遊戯王5D'sタッグフォース 満足の意志を継ぐ者   作:ゾネサー

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そこらへんに転がっているデュエリスト

姿が急に見えなくなったコナミ、彼はある場所で横たわっていた。

 

「うーん…?ん、ここはどこだ?」

 

目を覚ますもそこは全く見覚えのない場所、どうしようかと困っていると信じられないものが肩に乗っていた。それは左右にアンテナをつけ、胴体がコードで繋がっているロボット。

 

「…ジェネクス・コントローラー?デュエルしてないのに実体化してる…」

 

じっくり見ていると突然背中側から金属が擦れたような鳴き声が聞こえてくる。びっくりして見てみると、それは鋼鉄によって作られたオオカミ。鋭いキバを持っているが、噛み付いてくる様子はない。

 

「お前はギガテック・ウルフ!…まてよこの2体って龍可の言っていた精霊って奴か!?」

 

オオカミはそれに同意するように何回か鳴いた。肩に乗っているロボットもアンテナを交互に光らせて同意のアピールをしている。

 

「んー?でも俺は精霊は見えないはずなんだが…急に見えるようになったのか?」

 

コナミが頭を悩ませているとどこからか紫色の毛もじゃの丸っこい体に手と足を生やしたモンスターが出てくる。

 

「ん?なんだお前は?」

 

コナミの目の前までくると、突然そのモンスターの体が割れ、中から全く同じ見た目をしたモンスターが出てきてコナミを驚かす。

 

「うおっ!な、なんだ?マトリョーシカか?」

 

驚かすのに成功したからか笑顔になったそのモンスターは少し移動した後、その手を誘うように振ってきた。

 

「…ついてこいってことか?」

 

そのモンスターは大きくうなずくと猛スピードで1つの方向へ向かっていく。

 

「あっ…待ってくれー!」

 

慌ててギガテック・ウルフに飛び乗り後を追いかけさせる。肩に乗っているジェネクス・コントローラーが落ちないように気にしながらついていった。

 

そしてそのモンスターはある場所で止まった。

 

「ん…ここはなんだ?鍾乳洞?」

 

ギガテック・ウルフから降りたコナミが周囲を見ているとそのモンスターはコナミのデッキの中に入っていった。

 

「え!?ちょっと待ってくれ…この後どうすればいいんだ!?」

 

コナミのその質問はある者に遮られることになった。

 

「来たか…。貴様が精霊に導かれしデュエリストか」

 

後ろにか弱い精霊を引きつれている、顔が白いマスクによって隠されていて分からない者がコナミへと問いかける。

 

「な、なんだお前は?お前がここに連れてきたのか?それとここはどこだ?」

 

「質問が多いぞ。その答えは俺とデュエルをしてからだ」

 

「!…まさかこいつがダークシグナーか?ならこれは…この前みたいな操り人形を通したやつとは違う本物の闇のデュエル!?」

 

「ふん…怖気付いたか」

 

「くっ…やるしかないのか」

 

互いに距離を取りデュエルディスクを展開する。

 

「俺の名はカイバーマン。貴様を敗北させる者の名だ」

 

「俺はコナミだ!そしてこのデュエル絶対に負けねぇ!」

 

「 「 デュエル! 」 」

 

デュエルディスクによって先行がランダムに選ばれる。先攻のランプがついたのはカイバーマン。

 

「行くぞ俺のターン、ドロー。俺は手札から青き眼の乙女を召喚してターンを終了する!」

 

見るものを全て魅了するほど綺麗な銀髪をしており肌が白く目が青い女性がカイバーマンの場に現れた。

 

青き眼の乙女 攻撃力0

 

「攻撃力0のモンスターを攻撃表示で出しただけでターンエンドだと…?」

 

カイバーマン LP4000

 

フィールド 『青き眼の乙女』(攻撃表示)

 

セット0

 

手札5

 

「俺のターン、ドロー!…攻撃力が低いモンスターを攻撃表示で出すってことは何か策があるってことだって遊星が言っていたな。どうするか…」

 

コナミは慎重に相手の場を見る。このデュエルが仮にダークシグナーとのデュエルであれば生死に関わる可能性もあるため慎重にならざるを得なかったのだ。だがいつまでたってもカードを場に出すことが出来ずにいた。

 

「カードを出す意気地すらないか…?恥を知れ!(おの)が頂点を目指すなら、この俺を乗り越えていけ!!」

 

「…!俺は手札から切り込み隊長を召喚する!」

 

左手に細い剣を右手に太い剣を持ち、体に余すところなく防具をつけ、その上にマントを羽織った騎士隊長がコナミの先陣を切った。

 

切り込み隊長 攻撃力1200

 

「それで終わりか?」

 

「まだだ!切り込み隊長が召喚に成功した時俺は手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する事ができる。攻撃表示で来てくれギガテック・ウルフ!」

 

鉄屑で作られたオオカミがコナミの横をかけてフィールドへと走ってきた。

 

ギガテック・ウルフ 攻撃力1200

 

「ほう…そいつはお前の持つ精霊のモンスターか」

 

「ああ。そしてこのままバトルだ!切り込み隊長で青き眼の乙女に攻撃!」

 

騎士隊長が女性に斬りかかるという騎士の風上にも置けない行為をする。その女性は腕で身をかばったかと思うと途端に周囲に光が差し込み、隊長は思わず目標を見失ってしまう。

 

「何が起きてやがる!」

 

「青き眼の乙女は1ターンに1度攻撃対象に選択された時その攻撃を無効にして自身の表示形式を変更することが出来る!さらに俺のデッキ・手札・墓地のいずれかから(しもべ)を呼び出すことができる…!」

 

青き眼の乙女 守備力0

 

「攻撃を防いだ上にモンスターまで呼べるのか…!」

 

「伝説を見せてやろう…!デッキより出でよ我が忠実なる僕、青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!」

 

女性の魂から光が解き放たれ天に捧げられると、そこから2本の白き翼をはためかせたドラゴンが降臨した。

 

青眼の白龍 攻撃力3000

 

「なっ…攻撃力3000のモンスターをデッキから特殊召喚しただと!?」

 

「どうした?ブルーアイズを前に臆したか…?」

 

「だ、誰が臆するかよ!ギガテック・ウルフで青き眼の乙女に攻撃だ!乙女が攻撃を無効に出来るのは1ターンに1度だけ、この攻撃は防げねえだろ!」

 

鉄屑のオオカミが金属をこすらせながら女性に体当たりを仕掛けるとあっけなく破壊された。

 

「2体のモンスターを場に出していたのが功を奏したか。だがその弱小モンスターでは俺のブルーアイズにはかなわぬぞ」

 

「くっ…俺はカードを3枚伏せてターンエンドだ!」

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『切り込み隊長』(攻撃表示) 『ギガテック・ウルフ』(攻撃表示)

 

セット3

 

手札1

 

「俺のターン。手札の伝説の白石(ホワイト・オブ・レジェンド)を捨てることでドラゴン目覚めの旋律を発動する。俺はこのカードの効果でデッキから攻撃力3000以上守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体まで手札に加えることができる!俺は青眼の白龍と混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)ー終焉の使者ーを手札に加える!」

 

「一気に強力モンスターを手札に加えやがったか!だけどそいつらのレベルはどっちも8、召喚するには2体の生贄が必要だぜ!」

 

「そんなことは貴様に言われなくてもわかっている。まずは墓地に置かれた伝説の白石の効果を発動する!その効果によりデッキに残りし最後の青眼の白龍を手札に加える。さらに俺はトレード・インを発動する。このカードによって俺は手札のレベル8モンスター混沌帝龍を墓地へ捨てることでカードを2枚ドローする!…ほう?」

 

カイバーマンはドローしたカードを見ると目を細め、コナミの方をじっと見つめる。

 

「な、なんだよ?」

 

「ブルーアイズが貴様と全力で戦いたがっている。誇りに思うがいい、貴様にはブルーアイズに焼き払われる栄誉を与える!」

 

「誰がやられるかよ!」

 

「その減らず口がいつまで持つか…楽しみだ。俺は手札からロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者ーを召喚する。こいつが場にいる限り互いにフィールドのドラゴン族モンスターを効果の対象とすることは出来ない!」

 

「くっ…あのドラゴンが更に倒しにくくなっちまったか」

 

「だが本番はここからだ。俺は手札からドラゴンを呼ぶ笛を発動!こいつの効果で俺の場にロード・オブ・ドラゴンがいる時に俺は手札よりドラゴン族モンスターを2体まで特殊召喚することが出来る。…さあ見るがいい、そして(おのの)くがいい!降臨せよ2体のブルーアイズよ!」

 

ロード・オブ・ドラゴンが笛を吹き鳴らすと天からさらに2体の白き龍が舞い降りてくる。

 

青眼の白龍×2 攻撃力3000

 

「嘘…だろ!?」

 

「俺のフィールドに俺の最も信頼する僕が3体…それでも貴様は立ち向かってくることが出来るか?さあバトルだ!」

 

「立ち向かってやるさ!永続トラップ発動!」

 

「だがロード・オブ・ドラゴンの存在により、俺のブルーアイズを対象とすることは出来ないぞ!」

 

「このカードはブルーアイズを対象にしたものじゃねえ!俺が発動したガリトラップ—ピクシーの輪—の効果で俺のフィールドに表側攻撃表示のモンスターが2体以上存在する時、相手は攻撃力が1番低いモンスターを攻撃の対象にすることが出来なくなるんだぜ!」

 

ピクシーという名の妖精がコナミの場のモンスターを光の輪で包み込む。

 

「なるほど…自分の場にトラップをかけたか。さらに貴様のフィールドにいるのはどちらも攻撃力が1200…ということは」

 

「ああ!お前は攻撃を封じられたぜ!」

 

「小賢しい真似をしてくれる…。俺は手札から速攻魔法超再生能力を発動してターンを終了する。このタイミングで超再生能力の効果により俺がこのターン手札から捨てたドラゴン族モンスターの数だけカードをドローすることが出来る。俺が捨てたのは2体、よって2枚のカードをドローする!さあ貴様のターンだ」

 

カイバーマン LP4000

 

フィールド 『青眼の白龍』×3(攻撃表示) 『ロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者』(攻撃表示)

 

セット0

 

手札4

 

「ガリトラップで防いでる間に何とかしねえと…。俺のターン!よし、俺はカードを1枚伏せて命削りの宝札を発動する。このカードによって俺は手札が3枚になるようにドローする!」

 

「手札増強のカードか。だがそのカードのリスクとしてこのターンの俺へのダメージは0となり、エンドフェイズには手札を全て捨てなくてはならない」

 

「知ってるなら話は早い!俺はカードを3枚ドロー!俺は手札からE・HERO(エレメンタルヒーロー)スパークマンを召喚だ!」

 

電気をまとった戦士がコナミの場に現れた。

 

E・HEROスパークマン 攻撃力1600

 

「ほう、E・HEROか。懐かしいカードを使う。だがガリトラップによって守られるのは攻撃力が1番低いモンスターのみ、そのモンスターは守られていないぞ」

 

「いや、そうでもないのさ。切り込み隊長のもう1つの効果でお前はこいつ以外の戦士族モンスターには攻撃が出来ない!もちろんスパークマンは戦士族だ!」

 

「さすがに無策で出したわけではなかったようだな」

 

「当然だ!さあバトルだぜ。スパークマンでロード・オブ・ドラゴンに攻撃、スパークフラッシュ!」

 

スパークマンの手から電気が放電されロード・オブ・ドラゴンに感電し、破壊する。

 

「とりあえずあいつは倒せたか…。俺はギガテック・ウルフを守備表示にしてカードを1枚伏せる!これでターンエンドだ。命削りの宝札の効果で残った1枚を墓地に捨てるぜ」

 

コナミ LP4000

 

フィールド 『切り込み隊長』(攻撃表示) 『ギガテック・ウルフ』(守備表示) 『E・HEROスパークマン』(攻撃表示)

 

セット4 『ガリトラップ—ピクシーの輪—』

 

手札0

 

「俺のターン、ドロー!」

 

「この瞬間トラップ発動、捨て身の宝札!俺のフィールドの2体以上の攻撃表示モンスターの攻撃力の合計が相手フィールドの攻撃力が1番低いモンスターの攻撃力より低ければ、俺はこのターンの召喚や特殊召喚が出来なくなる代わりにカードを2枚ドローする!」

 

「貴様の場の攻撃表示モンスターの合計は2800、俺の場には攻撃力3000のブルーアイズ。条件を満たしてきたか」

 

「ああ。2枚引かせてもらうぜ!」

 

「ならば俺は手札よりチューナーモンスター、青き眼の賢士を召喚!このモンスターの召喚に成功した時俺はデッキから光属性・レベル1チューナーを手札に加えることが出来る。俺は太古の白石(ホワイト・オブ・エンシェント)を手札に加える!さらに手札から調和の宝札を発動し手札の攻撃力1000以下のドラゴン族チューナー太古の白石を墓地へ捨てることでカードを2枚ドローする!貴様はそのトラップで数ターンは凌げるとでも思っているようだが甘いぞ!手札よりスタンピング・クラッシュを発動し、貴様のガリトラップを破壊して500のダメージを与える!」

 

青き眼の賢士 攻撃力0

 

カイバーマンの発動した魔法カードからドラゴンの足が出てきてガリトラップのカードを踏み潰す。粉砕されたガリトラップの破片がコナミを襲う。

 

コナミ LP4000→3500

 

「くっ…!ん、この前みたいな痛みがねぇ…?」

 

「宣言してやろう、俺はこのターンで貴様を倒す!ブルーアイズ3体で切り込み隊長、スパークマン、ギガテック・ウルフへと攻撃!

滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)3連弾!」

 

3体の白き龍の口にエネルギーが集約し、コナミの場の3体のモンスターへ解き放たれる。

 

「…!このターンで俺を仕留めるっていう殺気を感じる。今までこんな圧力は感じたことがねぇ!」

 

3つの弾がコナミの場のモンスターへと直撃した。

 

「ダメージが実体化してるわけじゃねぇ…。なのになんだこの圧力は!?」

 

コナミ LP3500→300

 

「さあ…これで貴様の場のモンスターは全滅だ」

 

「いや…まだだ!俺の場には1体だけモンスターが残っているぜ」

 

「なんだと?」

 

白き龍の攻撃による爆風が晴れるとギガテック・ウルフが鉄の一部を赤くしながらもフィールドに残っていた。

 

「面白い、どんなトリックを使ったのか聞かせてもらおう」

 

「へっ…俺は墓地のシールド・ウォリアーの効果を発動していたのさ。こいつは墓地から除外することで1度だけモンスターの戦闘破壊を防ぐことが出来る!」

 

「なるほどな…命削りの宝札によって墓地へ送ったカードか。やってくれるな」

 

「へへっ…このターンで俺を倒すんじゃなかったのか!」

 

「だがこの程度で防いだ気になるなど甘いぞ!貴様もそこら辺に転がっている凡骨デュエリストと同じなのか?貴様と戦いたがっていたブルーアイズをがっかりさせるな!俺は手札から速攻魔法瞬間融合を発動する!このカードの効果で俺は俺のフィールドのモンスターで融合召喚を行う。俺はブルーアイズ3体で融合!」

 

「単体でも強力なブルーアイズ3体で融合だと!?」

 

「さあ今こそ現れるがいい、史上最強にして究極のドラゴンよ!」

 

3体の白き龍が交わりその姿を1つとする。合体した姿は3つ首の巨大なドラゴン。1つの首のドラゴンが咆哮をあげると残りの2つの首のドラゴンも咆哮をあげ相手を威圧する。

 

青眼の究極竜(ブルーアイズ・アルティメットドラゴン) 攻撃力4500

 

「攻撃力…4500。なんだそりゃ…!?」

 

「さあアルティメットよ、その弱小モンスターを粉砕せよ。アルティメット・バースト!」

 

3つの首からでるエネルギーが1つに集約され発射される。その弾は鋼鉄のオオカミを跡形もなく粉砕した。

 

「くっ…だがギガテック・ウルフは守備表示だからダメージはねえ!」

 

「俺がそんな弱小モンスターを粉砕するためだけにこいつを呼び出したとでも思うか?」

 

「…なわけはねえよな」

 

「その通りだ!俺は手札から融合解除を発動する。このカードによりアルティメットをエクストラデッキへと戻すことでこのモンスターの融合に使用した3体のブルーアイズを墓地より呼び戻す!」

 

アルティメットから光が放たれると合体が解除され、再び3体のブルーアイズが場に降臨する。

 

青眼の白龍×3 攻撃力3000

 

「バトルフェイズ中に特殊召喚したってことは…」

 

「ブルーアイズは再び貴様に牙をむく…!さあブルーアイズよあの赤帽子へダイレクトアタックだ!滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)3連弾!」

 

3体の白き龍から放たれた3つのエネルギー弾がコナミへと直撃した。

 

「ふん…所詮この程度か」

 

爆風が晴れる。するとコナミは未だに立っていた。

 

「まだだ…!俺のライフはまだ残ってるぜおらぁー!」

 

コナミ LP300→1300

 

「ば、馬鹿な…!?3体のブルーアイズの攻撃に耐えただと!?」

 

彼らの戦いはもう少し続く。

 




ドラゴンを呼ぶ笛が墓地に置かれたのでカードを引かせてもらうぞ…。え?駄目?

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