遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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理想のために

コナミとディヴァインのデュエルが始まった頃、時を同じくして遊星達はゾーンと対面していた。ゾーンは遊星達に未来を変えるためには些細な犠牲は受け入れなくてはならないと告げた。

 

「アンチノミー…いや、ブルーノは最後までお前のことを信じていた!なのにお前はそれすらも些細な犠牲だというのか!?」

 

「それにパラドックスも息を引き取る寸前にお前のことを心配していた!ネオ童実野シティの消滅という道を選んだお前のことを案じていたんだ!」

 

遊星と鬼柳が必死にゾーンを説得しようとする。しかし彼は一瞬の間を挟んだ後、ゆっくりと首を横に振った。

 

「…彼らはよく戦ってくれました。より良き未来のために…犠牲になったのです」

 

「なっ…!」

 

ゾーンの答えに遊星は言葉を失った。仲間との絆を大事にしている彼には仲間であるブルーノの思いを必要な犠牲として捨て去ったゾーンの考えは受け入れられないものだった。

 

「納得がいかないようですね。ですがいずれあなたにも分かります。犠牲を伴わぬ救いなどこの世にはないのだと」

 

「そんなことはない!俺は…俺達は犠牲を良しとするお前の考えを認めはしない!」

 

「その考え方こそがあなたのおごりなのです……。ですがそこまで言うならば良いでしょう。まずはあなたを倒し、私の考えが合っていることを証明して見せましょう」

 

ゾーンと遊星は向かい合い、互いにデュエルの構えに入ろうとする。だがそこに思いがけない人物がやって来た。

 

「…アポリア」

 

体の節々から火花を走らせながらもアポリアはゆっくりとゾーンへと近づいていく。

 

「不動遊星、鬼柳京介。ここは私がゾーンとデュエルを行う」

 

「何だと!?」

 

「…どういうつもりですか?」

 

「簡単なことだ。私は彼らから希望を与えられた。だからこそ君にもかつて持っていた希望を思い出して欲しいのだ」

 

「ゾーンが持っていた希望…?あっ!」

 

鬼柳はディスクから一枚のカードを取り出す。そのカードはかつてゾーンが鬼柳に与えたカード、煉獄龍 オーガ・ドラグーンだった。

 

「ゾーン、君はかつてこの2人に希望を抱いていたはずだ。そして彼らは申し分無い力を身につけた。だというのに何故君はアーククレイドルを落下させたのだ!?」

 

「ゾーンが俺達に希望を……」

 

「あなたも分かっているはずです。希望の先に待っているのは…絶望なのだと」

 

「確かに私も以前はそう思っていた。だが私は…彼らが見せてくれた希望を信じたくなったのだ」

 

アポリアの言葉を最後に場に静寂が走る。互いの感情が渦巻く場で再び言葉を紡いだのはゾーンだった。

 

「…分かりました。アポリア、私とデュエルをしましょう」

 

「…!」

 

「あなたが私に希望を見せてくれればアーククレイドルの落下を止めましょう。ですがそれが叶わなければ…あなたともお別れです」

 

「ゾーン!お前はまた仲間を…!」

 

「待て。…これでいいのだ不動遊星」

 

アポリアは遊星と鬼柳を下がらせ、ゾーンと向かい合う。

 

「 「 デュエル! 」 」

 

アポリアはゾーンに希望を思い出させるため、ゾーンはアポリアに希望などないことを思い出させるために。それぞれの思惑が交わりながら彼らのデュエルは開始された。

 

一方、コナミとディヴァインのデュエルが始まった瞬間、部屋の壁から二つの奇妙な物体が射出されていた。

 

「なっ…!」

 

とっさにコナミはDホイールを走らせ回避を試みるも奇妙な物体は彼を追うように加速していき、ついには寸分の狂いなく彼の胸に張り付いてしまった。対してディヴァインは慌てることなく、当たり前のようにその物体を受け入れた。

 

「な、何だ!?」

 

「これはこの部屋にあった仕掛けさ。デュエルによってライフが減るとそいつから毒が体内に注入されていく。まあライフがゼロにならなければ精々苦しいくらいだろうが…ゼロになれば致死量の毒が注入され衰弱した体は死を迎えるだろう」

 

「何だと!?こんなもの外してやる…!」

 

「ふふ…やめておけ。無理に外せば命の保証はない」

 

「くっ…!」

 

「この仕掛けは本来ここに来たシグナーを迎え撃つために設置されたのだろうが何故か切られていた。どうやらこの部屋の(あるじ)は相当甘い性格のようだな」

 

「シェリー…」

 

アキはこの部屋の主、シェリーが自分達に殺意を向けていなかったことを知り、ディヴァインに気絶させられ地に伏している彼女に目を向けた。

 

「私は甘くないぞ…。障害となる可能性があるものは確実に排除させてもらう。先攻は私だ!私のターン、ドロー!」

 

「…!」

 

「私はチューナーモンスター、メンタルシーカーを召喚する!」

 

近未来的なスーツに身を包んだ少年が不思議な力で宙に浮きだした。

 

メンタルシーカー 攻撃力800

 

「さらに速攻魔法、緊急テレポートを発動!このカードの効果によってデッキからレベル3以下のサイキック族モンスターを呼び出す!私が呼び出すのは調星師ライズベルトだ!」

 

次元の裂け目を突き破り妖怪のような使い魔を連れた禍々しい雰囲気の青年がフィールドに降り立ち、自身の周りに魔法陣を出現させた。

 

調星師ライズベルト 攻撃力800

 

「これで場にチューナーと非チューナーが揃った…。来るか!」

 

「まだだ。調星師ライズベルトは特殊召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体のレベルを3つまで上げることが出来る!私はライズベルトのレベルを3から6へ上昇させる!」

 

魔法陣から放たれた光が青年を包み込んでいくと、青年の風貌が段々と大人びていった。

 

調星師ライズベルト レベル3→6

 

「これで準備は整った!私はレベル6となったライズベルトにレベル3のメンタルシーカーをチューニング!我が高ぶりし復讐の黒炎よ…その炎で全ての敵を焼き殺せ!シンクロ召喚!圧殺せよ、ハイパーサイコガンナー!」

 

白磁のような抜けるような白の重装備で身を固めた巨人が2丁のサイコガンを握りながら現れた。

 

ハイパーサイコガンナー 攻撃力3000

 

「1ターン目から攻撃力3000かよ…!」

 

「この程度で怖気ついたか?私は2枚のカードを伏せてターンを終了する!」

 

ディヴァイン LP4000

 

フィールド 『ハイパーサイコガンナー』(攻撃表示)

 

セット2

 

手札2

 

(恵には一刻の猶予も残されてねえ。ならリスクを負ってでも速攻でディヴァインを倒す!)

 

「俺のターン、ドロー!俺は速攻魔法、シンクロ・コントロールを発動するぜ!こいつは俺のフィールドと墓地にシンクロモンスターがいない時にライフを1000払うことで発動出来る!」

 

コナミ LP4000→3000

 

「ふふ…ライフを払ったか」

 

コナミのライフが減った瞬間、張り付いていた物体から胸に直接毒が注入されていった。

 

「うぐっ…!?」

 

「コナミ!?」

 

コナミは突然の痛みに思わずDホイールのバランスを崩しそうになる。

 

「何が精々苦しいだけだ…。めちゃくちゃ辛えじゃねえか…!」

 

何とか気合いで持ち直すも呼吸は荒く、顔からは汗が滝のように流れていた。

 

「ふふ…どうした?ターンエンドか?」

 

「そんなわけあるか!シンクロ・コントロールの効果発動!このターンの終わりまで相手フィールドにいるシンクロモンスター1体のコントロールを得る!」

 

「何!?私の場のシンクロモンスターを奪うだと!」

 

「貰ってくぜ…お前のハイパーサイコガンナーを!」

 

光の輪がハイパーサイコガンナーを包み込んでいき、輪ごとコナミの場へと引っ張られていく。

 

「まさか…よりにもよってその戦術とはな」

 

「…?」

 

「…トラップ発動!バスター・モード!」

 

光の輪によって拘束されていたハイパーサイコガンナーが消え去ったかと思うとフィールドに雷が落ちる。抉れた地面の上に立っていたのは身体中に電気を帯びたハイパーサイコガンナーだった。

 

ハイパーサイコガンナー(スラッシュ)バスター 攻撃力3500

 

「かわされた!?」

 

「バスター・モードは特定のシンクロモンスターをリリースすることでデッキより進化体を呼び出すカードだ。私はこのカードを使うことでハイパーサイコガンナーをリリースし、ハイパーサイコガンナー/バスターを呼んでいた。貴様が苦しい思いをしてまで使用したシンクロ・コントロールは不発というわけだ。はははは!」

 

「くそっ!…まだだ!ライフを800払って魔法カード、魔の試着部屋を発動する!」

 

コナミ LP3000→2200

 

「そんな…!?ライフを払ったら……」

 

コナミは再び毒を注入され、顔がさらに険しいものになっていく。

 

「く…!魔の試着部屋の効果でデッキの上から4枚のカードをめくりその中にあったレベル3以下の通常モンスターを場に呼び出す!」

 

4つの試着部屋のカーテンが開かれ、条件に合わなかった2つの部屋はロケットによってどこかへと飛ばされていった。

 

「俺は1枚目のレベル3通常モンスター、ジェネクス・コントローラーと3枚目のレベル2通常モンスター、ファイヤー・アイを特殊召喚…だ!」

 

頭の左右にアンテナを付けたロボットと炎の翼が生えた目玉が試着部屋から飛び出てきた。

 

ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400

ファイヤー・アイ 攻撃力800

 

「そして俺はファイヤー・アイをリリースし、タン・ツイスターをアドバンス召喚するぜ!」

 

炎の目玉が消えていき、今度は舌が竜巻のように巻かれたモンスターが現れた。

 

タン・ツイスター 攻撃力400

 

「俺はレベル6のタン・ツイスターにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!闇のエレメントを司る者よ、欲を制御し力を希望に変えろ!シンクロ召喚!汽笛を鳴らせ、レアル・ジェネクス・クロキシアン!」

 

黒い蒸気機関車が汽笛を鳴らし、蒸気をディヴァインの場に満たしていった。

 

レアル・ジェネクス・クロキシアン 攻撃力2500

 

「何だ?」

 

「クロキシアンがシンクロ召喚に成功した時、相手フィールドで一番レベルが高いモンスターのコントロールを得るぜ!」

 

「ほう?」

 

「お前の場にはレベル11のハイパーサイコガンナー/バスターしかいねえ!これで一気にカタをつけるぜ!」

 

蒸気の力でハイパーサイコガンナー/バスターがコナミの場に押し出されていく。

 

「…懲りない奴だ。私は手札からタイム・エスケーパーを捨て、効果を発動する!次の私のスタンバイフェイズまでハイパーサイコガンナー/バスターを除外させてもらう!」

 

ハイパーサイコガンナー/バスターが小人に腕を掴まれると発生した次元の裂け目に投げ込まれてしまった。ディヴァインの場に充満していた蒸気は行き場を失い、消滅していく。

 

「またかわされた!?」

 

「当然だ。そんな戦術は既に対策している」

 

「まさか……」

 

アキが何かに気付き、目を大きく見開いた。

 

「さすがはアキ。私の戦術の意図に気付いたようだな」

 

「ディヴァイン…。あなたのカードは機皇帝を対策したものね」

 

「あっ!」

 

「ふふ…その通りだ。ここに乗り込めば戦うことになると思ってね。まさか貴様相手に使うことになるとは思わなかったがな。さて…次はどうする?」

 

「くっ…。アドバンス召喚したタン・ツイスターが墓地に送られた時、このカードを除外することで2枚のカードをドロー出来る!…バトル!クロキシアンでダイレクトアタック!」

 

ディヴァインへの線路が現れ、蒸気機関車はスピードを上げて突進していく。

 

「…ふん」

 

ディヴァイン LP4000→1500

 

ディヴァインは後ろに大きく飛ばされ、同時に彼にも毒が注入されていった。

 

「くっ!…この程度か」

 

ディヴァインは一瞬苦しみの表情を浮かべるも、何でもないように装い体を起こしていく。

 

「お前…苦しくないのか?」

 

「こんなことより苦しいことなどいくらでもあった。貴様には以前話しただろう?」

 

「サイコデュエリストは生まれつき特別な能力を持っているから変異者として一般人に差別されてきたって話か……」

 

「…っ!」

 

アキは思わず息を飲んだ。遊星と会う前の彼女は親から“化け物”と言われ傷ついた心を自分では抑えきれないことがあった。

 

「なあ…アキ?君も辛かっただろう。一般人に忌み嫌われ、親しい者にも恐れられる苦しみを君は知っているはずだ」

 

「それは……確かに辛かったわ。でも!私は遊星に受け止めてもらった。そして彼に指し示してもらったのよ。恐れず諦めなければ途中でどれだけ困難が立ち塞がってもいつかは分かり合うことが出来るって!」

 

遊星を介してアキは親との間に絆を感じることが出来た。そして彼女は知った。自分は今まで諦めていたのだと。また“化け物”と言われるかもしれない。その恐怖に負けて全てを諦めて拒絶していたからこそ親との溝を広げてしまったのだと。

 

「アキ……」

 

「…ふ。他人に考えを任せ依存する癖は治っていないか」

 

「なっ…!?」

 

「いいかい。君のことも勿論私は調べてある。君が両親と仲直りした話もね。確かに君はそれでいいかもしれない。でも世のサイコデュエリストがそれで全て上手くいくわけではない。君の親のように分かりあおうと歩み寄る者などごく少数に過ぎないのだよ」

 

「どうゆうこと…?」

 

「分からないとは言わせないよアキ。たとえサイコデュエリストであっても他人に歩み寄ろうとした者はいた。だがその末路のほとんどは…拒絶だ。ある意味奴らにとっては当然なのだろう。私達は“化け物”なのだから」

 

「うっ…」

 

支えてくれる者がいるアキにとってはあまり気にすることではなかったが、彼女の周りにも未だ自分のことを恐れる人はいた。仕方ない…彼女は自分にそう言い聞かせ、出来るだけ怖がらせないように振る舞っていた。

 

「一般人どもは私達を恐怖の対象として見ている。貴様にはその理由が分かるか?」

 

ディヴァインはあえてアキではなくコナミに向かって聞いた。

 

「え…?サイコパワーが万が一自分に使われることを考えると怖いから…じゃないのか?」

 

「表面上はそうだろう。だが…実際は違う。奴らは私達が異端者…つまり“化け物”だと認識することで自分達が普通だ、世の中から外れていないんだと認識しているのだ」

 

「自分達が世の中から外れていない…?」

 

「前提として人間には差別本能がある。これは避けられない。これがあまり表面に出ないのは理性があるからだ。例えば自分の好みで差別を行い、それが公に出れば世の中から差別を行なった人間が悪者だと評価される。だが…サイコデュエリストという誰から見ても“化け物”という存在がいればどうだ?」

 

「…まさか」

 

「そうだ。サイコデュエリストを差別しようと誰からも批判されない。“化け物”はむしろいい的だ。アキ、フォーチュンカップで君が黒薔薇の魔女として出場した時のことを覚えているかい?」

 

「覚えて…いるわ。観客は皆好きなように私のことを否定していた。あ、ああ…!」

 

その時のことを思い出しアキの顔が恐怖で歪んでいく。フォーチュンカップの時、彼女は仮面を付けていた。その恐怖にまともに向き合うことは出来ないと感じていたから。

 

「すまない、アキ。私だって君を苦しめたいわけではない。私が恨みがあるのは差別をする奴らだけだ」

 

「…ディヴァイン」

 

ディヴァインはコナミに向き直り、話を続ける。

 

「それにサテライト出身で犯罪者の証であるマーカーを付けた不動遊星も奴らの差別対象だった。だというのになんだ。アキと不動遊星の対戦の時奴らはどうしたと思う?今まで否定してきた不動遊星にあろうことか応援をし、魔女を倒すように仕向けたんだ。…あまりに勝手だと思わないか?」

 

「…確かにな。それは勝手だと思うぜ」

 

コナミはフォーチュンカップを直接見てはいないが、フォーチュンカップが終わった時に遊星が観衆にブーイングを受けていたのは見ていた。

 

(アキが反論しないところを見るに多分ディヴァインの言ってることは本当なんだろうな。だとするとアキとの試合の後は遊星はまた差別されたわけだ。確かに勝手だな。…けど)

 

「だから私はイリアステルの力を得て歴史の改ざんを行おうと思っている。差別のない完全平等の社会へと変えるのだ!貴様も素晴らしい考えだと思うだろう?」

 

ディヴァインの理想はサイコデュエリストのための世の中を作り出すこと。そのために彼が出した結論こそが差別のない完全平等の社会だった。

 

「……悪いな、ディヴァイン。俺はその考えには賛成出来ないぜ」

 

「ふふ…やはり貴様のような者には理解が出来ぬか」

 

「いや、違うぜ。確かにお前の言い分は理解した。だけど納得は出来ないぜ。お前は差別を無くすためにイリアステルの力で歴史を変えようとしている。それってさ…分かり合うことを諦めちまったってことじゃねえかな」

 

「…何だと?」

 

「アキが言ってたじゃねえか。恐れず諦めなければどれだけ困難が立ち塞がってもいつかは分かり合えるって」

 

「それは無理だと言っただろう。奴らのほとんどはサイコデュエリストを拒絶した。世の中自体がサイコデュエリストを“化け物”だと認識しているからだ。だからこそ私は変えるのだ。世の中ごとな!」

 

「それが諦めてるって言ってんだよ!世の中がサイコデュエリストを“化け物”扱いしてるっていうならその認識をひっくり返すために活動しろよ!お前は受け入れられないことを恐れて認識自体をぶっ壊そうとしているだけだ!」

 

「貴様あぁ…!この私がそんなものを恐れているというのか!第一貴様はサイコデュエリストですらない!そんなお前の言葉など……」

 

「確かに俺はサイコデュエリストじゃねえ。だけど…差別は受けてきた。サテライトの人間としてな」

 

「なっ…!?」

 

その事実は所詮はサイコデュエリストでない者の軽い言葉だというディヴァインの認識を変えるには十分だった。彼もサテライトの人間が差別を受けていることはフォーチュンカップでの不動遊星の姿を見て十分に知っていたから。

 

「それでも俺はシティに来てトップスの人間に掛け合った。サテライトはシティと違って一日生きるのすら苦労してたからな。ちゃんとそいつは理解してくれたぜ。サテライトとシティの間にあった格差のことをな。そして俺達はサテライトで貧困に苦しむ人達を助けていった。その活動が伝わったからかいつの間にかサテライトとシティの間にあった格差は次第になくなっていった…」

 

「…だから私にもそうしろ、と?」

 

「ああ」

 

「ふ…馬鹿馬鹿しい」

 

「……!」

 

「私には今更そんな考えは受け入れられない。あともう少しでイリアステルの力が手に入るのだ…!貴様やイリアステルという犠牲を払ってでも私は私の描く世界を手に入れる!さあ、デュエルを続けろ!」

 

「くっ…!カードを1枚伏せてターンエンドだ!」

 

コナミ LP2200

 

フィールド 『レアル・ジェネクス・クロキシアン』

 

セット1

 

手札4

 

「私のターン!この瞬間、タイム・エスケーパーによって除外されたハイパーサイコガンナー/バスターが帰還する!」

 

異次元の裂け目から雷が放たれ、落雷によって焦げた地面にハイパーサイコガンナー/バスターは着地していた。

 

ハイパーサイコガンナー/バスター 攻撃力3500

 

「バトルだ!ハイパーサイコガンナー/バスターでクロキシアンへと攻撃する!」

 

サイコガンから放たれたのは電気を帯びた無数の光線。光線によって蒸気機関車は跡形も無く消滅してしまった。

 

「ぐあっ…!?」

 

サイコデュエルの衝撃と共にコナミに毒が注入され、コナミはDホイールを制御しきれず地面へと墜落していってしまう。

 

コナミ LP2200→1200

 

「終わりだ!ハイパーサイコガンナー/バスターの効果発動!こいつがバトルを行なった時、戦闘した相手モンスターの守備力分のダメージを相手に与え、私はそのモンスターの攻撃力分のライフを回復する!」

 

「何!?クロキシアンの守備力は2000…!」

 

墜落を阻止しようとするコナミに向かってハイパーサイコガンナー/バスターの持つもう一丁のサイコガンから光線が放たれた。

 

「コナミ…!?」

 

とっさにアキが声をあげるも光線は無慈悲にコナミへ向かっていった。


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