遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者 作:ゾネサー
「レベル4のギガテック・ウルフにレベル3のジェネクス・コントローラーをチューニング!3つのエレメントを司るものよ、炎の力を拳に宿しあらゆる敵を焼却せよ!シンクロ召喚!燃やし尽くせ
ジェネクス・コントローラーが中枢コアに装填されオレンジ色のランプが点灯する。
「どうだ!これで…!」
「ふふ…シンクロを使ったな?シンクロキラー、機皇帝の力を見よ!」
トライフォースにコードが繋がれ機皇帝の胸部へと吸収されてしまった。
「覚悟はいいか赤帽子!機皇帝で貴様にダイレクトアタック!」
「うわあああ!」
機皇帝の攻撃をもろに食らってコナミが痛みに耐え切れずうめき声をあげる。
「うう…!」
「…おい。起きろコナミ!」
「えっ…?」
目を開けるとそこはホテルの一室だった。
「なんだ夢か…」
「いつもグースカ寝てるてめぇがうなされるなんて珍しいな」
「あ、ノーマネーの姉御…。いや、ちょっとな」
「なんだよちょっとって。まあいいや」
体を起こし弥生とともにロビーに出ていく。ゴーストの襲撃から数日後、コナミは弥生のホテルに泊めてもらっていた。遊星がゴーストに埋め込まれていたチップを調べたが時間式でデータが消去されるものだったらしく、結局ゴーストについては何一つわからなかった。
(シンクロキラー…機皇帝。それを使ってたのはロボットだった。ってことは操っていた奴がいたはずだ。そいつもWRGPに出てくんのか…?)
「というか気軽にうちに泊まりにきやがって。WRGPでうちもそれなりに混むんだぞ」
「あー、でも俺もWRGPに出るかもしれねえぜ?」
「マジか?メンバーは?」
「これから見つける」
「…言葉も出ねえよ」
そんな会話をしているとコナミのデュエルディスクの通話機能が作動する。
「あれ?幸子からだ」
「あいつか。そういえばサテライトでの活動上手くいったみてえだな」
「ああ。もうサテライトは自由だぜ。…もしもーし?」
デュエルディスクを手に取って音声をオンにして幸子と話す。
「庶民!助けてくださいまし!」
「え!?急になんだ?」
「説明は後で!デュエルアカデミアに来てくださいます?」
「デュエルアカデミアに…?」
「頼みましたわよ!」
「え!ちょっと…!」
その会話を最後に通話が途切れてしまう。
「デュエルアカデミアってどこにあるんだ…?」
「あん?デュエルアカデミア?それなら知ってるぜ。
「案内してくれ!」
Dホイールに2ケツし、弥生の案内でデュエルアカデミアに到着する。
「ここがデュエルアカデミアか…」
入り口に到着すると見覚えのある青い髪の少女が目に入った。
「庶民!こっちです!」
Dホイールを駐車場に止め、幸子と合流する。
「どうした?何かあったのか?」
「ハイトマン教頭の横暴でわたくしが退学させられそうですの!」
「え…?でもお前単位は大丈夫だって言ってたじゃん」
「そうなのですよ!授業の欠席は仕事の都合ということで学校側にあらかじめ申請していたのですがあの教頭がそれは学生らしくないとかなんとか言って…!」
「そりゃひどいな」
「ということで説得のために庶民も協力していただきますわよ!」
「え?俺?」
「最近の欠席は主にサテライトでの活動のため。庶民のせいとは言いませんがそれが原因となれば協力してくれても良いんじゃなくて?」
「…まあ。いいけどよ。それでハイトマンとやらはどこにいるんだ?」
「今はあの双子のクラスにいますわ。確か…あのクラスの生徒たちは全員退学とか言っていたような…?」
「そんな無茶な…。行くぞ幸子!」
幸子達3人は龍亞のクラスに突入する。だが既に先客がいた。
「あれ…お前はアキ!それにゆままで!」
「岬も!?まさかお前も…?」
「ちっ…そうだよ。あのおっさんがいきなり退学とか言いだしやがったんだ」
「何ですかぞろぞろと!」
そこにいたのはアキ、ゆま、岬。彼女らは高そうな服を着ている教頭に抗議をしていた。
「ですから。私は彼女達や龍可達がいきなり退学なんておかしいと思います!」
「アキさん…。あなたのような優秀な生徒にこそ私の考えを理解して欲しいのですがね。近年デュエルアカデミアのデュエル偏差値が下がっています。その原因は一部の落ちこぼれどもにあるのです!」
「そんな…落ちこぼれだなんて。…ひどい」
「てめぇ…あんまり舐めた口きくと…!」
「よせ!こんなことで暴力を振るうな!」
「それに…このクラス。見てくださいこのデータを。デッキに入っているのは揃いも揃って低レベルのモンスターばかり!こんなことだからデュエルアカデミアの生徒の質が落ちているのです」
その言葉を受けざわつく龍可達。そんな中1人異議を唱える。
「待ちな!」
「んん?あなたは誰です?あなたはデュエルアカデミアの者ではありませんね?」
「俺は龍亞や龍可、ゆまや幸子達の仲間だ!お前は退学にしようとしているがこいつらが強いことは俺がよく知ってるぜ!」
「とても信用できませんねえ…。低レベルのモンスターしか扱えぬデュエリストが強いとはとても思えません」
「なら…俺とデュエルだハイトマン!俺がデュエルでそれを証明してやるぜ!」
コナミがハイトマンにデュエルディスクを突きつける。
「デュエル?私と?…いいでしょう!しかし、私がデュエルに勝てば彼女らは退学とさせていただきます!」
「なっ…おい待て!」
「待て岬。あいつに任せとけ」
「姉御…?」
「…全員退学か。重いな。だが…いいぜ!俺が勝てば退学は取り消しだ!」
「いいでしょう。10分後、センターコートにて待ちます。くれぐれも逃げないように」
「誰が逃げるか!」
そう言ってハイトマンは教室から去っていく。
「えーと…コナミだったわね。遊星の友達の。大丈夫?あんなこと言っているけど彼は曲がりなりにも教頭。強いわよ?」
「大丈夫だ。あんなやつに負けるか!」
「庶民、負けたら承知しませんわよ!」
「コナミさんお願いします!」
「任せとけ!」
そう言ってコナミもセンターコートに行こうと教室を出ようとすると龍可達が近づいてくる。
「コナミ…。ごめんなさい、私たちの問題に巻き込んで」
「気にすんな。全部あの教頭のせいだ」
「へへっ…俺はコナミが勝つって信じてるぜ!」
「ありがとな!」
話していると龍可達の中から肌が黒く髪が金髪の少女が出てくる。
「あの…」
「ん。どうした?」
「こ、これを…」
そう言って少女は1枚のモンスターを差し出してくる。そのモンスターはレベル1のモンスターだった。
「私のモンスターが教頭に馬鹿にされたのが悔しくて…良かったら私のカードを…」
「…そうだよな。自分のカードが馬鹿にされたんだ。悔しくないわけないよな。お前名前は?」
「私の名前はパティです…」
「パティか。任せな!お前の思い背負って行くぜ!」
コナミのデッキにそのカードが投入された。そして10分の時が経ちコナミとハイトマンはセンターコートで向き合う。
「逃げずに来たことは褒めて差し上げましょう。ですが私が勝つ。それで終わりです!」
「いちいちめんどくさい奴だな!始めるぜ!」
「 「 デュエル! 」 」
先攻のランプがコナミのデュエルディスクに点灯した。
「頑張れー!コナミ!」
「負けたら承知しませんわよー!」
生徒達の声援を受けながらデュエルが開始された。生徒達が集まっている場所とは別の場所から1人の生徒がこのデュエルを見ていたがそれに気づくものはいなかった。
「行くぜ…。俺はカード・ブロッカーを召喚!こいつは召喚した時守備表示になる!」
小さな騎士がコナミを守るように盾を構える。
カード・ブロッカー 守備力400
「レベル3の低レベルモンスターな上に低ステータス。それで終わりですか?」
「…さらにカードを1枚伏せる。これでターンエンド!」
コナミ LP4000
フィールド 『ガード・ブロッカー』(守備表示)
セット1
手札4
「行きますよ。私のターン!…ふふ、いいでしょう。折角ですからこの私が特別授業をしてあげましょう。
歯車が組み込まれた石像がハイトマンの場に現れる。
古代の機械石像 攻撃力500
「特別授業だと?」
「このように低レベルモンスターを並べるだけではデュエルには勝てません。ですから低レベルモンスターは高レベルモンスターのための踏み台になる他はありません!私は機械複製術を発動します。私の場の攻撃力500以下の機械族モンスターを対象に発動し、同名モンスターをデッキから2体特殊召喚するであります!」
石像が2枚の紙に複写され、それに光を当てると不思議なことにもう2体の石像がフィールドに出現した。
古代の機械石像×2 攻撃力500
「いきなりモンスターを3体も呼んできたか…」
「さらに!私は古代の機械石像の効果発動!自身をリリースし手札から
「何だと!?」
3体の石像が中から割れ、そこから3体の機械で作られた巨人が出てきた。
古代の機械巨人×3 攻撃力3000
「くっ…やるじゃねえか!」
「当然です。この勝ち組デッキであなたに勝利してみせましょう!バトル!古代の機械巨人でカード・ブロッカーに攻撃!このモンスターが攻撃する時、相手は魔法・罠カードを発動できません!」
「ならカード・ブロッカーの効果を発動!攻撃対象になった時デッキの上から3枚のカードを墓地に送ることでエンドフェイズまで守備力を1500アップするぜ!」
カード・ブロッカー 守備力400→1900
3枚のカードの力でカード・ブロッカーの持つ盾が少し大きくなる。
「その程度!古代の機械巨人のさらなる効果!守備モンスターへ攻撃した時貫通ダメージを与えるであります!」
「なっ…うわっ!」
巨人の重いパンチと盾がぶつかった衝撃がコナミにも伝わってきた。
コナミ LP4000→2900
「ふふ…あっけないですね。もう1体の古代の機械巨人の攻撃で終わりです!」
「攻撃?してきても俺は構わないぜ!」
衝撃が収まるもカード・ブロッカーは未だフィールドにいた。
「なっ…馬鹿な!何故…?」
「俺はカード・ブロッカーの効果で墓地に送られたシールド・ウォリアーの効果を発動していた。こいつは墓地から除外することでモンスターの戦闘による破壊を1度だけ免れるのさ!」
「何ですと!低レベルモンスターにそんな使い道が…。しかももう1度カード・ブロッカーに攻撃すればその守備力は3400!」
「それでも攻撃するか?」
「うぬぬ…ですがこの程度で調子に乗らないことです。私は手札から魔法カード、レベル・サンダーを発動します!このカードの効果で私のフィールドのモンスターのレベルの合計×100のダメージを与えます!」
「古代の機械巨人のレベルは8。3体ってことは…!」
「ダメージは2400!これぞ勝ち組にこそ許される究極のコンボであります!」
古代の機械巨人から出てきた24個の星がコナミに襲いかかった。
「くっ…!」
コナミ LP2900→500
「このターンはこれで終わりですがそのライフは次のターンで終わりでしょう!」
「へっ…どうかな?フィールドを見な!」
「なっ…モンスターが2体いる?」
コナミの場に新たなモンスターが出ていた。黒いローブに身を包み、2本の白い翼を持っている。
ダメージ・メイジ 攻撃力600
「ダメージ・メイジは俺が効果ダメージを受けた時に特殊召喚出来る。そして俺は受けたダメージ分のライフを回復する!」
ダメージ・メイジの左翼が黒く染まっていき、右翼からコナミに光が降り注いだ。
コナミ LP500→2900
「なんと!低レベルモンスターでそんなことまで…。私はこれでターンエンドです!」
ハイトマン LP4000
フィールド 『古代の機械巨人』×3(攻撃表示)
セット0
手札0
「行くぜ、今度は俺からみんなへの特別授業だ!ドロー!」
コナミがドローしたカード、それはパティが貸してくれたカードだった。
「行くぜパティ!俺はチューナーモンスター、ハネワタを召喚!」
小さな羽が背中についた毛むくじゃらのモンスターが現れた。
ハネワタ 攻撃力200
「むむ…また低レベルモンスターですか」
「たとえレベルが低くても力を合わせれば強敵を打ち倒せる!行くぜ!レベル3のカード・ブロッカーとレベル3のダメージ・メイジにレベル1のハネワタをチューニング!聖なる命の灯火、今ここに
3体のモンスターが1つとなり巨人と同等の大きさまで並ぶ胴体を持つドラゴンがフィールドを舞う。
エンシェント・ホーリー・ワイバーン 攻撃力2100
「…!エンシェント・フェアリー、あの精霊は…?」
「私の片腕とも言うべきモンスターです。コナミによって助けられなれば私もダークシグナーとの戦いで力を発揮できませんでした…」
「そうだったんだ…」
コナミのシンクロを見て驚くハイトマン。だが次第に確信した顔になる。
「ふふ…やはりデュエルは高レベル高ステータスモンスター。それが勝ち組なのです!」
「へっ…デュエルってのはそんな単純なもんじゃねえだろ!エンシェント・ホーリーの効果発動!俺のライフが相手より上回っている時、その分攻撃力が上昇し下回っている時はその分下がる!」
次第にドラゴンは縮んで行き巨人の足元あたりの大きさとなってしまう。
エンシェント・ホーリー・ワイバーン 攻撃力2100→1000
「なっ…せっかくの高レベルモンスターのステータスを自ら下げるですと!理解できないであります!」
「デュエルはレベルや攻撃力だけでは決まらない!手札から魔法発動、財宝への隠し通路!俺のフィールドの攻撃力1000以下のモンスター1体を対象に発動!そいつはこのターンダイレクトアタック出来る!」
「なんと!」
エンシェント・ホーリーの前に虹がかかり巨人を超えてハイトマンへと繋がる道が出てくる。
「で…ですが所詮その程度のモンスターでダイレクトアタックしようと次のターンで私の勝ちであります!」
「…それはどうかな?」
「なんですと?」
「俺は伏せていたトラップを発動するぜ!永続トラップ女神の加護!このカードは破壊されたら俺は3000のダメージを受ける代わりに、発動時の効果として俺のライフを3000回復する!」
コナミのトラップから光が降り注ぎコナミのライフを回復していく。
コナミ LP2900→5900
「ですがライフを回復しようと…あ、あああ!」
それに伴ってエンシェント・ホーリーが巨人より巨大になっていくのを見てハイトマンは腰を抜かしてしまう。
「俺のライフがお前より上回ったことでエンシェント・ホーリーの効果で攻撃力がアップする!」
エンシェント・ホーリー・ワイバーン 攻撃力1000→4000
「バトル!財宝への隠し通路の効果でエンシェント・ホーリーはダイレクトアタック出来る!エンシェント・ホーリーでハイトマンに直接攻撃!」
「そ、そんな馬鹿な〜!」
巨大化したエンシェント・ホーリーがハイトマンを包み込み光で浄化した。
ハイトマン LP4000→0
「やった!コナミが勝った!」
「あれが…エンシェント・ホーリーの力なのね」
「ヒヤヒヤさせますわ…」
「さすがコナミさんです!」
コナミがハイトマンへと近づいてく。
「約束だ。退学は無しな。あと低レベルを馬鹿にするのもこれからは無しだ」
「は、はいぃ。分かりました」
一件落着。すると龍可達がコナミの元へ集まってきた。
「やったねコナミ!」
「ありがとうコナミ。ダークシグナーとの時といい助けられてばかりね」
「いいってことよ。…おーいパティ!」
龍可達の後ろで話す機会を伺っていたパティを呼びカードを差し出す。
「ありがとな。お前のハネワタのおかげで勝てたぜ」
「うん…かっこよかったよ」
「そ、そうか?」
「それでね、ハネワタのことなんだけど…。あなたに貰って欲しいの」
「え?でも大事なカードなんじゃないのか?」
「あなたなら大切に使ってくれそうだから…私たちを助けてくれたお礼に…」
「ん、そっか。ならありがたく使わせてもらうぜ」
「ねー、コナミコナミ!俺ともデュエルしようよ!」
「もう龍亞ったら…」
龍可達と話を弾ませるコナミ、その集団の後ろにスライという少年が1枚のカードを見つめていた。
(いいな…あれ、欲しいな。あのドラゴン…)
色々な思いが交錯する中、このデュエルを隠れて見ていたものがこの場から立ち去ろうとしていた。
「あのモンスターは精霊…。彼もまた未来を変える因子となりうる…?だけどまだデータが不完全、彼を監視する必要性有り」
銀髪の少女がその場を立ち去っていった…。