遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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正しき闇の力

チームラグナロクも高台から離れていき、そこに残ったのは鬼柳とコナミだけとなる。彼らの間にしばらく走った静寂を破ったのは鬼柳の言葉だった。

 

「…コナミ、知ってるか?俺以外のダークシグナーだった奴らは自分がダークシグナーだったことを覚えてねえみたいなんだ」

 

「そういえば遊星がいつか言っていたような…」

 

「俺はダークシグナーの記憶を取り戻した時、あいつらに会いにいった。俺以外にも覚えている奴がいると思ってな。…でも、誰も覚えていなかった」

 

鬼柳は何人かの元ダークシグナーに会いにいっていた。

 

カーリー渚という新聞記者は自分に会ってもチームサティスファクションのリーダーだという情報しか知らなかった。ミスティ・ローラという女優は自分に会っても全く表情を変えなかった。ディマクやルドガーは探しても会う事が出来なかった。

 

鬼柳はただ1人で罪の意識に(さいな)まれ、やがて死の街クラッシュタウンにたどり着いたのだった。

 

「そもそも…何で鬼柳は自分がダークシグナーだってことを覚えていたんだ?」

 

「それはこいつらが俺の手元に残っていたからだ…」

 

そういって鬼柳が取り出したのはワンハンドレッド・アイ・ドラゴンと地縛神 Ccapac(コカパク) Apu(アプ)のカードだった。

 

「こいつらが俺の脳裏に刻まれた忌々しい記憶を思い出させた!俺だってこんな記憶…本当は思い出したくもなかった。だけど、やっぱ自分のやったことからは逃げられねえのかも知れねえな…」

 

「鬼柳…。ん?」

 

何と声をかけていいか分からないコナミに2枚のカードをみたエンシェント・ホーリー・ドラゴンが語りかけ、ある事実を伝えた。それを聞いたコナミは一つ決断をする。

 

「鬼柳…デュエルだ」

 

「何?」

 

「あの時のデュエルが原因でお前が悩んでいるなら…それを解決するにはデュエルしかねえ!俺とデュエルだ!」

 

「悪いが俺は今そんな気分じゃねえ…。あいつが言ってた破滅の運命とやらで幸子はどこかに行っちまった。俺は怖いんだ。もしかしたら…お前までどこかに行ってしまうんじゃないかって!」

 

「大丈夫だ。俺はいつだって…鬼柳!お前の仲間だ!」

 

「コナミ…」

 

鬼柳は自分がダークシグナーになってしまっても遊星とコナミが手を差し伸べてくれたことを思い出した。そんな彼の言葉をどうして疑う事ができるだろうか?

 

「分かった。俺とデュエルしてくれ」

 

2人は向かい合い、ディスクを構える。彼らが対峙するのはこれで3度目。

 

1回目はダークシグナーとなった鬼柳を救い出すために。2回目は罪の意識から逃れるためにデュエルによる死を望んだ鬼柳を救い出すために。そして…今回も鬼柳を救うためにコナミは戦う。

 

「 「 デュエル! 」 」

 

先攻のランプがコナミのディスクに点灯し、デュエルが開始された。

 

「俺のターン、ドロー!俺はエーリアン・ソルジャーを召喚!」

 

体の至る所に水色の水晶をつけた異邦の戦士がフィールドに降り立った。

 

エーリアン・ソルジャー 攻撃力1900

 

「カードを1枚伏せてターンエンドだ!来い、鬼柳!」

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『エーリアン・ソルジャー』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札4

 

「俺のターン、ドロー。…俺はインフェルニティ・ネクロマンサーを召喚する。こいつは召喚した時守備表示となる」

 

紫色のローブに身を包んだ死霊使いが空中に浮かんだ。風でローブがなびき、鬼柳を覆うように広がっていく。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー 守備力2000

 

「俺は…カードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「…!」

 

鬼柳 LP4000

 

フィールド 『インフェルニティ・ネクロマンサー』(守備表示)

 

セット1

 

手札4

 

「…俺のターン!来ないならこっちから行くぜ。俺はギガテック・ウルフを召喚!」

 

鉄で作られたオオカミがフィールドに着地すると鬼柳に向かって吠え出した。

 

ギガテック・ウルフ 攻撃力1200

 

「バトルだ!エーリアン・ソルジャーでネクロマンサーに攻撃!」

 

異邦の戦士が足についた水かきを活かし、まるで地面が氷かのように滑り出す。

 

「だがネクロマンサーの守備力は2000。エーリアン・ソルジャーでは倒せねえ!」

 

「そうはいかねえ!トラップ発動、ストライク・ショット!俺のモンスターが攻撃した時、そのモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで700ポイントアップさせる!さらに、そのモンスターが守備モンスターに攻撃した場合攻撃力が守備力を超えていればその分のダメージを与える!」

 

エーリアン・ソルジャー 攻撃力1900→2600

 

エーリアン・ソルジャーの勢いが増していき、周囲に風を纏いながら死霊使いを切り裂いた。

 

鬼柳 LP4000→3400

 

「くっ…!」

 

「さらにギガテック・ウルフで鬼柳にダイレクトアタック!」

 

エーリアン・ソルジャーの後ろについていたギガテック・ウルフはスリップ・ストリームの要領で風の抵抗をほとんど受けないまま鬼柳に突っ込んでいった。

 

「やるなコナミ…!」

 

鬼柳 LP3400→2200

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ!このエンドフェイズにストライク・ショットの効果は終了し、攻撃力が元に戻る!」

 

エーリアン・ソルジャー 攻撃力2600→1900

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『エーリアン・ソルジャー』(攻撃表示) 『ギガテック・ウルフ』(攻撃表示)

 

セット1

 

手札3

 

「俺のターン!俺は…」

 

「鬼柳、攻めてこい!お前はいつだってパワーと度胸で小細工なしで敵を倒してきただろ!」

 

「コナミ…。俺はインフェルニティ・ビートルを召喚!」

 

黒く染まったヘラクレスオオカブトがフィールドを舞う。

 

インフェルニティ・ビートル 攻撃力1200

 

「カードを2枚伏せ…永続トラップ、ハンドレス・フェイク発動!俺の場にインフェルニティがいる時、次の俺のスタンバイフェイズまで俺の全ての手札を裏側の状態でゲームから除外する!」

 

鬼柳の手札がどこかの空間へと飛ばされて行く。これで一時的にハンドレスが完成した。

 

「さらにさっき伏せた永続魔法、虚無の波動を発動!俺の手札が0枚の時、俺のインフェルニティの攻守は400ポイントアップする!」

 

謎の波動を受けたビートルのツノがわずかに鋭く尖っていった。

 

インフェルニティ・ビートル 攻撃力1200→1600

 

「バトルだ!」

 

「そう簡単には行かせないぜ!永続トラップ発動、ガリトラップ—ピクシーの輪—!俺の場に2体以上攻撃表示モンスターがいる時、俺の場の攻撃力が1番低いモンスターを攻撃対象にすることはできない!」

 

「うっ!」

 

妖精がコナミの場にベールを発生させ、鉄で作られたオオカミを包み込んだ。

 

「なら、メインフェイズ2に入ってビートルの効果を発動!俺の手札が0枚の時、こいつをリリースすることでデッキから同名モンスターを2体まで呼ぶことができる!俺は2体のビートルを守備表示で特殊召喚する!」

 

ビートルの呼び声に応じた仲間たちが駆けつけてきた。

 

インフェルニティ・ビートル×2 守備力0→400

 

「さらにもう1枚の伏せカードを発動する。永続魔法、ダブル・ディフェンダー!俺の場に守備モンスターが2体以上いる時、こいつがある限り1ターンに1度だけ攻撃を無効にできる…」

 

「鬼柳がそんな守備的なカードを…!?」

 

「ターンエンドだ!」

 

鬼柳 LP2200

 

フィールド 『インフェルニティ・ビートル』×2 (守備表示)

 

セット0 『ハンドレス・フェイク』 『虚無の波動』 『ダブル・ディフェンダー』

 

手札0

 

「俺のターン!…お前が守るってならそれを突破してみせる!俺はジェネクス・コントローラーを召喚!」

 

頭の左右にアンテナがついたロボットが電波を飛ばしながらフィールドに降り立つ。

 

ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400

 

「バトル!ギガテック・ウルフでビートルに攻撃!」

 

「ダブル・ディフェンダーの効果でその攻撃を無効にする!」

 

鉄で作られたオオカミが近づこうとするも威圧されて身動きを封じられてしまう。

 

「だけど俺にはまだ攻撃が残ってる!ジェネクス・コントローラーとエーリアン・ソルジャーでそれぞれビートルに攻撃!」

 

ジェネクス・コントローラーは電波をビートルの脳内に直接飛ばすことで、エーリアン・ソルジャーはその剣技で敵を切り裂くことで鬼柳を守る壁を打ち壊した。

 

「俺のモンスターが全滅…!」

 

「さらに俺はレベル4のギガテック・ウルフとレベル3のジェネクス・コントローラーでチューニング!3つのエレメントを司るものよ、炎の力を拳に宿しあらゆる敵を焼却せよ!シンクロ召喚!燃やし尽くせA(アーリー)・ジェネクス・トライフォース!」

 

ギガテック・ウルフの姿がジェネクス・コントローラーによって変えられていき、人型のロボットへと変形していく。ジェネクス・コントローラーがその中枢コアへ装填されていくと右手のオレンジのランプが点灯した。

 

A・ジェネクス・トライフォース 攻撃力2500

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!鬼柳、今のお前は怯えてる!」

 

「何だと?」

 

「普段のお前ならそんな守備的な戦略はしない!お前はあいつが言ってた破滅の運命とやらにびびっちまってる!そんなものお前の手で壊しちまえ!」

 

「俺の手で…」

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『エーリアン・ソルジャー』(攻撃表示) 『A・ジェネクス・トライフォース』(攻撃表示)

 

セット1 『ガリトラップ—ピクシーの輪—』

 

手札2

 

「俺のターン…!このスタンバイフェイズにハンドレス・フェイクで除外されていた2枚のカードが戻ってくる!」

 

頭上に空いた空間から鬼柳の元にカードが戻ってきた。

 

「そして俺はインフェルニティ・ミラージュを召喚!」

 

青いローブに身を包んだモンスターが現れる。その姿は透けており、幻影のように揺らぐ。

 

インフェルニティ・ミラージュ 攻撃力0→400

 

「そして虚無の波動のもう1つの効果を発動!虚無の波動を墓地へ送ることで手札を全て墓地へ送る!」

 

インフェルニティにパワーを与えていた波動が消えた代わりに鬼柳はハンドレスを完成させた。

 

インフェルニティ・ミラージュ 攻撃力400→0

 

「さらにインフェルニティ・ミラージュの効果を発動!ミラージュをリリースして墓地のインフェルニティを2体特殊召喚する!俺はネクロマンサーとインフェルニティ・デストロイヤーを特殊召喚!」

 

紫のローブに身を包んだ死霊使いと屈強な体をした悪魔が現れた。

 

インフェルニティ・ネクロマンサー 守備力2000

インフェルニティ・デストロイヤー 攻撃力2300

 

「デストロイヤーの攻撃力は2300、トライフォースの方が上だ!そして俺の場にあるガリトラップによってエーリアン・ソルジャーを攻撃することはできない!」

 

「ならネクロマンサーの効果を発動!手札が0枚の時、墓地のインフェルニティモンスターであるビートルを特殊召喚することが出来る!」

 

死霊使いが墓地で眠っていたビートルを蘇生させた。

 

インフェルニティ・ビートル 攻撃力1200

 

「…分かってるぜ鬼柳。お前がインフェルニティ・デス・ドラゴンを呼ぼうとしてることは!永続トラップ、夜霧のスナイパー発動!」

 

コナミの発動したトラップから出てきたスナイパーが鬼柳のフィールドをスコープで覗き、標準を合わせている。

 

「俺はモンスターを1つ宣言する!そして相手がそのモンスターを呼び出した時、そのモンスターは除外される!俺が宣言するのはインフェルニティ・デス・ドラゴン!」

 

「何だと…!?」

 

スナイパーの狙いが定まる。インフェルニティ・デス・ドラゴンが現れれば寸分のくるいもなしに撃ち抜くことができるだろう。

 

「く…俺はこれで」

 

「鬼柳、お前にはまだ呼べるモンスターがいるはずだ!」

 

「…!だが、こいつは…」

 

「あの時のデュエルを振り払うには…このデュエルであいつを乗り越えるしかねえんだ!」

 

「…俺はレベル6のデストロイヤーにレベル2のビートルをチューニング!死者と生者の狭間、その虚ろな魂が混じるとき冥府の闇が舞い降りる!シンクロ召喚、いでよワンハンドレッド・アイ・ドラゴン!」

 

100個の目玉が体に張り付いた奇妙なドラゴンが地面から這い出てきた。

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン 攻撃力3000

 

「来たか…ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン」

 

「行くぜ…ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンは墓地のレベル6以下の闇属性モンスターを除外することでその効果をコピーできる。墓地のデストロイヤーを除外してその効果を得る!バトルだ。ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンでトライフォースに攻撃!インフィニティ・サイト・ストリーム!」

 

闇に染まったエネルギー砲が人型のロボットを貫いた。

 

コナミ LP4000→3500

 

「さらにデストロイヤーの効果によって、俺の手札が0枚の時に相手モンスターを破壊したことで相手に1600のダメージを与える!」

 

コナミもエネルギーの余波の巻き添いになり、大きくライフを削られてしまう。

 

「うおおおっ!?」

 

コナミ LP3500→1900

 

「これで…ターンエンドだ」

 

鬼柳 LP2200

 

フィールド 『インフェルニティ・ネクロマンサー』(守備表示) 『ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン』(攻撃表示)

 

セット0 『ハンドレス・フェイク』『ダブル・ディフェンダー』

 

手札0

 

「いてて…さすがにダメージが大きいぜ。だけど、この程度で弱音は吐かねえ!俺のターン、ドロー!俺はエーリアン・ソルジャーをリリースしてサイバネティック・マジシャンをアドバンス召喚!」

 

エーリアン・ソルジャーの代わりにフィールドに現れたのは左手に白い杖を持った魔術師。何かの呪文を詠唱して杖に込めているようだ。

 

サイバネティック・マジシャン 攻撃力2400

 

「そいつは…!」

 

「サイバネティック・マジシャンの効果発動!俺の手札を1枚墓地へ送ることで選択したモンスターの攻撃力を2000にする!俺はワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを選択!」

 

詠唱を終えた魔術師は杖を振りかざし、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの体を小さくしていった。

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン 攻撃力3000→2000

 

「バトル!サイバネティック・マジシャンでワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを攻撃だ!」

 

魔術師は杖を天に向けると空から雷が落ちて来て、ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンを貫いてしまった。

 

鬼柳 LP2200→1800

 

「ぐあっ…!ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが倒れたことで墓地のインフェルニティ・リベンジャーはレベルをコピーして特殊召喚できる!」

 

2丁の銃を手に持った小人が地面に空いた穴からフィールドに登ってくる。

 

インフェルニティ・リベンジャー 守備力0

 

「そして…」

 

鬼柳はコナミの方を見る。それに気づいたコナミはゆっくりとうなづいた。

 

「ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンが破壊されたことで俺は地縛神を手札に加えなくてはならない…!俺が加えるのは地縛神 Ccapac Apu!」

 

ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンの強制効果によって鬼柳の手に地縛神が加わる。鬼柳はダークシグナーの時に地縛神を召喚するために人々を生贄に捧げた。それは罪の意識という形で鬼柳に今もなお突き刺さっている。

 

「俺はこれでターンエンドだ!鬼柳、そいつを乗り越えるんだ…!」

 

コナミ LP1900

 

フィールド 『サイバネティック・マジシャン』(攻撃表示)

 

セット0 『ガリトラップーピクシーの輪ー』 『夜霧のスナイパー』

 

手札1

 

「俺のターン、ドロー!だが、こいつを呼び出せばまた…!」

 

「大丈夫だ!鬼柳、俺を…いや、お前自身を信じるんだ!もうあんな過ちをしないって誓った自分自身を!」

 

「そうだ…!俺はもう、あんな満足出来ねえことはしねえ!絶対に!俺はフィールド魔法、始皇帝の陵墓を発動!」

 

フィールドが祭壇へと変わっていく。そこはまるで何かの儀式をするための場所に見えた。

 

「ふぅ…。俺はネクロマンサーとリベンジャーをリリース!…人々の魂を生贄にしないで現れやがれ!地縛神 Ccapac Apu!」

 

ネクロマンサーとリベンジャーが捧げられていき、祭壇を覆うように現れたのは巨人。その姿は闇に染まっているが…悪に支配されてはいなかった。

 

地縛神 Ccapac Apu 攻撃力3000

 

鬼柳とコナミは周囲を見渡す。彼らの目には人々が生贄に捧げられていく様が映し出させれることはなかった。

 

「本当に…地縛神を人々の魂を生贄にせずに降臨させられたのか…?」

 

「ああ。…ワンハンドレッド・アイ・ドラゴン、そして地縛神 Ccapac Apu。そいつらはもうダークシグナーがシグナーに倒された時に悪の力が浄化されていたらしい。…鬼柳も本当は気づいていたんだろ?例えば…ワンハンドレッド・アイ・ドラゴンはダークシンクロモンスターじゃなくなっているとか、地縛神も…人々を生贄にして得ていた相手の魔法・罠カードへの絶対耐性がなくなってたりな」

 

「…確信はなかったけどな。俺はこいつらを今までまともに見ることは出来なかった。ただ、ダークシグナーの時のようなゾッとするような力は感じなかったってだけだった。俺は…怖かったんだ」

 

「だけど今…鬼柳はその恐怖を乗り越えた!鬼柳、俺はお前だけがダークシグナーのカードが手元に残ったのは…守るためだと思うんだ」

 

「守るためだと?」

 

「そうだ。そのモンスターにはまだ力が残ってる。そいつらが残っていたのは過去の罪の証なんかじゃない。イリアステルを倒して…俺たちの未来を守るためなんだ!」

 

「…そうかもな!俺はもう恐れねえ!もしイリアステルのせいでニコやウエストたちにも危険が及ぶってなら…俺はこのカードの力を使ってでも守ってみせる!行くぜ、コナミ!地縛神 Ccapac Apuは相手プレイヤーにダイレクトアタックできる!いけ!」

 

巨人がゆっくりとコナミに近づいていく。そしてコナミを闇の炎で包み込んでいった。コナミはその炎を…暖かく感じていた。

 

コナミ LP1900→0

 

こうして彼らのデュエルは終了した。そして…このデュエルを見ていた者がこっそりと近づいてくる。

 

「幸子…!?いつの間に!」

 

「…急にいなくなって悪かったですわね。今のデュエル…全部見ていましたし聞こえていましたわ」

 

「そうだったのか…。まったく気づかなかったぜ」

 

「鬼柳、わたくしは今でもあの光景を忘れることは出来ないでしょう。地縛神によって人々が生贄に捧げられる様を。ですが…それに恐怖していたのはあなたもだった」

 

「幸子…。そうだ。俺は過去の俺自身が怖かった。あんな恐ろしいことをしてしまった…俺が」

 

「…ですがあなたはそれに向き合った。わたくしも…あなたのその覚悟を受けとめますわ」

 

「だが…本当にいいのか?俺は…」

 

「いいのです!忘れましたの?わたくしも…チームネオサティスファクションのメンバーの1人。リーダーを信用できなくてメンバーは務まりませんわ!」

 

「幸子…!」

 

鬼柳は思わず涙ぐんでしまう。存外鬼柳京介という男は涙脆いのかもしれない。こうして破滅の運命の連鎖を断ち切った彼らの目の前に…予想外の出来事が起こった。驚くべきことに…カードが刻まれた石板が天から落ちて来て、地面へと突き刺さったのだった。

 




鬼柳さんだけがダークシグナーの記憶が残ったのはアニメ内で明確な理由が語られていないのですがこういった理由だったという未来もあり得たんじゃないかなあと。

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