鋼殻のレギオスに魔王降臨   作:ガジャピン

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第79話 進撃の魔王

 ハルスは放浪バスの座席に座り、目を閉じていた。思い出しているのはルシフと出会った日。

 

 

 

 いつもイライラしていた。

 武芸者だった頃はそんなことはなかった。

 何も守れなかった。セルニウム鉱山が一つしかない状態で都市間戦争に敗北し、故郷は死を待つ都市となり、必死に闘った戦友たちのほとんどは故郷と運命を共にすると言って故郷に残った。

 俺は放浪バスで故郷から出ていった。俺が弱かったから、故郷は滅びた。ならば武芸者として強ければ、故郷を守れたのか。多分、守れた。だが、他都市に今の俺と同じ苦痛を味わわせるだけだろう。ならば何が本当の強さなのか。どういう武芸者が都市の守護者と胸を張れるのか。その答えを知ってから戦友たちの後を追ってもいいと思った。

 生まれた都市では、武芸者としての実力は五本の指に入った。都市間戦争でも、多数を相手にしなければ苦戦しなかった。だから強さへの答えを探しながら、傭兵として生きていくと決めた。

 傭兵となり一人で生きるようになると、武芸者というより男としてどう生きるのが強い男なのかを考えるようになった。仕事で護衛をしたり武芸大会に出場したりしながら、恐喝や強盗、弱者への暴行をやっている奴を見つけると積極的に倒しにいった。どんな相手にも立ち向かい、苦しむ人を助ける。これこそ強い男の生き方だと思ったからだ。だが、いつもイライラしていた。心のどこかでこれは本当の強さじゃないと否定する自分がいる。何故なら、事が起こってからでないと助けらないからだ。被害は軽微だったとしても、傷ついてはいる。それで本当に助けたと胸を張れるのか。事前に助けるのは至難で、怪しい奴を見つけて尾行しても結局何もしないというパターンも多かった。

 毎日イライラしながらも傭兵として各都市を巡り、イアハイムに来た。

 イアハイムの地に立った瞬間、他都市とは全く違う雰囲気に圧倒された。他都市とは活気が違っていた。

 驚いたのはそれだけではない。犯罪をする者は本当に極少数で、怪しい奴すらほとんど見なかった。

 だからこそというべきか、傭兵の仕事は全く無かった。ここまで治安が良い都市を出ていこうと考える者は少ないし、商売時の護衛もこの都市の武芸者が遠回しにやっているような状態なのだ。

 武芸大会は毎月のようにやっていたから、それに出場して金を稼ぐようにした。武芸大会の賞金は面白いもので、優勝者には何も無く、準優勝者に大金が用意されていた。つまり決勝戦に出て闘い負ければ大金が貰え、勝つと何も得られないのである。

 武芸大会で優勝するのはいつもルシフだった。ルシフは常に武芸大会に出場していて、毎回圧倒的な強さを見せつけながら、優勝をかっさらっていく。

 武芸大会に出ていた当時の俺は、ルシフのことが大嫌いだった。毎試合何かしらのハンデをつけて闘うからだ。五分間一歩も動かなかったり、腕一本だけで闘ったり、挙げ句の果てには逆立ちのまま闘ったりなど、ふざけた闘い方で本気で頭にきた。剣狼隊に入ってそれが相手を怒らせ全力で闘うよう仕向けるためと分かってからは、別に気にならなくなったが。

 イアハイムで過ごすようになって数ヶ月経ったある日、都市間戦争があった。イアハイムが勝ち、死傷者は両都市ともいなかった。

 誰も死なずに都市間戦争が終わる。到底信じられないことだった。セルニウム鉱山は奪っているから敵対都市の滅亡を早めたのは確かだが、何か強い意思のようなものを感じた。

 ルシフが何を考えているのか知りたくなり、武芸大会で負けた後に少し話したいと言った。ルシフは承諾し、ルシフの家で色々話した。今の世界を破壊し、都市間戦争も汚染獣の脅威も無くす。生まれた場所や都市に振り回されない世界。そのために今も色々動いていることまで話してくれた。

 ルシフと話した後、熱が全身を支配していた。何が強さか。自分は枠の中でしか生きてなかった。枠が気に入らないなら、その枠を壊せばいい。そんな発想はできなかった。

 ルシフと話した次の日、ルシフのところに会いに行った。剣狼隊の詰め所で、赤装束を着た剣狼隊員も多くいる。

 

『惚れた! あんたに心から惚れた! あんたの手伝いをさせてくれ!』

 

 俺は頭を床にこすりつけ、土下座のような姿勢になって叫んでいた。

 ルシフはまだ十二歳で見た目も子どもだった。だが、そんなものは俺にとって些細なものだった。本当の強さとは何か。誰もが無理だと諦めてしまうような夢を抱き、その夢を実現するために己の全てを懸けて立ち向かっていく。これこそ本当の強さではないのか。

 

『旦那! 女からだけでなく男からもモテモテですなぁ!』

 

 ルシフの周囲にいた一人が笑みを浮かべて言った。詰め所にいた隊員たちがどっと笑う。笑われたことに対して、別になんとも思わなかった。

 俺は頭を上げて、ルシフを見る。ルシフはじっと俺の顔を見ていた。

 

『生半可な覚悟では、俺に付いてこれんぞ』

 

『必ずあんたに付いていってやる! それから、あんたに頼みがあるんだけどよぉ……』

 

『なんだ?』

 

『あんたのこと、兄貴って呼ばせてくれ!』

 

 ルシフは俺より十二も年下だった。だが、関係ない。今まで出会った男の中で誰よりも強い、理想の男。俺も、こんな男になりたい。

 ルシフはぽかんとしていた。詰め所にいる隊員たちは腹を抱えて爆笑している。ルシフが睨むと、詰め所は静かになった。

 

『……まあ、好きに呼べばいい』

 

『ありがとよ、兄貴! お前らもこれからよろしく頼むぜ!』

 

 詰め所は隊員たちの歓声で埋め尽くされた。

 

 

 

 ハルスは目を開け、現実に意識を戻した。

 剣狼隊に入り、剄のコントロールを磨き続けた。今の俺は数年前より遥かに強くなっていると確信している。

 俺には世界を破壊する能力も無いし、新たな世界を創造する能力も無い。だが、ルシフならばできる。そう思える意志と能力がある。

 だとすれば、途方もない夢を実現しようとするルシフの力になるのが、俺の夢。心から惚れた男を支え、どこまでも付いていく。いつか自分もルシフのような男になれると信じて。

 放浪バスが都市に到着した。

 ハルスは右腕を見る。赤紫色の腕章が巻かれていた。放浪バスに乗る隊員全員が赤紫色の腕章を巻いている。

 

「マゼンタ隊! 兄貴のためにこれからひと仕事するぞ!」

 

「おうッ!」

 

 錬金鋼(ダイト)を復元しながら、全員が一斉に放浪バスの外に飛び出した。

 

 

 

     ◆     ◆     ◆    

 

 

 

 サナックが腕を組み、座席に座っている。目を開けているが、視界は全く見ていなかった。

 サナックはルシフと出会った日を思い浮かべている。

 

 

 

 お前が殺した。

 幼少の頃、父からいつもそう怒鳴られ、まともな食事も与えられなかった。

 俺は莫大な剄量だった。それ故、生まれてまもなく剄が暴走し、母を死なせたらしい。

 当然そのことは覚えていないが、そう父に怒鳴り声で教えられた時、自分は生まれてはいけない子どもだったのだと思った。自分は死ぬべきだと、数日何も口にしなかったこともある。

 そんな時父は、無理やり俺に食わせてきた。食事ともいえない食事だったが、涙を流しながら父は料理を作っていた。

 お前が死んだら、妻の生きた証が無くなる。妻が生きた意味が無くなる。だから、お前は殺したいほど憎いが生きろ。

 衰弱死しそうな状態の時に、父はそう言った。

 父は必死に俺を愛そうとしていた。最愛の妻を殺した仇で殺したい筈なのに、歯を食い縛って育ててくれた。

 幼少の頃は声を出しただけで剄が声に乗り、前方の物を破壊した。父や武芸者の誰もが俺を恐れた。俺は初めて声を出して物を破壊した時、二度と声は出さないと決めた。家はボロボロだった。赤子の頃、泣き声にも剄が乗って家を破壊していたらしい。声を出さず、身振り手振りで意思の疎通を図り続けた。

 それから成長して文字を覚えた。嬉しかった。これで声を出さなくても紙に文字を書いて意思の疎通ができるようになる。そう思ったからだ。

 それからはスケッチブックとペンを常に持ち歩き、話したい時はスケッチブックに文字を書いて、相手に見せた。

 どれだけの剄量か、錬金鋼技師が錬金鋼に様々な機器を繋ぎ、テストしたことがある。結果は測定不能。錬金鋼の許容量を上回る剄量だということだけ分かった。錬金鋼が壊れるなど前代未聞だったため、都市全体にそのことが広まり、俺は誰からも遠ざけられ、親しくしてくれる者は誰もいなかった。父すら、最低限の生活を与えてくれるだけでそれ以外は関わろうともしなかった。

 俺は自らに宿った剄を心から憎んだ。壊すことしかできない力。こんな力に、なんの意味があるのか。

 それでもこの破壊の力を何かに役立てようと、武芸者に志願した。都市民は驚いたが圧倒的に強いことは確信していたため、武芸者として生きることを許してくれた。

 それから錬金鋼を手甲にし、都市間戦争で闘った。錬金鋼は枷であり、自分が武芸者として生きるという覚悟でもあった。

 そうして闘ううちに少しずつ武芸者や住民たちと打ち解けていった。

 武芸者になって数年経ったある日、汚染獣三体が都市を襲った。武芸者が総出で汚染獣を迎えうち、闘った。

 俺も必死に闘った。だが汚染獣は強大で武芸者が束で闘ってもなかなか倒せなかった。俺だけが一撃で汚染獣を倒していた。

 二体の汚染獣を倒し三体目を倒そうとした時、三体目の汚染獣が武芸者数人を殺そうと爪を払っていた。その攻撃は間違いなく武芸者数人を殺す攻撃。走っても間に合わない。咄嗟にそう判断し、剄を衝剄に変化させて汚染獣を遠距離から倒した。周りにいた武芸者数人も巻き添えにして。幸い、武芸者数人の命は助かった。

 汚染獣戦が終わった後、俺は拘束され、裁判にかけられた。裁判の判決は都市追放。汚染獣よりお前の方が恐ろしい化け物だ。裁判官にそう言われた。

 荷物をまとめて放浪バスに乗る間際、父がやってきて『二度と俺の前に顔を見せるな。死ぬことも許さん。俺の知らないところで精いっぱい生きろ』と言われた。

 父は言い終えると背中を向けて去っていった。一度も振り返らなかった。

 放浪バスに乗り、都市を当てもなくめぐった。その旅の途中、自分に宿った剄を心から憎み、怒りを覚え続けた。

 どれだけ言い繕ったところで、これは破壊する力だ。壊して何もかも無にする力だ。こんな力に何の意味があるのか。

 ずっと悩みながら、イアハイムにたどり着いた。

 剄を使わず生きていこうと考えながらイアハイムを歩いていると、ルシフが立ち塞がった。当時は八歳くらいで、マイも一緒にいた。

 腕試ししようといきなり言われ、スケッチブックを取り出して『断る』と書いた。

 闘いたくなかった。壊したくなかった。剄なんて力を使いたくなかった。

 そこからは一瞬の出来事だった。とてつもない剄がルシフから放たれ、あっという間に地面に倒されていた。

 感覚的に同程度の剄量を持っていると理解し、またここまで精密に剄を制御できていることに驚いた。

 

『この程度じゃない筈だ。本気を見せてみろ』

 

 自分と違い、ルシフは声を出すことを怖がらなかった。

 不思議と親近感が湧いた。自分と似たような境遇なら、自分の気持ちを理解してもらえるかもしれない。

 仲間が欲しかった。自らを蝕む苦しみを吐き出し、楽になりたかった。

 スケッチブックに今まで悩んでいたことを書き、ルシフに見せた。三十近い男がこんな子どもに何を期待しているのかと自虐的な気分になりながらも、ルシフの言葉を待った。

 

『くだらん。剄は剄。使う者が剄に意味を与える。例えば俺が〝剄は人を救う力だ〟と言ったとして、お前は納得できるのか?』

 

 納得できる筈がない。救ったどころか、苦しませてきただけだった。

 

『お前の気持ちも多少分かる。強大な力は、それ相応の責任がともなう。どんなに嫌でもな。お前は剄の制御をできるようになれ』

 

 確かに言う通りだ。莫大な剄量があるというだけで、周囲に迷惑をかけ続けてきたのだ。剄を抑える努力はしても、剄を細かく制御する努力はしなかった。だから感情が高ぶったあの瞬間、汚染獣だけでなく武芸者も巻き込んでしまった。

 だが、剄の制御など覚える気にならない。誰がなんと言おうと、こんな力は壊すだけの力だ。壊して、何か残るものがあるのか。何か生み出せるのか。

 黙ったままでいると、ルシフが愉快そうに笑った。

 

『そういえば、俺も壊したいものがあるんだ』

 

 スケッチブックに『何を?』と書き、ルシフに見せた。

 

『世界』

 

 ルシフの返答に、ぎょっとした。世界を壊す。そんなことができるのか。

 

『なあ、俺とともに世界をぶっ壊してみないか? ぶっ壊して、都市間戦争や汚染獣の脅威のない世界を新しく作ろう』

 

 俺は戸惑っていた。

 世界を壊して、何が残るのか。世界を壊して、新たに何かを作れるのか。こんなただ破壊して無に返すだけの力に、意味を見出だせるのか。

 不思議と、身体は熱くなっていた。都市間戦争や汚染獣の脅威がない世界。そんな世界を作るために破壊が必要だというなら、自分の力が役に立つ。こんなどうしようもない力で大勢の人を救えるのなら、この力を好きになれるかもしれない。

 俺は頷いた。

 

『おい、こういう時ぐらい返事をしろよ。喋れないわけじゃないだろ?』

 

 ルシフが不愉快そうに言った。

 俺は数秒ほど声を出すのを躊躇ったが、覚悟を決めた。

 

『はいッ!!』

 

 俺の声は雷鳴のように都市全体に響き渡り、剄が声に乗って都市全体に衝撃波が走る。

 その衝撃波をルシフの剄が都市上空に逃がした。上方向の風が吹き荒れる。

 俺はぽかんと口を開け、その光景を見ていた。

 

『安心しろ。破壊してはならないものを破壊しそうになった時は、俺がお前を止めてやる。だがお前もそれに甘えずに、剄の制御ができるようになれ』

 

 ふと、心にくるものがあった。誰も自分を止めてくれようとはしなかった。誰もが俺を遠ざけ、まるで腫れ物にでも触るような扱いをしていた。武芸者になってからも、どことなく距離を置かれていた。

 俺もいつか、同じ言葉をこの子に言えるようになりたいな。

 涙が両目に溜まっていた。

 この子と共に歩けば、ただ破壊するだけの力に意味があるのかどうか、答えを見つけられるかもしれない。

 ルシフは風に髪を遊ばせ、笑みを浮かべる。

 

『なかなか気持ちの良い返事だったぞ。これからよろしくな』

 

『はいッ!!』

 

 再び都市全体に声が響いた。

 衝撃波をルシフが上空に逃がす。

 逃がした後、ルシフが俺を睨んだ。

 

『……おい、いい加減にしとけよ』

 

『はいッ!!』

 

 再び起こった剄の衝撃波。それをルシフがまた逃がす。

 そんなバカらしいやり取りが、何故かとても心地よかった。

 

 

 

 現実に意識を戻し、サナックは微かに笑みを浮かべた。

 剄の制御はできるようになったから、スケッチブックはもういらない。声で会話できる。しかし、スケッチブックでの会話が癖になってしまっているため、今も声ではなくスケッチブックに文字を書いて会話をしている。

 放浪バスが都市に到着した。

 

「サナックさん! 都市に到着しました!」

 

 サナックは腕章を一瞬見る。少し暗い茶色の腕章だった。放浪バスに乗っている全員が同じ色の腕章をしている。

 サナックはスケッチブックにペンを走らせ、到着を伝えた隊員に見せる。

 

「バルザック隊! 戦闘開始!」

 

 隊員はスケッチブックを見て頷いた後、そう叫んだ。

 

「行くぞ!」

 

 隊員たちの声を聞きながら、サナックが先頭に立って外に飛び出していった。

 

 

 

     ◆     ◆     ◆    

 

 

 

 オリバが放浪バスの中、瞑目している。思い出すのはルシフと初めて出会った日。

 

 

 

 地獄を生きている。

 自分のやっていることを思い返しながら、そう思った。

 都市は汚染獣の脅威もあるが、一番の脅威は都市間戦争だった。汚染獣は五十年以上生きてきて一度も見たことがないが、都市間戦争は数年ごとに必ず起きるのだ。

 都市間戦争は敵対都市の旗を奪えば終わるが、わしは敵都市の優秀な武芸者を優先的に殺していた。将来的に強くなりそうな武芸者を見つけても、同じく殺そうとした。

 都市間戦争は似たような特色の都市が基本的に相手となるため、再戦しやすい。脅威になりそうな武芸者を殺しておけば、再戦した時の勝率は高くなる。

 武器は鎚を使っていたのと、将来有望な武芸者を殺して出る杭を打っていた事実から、都市民に『釘打ちのオリバ』と呼ばれた。

 自分のやっていることは自都市を長く存続させるために必要なことだ。やりたくないが、仕方ない。これこそ武芸者として、都市の守護者として正しい在り方。

 だが敵対都市の滅びを早め、将来有望で未来のある若者の命を潰しているのも事実。

 自分の進んできた道を振り返り、叫び声をあげたくなる時がある。若者の血で濡れた道。可能性を潰し続けた道。そしてこれからも、若者の血で濡らしていく道。

 自分の生きる道は地獄だ。きっとろくな死に方をしないだろう。

 ある日、イアハイムと都市間戦争になった。

 イアハイムは優秀な武芸者がそれなりにいる都市だったと何十年も前の記憶から引っ張り出した。

 イアハイムとの都市間戦争で一番驚いたのが、武芸者の少なさである。こちらの十分の一程度しかいなかった。その内の半分は赤装束を着ていて、黒装束を着ている少年もいた。

 こちらの武芸者はイアハイムを舐めていた。敵があまりに少なく、見た感じ子どもも交じっている寄せ集めに見えたからだ。

 だが都市間戦争が始まったら、そんな感情はどこかに吹っ飛んでいた。赤装束の一人一人がとてつもなく強い武芸者で、一人に十人の武芸者が束になってかかっても倒せないのである。そんな猛者が完璧な連携をして闘うのだから、到底こちらに勝ち目はなかった。

 勝ち目は無くても、次勝つために優秀な武芸者は殺さなければ。

 敵には優秀な武芸者しかいなかった。殺す相手を見つけるのは簡単だった。

 だが深手は負わせても、止めを刺す前に連携で防がれた。

 そうこうしている内にいつの間にか周囲にいる味方は全員倒され、自分も囲まれて叩き伏せられてしまった。

 今度は、自分の番か。

 そう思った。今まで自分がやってきたように、再戦した場合の勝率を上げるため、自分を殺すだろう。

 悔いはなかった。自分のやってきた報いがきた。ただそれだけの話だ。やっと楽になれる。

 しかし予想に反して、殺されなかった。倒れている間に都市間戦争終了のサイレンが鳴り響き、イアハイムが勝った。

 周囲にいた赤装束の者たちはサイレンを聞くと、錬金鋼を戻してイアハイムの方に歩き出した。

 彼らの後ろ姿を唖然と見送っていると、念威操者が被害を知らせてきた。

 

『負傷者は多数いますが、死者は両都市とも出ていません』

 

 その報告を聞き、耳を疑った。

 相手の死者はともかく、こちらに死者が出ていないのは不自然だった。相手の武芸者の実力なら、こちらの武芸者三割を死者にかえてもおかしくなかったのだ。

 気付いたら、走り出していた。

 走って赤装束の者たちを追いかけた。

 誰かの指示で意図的に殺しを禁じなければ、こんな結果にはならない。一体誰がどういう考えでこんな指示を出したのか。

 自分とはまるで正反対。そんな相手の思考を知りたくなった。

 赤装束の者に話しかけて不殺の指示を誰がしたのか訊いた。

 赤装束の者は困ったような顔をしながら、指を差した。指を差した先には、黒装束の少年がいる。こちらの都市旗を持っていた。

 黒装束の少年に近付く。

 少年はとてつもなく威圧的で暴力的な剄を纏っていて、少年の前では平常心でいることすら体力が必要だった。

 

『一つ、お訊かせ願いたい』

 

『なんだ?』

 

『何故不殺の指示を出されたのか。殺さなくても勝てるという自信からですかな? それとも、もうわしらの都市との再戦はないと判断したからですか?』

 

『旗を取れば戦争は終わるのに、何故殺さなくてはならない?』

 

 かっと頭に血が上った。

 その旗は都市の生命線であるセルニウム鉱山の所有権でもある。だからこそ武芸者は死ぬ気で旗を守るのだ。旗を取れば戦争は終わりなどと、軽々しく口にするものではない。

 少年の言葉に心底がっかりした。もしかしたら、地獄から抜け出すきっかけが掴めると思ったのに。

 少年に背を向け、歩き出した。

 

『待てよ、オリバ・ヒューイ。いや、《釘打ちのオリバ》と言ったほうがいいかな?』

 

 背後から聞こえた少年の声に、思わず振り返った。

 わしを知っている? 都市の情報が漏れたのか? そういえば、数年前に都市の資料を買い集めて去っていった旅行者が何人かいた。

 

『貴様は優先的に優秀な武芸者を殺しているそうじゃないか。楽な生き方でさぞ退屈な人生なのだろうな』

 

『楽な生き方? 何を抜かす!? 何も知らん子どもがしたり顔で言いおって!』

 

 どれだけ苦痛にまみれて生きてきたと思っている。どれだけ悪夢を見てきたと思っている。わしのことを何も知らんくせに、偉そうに。

 

『楽だろ? 自都市の武芸者を育てなくても、敵都市が弱くなればいい。それで敵都市が滅びても、都市間戦争する相手が少なくなるだけで好都合。そうやって自都市のことしか考えなくていいんだからな』

 

『それの何が悪いという!? 武芸者とは自都市を守る存在なのだ! 他都市のことなど考えていては、こちらが滅ぼされる! そういう世界でわしらは生きておるのだ!』

 

『だったらその世界を破壊するために闘えばいいだろう!』

 

 少年の強烈な一喝。

 それは血が上っていた頭を急速に冷やした。

 

『……なんと言った?』

 

『耳が遠いのか? 何度でも言う。世界を破壊するために闘えばいい』

 

『都市間戦争を無くすとでも言うのか? バカバカしい夢を見れるのは子どもの特権じゃな』

 

『無くせる。俺にはその自信がある』

 

 戸惑った。

 真っ直ぐな目をしている。からかっている様子も、夢想に囚われている様子もない。確固とした自信に満ち溢れた目。

 本気で、そんなバカげたことを言っているのか?

 

『オリバ・ヒューイ。貴様は平凡でつまらん生き方しかしていない。人として生まれたからには、とてつもない理想を抱き、全力で生きてみたいと思わないのか? 楽な道より、苦しい道こそ行くべきだろう?』

 

 心が動いた。

 理想。そんなものは無かった。あったのはただ自都市を存続させたいという執念のようなものだけだった。

 歳をとればとるほど、執念に囚われたような気がする。犠牲にしてきた若者たちの命を無駄にしないように、より一層自都市の存続に囚われていった。

 だが、少年の見下したような言い方は腹が立った。だから、少し嫌味を言おうと思った。

 

『よく楽な道には罠があるというが、苦しい道にも同様に罠があるとわしは思うがな』

 

 少年は不敵に笑った。

 

『楽な道に罠があれば罠があったと騒ぎ、他人のせいにして歩みを止めてしまうだろう。だが苦しい道に罠があったところで、それがなんだ? それも道の一つとして、乗り越えようと考える。いいか? 心構えの問題なんだよ、これは。予期せぬ問題に目を閉じ耳を塞ぐか、立ち向かっていくか。だからこそ、苦しい道を選べる人間は精神的に成長するのだ』

 

 苦しい道にある罠も、道の一つ。

 そんな考え方ができるのか。

 今までの人生で、わしはどうだった? 世界はこうだから、自都市を守るためには仕方ないから。そう言って自分のやっていることを正当化し、世界のせいにしていなかったか。苦しい道を選んだつもりでも、楽な道に逃げていなかったか。

 

『……あなたの名前は?』

 

『ルシフ・ディ・アシェナ』

 

『ルシフ殿。老骨ではあるが、貴殿のために闘わせてくれぬか?』

 

『俺が行く道は地獄の道。覚悟を決めてから来い』

 

 ルシフの言葉がおかしくて、微かに笑みを浮かべた。

 ルシフが怪訝そうにわしの顔を見る。

 地獄なら慣れている。ずっと地獄の中を生きてきたのだ。だがルシフの地獄の方が魅力的に見えた。

 

『お供いたす。地獄の果てまで、ルシフ殿にお供いたす』

 

『そうか。これからよろしくな』

 

『はっ』

 

 片膝をつき、頭を下げた。

 結婚はしていなかった。妻や子どもを悪く言われるかもしれない。もしかしたら他都市の武芸者が報復にくるかもしれない。そう考えたからだ。

 今までずっと、可能性を潰す闘いをしてきた。これからは違う。可能性を育てる闘いをしよう。それこそ本当の意味での罪滅ぼしであり、自分のような武芸者を作らない方法でもある。

 イアハイム目指して、ルシフや赤装束の者たちの後ろを歩く。何故か世界に色彩が満ちたような錯覚をした。

 

 

 

 オリバはゆっくりと目を開けた。

 ルシフを信じ、どこまでも付いていく。地獄だろうがそんなものは関係ない。

 昔より今の方がずっと生きがいがある。それだけでも、ルシフに出会って良かったと思う。

 放浪バスが都市に到着した。

 オリバの腕章は灰色だった。全員が灰色の腕章をしている。

 オリバはまだ完治していない左腕に意識をやった。まだ左手は痛む。が、武器を握れないほどの痛みでもない。

 錬金鋼を剣帯から取り出し、立ち上がる。

 

「グレイ隊! 地獄にゆくぞ!」

 

「はい!」

 

 隊員たちの返事が重なった。

 オリバは錬金鋼を復元しながら、都市の地面に立った。

 

 

 

     ◆     ◆     ◆    

 

 

 

 予定外の事態が起きた。

 ヴォルゼーは眼前に立っている男を楽しげに見ながら、そう思った。

 この都市も計画通り、楽に制圧できる筈だった。

 内通者も五人潜り込むことに成功し、味方を増やしていた。

 ましてや自分率いるスカーレット隊がこの都市の制圧任務をやるのだ。苦戦など、起きうる筈もない。余談だが、スカーレット隊だけは腕章をしていなかった。腕章をしていないことこそが目印なのだ。

 苦戦する筈がないのに、実際は苦戦していた。潜りこんでいた内通者は上手く誘い出されて捕らえられ、内通者が味方にしていた者たちも全員拘束されていた。

 全て、眼前にいる男の指示だったようだ。

 エルラッド・エリプソン。傭兵。ヴォルゼーは知る由もないが、シャーニッドの父親である。

 顔は整っていて、長身で筋肉質な肉体をしている。汚れた旅衣を纏っていた。

 この都市がたまたまこの男を武芸者の指導と都市の防衛のために雇ったのが、計画が崩れた始まりだった。

 内通者が殺されなかったのは、本当に悪いのかどうか判断できなかったからだ。内通者は別に思想を口にするだけで、しっかり働いていた。その思想に感化される武芸者が出始めていたため、エルラッドはきな臭いものを感じてなんとなく捕らえただけだった。

 

「なあ、姉ちゃん。とりあえずここは退いた方がいいんじゃねえか? 勝ち目ねえぞ」

 

「退く場所、あるかしら?」

 

 ヴォルゼーたちは十人程度で固まって外縁部付近にいる。その固まりを千人以上の武芸者が包囲していた。

 絶体絶命の死地の中にいる形なのだ。逃げられる状況ではないし、逃げるつもりもない。

 

「錬金鋼を捨てて地面にひれ伏せば、このままあの放浪バスで帰してやるよ。都市を奪いにくるなんて考える奴がいるとは思わなかったが、その人数でできると思ったのか? なんというか、若いな」

 

「へぇ、錬金鋼を捨ててひれ伏せば逃がしてくれるのね」

 

 ヴォルゼーは手に持つ青龍偃月刀を放り投げた。偃月刀が宙を舞う。武芸者たちの視線が偃月刀を追いかけた。エルラッドだけが、ヴォルゼーから視線を逸らさない。

 地面にしゃがむように動きながら、剄を解放した。剄の鞭が全方位に放たれ、包囲していた最前列は吹き飛んだ。

 

「あー……こいつ、やべえな」

 

 エルラッドだけが後方に跳躍し、剄の鞭をかわしていた。武芸者の肩の上に乗っている。

 エルラッドはそのまま殺剄を使用し、気配を消した。

 ヴォルゼーは放り投げた偃月刀を掴み、一閃。刀身の剄を衝剄に変化させ、衝撃破を放った。ヴォルゼーの前方にいた武芸者が軒並み吹っ飛ばされていく。

 殺気。

 ヴォルゼーは偃月刀を振るい、殺気を弾いた。弾丸。弾丸が飛んできた先にはエルラッドが狙撃銃を構えている。再びエルラッドは殺剄を使用し、武芸者の集団の中に紛れていった。

 ヴォルゼーの攻撃を合図に、隊員たちも攻撃を始める。そもそも何故わざと包囲させたのか。そうした方が一度に闘う人数を減らせるからだった。

 攻撃を続ける合間合間に、エルラッドは銃撃をしてきた。攻撃後の僅かな隙を正確に突いてくるため、隊員たちも鬱陶しそうにしている。

 ヴォルゼーはもうエルラッドの剄を記憶していた。剄の感知力には自信がある。

 

「聞きなさい! 武芸者たち!」

 

 ヴォルゼーの叫びに戦闘の音が消え、全員がヴォルゼーに視線を向けた。

 

「わたしはヴォルゼー・エストラ! 剣狼隊最強の武芸者よ! わたしを殺せる自信がある者は、早く殺しにこい!」

 

 剄を全身から迸らせ、雷に変化させる。

 青龍偃月刀を振るう動作に合わせて、雷を刃に乗せた。

 全方位に雷の狼が放たれたように雷は武芸者の集団の中に食らいつき、昏倒させ、また次の獲物を探して外縁部を突き抜けた。

 突き抜けた後は、何百という武芸者が倒れていた。立っている武芸者は包囲の後列にいた武芸者だけで、彼らの前方が倒れた武芸者で埋まっているような状態だった。

 

「ひっ……!」

 

 一気に恐怖に支配され、後列の武芸者たちは二歩、三歩と後ずさる。

 

「おいおい、あの姉ちゃん化け物かよ。やってらんねえな、こりゃ」

 

「そう? もっと楽しませてよ」

 

「……ッ!」

 

 外縁部付近の建物に身を隠していたエルラッドが、勢いよく距離を取って振り返る。

 ヴォルゼーが楽しげな笑みを浮かべながら、青龍偃月刀を肩に預けていた。雷の光に紛れて移動したのだ。

 

「これは驚いた。よく分かったな」

 

「あなたの剄は覚えたもの。殺剄でも、全く剄を感じさせなくすることはできない。本当に少しだけど剄の気配があるのよ」

 

「あー……そうか」

 

 エルラッドはこの瞬間、凄まじい速さで思考していた。

 エルラッドは倍力法という、違法酒のように剄脈を一時的に暴走させて、一定時間爆発的に剄を増幅する技が使えた。

 だが倍力法を使ってこの場から逃げたところで、殺剄で殺した気配すらも感知できるとなると、逃げ切れない。

 都市外に逃げようと思っても、放浪バスに乗ることが必須で逃げるのに手間取る。

 あれだけの人数で囲んでダメだった時点で、戦闘行為は論外。

 となれば最適解は──。

 エルラッドはおもむろに狙撃銃を錬金鋼に戻し、両手をあげた。

 ヴォルゼーが僅かに不機嫌そうな表情になる。

 

「なに? 降参ってこと?」

 

「そう。これ以上やっても無駄だ。姉ちゃんの実力を見誤ったおれのミス。素直に負けを認めるぜ」

 

「つまらないわね」

 

 青龍偃月刀でエルラッドを打った。エルラッドは意識を失い、その場に倒れる。

 その後は迅速に都市を制圧し、捕らえられていた仲間や武芸者を解放した。

 次にルシフのグレンダン蹂躙映像を都市民に観せ、抵抗する気力も完全に奪った。

 ヴォルゼーは都市旗のある建物の屋上から、遥か遠くを眺めている。ヴォルゼーの隣には都市旗が立てられていた。

 ヴォルゼーはルシフの同志になった時を思い出していた。

 何度ボロボロにしても完治すると挑戦と勧誘をしてくるルシフに根負けして、三つの条件を受け入れるなら仲間になってやってもいいと言った。

 一つ目は、わたしが望んだらいつでも本気の殺し合いをすること。

 二つ目は、本気の殺し合いの決着はどちらかが相手を殺すこと。

 三つ目は……。

 ヴォルゼーの脳裏に、ルシフに言った言葉が甦る。

 

『ヴォルゼーを、お星さまにしてくれる?』

 

 ルシフはその言葉を聞き、少し考えた後承諾した。

 適当に承諾したなら殺そうと思って、どういう意味か分かるか、と尋ねた。

 それに対するルシフの返答を聞いて、この子になら力を貸してもいいかな、と思った。

 ヴォルゼーは夜空を見上げる。

 きらきらと星の光が煌めいていた。

 わたしもああなれるだろうか。夜空を照らす星の一つに。

 気配がヴォルゼーの背後に現れた。

 

「今度は何?」

 

 振り向きもせず、ヴォルゼーは言った。

 気配の主はエルラッド。

 

「おれを雇ってみないか? サービスしとくぜ。今ならおれとのデート付きだ」

 

「とりあえずここから飛び降りて頭をぶつけてくれない? 話はそれからね」

 

「冷てえな。ま、冗談はさておき、どうよ?」

 

「考えておくわ。わたしだけじゃ決められないから。だけど、あなたの実力なら雇う価値はあるかもね」

 

「期待して待ってるぜ、姉ちゃん」

 

 エルラッドの気配が遠ざかった。

 ヴォルゼーはしばらく夜空から視線を逸らさなかった。

 

 

 

     ◆     ◆     ◆    

 

 

 

 学園都市ツェルニはルシフ入学前の状態に戻りつつあった。

 武芸科の上級生は偉そうに歩き、ちょっとしたいざこざが頻発しながらも、学生たちはツェルニで暮らす時間を満喫していた。

 カリアンも生徒会長室で雑務を片付けている。平和な時間を過ごしていると言ってもいい。

 そんな時間を、一瞬で破壊する出来事が起きた。

 ツェルニ上空から、生体反応が突然現れたと念威操者から報告があったのだ。

 カリアンは窓を開けた。都市長室前にある建物の屋上に人影が着地。見たことのある顔。

 

「まさか……」

 

 カリアンは己の目を疑った。幻にしか見えなかった。

 

「久しいな、カリアン」

 

 偉そうな物言いに、この声。

 間違いない。戻ってきたのだ。ルシフ・ディ・アシェナが。このツェルニに。

 念威操者が都市全体にルシフの来訪を知らせた。

 ツェルニの学生たちはルシフの姿を見ようと次々に外に出てきた。ルシフのいる建物の周りにはもう学生たちが集まっていた。

 ルシフは建物から飛び降り、地面に着地。

 学生たちから歓声があがる。

 

「おい、久しぶりじゃねえか!」

 

 学生たちは次の瞬間起こったことを理解できなかった。

 馴れ馴れしく話しかけた男子生徒がルシフに殴られ、建物に叩きつけられて気を失ったのだ。

 歓声が消える。

 その場に集まった学生たちから血の気が引いていく。

 以前のルシフなら、馴れ馴れしく声をかけられたくらいで殴らなかった。一体ルシフはどうなってしまったのか。

 

「貴様らの選択肢は二つ」

 

 しんと静まった空間の中、ルシフが口を開いた。

 

「俺に服従するか、服従するまで痛めつけられるか。どちらでも好きな方を選べ」

 

 ルシフの全身から威圧的で暴力的な剄が放たれている。

 ツェルニの全学生が、この時理解した。自分たちはいつの間にかルシフの敵になっているのだと。

 ルシフの敵になったものの末路は、ツェルニの学生誰もが知っている。

 ルシフの周囲に集まった学生たちはガタガタと身体を震わせた。

 

「ルシフくん! 学園都市ツェルニは君に服従する! それでいいだろう!」

 

 生徒会長室の窓からカリアンが顔を出し、必死に叫んだ。

 ルシフは唇を歪める。

 

「ああ、それでいい」

 

 ルシフは僅か数分足らずで、学園都市ツェルニを服従させた。もう誰もルシフの進撃は止められない。


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