インフィニット・ストラトス ~グレモリーの白騎士~ 作:ELS@花園メルン
『――――――なぜ持っている?そこの小僧』
「兵藤先輩、ちょっと神器をこちらに向けてください」
「あ、ああ。こうか?」
兵藤先輩は俺の方に手の甲の宝玉の部分を向ける。
俺はそこにエクスカリバーを出し、剣と宝玉を重ね合わせた。
――――――――――――――――――
「何だ、ここは?」
「あなたが赤龍帝ドライグですね?」
何も無い空間に1匹の龍と騎士の鎧を纏った少女がいた。
「小娘...アーサー王か?いや、アイツは男だった。
なら、アーサー王に縁のある者か?」
「私の名はアルトリア・ペンドラゴン。
こことは違う別の世界のアーサー王とでも言えばよろしいでしょうか」
「こことは別の世界?平行世界だとでも言うのか?」
「ええ、そうです。
実際、あなたの知っているアーサー王は男だったはずです。
ですが、私は女だ」
ドライグはアルトリアをジッと見、
「にわかには信じ難いが、お前にはあの男にどこか似ている...。
まぁ、オレにはお前がアーサーかどうかなど関係無い」
と、言い目を瞑る。
――――――――――――――――――――――
俺が剣を宝玉に重ねると宝玉と剣が輝き、部室を照らしていた。
その状態を維持し数分、光が収まり、アルトリアが俺に声を掛けてきた。
『マスター、ありがとうございました』
(話せたのか?)
『ええ』
俺はエクスカリバーを消し、兵藤先輩にお礼を言う。
「兵藤先輩ありがとうございました」
「あ、ああ。
よく分かんなかったけどお前が納得したならそれでいいや」
それからはいつも通りのお茶会を行い、夜になると今日は兵藤先輩へのレクチャーの為に主を殺し、更には民間人への攻撃の疑いがあるはぐれ悪魔を討伐することになった。
しかし、俺はいつも通りにIS学園での簪の専用機の開発の仕事があるので、そちらを優先することにした。
「じゃあ、新しい眷属が増えたんだね。
しかも、赤龍帝って、そんな情報を教えて良かったの?」
「いずれは裏で出回るだろうし、それに簪や本音は信用できると思うからな
それで、打鉄弐式のシステムはどういう状態なんだ?」
「大体、完成してきた。
でも、マルチロックオンシステムがどうしても...
それ以外の武装は順調...」
「やっぱりどうしてもそこがネックだな
もう少しで確かクラス代表トーナメントだったよな?
間に合うのか?」
俺は室内のキッチンを借り、お茶を2人に出しながら簪に聞いてみた。
「頑張ってはみるけど間に合わなかったらマルチロックオンは使わずに闘う...」
「じゃあ普通のミサイルランチャーだね〜」
「他の武装は荷電粒子砲と薙刀だっけ?」
簪は部屋に設置されているパソコンに設計図を表示させ、武装を見せた。
「うん。単発式の荷電粒子砲が2門と超振動の薙刀」
「そういや、振動のお陰で斬れ味が向上してんだっけ?」
「そう。
アニメでも振動する刀で敵を斬り裂いてる場面とかあったから」
そう言いながら、簪はアニメの画像を見せてくる。
「他の出場者の情報とかあるのか?」
「1組は貴方の弟...。
2組は中国の代表候補生...。
他の組は代表候補生では無いけど油断はしない」
「2組の人はリンリンだよ〜」
「リンリン?あ~鈴のことか!アイツ、代表候補生になってたのか!」
「イッチーとトーやんとは幼馴染みなんだよね〜?」
「そうだな、小学校からの仲だぜ。
鈴は強いのか?」
「私の予想では学年ではトップクラスの実力者...」
「かんちゃん、自分の事過小評価してない〜?」
「ううん、そんなことない。
でも、負けるつもりは無い...!」
お~簪が燃えている...。
「俺も見に来ようかな...。
試合はいつだっけ?」
「次の土曜日だよ、1日かけて行うことになってる。
でも、入れないんじゃない?
一夏は入学が決まっているけど、まだ部外者だし」
「使い魔から覗く感じなら多分バレないと思うぜ?
もしくは、アリーナの上から観てる」
「お〜流石悪魔〜」
それからもう暫く作業をしてから俺は部室に帰った。
部室に帰るとはぐれ悪魔を討伐したみんなが帰ってきており、兵藤先輩が非常に燃えていた。
小猫に何があったのか聞いてみると
「悪魔の戦いを見て、興奮している」
だそうだ。
その2日後だった...兵藤先輩が大怪我を負わされたのは