羽川翼の親になった男の話   作:瑠璃ぃぃぃ

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はじめまして

初めて小説書きますので拙い文ではありますがよろしくお願いします。


第1話

俺、羽川隼は私立直江津高校三年生だ。

 

小学生の頃からやっていた野球を高校でもやることにし、すでに三年の夏…つまり俺の高校最後の野球生活だが…

 

 

「まさか甲子園準優勝とはねぇ…」

 

エースで四番、私立とは言え野球の実力はそこそこだった高校で一年の頃からそれを俺は担っていた。

 

一年の時は地区予選敗退

 

春の選抜予選も選ばれず

 

二年は県大会で決勝戦で敗退

 

春は選ばれず、そして三年生の夏で甲子園初出場

 

その頃の俺は実力もメキメキ上がっていたため甲子園でも通用するような実力だった…

 

しかし決勝戦はあのあかつき大付属高校

 

4ー3の接戦だったがあと一歩及ばず

 

 

「猪狩守、まさしく超高校級選手」

 

チームの総合力でも負けていた。

 

接戦とは言っていたが点が取れたのは運が味方してくれたからだろう。

 

さて、何で今俺がその猪狩について話しているかと言うと…

 

 

「どういう事だ羽川‼ドラフトの指名全部断るなんて⁉」

 

目の前にその猪狩守がいるからだ…

 

「君は僕が認めたライバルなんだぞ⁉プロに行かないとはどういう事だ⁉」

 

「いや、これには事情があってだな…」

 

「事情だと⁉僕を納得させるだけの事情があるのか⁉」

 

「まてまて落ち着け。まず離れろ、顔が近い。つかお前何で俺ん家知ってんだよ?今年のドラフトの目玉は何?探偵チックな能力も持ってんの?なにそれチート?」

 

 

「ふざけてないで答えろ‼」

 

いや、住所知ってる所に関してはふざけてねぇよ

 

「単純な話だ、今は野球より優先するべきものが見つかった。それだけだ。」

 

「何だと?」

 

猪狩は要領を得ないと言った顔をしている

そりゃそうだわな…

 

仕方ないのであの娘を紹介するかね

 

 

「翼ちゃん、おいで。」

 

猪狩が急に来たので翼ちゃんは台所に隠れていた。

 

そして翼ちゃんを手招きして呼ぶ

 

「羽川…その子供は?」

 

「俺の娘」

 

「は?」

 

「娘」

 

「………」

 

猪狩が急に携帯を持ち出して…

 

 

「僕だ、猪狩コンツェルンの医療チームを呼べ‼最高メンバーでだ‼頭の病気に対するスペシャリストもだ‼」

 

「まてまてまてまてまて‼病気でも何でもねぇよ⁉」

 

「じゃあ何だ‼誘拐したのか?」

 

「してねぇよ⁉色々事情があって俺が引き取ったんだよ‼」

 

「事情があって娘だと?」

 

「そうだよ…」

 

 

猪狩に翼ちゃんの事情を話す…勿論翼ちゃんの許可は取っている

 

 

「ふざけた親だな。」

 

「全くだよ、夜逃げする様子なんて無かったのによ…」

 

翼ちゃんは血が繋がっていないから娘じゃないと…ほざくつもりかよ…‼

 

「あの…」

 

そう考えていると翼ちゃんから袖を引かれた

 

「私は大丈夫です。隼さんの将来を我慢してまで私を引き取る事なんてないんですよ?私が我慢すれば良いんですから。子供のわがままは基本的に叶いません。それが普通なんですから。」

 

「なっ…」

 

「……(これが幼い子供の考える事か?あり得ない…どんな環境で育てばこんな風になるんだ…⁉俺が見ていたあの家族は所詮上辺だけだったのかよ…‼)」

 

 

猪狩は絶句し、俺は内心愚痴ってる

 

「翼ちゃん」

 

ビクッ

 

顔を下げて俯いてる翼ちゃんがギュッと両手を握って震えている

 

自分で言った事に後悔があるのだろう、実質上翼ちゃんを良く知っているのは現状俺だけだ

 

その俺に迷惑はかけたくない…けど頼れる人も居ない事もまた事実。

 

その板挟み状態で翼ちゃんが抱えるストレスは恐らく想像を絶するものだと思う。

 

「確かに翼ちゃんを引き取る事で俺の夢…まぁ、プロ野球選手なんだが…遠ざかるけど別に今すぐにならなきゃいけない理由なんてないんだぜ?」

 

「え…?」

 

「俺が翼ちゃんを引き取ろうと思ったのは確かに同情とかもあるけどさ…知り合いの子供がこんな状況になってるのに見て見ぬふりなんて事、俺には出来ない。」

 

それに…

 

「血の繋がりが無くても家族になれる。翼ちゃんにはその事を教えてあげたい…俺なんかじゃ役不足かも知れないけど、俺は翼ちゃんに家族の温もりを知ってほしい」

 

頭を撫でながら翼ちゃんに伝える

 

すると翼ちゃんが両目から涙を流しながら…え?泣いてる⁉

 

 

「えっ⁉何で泣いて…ごめっ⁉ごめんね翼ちゃん‼何か嫌な事言っちゃったかな?」

 

「いえ…嬉しいんです…お父さんとお母さんは……私の事をどこか腫れ物みたいに避けていましたから………ホントに……良いんですか?」

 

翼ちゃんの涙を見て俺はここで誓った。

 

もう翼ちゃんに悲しい思いも寂しい思いもさせない…孤独になんかさせるものか…翼ちゃんが幸せになれるなら…

 

「勿論だよ。」

 

「…うぅぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁん…‼」

 

この小さい体に耐えきれない程の重みを…苦しみを…俺が一緒に背負ってやるさ。

 

「だから今は…好きなだけ泣けば良い。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕がいることを忘れてないか?」

 

 

「「あ…」」




この小説を描きたい理由

羽川翼にちゃんとした親がいたらどうなるかというもの

パワプロ設定は翼ちゃんにユニフォームを着せたいという欲望も妄想である(笑)

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