遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
「な、な、何が起こっているんだー!アンドレがスピード・ワールド2の効果を使い、残りライフ300の鬼柳に800のダメージを与えて鬼柳のライフポイントは0になった!なのに鬼柳はデュエルを続行することが出来ているぞー!」
異様な事態にざわめく観客。イカサマかという声も所々から上がっていく中、鬼柳が宣言した。
「俺はアンドレがスピード・ワールド2の効果を発動した時、手札からインフェルニティ・ゼロの効果を発動していた!こいつは相手の効果ダメージによって俺のライフが0になる場合、こいつ以外の手札を全て捨てることで特殊召喚できる!そしてこいつがフィールドにいる限り…俺はライフ0でも敗北にならない!」
「何だって…そんなことがあり得るのか!?」
鬼柳の前に降り立つ所々に目が描かれた木像。その目は不気味にもアンドレを見ているようにも見える。
インフェルニティ・ゼロ 守備力0
「ライフ0でも敗北にならない…!?そんな無茶苦茶な…」
幸子が驚き半分、呆れ半分といった感じで頭を押さえている。
「あれは鬼柳にしか出来ねえだろうな…」
「馬鹿な…。過去のデータでは奴があのモンスターを使ったというデータは無かったはずだ!」
記憶力に自信があるアンドレが過去のデータを見直すも、さすがにクラッシュタウンでの事件は調べられなかったようでそのデータを見つけることは叶わなかった。
「く…奴のデュエルも日々進化しているというわけか。だがアンドレの有利に変わりはない。それに万が一の時はコナミに当てる予定のオペレーションDを鬼柳にぶつけるようにアンドレには言ってある」
「そしてインフェルニティ・ゼロは戦闘では破壊されない!ただしこれから俺が500のダメージを受けるたびにこいつにデスカウンターが乗っていく。そして3つのデスカウンターが乗った時、こいつは破壊される…!」
鬼柳の横に怨霊の魂のようなものが現れ、0という数字が刻まれる。あれに3が刻まれると鬼柳の敗北となってしまう。
「文字通りそいつは命綱ってわけか。だがこのターンでそいつを倒すのは難しそうだ。俺はこのままターンを終了する!」
アンドレ LP4000
フィールド 『サンダー・ユニコーン』(攻撃表示) 『一角獣の使い魔』(守備表示) 裏守備表示1
セット0
手札1
「俺のターン!」
鬼柳 sc4→5 アンドレsc0→1
「奇跡のようなモンスターで敗北を回避した鬼柳!ここからどう動くのかー!?」
「インフェルニティ・ゼロが破壊されれば全ては終わりだ。相手フィールドには俺のモンスターの攻撃力を下げることができるサンダー・ユニコーンがいる。…ここは迂闊には行けねえか!俺はモンスターをセットしてターンエンドだ!」
「慎重だね。だけどそれが正解さ」
鬼柳 LP0
フィールド 『インフェルニティ・ゼロ』(守備表示) 裏守備表示1
セット3
手札0
sc5
「さて…どうするかな。まあドローしてから考えるか」
鬼柳 sc5→6 アンドレsc1→2
「…なるほどね。ジャン、どうやら鬼柳にオペレーションDを使った方が良いみたいだ」
アンドレはピットにいるジャンに相手に悟られないようにアイコンタクトをとる。するとジャンは一瞬の間の後、ゆっくりとうなづいた。
「行くよ!俺はセットしていたモンスターを反転召喚する!そのモンスターは…ニードルワーム!」
「何…?獣モンスターじゃないだと?」
紫色の毒々しい体をした針虫が現れたと思うと鬼柳のデッキから5枚のカードを食べていく。
ニードルワーム 攻撃力750
「ニードルワームのリバース効果を発動する!相手はデッキの上からカードを5枚墓地に送る」
「一体何を…」
「さらに俺は手札からマイン・モールを召喚!」
ヘルメットを被ったモグラがツルハシを持ちながら現れる。
マイン・モール 攻撃力1000
「使わせてもらうぜブレオの技を!俺はレベル2のニードルワームとレベル3のマイン・モールにレベル2の一角獣の使い魔をチューニング!天駆ける雷よ、雲海を切り裂き、その
3体のモンスターが同調し現れたのは2本の角が生えたユニコーン。その足はせわしなく動き、アンドレのDホイールについていく。
ボルテック・バイコーン 攻撃力2500
「2体目のシンクロモンスターか…!」
「マイン・モールの効果を発動!このカードが獣族モンスターのシンクロ素材となった時、俺はカードを1枚ドローできる!そして…俺は手札から
「…!」
「おおっとー!アンドレの狙いはインフェルニティ・ゼロの効果破壊かー!確かにインフェルニティ・ゼロがフィールドから離れれば今度こそ鬼柳の敗北だー!」
(いや…あいつがインフェルニティ・ゼロの効果で墓地へと送っていたモンスター。俺の見間違いじゃなきゃあのカードだ)
フィールドに発生した2つの竜巻がアンドレと鬼柳のカードを1枚ずつ吹き飛ばそうとする。
「させるか!墓地のインフェルニティ・ビショップの効果を発動!俺の手札が0枚の時、墓地のこのカードを除外することでインフェルニティモンスターの破壊を防ぐことができる!」
だが竜巻の経路がそれていき、鬼柳のモンスターは被害を免れた。
「残念だったな!インフェルニティ・ゼロは無事だぜ!」
「ふっ…破壊されたボルテック・バイコーンの効果を発動!このカードが破壊された時、互いにデッキの上から7枚のカードを墓地へと送る!」
「なっ…またかよ!」
アンドレと鬼柳のデッキの7枚のカードがボルテック・バイコーンのそれぞれのツノへと刺さり、墓地へと道連れにされていく。
「さて…バトルと行こうかな。俺はサンダー・ユニコーンで鬼柳のセットモンスターを攻撃!サンダー・スピアー!」
サンダー・ユニコーンは鬼柳のセットモンスターへと一直線に駆けていき、そのツノで敵を突き刺した。
「俺のセットモンスターはインフェルニティ・ガーディアン!守備力は1700だが…」
空中に炎が浮かび、そこからガイコツが顔を出すとユニコーンのツノを真正面から受け止めた。
インフェルニティ・ガーディアン 守備力1700
「サンダー・ユニコーンの攻撃を防いだか…」
「インフェルニティ・ガーディアンは俺の手札が0枚の時、戦闘及びカード効果で破壊されない!」
「やるね!俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」
アンドレ LP4000
フィールド 『サンダー・ユニコーン』(攻撃表示)
セット1
手札0
sc2
「俺のターン、ドロー!」
鬼柳 sc6→7 アンドレ sc2→3
「来たか!俺はインフェルニティ・ネクロマンサーを召喚!こいつは召喚に成功した時守備表示になる!」
紫のローブに身を包んだ召喚師がフィールドに現れる。
インフェルニティ・ネクロマンサー 守備力2000
「ネクロマンサーは俺の手札が0枚の時、1ターンに1度墓地のインフェルニティを特殊召喚できる。俺はインフェルニティ・リベンジャーを特殊召喚!そして…俺はレベル3のネクロマンサーとレベル4のガーディアンにレベル1のリベンジャーをチューニング!死者と生者、ゼロにて交わりしとき、永劫の檻より魔の竜は放たれる!シンクロ召喚!いでよ、インフェルニティ・デス・ドラゴン!」
脳から緑色の触手のようなものが大量に生えた漆黒のドラゴンがフィールドに舞い降りた。
インフェルニティ・デス・ドラゴン 攻撃力3000
「強力なシンクロモンスターを呼ばせてしまったか…」
「行かせてもらうぜ。インフェルニティ・デス・ドラゴンの効果を発動!俺の手札が0枚の時、こいつの攻撃を放棄することで相手モンスターを破壊し、その攻撃力の半分のダメージを与える!インフェルニティ・デス・ブレス!」
ドラゴンが吐き出した黒い炎がユニコーンを包み込み、破壊した。
アンドレ LP4000→2900
「だが俺のシンクロモンスターが相手によって破壊されたことでトラップカード、パラレル・セレクトを発動する!このカードの効果によって除外された魔法カード、sp—ジ・エンド・オブ・ストームを手札へと加える!」
「く…sp—ジ・エンド・オブ・ストーム。scを10個消費する代わりに強力な効果を持っているカードか」
異次元から空いた穴から1枚のカードがアンドレの元に戻ってきた。
「俺はこれでターンエンドだ!」
鬼柳 LP0
フィールド 『インフェルニティ・デス・ドラゴン』(攻撃表示) 『インフェルニティ・ゼロ』(守備表示)
セット3
手札0
sc7
「さあてと…さすがにきついな。俺のターン!」
鬼柳 sc7→8 アンドレ sc3→4
「ここで俺がスピード・ワールド2の効果を使っても相手に与えられるダメージは800か…。ならカードを2枚伏せてターンエンドだ!」
「…!ジ・エンド・オブ・ストームを伏せやがったか」
「おおっと!アンドレ、カードを2枚伏せただけで鬼柳にターンを回してしまった!これは万事休すかー!?」
アンドレ LP2900
フィールド 無し
セット2
手札0
sc4
「俺のターン!」
鬼柳 sc8→9 アンドレ sc4→5
「俺はモンスターをセット。そして…」
アンドレのライフポイントは2900。この攻撃が通れば鬼柳の勝ちが決定する。鬼柳は覚悟を決め、攻撃した。
「インフェルニティ・デス・ドラゴンでアンドレにダイレクトアタック!デス・ファイア・ブラスト!」
黒きドラゴンは今度は黒い火炎弾をアンドレに向かって放った。
「ふっ…」
アンドレ LP2900→0
「通った…!」
「決まったー!アンドレの連勝記録を断ち切ったのはチームネオサティスファクションの鬼柳京介だー!」
「…だが、やるべきことはやらせてもらう!トラップ発動、ダメージ・ゲート!俺が戦闘によって受けたダメージ以下の墓地のモンスターを1体特殊召喚できる!」
「…!サンダー・ユニコーンか!」
「いや…ここはチームの作戦に徹させてもらう。俺が復活させるのはボルテック・バイコーン!」
アンドレの発動したトラップから現れた門をくぐって、2角獣がフィールドに駆け戻ってきた。
ボルテック・バイコーン 攻撃力2500
「ボルテック・バイコーンだと…?そいつは破壊されれば互いのデッキを7枚墓地へ送るモンスター。…まさか」
チームネオサティスファクションのピットを見ると何かに気づいた幸子が鬼柳にボードを通して指示を送っていた。その内容はDeck Destoroy。…つまり。
「デッキ破壊…!?」
ライフが0になったアンドレは次走者のブレオへとシールとフィールドのカードを渡す。
「奴ら、俺たちの作戦に気付いたみたいだな」
「ああ。俺たちのオペレーションDeckDestoroy、略してオペレーションD。それは変幻自在の戦術をとるコナミへの最善手と思われる戦術だったが…」
「だが鬼柳もライフ0でのデュエル続行というタクティクスを見せてきた。出し惜しみは出来ないさ」
「ああ…その通りだ。だがブレオならば奴のデッキを破壊することが出来る。相手の思考を読むのに長けたお前ならな。そしてコナミは俺が仕留める。それが俺の仕事だ」
「ああ。とりあえず俺も自分の仕事を果たさせてもらうぜ!」
ブレオがピットから出て鬼柳へと追いついてくる。
「 「 デュエル! 」 」
「互いのチームのセカンドホイーラー同士の戦い!ここがこのデュエルの正念場となりそうだー!」
鬼柳のデッキの残り枚数は…19枚。相手のフィールドにはデッキを7枚破壊するボルテック・バイコーン。既に半分を切ったデッキで鬼柳は彼らに立ち向かうことが出来るだろうか。
ボルテック・バイコーンはOCGの効果だとアニメの戦術再現が不可能なため、アニメ効果での採用となっています。