遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
「 「 デュエル! 」 」
第一レーンを先に回ったアンドレが先攻となり、コナミのことを探るために手を打つ。
「俺のターン、ドロー。俺は素早いモモンガを攻撃表示で召喚する。カードを1枚伏せてターンエンド。さあ、君のターンだ」
モモンガが前脚から後脚にかけて張られた飛膜を広げ、風を利用して滑空によりフィールドに降り立った。
素早いモモンガ 攻撃力1000
アンドレ LP4000
フィールド 『素早いモモンガ』(攻撃表示)
セット1
手札4
「よっし…パワーアップしたこのDホイールでの初ライディングだ!気合いれていくぜ、ドロー!俺はUFOタートルを召喚!」
円盤から亀が顔を出して相手の様子をうかがっている。
UFOタートル 攻撃力1400
コナミ sc0→1 アンドレ sc0→1
「バトルだ!UFOタートルで素早いモモンガに攻撃!」
亀は手足と顔を円盤の中に引っ込め、回転しながらモモンガへとぶつかった。
アンドレ LP4000→3600
「よし!先制パンチを食らわしてやったぜ!」
「ふっ…だけど俺は素早いモモンガの効果を発動する!このモンスターが戦闘で破壊され墓地へと送られた時、ライフを1000回復しデッキから同名モンスターを2体まで裏側守備表示で呼び出すことができる!」
「なんだと!?」
モモンガがやられる寸前に仲間へと合図を送り、2体のモモンガが駆けつけてきた。
素早いモモンガ×2 裏側守備表示
アンドレ LP3600→4600
「迂闊な攻撃だったな。カードプレイングにスキがあるぜ」
「くっ…ターンエンドだ!」
コナミ LP4000
フィールド 『UFOタートル』(攻撃表示)
セット0
手札5
sc1
「俺のターン!俺はおとぼけオポッサムを召喚!」
腹に子供を育てるための袋を持った茶色の毛で体を囲っている有袋類が怯えながら出てくる。
おとぼけオポッサム 攻撃力800
コナミ sc1→2 アンドレ sc1→2
「おとぼけオポッサムの効果を発動!このカードより攻撃力の高いモンスターが相手フィールドに表側表示で存在する場合フィールドにいるこのカードを破壊できる!フェイク・ダイ!」
「自分で自分のモンスターを破壊だと!?」
「アンドレめ…早速あのコンボで仕掛ける気か」
オポッサムは死んだふりをしてフィールドから消え去った。
「そして俺は手札の森の番人グリーン・バブーンの効果を発動する!自分フィールドの獣族モンスターが効果で破壊され墓地へ送られた時1000ポイントのライフを払い、手札か墓地からこいつを特殊召喚する事が出来る!」
木槌を持った巨大な猿がゆっくりとフィールドに歩いてきた。
森の番人グリーン・バブーン 攻撃力2600
アンドレ LP4600→3600
「一気に大型モンスターに繋げましたわね…」
「あいつのデッキは速攻パワーデッキか!」
いきなり最上級モンスターを呼び出したタクティクスにスタンドで見ていた2人も驚きを隠せなかった。
「2体のモモンガを攻撃表示へと変更!」
モモンガも攻撃態勢となり3体のモンスターがコナミへと狙いを定める。
「バトル!グリーン・バブーンでUFOタートルへと攻撃!」
猿が木槌を力任せにふるうと円盤の中に入っていた亀が遠くへと飛ばされてしまった。
コナミ LP4000→2800
「うおっ…だがUFOタートルの効果を発動するぜ!こいつが戦闘で破壊されて墓地に行ったことでデッキから攻撃力1500以下の炎属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚できる!来い、ギガテック・ウルフ!」
残ったUFOが下部から出した光線から鉄で作られた狼が出てきた。
ギガテック・ウルフ 攻撃力1200
「なら俺はこれでターンエンドだ。まだまだ楽しませてくれよ?」
アンドレ LP3600
フィールド 『素早いモモンガ』×2(攻撃表示) 『森の番人グリーン・バブーン』(攻撃表示)
セット1
手札 3
sc2
「俺のターン、ドロー!」
コナミ sc2→3 アンドレ sc2→3
「…俺はギガテック・ウルフで素早いモモンガへ攻撃!」
「へえ…」
鉄で作られた狼がモモンガへと嚙みつき、破壊した。
アンドレ LP3600→3400
「なら俺はモモンガが戦闘によって破壊されたことでライフを1000回復させてもらうよ」
アンドレ LP3400→4400
「何をやっていますの庶民!わざわざ相手のライフを回復させてしまうなど!」
「いや…これしかねえ。ただでさえ攻撃力の高いグリーン・バブーンがいるのにモンスターがあんなに居たら耐えられねえからな」
「む…確かにそうですが」
「そして俺はギガテック・ウルフをリリースしてモンスターをアドバンスセット!」
「 「 !? 」 」
狼がどこかへと走り去っていくと代わりにモンスターが見えない状態でセットされる。
(アドバンスセット…守備力の高いモンスターで攻撃を防ぐ算段か?)
「カードを2枚伏せて…ターンエンドだ」
コナミ LP2800
フィールド 裏側守備表示1
セット2
手札3
sc3
「俺のターン、ドロー。このスタンバイフェイズに自身の効果で破壊されたオポッサムは戻ってくる!」
死んだふりをしていたオポッサムは様子を伺いながらこっそりとフィールドに帰ってきた。
おとぼけオポッサム 攻撃力800
コナミ sc3→4 アンドレ sc3→4
「…よし、ここは警戒するか。俺はオポッサムとグリーン・バブーンをリリースし
「グリーン・バブーンをリリースした…!?」
紫がかった巨大な肉食獣が現れた。口からは牙が前脚と後脚には爪が敵を切り裂くには十分な形で整えられている。
百獣王 ベヒーモス 攻撃力2700
「さらにベヒーモスはリリースしたモンスターの数だけ墓地の獣族モンスターを手札に戻すよ。俺はオポッサムとモモンガを手札に!」
ベヒーモスの雄叫びとともに2枚のカードがアンドレの手に戻った。
「そして俺は
「…!」
「俺が破壊するのはモモンガと…こっちから見て右のセットカードだ!」
2つの竜巻がそれぞれアンドレとコナミのフィールドを襲い、1枚ずつカードを破壊していく。
「…破壊したのはトラップカード、自由解放か。なるほどね」
「ぐ…やべえ」
「ああ…!なんてこと!」
「ど、どうしたんだ?」
「トラップカード、自由解放は自分のモンスターが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時に発動出来るカード。その効果はフィールドのモンスター2体を選択してデッキに戻すというものですわ」
「てことは…アンドレが普通に突っ込んでればグリーン・バブーンがデッキに戻って面倒くせえ復活効果も封じられたのか!」
「あのアンドレという男…只者ではありませんわね」
ジャンたちもこの行動に思うところがあり感想を呟いていた。
「おおっと…危ねえ危ねえ。ここで逆転の策を仕込んでいたなんてな」
「ふふ…だがアンドレは天性のカードプレイングセンスを持っている。危険をいち早く察知し、的確に対処する。それがあいつのデュエルだ」
「全く…あいつが敵じゃなくて良かったぜ」
「それは俺も同意見だ」
「さらに俺は獣族のモモンガが効果で破壊されたことで墓地のグリーン・バブーンの効果を発動し、1000ポイントのライフと引き換えに特殊召喚する!」
再び木槌を握った猿がフィールドに歩いて戻ってきた。
森の番人グリーン・バブーン 攻撃力2600
アンドレ LP4400→3400
「う…」
「自由解放を使うつもりだったということは少なくともグリーン・バブーンでそのモンスターは戦闘破壊できるということ!バトルだ!グリーン・バブーンでセットモンスターを攻撃!」
猿がその巨体を存分に使い、セットモンスターに飛びかかった。
「俺が伏せていたのはタン・ツイスターだ!」
タン・ツイスター 守備力300
赤い風船のようなモンスターが現れるもすぐに木槌で破壊されてしまう。
「アドバンス召喚したタン・ツイスターがフィールドから墓地に送られた時、こいつを除外することで俺は2枚のカードをドローする!…っと!」
破壊された衝撃で風が巻き起こり、コナミのデッキの上から2枚のカードが飛ばされ、慌ててコナミはキャッチした。
「だが、まだベヒーモスの攻撃が残っているぞ!俺はベヒーモスでコナミへとダイレクトアタック!」
ベヒーモスはコナミへと地響きを鳴らしながら近づいていき、ツメで切り裂いた。
「ぐおっ…!」
コナミ LP2800→100
Dホイールに表示されているコナミのライフが赤の文字で表示された。ライフがライディングデュエルでのデッドラインと呼ばれている800以下の数値になるとそう表示されてしまう。800…つまりスピード・ワールド2のscを4つ使うことで発動することが出来るバーン効果のデッドラインである。
「終わりだコナミ。俺はスピード・ワールド2の効果を発動!scを4つ取り除くことで手札のsp1枚につき800のダメージを与える。俺の手札には1枚!」
アンドレが後ろ向きの状態で走行を始め、彼のDホイールについている角からコナミへ衝撃波が放たれた。
「そうはさせるか!永続トラップ、女神の加護発動!俺はライフを3000回復する。その代わりこのカードがフィールドから離れれば俺は3000のダメージを受ける…!」
コナミの発動したトラップから光が降り注がれ、コナミのライフを回復させる。しかしその直後にアンドレのDホイールから放たれた衝撃波が直撃してしまう。
コナミ LP100→3100→2300
「はあ…はあ…。危ねえ」
「首の皮1枚でかわしたね。俺はこれでターンエンド!」
アンドレ LP3400
フィールド 『百獣王 ベヒーモス』(攻撃表示) 『森の番人グリーン・バブーン』(攻撃表示)
セット1
手札4
sc0
「俺のターン!」
コナミ sc4→5 アンドレsc0→1
「よし…手札からsp—サモン・スピーダーを発動!scが4以上の時、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚できる!だけどこの効果で呼んだモンスターは攻撃できねえ!俺は手札からジェネクス・ブラストを特殊召喚だ!」
扇風機を内蔵したロボットがフィールドに現れたかと思うとコナミのデッキのカードを1枚吹き飛ばす。
ジェネクス・ブラスト 攻撃力1600
「ジェネクス・ブラストが特殊召喚に成功した時、デッキからジェネクスと名のついた闇属性モンスターを手札に加えることが出来る!俺はジェネクス・コントローラーを手札に!」
吹き飛ばされたカードがコナミの手札へと吸い込まれるように差し込まれた。
「それでジェネクス・コントローラーを召喚してシンクロを狙う気かい?」
「いいや、違うぜ!ジェネクス・ブラストをリリースして
2本の角が生えた小さな悪魔がフィールドに現れる。
偉大魔獣ガーゼット 攻撃力0
「偉大魔獣ガーゼットの攻撃力はリリースしたモンスター1体の元々の攻撃力の倍になる!1600の倍…3200だ!」
「なるほど。パワーにはパワーで対抗してくるか」
今にも吹き飛ばされてしまいそうなほど小さな悪魔が巨大化していき、アンドレのモンスターと比較しても遜色ないほどの大きさとなる。
偉大魔獣ガーゼット 攻撃力0→3200
「バトルだ!ガーゼットでベヒーモスに攻撃!」
悪魔が手を天にかざすとベヒーモスを雷が撃ち抜いた。
アンドレ LP3400→2900
「うっ…やるね」
「ふぅ…。カードを2枚伏せてターンエンドだ!」
コナミ LP2300
フィールド 『偉大魔獣ガーゼット』(攻撃表示)
セット2 『女神の加護』
手札3
sc5
「俺のターン!」
コナミ sc5→6 アンドレ sc1→2
「俺は手札の獣族モンスター、おとぼけオポッサムを墓地に送ることでチューナーモンスター、虚栄の大猿を特殊召喚する!」
フィールドに現れたのは巨大な大猿…かと思いきやそれは巨大な影。小さな猿が自分を強く見せようと大きな影で相手をビビらせようとしていた。
虚栄の大猿 攻撃力1200
「虚栄の大猿は特殊召喚のために墓地へと送った獣族モンスターのレベルを自分のレベルへと足すことが出来る!オポッサムのレベルは2!よって虚栄の大猿のレベルは5から7へ!」
「レベル7のチューナーだって…!」
猿の影はオポッサムの分だけ伸びていき、さらに巨大な影となった。
「そして俺は素早いモモンガを召喚!そしてレベル2の素早いモモンガにレベル7となった虚栄の大猿をチューニング!野生の血流交わりしとき、大地を切り裂くパワーが目覚める!咆哮せよ!シンクロ召喚!大自然の力、ナチュル・ガオドレイク!」
髭が花冠のようになって顔を囲っているライオンが出現した。
ナチュル・ガオドレイク 攻撃力3000
「攻撃力3000のシンクロモンスターか…!だが、攻撃力はガーゼットの方が上だぜ!」
「忘れたのかい?俺の手札にはspがあることを!俺はsp—スピード・エナジーを発動!scが2以上の時、エンドフェイズまで俺のsc1つにつき俺のモンスター1体の攻撃力は200アップする!この効果でガオドレイクの攻撃力を400アップさせる!」
ライオンの後方から風が吹き荒れ、追い風となる。それはコナミとしては向かい風とも言える。
ナチュル・ガオドレイク 攻撃力3000→3400
「ガーゼットの攻撃力をさらに上回るのかよ…!?なんてパワーデッキなんだ…!」
「ガオドレイクでガーゼットを倒し、グリーン・バブーンで攻撃すればジ・エンドさ。バトル!ガオドレイクでガーゼットに攻撃!」
風に乗ったライオンがその勢いのまま悪魔の体を引き裂こうとする。
「くっ…永続トラップ、死力のタッグ・チェンジ発動!俺の表側攻撃表示モンスターによって発生した俺への戦闘ダメージを0にすることで手札のレベル4以下の戦士族モンスターを特殊召喚する!」
「だがガーゼットの破壊は免れない!」
ライオンが勢いよく切り裂こうとするも、勢いを抑えきれずそのまま押しつぶしてしまう。
「死力のタッグ・チェンジの効果でダメージは0になり手札のカード・ブロッカーを特殊召喚する!」
ノックアウトされた悪魔の代わりに小さな騎士が盾を構えて何かを守るように立ちふさがった。
カード・ブロッカー 守備力400
「とっさにダメージを防いで壁モンスターを出したか。だがモンスターがいなくなる度に反撃の目も無くなっていくぞ!」
「それはどうかな!俺はもう1枚のトラップを発動!時の機械ータイム・マシーン!俺のモンスターが戦闘で破壊された時、そのモンスターを同じ表示形式でフィールドに呼び戻す!」
先ほどノックアウトされたはずの悪魔が鉄の扉を開いてこちらへ戻ってくる。しかし大きさは最初に現れた時のようにかなり小さい。
偉大魔獣ガーゼット 攻撃力0
「焦ったな。1度場を離れたガーゼットの攻撃力は元々の攻撃力である0に戻っている!グリーン・バブーンでガーゼットへと攻撃!」
巨大な猿が豆粒程度の悪魔を木槌で押しつぶそうとする。
「させるか!カード・ブロッカーの効果発動!攻撃対象をこいつへと変更する!さらにこいつが攻撃対象になったことでデッキの上から3枚のカードを墓地へ送り、守備力を1500アップさせるぜ!」
「何だって…!」
小さくなった悪魔が押しつぶされそうになった寸前のところで騎士が割って入り、少し大きくなった盾で受け止めようとする。
カード・ブロッカー 守備力400→1900
だが猿の力はすさまじく、盾ごと騎士を飛ばしてしまった。
「カード・ブロッカーは守備表示、俺にダメージはないぜ!」
「死力のタッグ・チェンジを発動した時点でこの展開まで予測していたわけか。悪かったね、さっきの発言は訂正するよ。俺はこれでターンエンドだ」
風が鳴り止み、ライオンへの追い風が止まった。
ナチュル・ガオドレイク 攻撃力3400→3000
アンドレ LP2900
フィールド 『森の番人グリーン・バブーン』(攻撃表示) 『ナチュル・ガオドレイク』(攻撃表示)
セット1
手札2
「よし…ガーゼットが場に残った!俺のターン!」
コナミ sc6→7 アンドレ sc2→3
(ドローカードはハネワタか。手札から墓地へ捨てることで捨てたターンは俺への効果ダメージを0に出来る。次のターンにスピード・ワールド2の効果でダメージを食らいそうになってもかわすことは出来るな)
「コナミ!先ほどの防御は見事だったがガーゼットの攻撃力はやはり0!守備表示へと変更しても守備力も0だ。壁にもならないんじゃないか?」
「甘いぜ!俺はチューナーモンスター、ジェネクス・コントローラーを召喚!」
頭の左右にアンテナがついたロボットが現れた。アンドレのフィールドの巨大なモンスターにびっくりしたのか目を丸くしている。
ジェネクス・コントローラー 攻撃力1400
「先ほど加えたカード…しまったな。ガーゼットの攻撃力はフェイクで狙いはシンクロ召喚か!」
「今更気付いても遅いぜ!レベル6のガーゼットにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!闇のエレメントを司る者よ、欲を制御し力を希望に変えろ!シンクロ召喚!汽笛を鳴らせ、レアル・ジェネクス・クロキシアン!」
ジェネクス・コントローラーの不思議な電波によってガーゼットの姿が変わっていき、蒸気機関車へと変形した。蒸気を制御出来なくなる前に中枢コアへとジェネクス・コントローラーが装填され、正常に動くことができるようになった。
レアル・ジェネクス・クロキシアン 攻撃力2500
「行くぜ!クロキシアンの効果発動!このモンスターのシンクロに成功した時、相手フィールドで1番レベルの高いモンスターのコントロールを貰う!お前のフィールドで1番レベルが高いのはレベル9のガオドレイク!」
「くっ…こちらの高攻撃力モンスターを奪う戦術か。中々スマートじゃないか」
蒸気機関車が汽笛を鳴らすとライオンがつられてコナミのフィールドへと来てしまう。
「バトルだ!ガオドレイクでグリーン・バブーンを攻撃!」
ライオンは自らの力を誇示するべくグリーン・バブーンとぶつかり合った。だがグリーン・バブーンの方が先に限界が来てしまいその場に倒れてしまう。
アンドレ LP2900→2500
「あとはクロキシアンのダイレクトアタックで庶民の勝ちですわ!」
「やったなコナミ!」
「……」
コナミには1つ不安があった。それはアンドレが伏せている1枚のカードにある。
「あれは1ターン目からずっと伏せられている。何が伏せられているか何て分からねえが、このまま攻撃していいのか…?相手が強いことなんて俺にもヒシヒシと伝わってくる。そんな奴が1ターン目から伏せてるカードが腐ってて発動出来ないなんてことがあるのか…?」
攻撃が通ればコナミの勝ち、だが最後の決断を下せないでいた。そんなコナミに無情にも機械的な音声が響いてくる。
《チームユニコーン。まもなくプラクティス終了です》
「な…!」
「残念だが俺たちはプラクティスの時間を使ってデュエルをしている。ここでデュエルは終了だ」
「マジか…いや仕方ねえか」
コナミ達はレーンから降りて次のチームに邪魔にならないところでDホイールを停車する。
「あ…。そういえば弁償の話は俺が勝ったらってことだったな…」
「いや、いいよ。君からは弁償代以上のものを貰ったからさ」
「え?」
「予選で戦うのを楽しみにしてるよ。アディオス!」
スタンドから降りてきたジャン達と合流したアンドレはコナミの前から去って行った。コナミも鬼柳達に合流しようとスタンドへと向かっていく。
「とにかくあのパワーデッキは厄介だ…。予選で当たるなら鬼柳達と話して対策を取らねえとな」
アンドレのパワーデッキを対策するため、コナミはスタンドへ走っていくのだった。
対してチームユニコーンはジャンが演技のためにクラッシュまでしてくれたブレオとコナミのデュエルデータを回収してくれたアンドレをねぎらっていた。
「2人ともご苦労だった。おかげでコナミの実践データを回収することができた。…だが、それ以上に」
「あいつらアンドレのパワーデッキを対策してくるぜ。あんなにアンドレが見せつけたからな」
「なら後はジャンの作戦次第か」
「ふっ…任せておけ。アンドレの天才的カードプレイングセンス。そしてブレオの人並み外れた記憶力」
「そしてジャンの緻密な作戦。これで俺たちチームユニコーンは勝ち進んできたんだ」
「とりあえず試合までは俺は2人に任せるしかない。後は頼んだぜ」
「もちろんだ。…ところで1つ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
ジャンが立ち止まり、それにつられて2人も立ち止まった。そしてジャンはアンドレが運んでいるDホイールのデュエルディスクにセットされている1枚のカードを指す。
「これはデュエリストとしての単純な興味として聞かせてもらう。最後の伏せカードは何だったのか…?」
「ああ…コナミもその伏せカードについて大いに悩んでいたようだな」
「これかい?」
アンドレが伏せられてた1枚のカードを取り出し2人へと見せる。
「俺が伏せていたのはトラップカード、ディメンション・ウォール。相手が攻撃してきた時に発動でき、その戦闘で俺が受けるダメージは代わりに相手が受けるのさ」
「つまり…あの場でクロキシアンでアンドレが直接攻撃されていたら」
「攻撃力2500のクロキシアンの攻撃がコナミへと直撃し、残りライフ2300のコナミはやられていたってわけか」
「ま…攻撃してくれたらの話さ」
そう言ってアンドレはカードをデッキにしまい、Dホイールを押して前に歩を進める。
「なるほど…。俺は今改めて思ったよ、無名だからと油断しなくて良かったとな」
「そういうのは勝った後さ」
そうして彼らは再び歩き出した。
次回からWRGP予選開始!お楽しみに!