インフィニット・ストラトス ~グレモリーの白騎士~ 作:ELS@花園メルン
SIDE 織斑 一夏
グレイフィアさんに連れられて、冥界なる場所に連れてこられてグレモリー家の屋敷にお邪魔したんだけど・・・
「・・・・・」
「織斑様?どうなさいました?」
「( ゚д゚)ハッ!す、すみません、こんな豪邸を今までに見たことが無かったので・・・」
ヤバ過ぎるだろ・・・!何か、この中にあるものが全部高額なものに見えてきた・・・
「あら、グレイフィア、戻ったの?そちらの方は?」
すると、二階から亜麻色の髪の女性がおりてきた。
綺麗な人だな・・・
「ヴェネラナさま、こちらは織斑 一夏様にございます。織斑様、こちらはヴェネラナ・グレモリー様です。これからあなたがお会いになるリアス様の母君にございます」
「は、母ぁぁぁぁぁ!?」
俺はそう聞いたとき、場所も考えず叫んでしまった。
「え!?嘘ですよね!?姉の間違いではないんですか!?」
「あらあら、うれしいことを言ってくれますね。ですが、事実です。私はリアスの母」
「あ、あの、じ、自分はまだそのリアスって人に会ったことないんですけど、リアスって人はまだ生まれたばかりの方なんでしょうか!?」
でないと、可笑しいだろ!?どう見ても千冬姉より若く見えるぞ!?
「いえ、リアスはあなたの年上ですよ。人間で見ると、中学生くらいの年頃かしら」
「え・・・?
「それは――「お母さま!グレイフィアは戻りましたって、あら?戻ってたの、グレイフィア?」リアスに直接聞くのがいいと思うわ」
ヴェネラナさんはそういうと、どこかへ行ってしまった。
「リアス様、織斑 一夏様をお連れしました」
「ご苦労様。あなたが織斑 一夏君ね?初めまして、リアス・グレモリーよ」
俺の前に来たその人は、昨日見た『紅』の髪の持ち主だった。
「お、織斑 一夏です。そ、それで、俺、じ、自分を呼んだ理由はな、何なのでしょうか?」
「フフ、そんなに固くならなくてもいいわ。付いてきて、イチカ。詳しい話は私の部屋で話すわ」
そう言って、リアスさんは二階へと上がっていき、俺もその後に続いた。
そして、部屋に入っていったので、俺も入ると、そこは一人部屋か!?と思うくらいの広さの部屋だった。
中には、黒髪をポニーテールに結っている女性と白髪に黒猫の髪飾りをした少女と段ボールにすっぽりと入った少女がいた。
ん?最後の娘は本当に女子か?
「リアス、戻ってきたの?ってあらあらうふふ、彼が到着なさったんですね」
「・・・(ペコッ」
「うえ!?だ、誰ですか!?」
三人ともがそれぞれ違う反応をしてきた。
「朱乃と小猫は顔を知っていると思うけど、ギャスパーはまだだから、簡単な紹介をするわ。彼は織斑 一夏。グレモリー眷属の騎士よ」
リアスさんは話をサッサと進めていく。
つぎにリアスさんはとんでもないことを言い出した。
「イチカ。私はリアス、リアス・グレモリーよ。グレモリー家次期当主でこの子たちの
「あ・・・くま・・・?」
「ええ。その証拠にほら」
そう言うと、リアスさんの背中からコウモリのような翼が出てくる。
他の三人にも同じように背中から翼を広げた。
「そして、イチカ。あなたにも」
パチンっ!
リアスさんが指を鳴らすと、俺の背中からも翼が現れた。
な、なんで・・・!?
「昨日、あなたは不幸にも一度殺されてしまったの。私たちが間に合えばそんなことにはならなかったのだけれど、本当にごめんなさい。
その後、あなたは「生きたい」と言っていた。だから私はこの
やっぱり、昨日の死にかけたあれは夢じゃ無かったのか・・・
「もう一つ、伝えることがあるの。
貴方は私の眷属として転生してしまった。私は兄の仕事上狙われやすい立場にあるの」
「リアスさんのお兄さんは何を?」
「それを話すには悪魔の歴史を話す必要があるわ」
そういうと、リアスさんは一冊の本を取り出した。
「世界にはね、悪魔、堕天使、天使、神、吸血鬼などの多数の種族が世界中に存在しているのよ」
な、なんか急に壮大な話になってきた・・・
「その中でも悪魔、堕天使、天使の三勢力は特に小競り合いなんかが多くて遥か昔に三勢力での大規模戦争が起こったわ。
でも、その途中にこの二天龍【赤龍帝ドライグ】と【白龍皇アルビオン】が乱入し戦場を攪乱してしまったの。三大勢力は一時的に同盟を組み、二体のドラゴンを宝玉の中に封じ込めたわ。それでも、犠牲になった者は多くて、天使勢力の聖書の神と悪魔勢力のルシファー、レヴィアタン、アスモデウス、ベルゼブブの4大魔王も犠牲になってしまったわ。
その際に兄は、不在となった魔王ルシファーの座についた。
戦争はうやむやになって一時中断になってしまったけれど、どの勢力も裏では戦争を起こそうとしている。
そこで各勢力は表の世界で平穏に暮らしている人間たちに目を向けたの」
「人間に?」
「人間もしくは人間と他種族のハーフには聖書の神から与えられた神器というものが宿っていることがあるの。神器にはさまざまな種類があって、中でも強力なのが使い方次第では神をも殺せると言われる
各勢力は戦力補給の為に人間を利用し始めたの。堕天使は神器所持者から神器を抜き取ったり、人体実験を行ったり、天使は教会や宗教を信仰している者をエクソシストやシスターとして徴兵したり、私達悪魔も悪魔の駒を無理矢理埋め込んで強制的に眷属化している者までいるわ」
「・・・リアスさんもそうなんですか?」
「そんなわけ無いじゃない!私は!自分の眷属の子たちを大事に思っているわ!それこそ【家族】のように!」
リアスさんはそう俺に強く訴えた。
すると、黒髪の人が前に出て、悪魔の翼とはまた違う翼を出した。
「リアスは、堕天使と人間のハーフである私のことを優しく受け入れてくれたわ。目の前で母を失って途方に暮れていた私に新たな道を示してくれた」
銀髪の子にも変化が生じ、猫の耳としっぽが生えてきた。
「・・・私は、ここに来る前は別の悪魔に飼われていました。姉がその悪魔を殺し、指名手配されてしまって逃亡し、矛先が私に向いた時にリアス様は私を受け入れ、家族だと言ってくれました」
もう一人の少女も段ボールから出てきて、
「ぼ、僕も!吸血鬼と人間のハーフだから神器を持ってるけど、うまく使いこなせないんです!でも、リアス様は僕を保護してくれましたぁ!!」
俺はまだ名前も知らない人たちの話を聞き、リアスさんがどれだけ眷属を大事に思っているのかが伝わってきた。
「すみません、リアスさん。変に疑ったりして」
「いいのよ、イチカ。それで話を戻すけど、悪魔の中でも力におぼれて暴走してしまう者もあらわれたりするの。私たちはそれを【はぐれ】と呼んでいるわ。はぐれ悪魔は主を殺し、人間界に逃げ、人を襲い、自分の糧としているの。イチカを殺そうとしていたのもそのはぐれ悪魔よ。
それで、私はハイスクールへ進学すると同時に当主としての心構えを身に着けるために人間界で土地の管理を任されたの。あなたの住んでいる近くの駒王という街よ、イチカ」
確か、電車で二つか三つ先にそんな名前の町があった気がする。
「駒王の管理をする際にはぐれ悪魔、もしくは他勢力が侵入していたら迎撃する必要があるの。
つまり、戦闘になるということ。イチカ、貴方にも戦ってもらうことになるかもしれない。それでもいいかしら?」
戦い。
恐らく、リアスさんが言ってるのは絶対防御があるIS同士の戦いではなく、命を奪い合う戦いを言っているのだろう。
そして、自分も相手の命を奪う可能性がある。
「リアスさん、やっぱり、その、はぐれ悪魔や他勢力の人たちって、殺したりするんですか?」
・・・・・
人の命を奪う。
俺はその重みを剣道を始めた最初に千冬姉に教わった。
初めて、本当の刀を手に取ったとき、千冬姉は
『私めがけて振ってみろ』
と言ってきた。
俺は震えて「できない」と言ったのを覚えている。
今手にしているコレが軽々と人の命を絶つと分かってしまったから。
『その震えを覚えておけ、一夏。命を奪うということはそれほどの事だ。
お前は優しい。もしかしたらこの先、命を奪うことがあるかもしれない。
そんなことが起こったとき、お前は奪った命を忘れるな。
それが奪ってしまった命にできる唯一の償いだ』
千冬姉は俺にそう言っていた。
・・・・・
だから俺はリアスさんに尋ねた。
「上層の悪魔の方々はそうしろと命令を下してくるでしょうね。
だけど、私は可能な限り、殺すことは控えるつもりよ」
リアスさんはそう俺に答えた。
「分かりました。俺も戦います。
ですが、命を奪うようなことは避けたい!だから俺は!止められるように力を付けたい!!」
「分かったわ、イチカ。
なら、それができるように体を鍛えなくてはね?」
リアスさんはそういうと笑みを浮かべた。
「それじゃあ、イチカと他の子たちの自己紹介でも行いましょうか!」
パンッ!と手を鳴らし、リアスさんはそう言った。
今回はイチカがグレモリー家に向かい、リアスと邂逅し簡単な説明、決意をする話です!
原作グレモリー眷属も出てきましたが、皆、少しずつ変化をくわえました。