遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
火災旋風とは地震などによる都市部の広範囲での火災や山火事などで炎をともなう旋風が起こり、さらに被害が大きくなる現象のこと。
温度は1000℃を超えるらしいので見かけても野次馬根性で近づいたりしない方がよさそうだね。
なお火災旋風はデュエル中申し訳程度に出てきますが、上記の豆知識を覚える必要は全くありません。フィールで感じとれる範囲だと思います。
ジャンとコナミ、互いにライフが4000ポイントの状態でラストホイーラー同士のデュエルが始まる。
ここだけ見ればジャンとコナミの一騎打ちだが、ジャンのフィールドにはブレオから引き継いだボルテック・バイコーンの力を借りて出したライトニング・トライコーン。対してコナミのフィールドにはインフェルニティ・ゼロとセット状態のインフェルニティ・クライマーのみ。鬼柳の強力なモンスターはジャンによって的確に対処されてしまった。
このような状況でチームユニコーンとチームネオサティスファクションの勝敗が決まるラストデュエルが開始されたのだった。
「俺のターン!」
コナミ
「鬼柳、お前のモンスターは無駄にしないぜ!俺はチューナーモンスター、ジェネクス・コントローラーを召喚!」
頭の左右にアンテナをつけたロボットがフィールドに降り立つ。
ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400
「そのモンスターを引き込んでいたか…。となると狙いはもちろんシンクロ。だが問題はどのモンスターを出してくるかだ」
「ライトニング・トライコーンは光属性…なら、こいつを出すか!俺はインフェルニティ・クライマーを反転召喚!そして…レベル3のインフェルニティ・クライマーとレベル4のインフェルニティ・ゼロにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!」
「…!レベル10のシンクロだと…」
「正義の同盟を結びし者たちよ、決戦の時は来たれり!決戦兵器の名の下に光纏いし敵を撃ち落とせ!シンクロ召喚!起動せよ、
3体のモンスターが天に昇っていくと空中に浮遊砲台が浮かび、いくつもの砲身が敵に向かって並び立っていた。ジェネクス・コントローラーは制御中枢コアとして装填され、その巨大な力を何とか制御した。
A・O・J デイサシブ・アームズ 攻撃力3300
「攻撃力…3300だと!?」
「さらにこいつは光属性には滅法強いぜ、覚悟しな!デイサシブ・アームズの効果を発動!相手フィールドに光属性がいる時、1ターンに1度相手の伏せカードを1枚破壊できる!ジャンの伏せカードは2枚…右のカードを狙うぜ、デイサシブ砲発射ー!」
砲身の先にエネルギーが溜まっていき、十分な大きさになるととてつもない反動とともに放たれた。
「波動障壁が破壊されたか…。こいつがあればデイサシブ・アームズが攻撃してきた時に俺のシンクロモンスターをリリースする代わりにデイサシブ・アームズを守備にし、その守備力3300分のダメージをコナミに与えられたんだがな」
「危ねえ…だけど危険を犯さずにあいつらには勝てねえよな。バトルだ!デイサシブ・アームズでライトニング・トライコーンへと攻撃!必殺、コナミファイヤー!」
何とも気の抜ける攻撃名とは裏腹に、全ての砲身から火炎放射に包まれた弾丸が3角獣のユニコーンへと集中砲火された。
ジャン LP4000→3500
「だが、破壊されたライトニング・トライコーンの効果を発動!このモンスターが相手によって破壊された場合、墓地のサンダー・ユニコーンかボルテック・バイコーンを特殊召喚することが出来る!俺たちの前に何度でも駆け上がれ、ボルテック・バイコーン!」
墓地へ送られた3角獣が2角獣をツノで突き上げてフィールドへと押し戻した。
ボルテック・バイコーン 攻撃力2500
「また戻ってきやがったか…。だけど今からデッキ破壊はさすがに厳しいはずだ!俺はこれでターンエンド!」
「このエンドフェイズにトラップを発動させてもらう」
「このタイミングでトラップだと!?」
「トラップカード、奇跡の残照。このターン戦闘で破壊された俺のモンスターを1体特殊召喚できる。再び照らせ、ライトニング・トライコーン!」
2角獣に続き、4本足を巧みに使った跳躍で3角獣もフィールドに戻ってくる。
ライトニング・トライコーン 攻撃力2800
コナミ LP4000
フィールド 『A・O・J ディサシブ・アームズ』(攻撃表示)
セット1
手札5
sc3
「俺のターン!このターンで見せてやる。チームで戦うということの本当の意味を!」
コナミ sc3→4 ジャン sc1→2
「俺は手札から
青いゾウの顔が空中へ浮かび、耳の部分が羽となりパタパタと飛んでいく。
エレファン 攻撃力500
「さらに俺は手札からデス・ウォンバットを召喚!」
草を口に含んだまま、フィールドへと茶色の獣が駆け下りてきた。
デス・ウォンバット 攻撃力1600
「エレファンはチューナー、そして合計レベルは…5?…まさか!?」
「そのまさかだ。俺はレベル3のデス・ウォンバットにレベル2のエレファンをチューニング!天駆ける雷よ、猛き烈風と交わりて、幻想の世界より姿を現せ!シンクロ召喚!いななけ、サンダー・ユニコーン!」
2体のモンスターが同調し、1角獣のユニコーンが2匹のユニコーンと並んだ。1角獣のユニコーンは猛り、2角獣のユニコーンは吠え、3角獣のユニコーンは唸る。
サンダー・ユニコーン 攻撃力2200
「マジかよ…!ユニコーンシンクロが3匹も…!」
「この3体のモンスターの力を合わせて俺たちはこのデュエルに勝利する!サンダー・ユニコーンの効果発動!このモンスター以外の攻撃を放棄し、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を俺のフィールドのモンスターの数×500ダウンさせる!サンダー・スクレイプ!」
1角獣のツノから放たれた電撃が決戦兵器の大きさを小さくしていく。
A・O・J ディサシブ・アームズ 攻撃力3300→1800
「ディサシブ・アームズがあんなに小さく…!?」
「バトルだ!対光属性兵器のディサシブ・アームズには早々に消えてもらう。サンダー・ユニコーンでディサシブ・アームズへ攻撃、サンダー・スピアー!」
ユニコーンは目にも止まらぬスピードで砲身をツノで叩き割っていき、全ての砲身を機能停止とすることで決戦兵器は役目を果たせなくなった。
コナミ LP4000→3600
「くっ…」
「カードを1枚伏せてターンエンドだ!」
ジャン LP3500
フィールド 『サンダー・ユニコーン』(攻撃表示) 『ボルテック・バイコーン』(攻撃表示) 『ライトニング・トライコーン』(攻撃表示)
セット1
手札1
sc2
「このターンで手を打たねえと!俺のターン!…このspは」
コナミ sc4→5 ジャン sc2→3
「…よし、それで行くか!まず俺はファイヤー・アイを召喚だ!」
2本の燃え盛る羽が生えた目玉がフィールドを飛び回る。
ファイヤー・アイ 攻撃力800
「今更そんなモンスターで何を…?」
「こうするのさ!手札からsp—リアクター・ポッドを発動!俺のscが4以上の時、俺のフィールドの攻撃力1000以下のモンスターを対象に発動し、そいつの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える!ファイヤー・アイの攻撃力、800分のダメージを喰らえ!」
燃え盛る羽が羽ばたくと炎の風が巻き起こり、やがて火炎旋風を起こしてジャンを襲った。
「効果ダメージを狙ってきたか…!」
ジャン LP3500→2700
「だが迂闊だったな。ファイヤー・アイの攻撃力は800!攻撃を受ければ大ダメージを受けてしまう。フィールドにチューナーも居ない今、もはやどうにもできまい」
「それはどうかな!」
「何だと?」
「俺は手札からもう1枚spを発動させる…!そのカードはこれだ!sp—スピード・フュージョン!俺のscが4以上の時、俺の手札及びフィールドのカードで融合召喚を行うことができる!」
「馬鹿な…!?融合召喚だと?今までお前はそんな戦術を使ったことは無かったはずだ…!」
「悪いな…つい最近覚えたのさ。行くぜ、俺は手札のギガテック・ウルフとフィールドのファイヤー・アイで融合!鉄で作られしオオカミよ、炎で体を溶接し新たな姿へと生まれ変われ!融合召喚!爆発せよ、起爆獣ヴァルカノン!」
オオカミと目玉が渦によって混じり合い、鉄で胴体を武装し肩にガトリング砲を背負ったロボットが姿を現した。
起爆獣ヴァルカノン 攻撃力2300
「まさかシンクロではなく融合とはな…。コナミ、そして鬼柳もか。お前たちには読みを外されてばかりだ。だがヴァルカノンの攻撃力は2300、サンダー・ユニコーンを狙っても俺に100のダメージを与えるだけ。むしろ次のターンの俺の反撃で手痛いダメージを負うのはお前の方だ!」
「甘いぜジャン!起爆獣ヴァルカノンの効果発動!こいつが融合召喚に成功した時、相手モンスターを1体選択して発動出来る。俺はライトニング・トライコーンを選択!そしてヴァルカノンと共に選択したモンスターを破壊し、墓地へ送る。さらに…墓地へ送った相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」
「…!」
「ライトニング・トライコーンの攻撃力は2800!これで終わりだ…起爆獣ヴァルカノン、誘爆!」
ガトリング砲を後ろへ向けて撃ち、反動で素早く3角獣のユニコーンに近づくと体内にセットしてあった自爆装置を起動させ共に爆発する。
「ジャンのライフは2700!これは耐えられないー!この勝負、チームネオサティスファクションの勝利だー!」
「やったか…!」
爆発が晴れるとそこにはヴァルカノンもろとも3角獣のユニコーンの姿は消えていた。…だが、奥に見えているジャンはまだデュエルを続行していた。
「何…!?」
「ふふ…惜しかったなコナミ。俺はお前のモンスターが誘爆する前にこのカードを発動していたのさ。トラップカード、亜空間物質転送装置をな。このカードの効果によりエンドフェイズまでライトニング・トライコーンは除外される!」
「し、しまった!」
先ほどヴァルカノンが爆発したはるか頭上にライトニング・トライコーンを乗せたロケットが飛ばされていた。
「ライトニング・トライコーンが破壊されなかったことで俺へのダメージも0。さすがに焦ったよ…だが、一歩及ばなかったな」
「く…!くっそおお…!」
亜空間物質転送装置によってライトニング・トライコーンは破壊を免れたが、ヴァルカノンの爆発は止められることはなかったのでコナミのフィールドはがら空き、ジャンのフィールドには亜空間物質転送装置でライトニング・トライコーンが戻ってくることを考えると3体のシンクロモンスター。どちらが有利かは明らかだった。
「だが俺の手札のカードじゃ次のターンの猛攻を防げねえ…!ここまでなのか…?」
手札は可能性、そんな言葉があるが既に切り札の融合召喚を使ったコナミの策は尽きていた。
「もうこの俺の手札だけじゃ…。…俺の?」
コナミは視野が狭くなっていたことに気づき、フィールドに目を向ける。そこには…最初の幸子のターンからずっと伏せられていたカードが1枚眠っていた。
「そうか…これはチーム戦だったな。俺は1人で戦ってるんじゃない、今もチームユニコーンの3人に俺たちチームネオサティスファクションの3人で戦ってるんだ!俺はカードを1枚伏せる。これでターンエンドだ!」
「この瞬間ライトニング・トライコーンはフィールドへと戻る!」
打ち上げられていたロケットからツノがひっかかるのに苦労しながら3角獣のユニコーンが2匹のユニコーンの元に戻ってくる。
ライトニング・トライコーン 攻撃力2800
「コナミ、秘策の融合召喚も有効打とはならず!モンスターも居ない今、どうすることも出来ないかー!?」
コナミ LP3600
フィールド 無し
セット2
手札1
sc5
「行くぞコナミ、これがファイナルターンだ!俺のターン、ドロー!」
コナミ sc5→6 ジャンsc3→4
「スピード・ワールド2の効果を発動!scを4つ取り除き、手札のspの数×800のダメージを与える。俺の手札には1枚!」
ジャンのDホイールからコナミのDホイールへと衝撃が走った。
「くっ…まだだ!」
コナミ LP3600→2800
ジャン sc4→0
「長い勝負もこれで幕を閉じる。バトル!ライトニング・トライコーンでコナミへとダイレクトアタック!ギガボルト・チャージ!」
3つのツノに電気を集め、光り輝くツノでコナミを貫こうとする。
「ジャン。お前にユニコーンの仲間が残してくれたカードがあるように俺にも1枚、フィールドに残っているのさ!」
「何だと…?これまでに使う機会のなかったトラップカードをここで使おうというのか?」
「その通りだ!トラップ発動、ロスト・スター・ディセント!効果はお前らも使ったから分かるだろ?墓地のシンクロモンスターを1体、効果を無効にし、守備力を0にして守備表示で特殊召喚する!蘇れ、決戦兵器!」
フィールドに地響きが鳴ると、要塞のごとく空中に浮いた砲台がコナミへの道で立ちふさがった。
A・O・J ディサシブ・アームズ 守備力0
「なるほど…壁にする気か。だが残念だったな!俺の場にはまだ2体のモンスターが残っている。そいつらでダイレクトアタックすればお前のライフは削り切れる!ライトニング・トライコーンの攻撃を続行し、ディサシブ・アームズへと攻撃を行う!」
3角獣はツノに溜めた電気を雷のように浮遊砲台へと放ち、撃ち落としにかかる。
「…!かかったなジャン!トラップ発動、ガムシャラ!相手が俺の守備モンスターを攻撃対象とした時、俺の守備モンスターを攻撃表示に変更する!」
「何…!?」
下がっていた砲身が徐々に動き出し、放たれた雷を幾千もの弾を放つことで防いだ。
A・O・J ディサシブ・アームズ 攻撃力3300
「この土壇場で味方のカードとのコンボを成立させてくるだと…!」
「反撃だ!ディサシブ・アームズ!」
3角獣のユニコーンが放った電撃を全て防ぎきった最終兵器は、エネルギーを1つの砲台へと集約させ渾身の一撃を放った。
ジャン LP2700→2200
「ぐおおっ!やってくれたな。だが、まだ俺のライフは残っている。次のターンで立て直してみせるさ」
「いや…終わりだぜジャン!ガムシャラのもう1つの効果を発動!ガムシャラの効果で攻撃表示に変更されたモンスターが攻撃してきたモンスターを戦闘で破壊した場合、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「な…!?」
ディサシブ・アームズが数ある砲台から弾を無茶苦茶に放つと一発の弾が偶然ジャンのDホイールに着弾した。
ジャン LP2200→0
「く…ここまでか。まさか初戦で敗れるとはな…」
「決まったー!激しい攻防を勝利し、Bブロック第一試合を勝利したのはチームネオサティスファクションだー!」
チームでの戦い方を熟知したユニコーン。彼らの戦い方に苦しめられながらもなんとかネオサティスファクションは最後にチームとして戦い、勝利することが出来た。