・・
「最後に!あなたはこれから悪魔として人間の中に溶け込まなくちゃいけないの。
くれぐれも自分が悪魔ってことをばらさないようにね?」
・・・そうだ。これからは悪魔として生活するんだ。
千冬姉に知られたらどんな顔をするんだろう・・・
「そういえば、織斑君はISの織斑 千冬選手の家族なんですか?」
「一夏でいいよ、こっちもギャスパーって呼ばせてもらうからさ。男同士仲良くしようぜ。
そうだぜ、千冬姉は俺の姉だ」
俺はギャスパーの質問に答えた。
「ISって女性にしか動かせないのよね?それで女尊男卑が広まってるそうだけど、イチカには影響はないのかしら?」
リアスさんがそう聞いてきた。
「まぁ、千冬姉が世界大会で優勝してからしばらくは家の周りに野次馬が集まったり、学校で女尊男卑に染まり切った女子に色々言われたりしましたけど、特に何とも思っては無いです。
むしろ、自分の姉が世界で活躍するほどなんで誇らしいくらいです」
俺は最後の言葉だけは自信をもって言える。
千冬姉の事は心の底から尊敬している。
ISだけじゃない、剣道、剣術それ以外にもかなりある。
千冬姉は家事が苦手だった。
それでも、両親がいない俺や冬八を養うためにバイトやお金のやりくりなんかを毎日朝早くから夜遅くまで続けてくれた。
仮にISが世界に出回ってなかったとしても、俺が千冬姉を尊敬していることは変わらないだろう。
「そう・・・。お姉さんのことを誇りに思ってるのね」
「でも、最近は働きづめで家に帰って来ることが少ないんですがね・・・。どこで働いてるのかも教えてくれませんでしたし」
本当に、千冬姉はどこで働いてるんだろう・・・
その後、俺たちは悪魔の話は勿論のこと人間界の話など色々話し終えて、気づけば遅い時間になっていた。
「そろそろ、帰らないといけない時間なんですが・・・どうやって帰ったらいいんですか?」
来るときはグレイフィアさんが全部やったので、どうやってきたかは余り、覚えていない。
「今回、イチカは魔王様の許可証が入った魔法陣を使ってこちらに来ているから問題ないけど、本来、きちんとした手続きをしていなければ、それは違法なの。帰りもおそらく、魔法陣を使えるとは思うけど、次来るときからは、正式な方法で来ないといけないわ」
「そういえば、次っていつ来ればいいですか?」
「そろそろ、そちらの世界では夏休みに入るころよね?夏休みに入ったらみんなであなたの家に行くから、それから正式な手続きをしましょう」
そっか・・・。後ちょっとで夏休みか・・・
「それじゃあ、グレイフィア、イチカを送り届けてちょうだい?」
「かしこまりました」
「うわぁ!?」
い、いつの間に・・・!?
「それでは一夏君、また今度ね?」
「・・・バイバイ」
「こ、今度、遊びに行きますぅ!」
「またね、イチカ」
皆が俺を見送ってくれる。
何か、こういうのって新鮮だな!
「はい!じゃあ、また今度!!」
俺とグレイフィアさんは光に包まれた。
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目を開くとそこは、近くの公園だった。
幸い、人はおらず、バレることは無かった。
「杞憂です、一夏様。
あらかじめ、人払いの結界を張っておりますので、バレることはほぼないでしょう」
!?グレイフィアさんに考えてる事読まれた!?なんで!?
「メイドですから」
また!?しかもメイド関係ないし!?
「それはそうと、一夏様。この夏休み、冥界にいらっしゃる予定かと思いますが、その際に、貴方を鍛えておくように我が主から申し付けられております」
「修行ってやつですか?」
「その通りです。戦闘面は別の者が担当いたしますが、貴族悪魔の眷属として騎士として、最低限のマナーは必要ですので、それらも習得せねばなりません」
「なかなかきつそうですね?」
「後悔してますか?悪魔になられたことを」
「いえ、まあ、友人たちとは違う種族になってしまったんですが、仲間っていうのができてうれしいです」
「それは良かったです。それでは私もこの辺で・・・。
最後に、一夏様」
「?何ですか?」
「リアス様のこと、よろしくおねがいします」
そういうと、グレイフィアさんは魔法陣に消えていった。
何か、この二日だけで一気に疲れたな・・・
さっさと帰ろうか、でないとまた冬八がうっとおしい。
俺は、走って家まで帰った。
途中、力を入れすぎて、以前とは比べ物にならないほどのスピードで走ってしまった。
なるほど、これが悪魔の力か・・・
セーブしないといけないな・・・