間違いながらそれでも俺は戦車に乗るのだろう。 作:@ぽちタマ@
抽選会が終わってその次の日、なぜかその日は八幡くんと優花里さんが戦車道の練習に来なかった。
「秋山さん、結局練習来ませんでしたね」
「比企谷にいたっては学校にすら来てないよ、今日」
そう、八幡くんは学校を休んでいる。
「メールは返ってきた?」
「ぜーんぜん、電話かけても圏外だし」
「八幡さんが学校を休むのも珍しいですよね」
「そうなんだよねー、いつもめんどくさいめんどくさい言いながらも戦車道の授業はちゃんとやってるし」
「意外と真面目……」
「本人が聞いたらものすごく否定しそうだけど」
「八幡さんですからね」
「捻くれてるからな……」
「だって比企谷だもんねー」
「とりあえず、秋山さんの家に行ってみましょうか」
「そうだね」
「そのあと一応、比企谷の家に行ってみようか」
「誰か八幡くんの家に行ったことあったかな?」
私はふとした疑問を口に出す。
「あれ?そういえば……。麻子知ってる?」
「私が知るわけないだろ…」
「華は?」
「いえ、わたくしも」
「みぽりん……は知らないか、話切り出した本人だし」
「う、うん……」
「というか、誰も比企谷の家に行ったことがないのね」
「女子が男子の家に行くこともそうそうないだろ……」
たしかに麻子さんの言う通りかも。
「それもそっか、あとで小町ちゃんにメールで聞いてみようか」
そういうことで話はまとまり、私たちは優花里さんの家へと向かう。
そして優花里さんの家に到着。秋山理髪店、と看板にはそう書かれてる。
「あれ? ゆかりんの家、床屋さんだったんだ」
優花里さん、中にいるかな?お店の中に入ってみる。
「いらっしゃいませ」
「すいません! あの、優花里さんはいますか?」
「あんたたちは……」
「友達です」
「友達……と、友達いぃぃ!?」
「お父さん落ち着いて!」
「だってお前! 優花里の友達だぞ!?」
「わかってますよ。いつも優花里がお世話になっています」
「お、お世話になっております!」
「あ、あの……」
と、とりあえず、優花里のこと聞かなきゃ。
「優花里、朝早くうちを出てまだ帰ってきてないんですよ、どうぞ二階へ」
え? どういうことなのかな? 優花里さんは朝早くからいないって………。
そしてそのまま優花里さんの部屋に招かれた私たち。
優花里の部屋の中には戦車関連の物がズラッと並んでいます。戦車の模型、ポスター、砲弾など、それこそ私がわからないようなものまで。
優花里さん、ホントに戦車が好きなんだなぁ。
「どうぞー、食べて頂戴」
「あ、ありがとうございます」
「良かったら待ってる間に散髪しましょうか?」
「え? えっと、その……」
「お父さんはいいから!」
「……はい」
「すいません……。優花里のお友達が来るなんて初めてなもので。なんせ戦車戦車で気の合う友達がなかなかできなかったみたいで、戦車道の友達ができたってすごく喜んでいたんですよ」
そうだったんだ、優香里さん。だから抽選会の帰りにあんなこと言ってたのかな?
「じゃあ、ごゆっくり」
そういって優花里さんのお母さんは部屋を出ていきました。
「いいご両親ですね」
華さんの言うとおりかも。
そして突然部屋の窓が開いたと思ったらそこには、
「あっ!」
「ゆかりん!?」
「あれ? みなさんどうしたんですか?」
「優花里さんこそ」
そこにはなぜかボロボロのコンビニの制服をきた優花里さんがいた。……なんでコンビニの制服なんだろ?
「連絡がないので心配したんですよ?」
「すいません。電源を切っていました」
「つか、なんで玄関から入ってこないの!」
「この格好だと父が心配すると思って」
「「「ああ~」」」
「でもちょうどよかったです!是非見てもらいたいものが!」
そういって優花里さんはなんだか機械関係をいじって一本の動画を流しだした。
タイトルは……、「実録!突撃!!サンダース大付属高校」? なんだろう、これ?
「こんな映像があるんですね」
「どこで手に入れたの?」
沙織さんの質問に優花里さんは意味ありげな笑みを返しただけでした。
そして映像が流れ出す。な、なにが映ってるのかな?
『私は今、サンダース大学付属高校に来ています』
あれ? この声ってもしかして……。そう思っていたら優花里さんの顔が映る。
『では、潜入します!』
「これどうしたの?」
「帰る途中自分で軽く編集してきました。テロップもまだ仮なんですけど」
なぜか照れくさそうな優花里さん。私が聞きたかったのはそっちじゃないんだけどな……。
「いや、そうじゃなくて……」
沙織さんも私と同じことを思ったのかツッコんでいる。
『では、無事潜入できましたのでサンダースの制服に着替えたいと……あっ!』
そこで優花里さんは自分が録画していたのを思い出したのか、映像が暗転する。正直この場に八幡くんがいなくてよかったのかな? 別に映ってたわけじゃないんだけど。
『これでどう見てもサンダース校の生徒です』
このサンダースの制服どこで手に入れたんだろう優花里さん? もしかしてほかの高校の制服も持ってたりするのかな?
優花里さんはサンダースの制服に着替え終えると、てくてくと歩き出す。
『はぁーい!』
『『はぁーい!』』
何事もないように普通に挨拶を返す優花里さん。
ど、度胸あるなぁ。私だったら緊張でそれどころじゃなくなっちゃいそう。
『みんなフレンドリーです、ばれてません!』
「つか、最初にコンビニの制服を着てたのはなんで」
「コンビニの定期便に乗り込んで学園艦に潜入したんです」
「なるほど」
それでコンビニの制服を着てたんだ優香里さん。
映像が流れてしばらくすると、優花里さんは格納庫らしき場所に到着した。
『すごいですシャーマンがずらり、あれはM4A1型、あっちはA4無印、ああ! あれはわずか七五両しか作られなかったA6があります!! あ、サンダースの生徒です! 一回戦、頑張ってくださーい!!』
……なんだかすごく楽しそうだな優花里さん。自分が潜入していることは忘れてないんだよね? ちょっと不安になってきている自分がいる。大丈夫かな?
そして場面が切り替わったと思ったらサンダースの人たちが集まっている場面に切り替わりました。
切り替わる途中で出てきたあんこうが可愛かったな。あれ優花里さんが書いたのかな? あとで聞いてみよう。
『全体ブリーフィングが始まるようです』
さすがにここでは優花里さんも小声になっている。
『では一回戦、出場車両を発表する』
ここは重要なところ、録画なのはわかってるけど緊張するな。
『ファイヤフライ一両、シャーマンA176ミリ砲搭載一両、75ミリ砲搭載八両』
『容赦ないようです』
『じゃあ次はフラッグ車を決めるよ! オーケー?』
『『『イェーイ!!』』』
『随分とノリがいいですね、こんなところまでアメリカ式です』
オオォー!!
『フラッグ車が決まったようです』
『なにか質問は?』
『はい! 小隊編成はどうしますか?』
ゆ、優花里さん、いくらなんでもそれはまずいんじゃ……。
『オ~! いい質問ね! 今回は完全な二個小隊は組めないから三両で一小隊の一個中隊で行くわ!』
『フラッグ車のディフェンスは?』
『ナッシング!』
『敵にはⅢ突がいると思うんですけど……』
『大丈夫、一両でも全滅させれるわ!』
オオォー!!
『ん? 見慣れない顔ね……』
『え!?』
『所属と階級は?』
『えっ、あのー、第六機甲師団オッドボール三等軍曹であります!』
『ぷっ!』
『は!?』
『偽物だー!!』
『うあぁー!』
『ちょっと待ちなさい!』
『追えー!!』
優花里さんは一目散に廊下へ向かって走り出す。
『はぁ、はぁ、有力な情報を入手しました。これでレポートを終わり……うわぁっぷ!』
優花里さんは最後カメラに向かってしゃべっていたせいで前にいた人にぶつかった。その衝撃でカメラが飛んで映像が途切れたかと思ったらテロップが流れ出す。
え? これで終わり?
「なんという無茶を……」
「頑張りました!」
「いやいや、ていうか最後ぶつかって大丈夫だったの?
ここにゆかりんがいるからなんとか脱出できたとは思うんだけど……」
「え、えっとー、それは……」
あれ? 優花里さんなんで顔が赤いんだろ?
「その、ぶつかった相手というのが……ですね」
「相手が?」
「比企谷殿だったんです……」
「へ?」
「え?」
「ひ、比企谷!? な、なんで!?」
「それが説明すると長いんですけど……」
prrrrrr!
「ゆかりん、電話なってるよ?」
「あ、すいません。ちょっと電話にでますね……もしもし」
『もしもし、秋山か?』
「どうかしましたか?」
『いや、お前が忘れ物してたから届けに来たんだが、制服、あるか?』
「ちょ、ちょっと待ってくださいね。……あ、わざわざすいません、比企谷殿」
『いや、それはいいんだが、できれば早く下に来てくれないか?……秋山の親父さんがすごい顔でこっちを睨んできてるから助けてほしいんだが』
「ちょ、ちょっと待っててください比企谷殿! 今向かいますから!』
電話が終わると優花里さんは一階へ降りていく。
「どういうことなの?」
「私にもさっぱり……」
「右に同じく……」
「とりあえず八幡さんが来るみたいですし、本人に聞いた方が早いんじゃないでしょうか」
華さんのいう通りかも、とりあえず今は八幡くんに聞かないと。
====
いやしっかし秋山の親父さんも疑り深いな。たしかに俺は目は腐ってるけど、まさかストーカー扱いまでされるとは思わなかった。
秋山のやつが二階から降りてきて説明してくれるまで店の扉さえ通してくれなかったしな。
終いには俺のことを彼氏か!? と秋山に聞いてビンタされていたが、そこはもう自業自得だな。
「す、すいません、うちの父が……」
「まあ、親父さんも悪気があったわけじゃないんだし許してやれよ?」
「はい……。あとで謝ります……」
さすがにビンタしたことは反省しているのかしょんぼりしている。
そして二階に上がり秋山の部屋に入るとそこには……。
「あれ? なんで西住たちがここにいるんだ?」
「なに? いちゃ悪いの?」
いやそんなことは言ってないだろ。なんでそんなに機嫌悪いの?
「西住殿たちは私が今日、戦車道の練習に来てなくて心配してくれたみたいで……」
そういうことか。
「秋山、西住たちに内緒で偵察してたのか」
「す、すいません……」
「いやまあ、無事だったんだしそこまで言わんが、次からは気を付けろよ?」
「比企谷、私たちになんか言うことがあるんじゃないの?」
は? なんかあったけ?
「さっきゆかりんから聞いたんだから! なんでサンダースにいたか説明してよ!」
「ん、ああ、そのことか」
「どういうことなの八幡くん?」
「西住たち、抽選会のあとで俺が小町のことを話したのを覚えてるか?」
「あの体験入学とかなんとかいってたやつ?」
「ああ、簡単な話、それに俺が行ってたんだよ」
「え? でも小町ちゃんに来てたんだから小町ちゃんが行かなくても大丈夫なの?」
西住、いい質問だ。疑問にはきちんと答えてやらんとな。
「実際に小町に来てた体験入学の案内は10件以上、普通に考えれば全部いくなんてまず無理だしな」
「それもそうですね」
「だから小町のやつがこう言ったんだよ、お兄ちゃんをそちらの学校に向かわせますのでお兄ちゃんが気に入れば小町も入学するかもしれません、ってな」
「そんなんでいいの?」
「小町がほかの高校の誘いを断る時にわざわざ俺を理由に断ってるからな、なんの疑問にも思わなかったんだろ」
「え……雑すぎないそれ」
俺もそれは思ったよ? 思ったけど、なんでだろうな? 俺は行くことになってしまったのだ。まあ原因は小町にあるんだが、内容が内容だけに怒れんし。
「それで八幡くんは今日、サンダースにいたんだ」
「ああ、まさか秋山のやつがいるとは思わなかったけどな」
「アハハ……」
「それでさっき優花里さんの動画を見てて最後にぶつかったのが八幡くんだって聞いたんだけど……」
「あれな、あれには俺もさすがにびっくりしたわ。見学してていきなり誰かとぶつかったかと思ったらそれが知り合いとか予想できん」
「それでどうなったの?」
「ぶつかった秋山がな、ビックリしすぎて腰抜かしたんだよ」
「え、それじゃゆかりんどうやってそこから逃げたの?」
「ん? ああ、俺が担いで行った」
「へ?」
「そ、それが比企谷殿にお姫様抱っこをされてしまいまして……」
「お、お姫様抱っこ!? な、なんで!?」
うるさいぞ武部、なにがそんなに気になってるか知らんが落ち着け。
「なんでって言われてもな、それが一番安全に変に触らずに運べたからな」
「……それでさっき優花里さん説明しようとして顔が赤くなってたんだ……」
なんか西住が言ってる気がするが小声で聞こえにくいな。
「まあそんな感じで秋山を出口に連れて行ったわけだ……っておい」
西住たちが端っこに集まってなんかこそこそ話してるんだが、なにやってるんだ?
「ゆ、ゆかりん、お姫様抱っこされてどうだった?」
「え、えっと、なんて言ったらいいんでしょうか? 意外と比企谷殿ががっちりしていてそっちの方ばかり気になってしまって……すいません」
「戦車を動かす為に鍛えてるとおっしゃってましたし、おかしくはないのでは?」
「それもそうですね。抱えられているときは意外と安心できましたよ」
「そ、そうなんだ」
「ですけど、お姫様抱っこですか。一度は憧れますね」
「華もわかる!? 私は彼氏が出来たら絶対やってもらうんだ、お姫様抱っこ!」
「そもそも彼氏ができるんですか?」
「無理だろ……」
「もう二人して私を馬鹿にして、彼氏つくって絶対に見返してやるんだから!」
「それがフラグにならないといいな……」
「麻子!」
おーい、俺を置いてけぼりにしてガールズトークに走らないでくれ。
そしてどうやら話が終わったらしい。秋山が今日の動画が入ってるデータを西住に渡している。
「西住殿、オフラインレベルの仮編集ですが、参考になさってください」
「ありがとう……。秋山さんのおかげでフラッグ車もわかったし、頑張って戦術立ててみる!」
「無事でよかったよ、ゆかりん」
「怪我はないか?」
「ドキドキしました」
「心配していただいて恐縮です。わざわざ家にまで来てもらって……」
「いいえ、おかげで秋山さんのお部屋も見れましたし」
「あの、部屋に来てくれたのはみなさんが初めてです、私ずっと戦車が友達だったんで……」
完全に俺のこと忘れられてる気がするんだが、どうしたらいいん?
「ホントだ、アルバムの中ほとんど戦車の写真」
「へ?」
「なんでパンチパーマ?」
「くせ毛が嫌だったのと、父がしてるのを見てかっこいい! と思って、中学からはパーマ禁止だったんでもとに戻したんですけど」
「いや、友達が出来なかったの戦車の所為じゃなくてこの髪型の所為じゃ……」
「え?」
「なんにせよ、一回戦を突破せねば」
「頑張りましょう!」
「一番頑張んないといけないのは麻子でしょ?」
「なんで?」
「明日から、朝練始まるよ」
「え……」
「は? 俺聞いてないぞ、そんなこと」
「うわっ! ビックリした。そういえば比企谷もいたんだっけ……」
やっぱ忘れてたのね、まあいい俺の存在感がないのは今に始まったことじゃないし、それより。
「どういうことだ?」
「今日の戦車道の練習が終わったあと、会長さんが言ってたんだよ」
なるほど、しかし朝練か、めんどくさいの一言に尽きるな。でもなあ、行かなかったら絶対河嶋さんにあとでなにか言われるし、なにかいい策はないだろうか?
「比企谷……」
「もう朝に迎えには行かんぞ」
どうせ俺が行っても起きんだろうしな、ここは素直に武部にまかせよう。
====
そして次の日。
「それでは本日の練習を終了とする、解散!」
「「「お疲れさまでした!!」」」
サンダースとの試合までずっとこれか。疲れた、早く家に帰ろう。
「お疲れ様」
「疲れた~、甘いもの食べた~い」
「なにか食べて帰る?」
「うん!……あっ、私たち用事があるからみぽりん先帰っていいよ」
「え……、うん」
「比企谷!」
「なんだ?」
「みぽりんを送っていってあげてくれる?」
「そんくらいなら構わんぞ」
「じゃあ、みぽりんのことよろしく!」
なるほどね、武部たちもようやるわ。
「じゃあ、行くか、西住」
「う、うん」
西住はよくわかっていない感じだな。武部たちも別に隠したりしなくてもいいと思うんだが。そこはあれだろうか? 少しでも早く上達して西住を驚かせたいとかそんな感じか?
そして帰り道の途中。
「あっ……」
「どうした西住?」
「私教室に作戦ノート忘れちゃったみたい。八幡くん、先に帰っていいよ」
「それだと俺が送った意味がなくなるから、俺も一緒に行くぞ」
「え、でも……」
「西住を一人にしたら武部に明日何言われるかわからんしな、さっさと行って済ませようぜ」
「……それもそうだね」
俺たちは教室に戻るために来た道をまた戻る。
「あったか西住、作戦ノート」
「うん、大丈夫、やっぱり机の中に入れてたみたい」
「そうか、じゃあ帰ろうぜ」
「あ……」
西住はなにかに気づいたのか歩みを止める。西住が見ているのは武部の机か? そこにはカバンがぶら下がっている。
まあこれは不可抗力だな。たぶん西住も武部たちが残った理由に気づいたろ。
そしてそのままいつもの倉庫の前に行くと戦車の走行する音が聞こえてくる。
「9秒!さっきよりちょっとはやくなったかも!」
「やった!」
「次はもっとはやく動いて見せます!」
「みんな……」
「「「あ……」」」
「まだ練習してたんだ」
「私たち、みぽりんの足を引っ張らないようにしなくちゃと思って……」
「お姉さんたちを見返してやりましょうね!」
そうか、武部たちの中で黒森峰=西住の敵という認識になってるのか。まあ、あんだけボロクソに言われたらそうなるか。やる気につながってるんなら今はそのままにしておこう。俺が誤解を解いてもいいんだがやるメリットがあんまりないしな。
「それより比企谷、なんでいるの?」
「お前が送ってけって言うから西住と一緒にいるんだが?」
「ご、ごめんごめん、そう意味じゃなくて……」
「じゃあ、なんだよ……」
「さっき校内放送があったから」
「校内放送?」
「なんかよくわかんないけど、職員室に呼ばれてたよ比企谷。またなんかしたの?」
「またってなんだ、またって、人を問題児みたいにいうな」
「いや、十分に問題児でしょ比企谷は……」
なんのことかまったくわからんな。それより……。
「いや、まじで俺なんかしたっけか?」
「ホントに心当りないの比企谷?」
「ない!」
「そ、即答……」
「まあ、とりあえず行ってきなよ、身に覚えがあるにしろないにしろ」
武部の言うとおりなんだが、なんだろうか?すこぶる行きたくない。はあ、めんどくさいが行くしかないか。
「じゃあ西住のことは頼んだぞ」