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どうも、初めまして、2度目の転生、3度の人生に乗り出した『若宮 翼』です。よろしくお願いします。現在0歳から始めて丁度11歳になりました、懐かしの小学校5年生です。
いつの間に2桁ちょいの月日が流れたんだと思うかもしれないがここは割愛させて頂く、だってひたすら隠れて木刀振ったりして身体を鍛えたり高等数学まで完全履修してただけだもん。聞いても面白くはないでしょ?
ああ、それに言い忘れてたけどこの世界でもなんか魔法使えるみたいでとにかくそれを訓練をしてたかな。前の世界程度はないけどもこの世界にも稀薄だけど大気中に魔力があって魔法式と発動キーさえ理解しておけば前の世界程の規模、効果は発揮されないものの発動するらしく、10年の月日を注ぎ込んでとにかく効率化を目指し今ではようやく前世の3分の2程度まで効果が出せるようになった。例えば、骨折程度なら回復魔法で一発で治せて、強化魔法で5歳児が大人を軽々と投げ飛ばせるくらいに。……ここまでくるともう俺は普通の人間じゃないな〜と若干諦められるレベルである。それ以前に3回目の人生を経験している時点で普通ではないが……。
ではここで俺の家族についてお話ししよう。俺の家族、『若宮』家は4人家族、教師の父に研究者の母、11の俺に3歳の妹であと父の名は『総司』、母は『琴乃』、妹は『栞』となるがこれは蛇足である。
で、何が言いたいかというと父はどうでもいいが母が『研究者』であるという事だ。どうやらこの世界、俺が前々世で生きていた世界とほぼ同じ西暦2004年であるというのにこちらの方が圧倒的に科学技術が進歩しているらしく、よって母のしている研究もやっぱり前々世では考えられない『外装改変型戦闘機基礎理論と設計』という男の浪漫がすごくくすぐられるもので、そのせいで俺達一家はよく研究所や航空自衛隊の基地付近へと引越しを繰り返していたのだ。そのせいで小学校になってからは友達が少ない少ない、長ければ1年、短ければ1ヶ月で転校などまだ3歳児の栞ならまだいけるが小学生の俺はかなりキツかった。つくっては別れ、つくっては別れ、つくってしばらくはいけるかと思ったらすぐ別れる。……親友と呼べる奴は作れただろうか?いや、作れてないだろう。
……まあ、そんなこんなで今回も基地に併設された研究所近くの街に住む事になって5年生でまた転校する事になったのだが今回は数年はこの街、母の場合は研究所に住む事になり俺はようやく親友が作れるなと思い学校に通う事にした。
そして俺は『彼女』と出逢った。
前世で嫌という程触れてきた悲哀と絶望、それを内包しただ1人孤独に教室にいた『天災』と呼ばれる小さな彼女に。