素晴らしき世界にて“防”は酔う   作:阿久間嬉嬉

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雪原の逃走劇

 

 

 

「“オ、ア……!”」

 

 横合いから蹴りを入れられた冬将軍が、耐えられないとたたらを踏んだ。

 

 雷が横から降り注いできた―――直後にとび蹴り(コレ)だ。

 意識の外から命中させられたのなら、寧ろ耐える方が難しい。

 

「よしっ」

 

 僅かばかり生まれる間隙。

 それ逃さず、割り込んできたその酔っ払いはふっ飛ばされきっていなかったダクネスを、荷物の如く抱えてカズマ達の横へと走ってくる。

 

 その後ろを居合切りが通り、正に間一髪のタイミングだった。

 

「ま、まってくれ。私とて女なのだからこんな扱いは甚だ―――」

「てぃっ」

「―――嘆かわしおぶふっ……!

 

 投げだされた影響で、雪へとモロに顔を突っ込んだダクネス。

 ……しかし酔っ払いは目もくれず額を拭っている。

 まだ倒れているめぐみんとほぼ同じ恰好で寝そべっていたカズマ、尻を上に向け大の字に近い恰好で倒れていたアクアは、その人物の登場またもや驚きを隠せない。

 

 

「ふぃ~……うん! 間一髪!」

 

 まさかまさかの、レホイ・レシェイアその人なのだから。

 

「レシェイア!? なんでこんな所に!」

「見ての通りらよ?」

「いや見ての通りって……まさか冬将軍の件か?」

 

 カズマの問いに、レシェイアは笑顔で ん! と頷いて答える。

 恐らく彼女は冬将軍の事を知らずに出た自分を心配してくれ、わざわざ追いかけて来てくれたのだと、カズマの心がちょっと温かくなる。

 冬将軍の厄介さや脅威はこの短時間で充分に分かっているし、助けに行くメリットは『友人を死なせたくない』という心の満足以外、ほぼ皆無に等しい。

 その中で尚この行動に出たのだから、温かくもなるだろう。

 

 けれども……打開策がない事に変わりはない。

 

 先程轟き、横一直線に走った、突発的な雷撃で失った一部も見事なまでに復元してしまっているのだから、相手の攻撃の鋭利さも相俟って徐々に削る作戦など『自殺行為』の一言に尽きる。

 

(どうすりゃいいんだ……!?)

 

 精神まで折れては逃げる事もままならないと、カズマは寒さと別の要因で震えながらも、目の前の冬将軍を確り視界へ捉えていた。

 

 

 

「ッ!」

 

 刹那、冬将軍の一歩によって状況が動く。

 

 思考時間、そして睨み合っていた時間は、恐らく数秒と経ってはいまい。

 その僅かな間なのだから、場が動かない方が寧ろ不自然だった。

 

「来―――」

「“オ゛オオォォッ!”」

 

 辛うじてそう聞こえるだけの、怒声ならぬ怒声を発し、数メートルの距離を一飛びで詰めてくる。

 それは反応すら奪う速度で……現に注意しようとしたカズマの言葉は、全く間に合っていない。

 

「ッ!!!」

 

 閃く白刃を振りかざし、目視などほぼ不可能な剣尖が鋭く横一直線に薙がれ…………

 

「おっとぉ!」

「ぬがっ?」

「うきゃっ!?」

 

 レシェイアにより伏せさせられ、カズマとダクネスが変な声を上げたのは、ほぼ同時。

 そして二人の襟首をつかみ、三度のバックステップで大きく距離を取った。

 何故か追撃も無く、少しばかりよろめいてから、冬将軍は次なる一撃の為に上段の構えをとった。

 

「ハイ、ごめんなさい!」

 

 突進が来るか来ないか……そんなギリギリのタイミングに、突如としてレシェイアが二人を後方へと投げる。

 

「どぁあああぁあ―――どぅへっ!?

「またこのパターン―――なぶふっ

 

 だが、そんな事を気にしている暇などない。

 続く乾竹割は先の横薙ぎと同等以上の速度を誇り、レシェイアを両断せんと迫りくるからだ。

 

 ―――しかし。

 

「おっとと」

「“ッ……!?”」

 

 体を横にしつつ刀へ背を向ける体勢で仰け反り、剣線は見事なまでに外れた。

 更にそのまま左脚でのハイキック、もとい頭部狙いで繰り出したソバットが命中。

 

「せいっ!」

 

 そこから右足で軽く跳び上がって、冬将軍を足場に固定したままの左脚で跳躍。

 僅か3秒にすら満たないやり取りで、更に距離をとって見せる。

 

「やー、ちょっち硬いらねえ、アイツ」

 

 事も無げに言い放つレシェイアだが、内心そうと受け流してはいられないのがカズマの方だ。

 

(……すげー身体能力してるな、マジで)

 

 これまた何故かは知らないが、冬将軍の刀の軌道に対して、一応ながらカズマ達でも反応は出来ている。

 しかしソレに『体が付いて来る』はどうかは、また話が別だ。

 

 何より一発喰らえば終わりな距離から、反応合わせてスムーズに飛びのいたのは、感心するべきかもしれない。

 

「それでろーすんの? 逃げた方が良いと思ってんらけどさ、ヒック……アタヒは」

「酔ってんのは相変わらずなのな。……俺もそのつもりだよ。アイツに殺されかけた身としては、これ以上は居たくない」

「私も賛成よ。こう言うのはしゃくだけど、正直勝ち目が見えないから“今は”退いた方が良いと思うのよね」

「異論はないです。爆裂魔法は打ち止めですし」

 

 カズマの返答は順当なモノ。

 寧ろその意見が出なければ、どれだけ狂っているのかと言うモノだ。

 

 アクアが胸を張りながらに言い放つ。

 律義に “今は” とソコだけ強調するあたり、やっぱり意地でも喰らい付きたい思いはあるのだろう。

 

 何時の間にやらアクアに抱えられて居ためぐみんも、反対はせずに肯定の意を示した。

 

「し、しかしだな! 先も言ったが誇りが故、そして趣が違えども将校が相手が故、騎士ならば尚退けないというか……」

 

 が……ダクネスだけは、言い淀みながらも反対する。

 まあ本心半分、意地半分と言った所だが、このままだと頑固に突っ張りそうだ。

 

 地味にドM成分が混ざっていないあたり、場の空気を少しは読んでいるらしいが、それでもまだ足りない。

 この場では、余りに足りなさすぎた。

 

 ―――しかしまぁ、同時に『多勢に無勢』とはよく言ったモノで。

 

「「「「ジーッ……」」」」

「だ、だからな?」

「「「「ジーーーッ……」」」」

「私にも、聖騎士としての」

「「「「ジィーーーッ……」」」」

「わ、わかった! わかったから声に出してまでそんな眼で懇願するのは止めてくれ! ……と、特にレシェイア。君の瞳が何だか一番情念がこもっていて怖いのだ……!」

 

 言葉+捨てられた子犬の眼のコンボで、見事にダクネスを頷かせて見せた。

 角度を変えつつの四方向から、同じ思いをかなりの強さでさし向けられれば、もう折れざるを得ないだろう。

 冬将軍にたいそうな恨みがあるなら未だしも、彼女の場合はただの意固地なのだから。

 

「あっ!? い、いやこんな事してる場合じゃないだろ! 今にも冬将軍が!」

 

 お馬鹿なやり取りを挟んだせいで薄れ掛ってはいたが、そもそもまだ戦闘―――もとい一方的な攻撃は終わってすらいない。

 寧ろ、まだ始まったばかり、と言った方が正しい。

 

 そしてこんなに隙を作ったのならば、当然冬将軍も仕掛けて来てしまう筈……!

 

「…………って……あり?」

 

 ……筈、なのだが何故だろうか。

 一向に予兆が感じられない。

 

 見れば何やら、少しばかりだが冬将軍の動きが鈍っている。

 それこそ影響が小さめだった為か、今になって他ならぬ本人(?)がソレを自覚しはじめ、すぐには攻められない状況らしかった。

 

 レシェイアのとび蹴りが利いた? それとも先の顔面の一撃で脳しんとうが?

 ……いや、これは余りに希望的憶測が過ぎる。

 とび蹴りではたたらしか踏まずにすぐ反撃してきていたし、顔面の一撃は蹴りと言うより踏み台に近いのでダメージは少ないだろう。

 

 

 そうなると―――この場で考え付き、有り得る原因はただ一つ。

 

「さっきの雷撃が、見た目以上に冬将軍を削ってたみたいね! そうなると腕以外もぶっ飛ばしてたのかしら?」

「まあ、あんだけ視界覆うくらいデカイなら、そりゃあな」

「……私達では闘かおうとも普通にまずそうですがね。アレ以上回復されると厄介です」

 

 めぐみんの言う通り今の状態でも脅威で、季節が冬で辺りが冷気で包まれているとなれば、即座にとはいかずとも時間差で回復され切ってしまう可能性も高い。

 

 実力差問題が顕著である以上、正面切っての戦闘など言語道断。

 これはこの弱体化を勿怪(もっけ)の幸いと、素直に受け入れ遁走した方が“吉”だ。

 

 

 

 

 ―――と、逃げる事で満場一致した、正にその時だった。

 

「……オイ、なんだか地面揺れてないか?」

 

 不意に、カズマが不吉な事を言い出したのは。

 

「……揺れてるわね、小刻みに」

「グ~ラグラするら……ウィッ……」

 

 アクアとレシェイアも同意し、徐々に―――どころか一気に揺れは酷くなる。

 しかし立っていられない具合でもなく、どうちらかと言うと振動音の方が大きいと言った方が良いだろうか。

 

「あの、凄く言いたくないのですが……」

「なら言うな」

「さっきの雷撃とか、私の爆裂魔法とかに鑑みれば……」

「言うなってフラグになる!」

 

 めぐみんの台詞を必死に遮ろうとするカズマ…………だが、時すでに遅し。

 純白な為に分かり辛いが、否定しきれない轟音を立て、物凄い勢いで『何か』が迫り来ている。

 

 最早、言うまでもあるまい。

 

「き――――」

「来たああああぁあああぁぁ!?」

 

 冬季の脅威―――雪崩だった

 

 傾斜が緩い雪原と言う事もあって規模は小さく、此方をゲロリと呑み込むほどではない。

 

 されど冬将軍の出現の所為で気温が下がり魔力が増し、威力自体も増幅して見え、瞬く間に埋もれるだろう事も想像に難くない。

 めぐみんを抱え“させられた”カズマは勿論、押し付けた張本人のアクアも、先まで色々言い張っていたダクネスも、途中参加のレシェイアも皆一目散に逃げ出した。

 

「そりゃそうだ、当たり前だよな! あんな熱量豊富な大規模攻撃二回も撃ったらこうなるよなクソったれ!」

「カカカカカカズマ! 私の運命貴方に掛ってますから!! だからもっと速く!」

「こ、このまま逃げても追いつかれるぞ! 流石の私でもこんな責めは勘弁願いたい!」

「ニャッハハハー、何時の間にやら大騒ぎー」

「ってか速っ! レシェイア速っ!? ちょっとアンタだけ何でそんなに……!」

 

 なんだか余裕な一人こそいるが、他の皆は最悪の事態に巻き込まれてなるかと、必死の形相で足を動かし続ける。

 このまま逃げきれるかは……ほぼ運を天に任せるしかない。

 自力で逃げ切れるなど余りに希望的観測だ。途中で追い付かれる可能性の方が、圧倒的に高い。

 

「む~……」

 

 緊張感に掛ける声を出しながら、その余裕を保ったままの例外たる一人が辺りを見回し、思い付いたとばかりにニヤッと笑って更にスピードを上げた。

 当然、カズマ達は後方へ置いて行かれる訳で……。

 

「ちょ、ずりぃぞレシェイア!」

「一人だけ助かるつもりですかっ!?」

「待ちなさいよ卑怯者ーっ!!」

「ま、まずい! このままだと私が一番に……!」

 

 その突然の置き去り行為に、走る足は止めず、カズマ達は抗議の声を上げた。

 対し……レシェイアは何時もの様な笑みを浮かべたまま後ろを振り向き、叫ぶ。

 

「地理的にこっちには雪崩来ないらよぉ! 早く斜め走り! ほれ斜め走り!!」

 

 言いながらに腕で勢いを殺し続け、ブレーキの影響で一本の線を付けながら緩い斜面を滑走していく。

 それはまるで『此処から先が安全地帯だ』と示すかのように引かれたラインの様。

 

「…………」

 

 雪煙の向こう……僅かながらの“翠”色の影が見えたが―――ソレを気に留められる者などいない。

 他に頼れる物も無く、カズマ達は藁にもすがる思いでそのラインの向こうへ一目散に駆け抜けて行く。

 

 そして轟々と音を立て追い付いて来る雪崩は、果たして―――

 

「う……おぉっ!? お……雪崩が、来ねぇ?」

「木々や岩の配置、多さが影響している様ですね。ギリギリ何とかなっているみたいです」

「よく見抜けたなレシェイア、助かったぞ」

「一旦先に走ってった時は何事かと思ったわよ……」

「ニャハハハハ、めんごめんご♫」

 

 兎に角、助かった事は事実。冬将軍も追って来ないので諦めたと見える。

 これでやっと安息を得られた訳だ。

 念の為に一番勢いの強い部分が通り過ぎるのを待ってから、カズマはお礼を言う為にレシェイアの方を向いた。

 

 

「……ん? なんだこの音」

 

 ……されども、ソレは次に聞こえたもので、一時ばかり止められる。

 

 まるで狙ったかのように遠くから響いた『雷鳴』。

 それは小さく、されど確りと耳に届く。

 アクア達も聞いていた様で、すぐさま正体について考察し始めた。

 

「自然現象でしょうか? それとも、雷撃の主ですかね?」

「ただ鳴ったのか、冬将軍と闘っているのだろうか……」

「闘っているのならその人は、私達を助けてくれたと見るべきでしょうか」

「……ならあんなスレスレに放たなくても良いと思うけどな、俺は」

 

 オマケに肝心の冬将軍にはクリーンヒットしていないので、助けたという考えはキツイだろう。

 そうなると、やはり巻き添えを喰らったと見るのが一番かもしれない。

 

「それに闘うにしたってタイミング遅過ぎだろうが」

「しかも出て来て無いしねあの後。多分偶然でしょう? だから自然現象よ」

「雪山は雷多いって言うしねぇ~」

 

 結局は、先の雷撃と今の雷鳴は別モノ、という形でいったん議論は幕を閉じる。

 

「兎に角……本当に有難うな、レシェイア。こんなとこまで助けに来て貰っちまって」

「ニャハハハ、友達友達♫ 当たり前らよぅ~」

 

 言いながらに笑うレシェイアへ、次はダクネスが声を掛けて来る。

 

「驚いたものだが、あの雷撃はレシェイアではなかったのだな」

「いや、アタヒ魔力無いし」

「そもそも雷撃を使っている所見た事有りませんしね。我が必殺の爆裂魔法と同等の火力など、有名になってしかるべきでしょう。その時は私こそが真のアークウィザードだと知らしめる為に―――」

 

 何やら長々と話し始めためぐみんの話を、皆して苦笑交じりに聞き流しながら、漸く帰路に付き始める。

 

 紅魔族の少女。

 雷撃。

 ―――気になる事はあるものの……現在はそのままにして、カズマは温かいギルド目指して歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その途上で、レシェイアは思い返す。

 

 

(“アレ”が黒髪黒眼の、奇妙な名前と驚異の能力をもった、異邦人みたいな人が残した置土産……か)

 

 脅えどころか感情すら含んでいない“無”の瞳で冬将軍が居た雪原の方角を睨みつけ、レシェイアは冷静に思考している。

 後方を見てカズマ達がその表情を目視したのなら、まず驚いてしまうだろう。

 

(やるべき事は単純だったけど、やり方に問題があったかな)

 

 実は―――レシェイアは端から闘う気など無い。

 逃走案を最初に打ち出した通り、必要がないのならさっさと撒いてしまいたい、と思っていた。

 詰まり元から逃げるつもりだった。

 

 ……なにせ彼女が動いた理由は、冬将軍の脅威そのものではなくその生まれた経緯にあるのだから。

 

 アクセルの街を発つ前に、彼女は冒険者の男性から《黒髪黒眼で、奇妙な発音の名前をもった、凄い才能を持った人間》の話を耳に挟んでいる。

 そして精霊は基本的に決まった実態を持たず、出会った人間のイメージを借りて具現化するのだというのは先の説明通り。

 そして雪原の主・冬将軍が具現化した理由。

 ―――同じ【異邦人】が関わっているのならと、レシェイアは自ら腰を上げたのだ。

 

(アレは、ホントなら居ない筈だしね……変な言い方になるけど)

 

 何より、生みだしてしまった本人は腹積もりなど欠片も無かっただろうし、この件は半ば事故にも近い。

 だが……それでもこの世界にチート持ちが来なければ、“本来” 存在し得なかった筈の『驚異』だという事には、まず間違いないだろう。

 

 更に言うなら、この類は流石のカズマ達にすら到底越えられない理不尽(モノ)であり、顕現した経緯に鑑みるなら冬将軍は半割【異邦産】とも言える。

 多少強引な言い方になるが、故に異質なる存在からの産物との表現もできる。

 

(それなら、出張らないと後悔しそうだしねー……)

 

 では同じく【異邦人】である自分が取るべき行動は何か?

 

 否、悩むまでも無い―――その理不尽に巻き込まれた、友人を助けること。

 元より、そのつもりで駆けてきたのだ。

 

(……それにしても、あの雷撃は……まさか、ね?)

 

 カズマ達を後方から追い。

 顔は伏せども決して眼は閉じず、乾いた空気が雪を交えて通り過ぎる中。

 レシェイアは何も口にせず……ただ遠くを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソが……オイコラゆんゆん! 何処行きやがったぁ!!」

 

 

 カズマ達が去った雪原より、少しだけ離れた森林の中。

 

「……つぅか何時まで迷子になってやがんだあいつ、アホンダラが……」

 

 雪の降りしきる中に、叫びが一つ響き渡る。

 

「……チッ……苛々して仕方ねぇ……この野郎が、こんな時に……」

 

 湧き上がる苛立ちを隠しもしないその言動は。

 

「一々闘う必要なんざどこにもねェ……いや違ぇな、こいつは多分…………。は、どっちにしろクソッタレだ」

 

 しかしどこかに違和感を含む。そして、そのままその怒声の主は遠方を眺め―――

 

「ああクソッ!! ……ゆんゆん!! いい加減答えやがれ!! お前の声小せぇんだよ、聞こえてんなら返事よこせぇっ!!!」

 

 轟々と響く怒声を雪降る天空に向かって放ち続ける。

 

 

 

 その傍らへ焼け焦げ溶けた、両肩以外の上半身が無い大熊の死骸を置いたままに。




前回、転生者をアンチ的な方面で語ったので、今回はちょっと擁護的に。

転生者達はみんなすごい力を持ってますが、じゃあ精神面や過去がどうかと言われれば、そこまで凄いとは言えないでしょう。
……カズマみたいに敵幹部との戦いの際に、ポンポンアイデアが浮かぶぐらいの異質さを、皆がもっている訳がありませんし。

そんな中で、国の為に前線の戦に出続けろとか、より良い兵器を開発し続けろとか、その上で重役だからこその責任を持てとか、今までのんびり暮らしてきた彼等には絶対きついと思うんです。

ミツルギは受け入れてますが、力の大きさと己の未熟さが釣り合っていない事を余り自覚してませんから、それはそれで色んな厄介事を招きそうです。

またもやデストロイヤー製作者関連になりますが、彼だって行った事だけ抜き出せば酷過ぎるの一言に尽きますけども、周りの人達だって彼をよく知らずに、そういう意図なくともドンドン追い詰めてますからどっちもどっちかと……。
特に彼の日記に登場する女の人なんか、パンツ一緒で走り回る理由を少しぐらい思考する事も無く、行き成り脱がそうとする有様。
……彼がヘタレ過ぎて、舐められているだけかもしれませんけどね。

しかもデストロイヤーなんて、他国の侵略以外に使い道がなさそうな者を作らされたんだから、自暴自棄になりかけても仕方ない部分もあります。
……あれ?
そうなると彼って、図らずも意図的な大被害を防いだって事に? ……意外とすごいかも。

でも一番の戦犯は“アクア”ですよね……うん……。
凡百の一般人にアドバイスも基礎知識も教えず、翻訳機能と物凄い力だけを付けて、その後の経過も見ずに放置する。
―――本当に世界救いたいのか疑問になります。マジで。
単なる人間、しかも平和な国のオタク寄りな人間達に、物凄い武器持たせたって世界が救える訳無いでしょうが! って。
偶然救えても、その後の扱いでヤバい方向に進んだら元も子もないって言うか……。
……というかスピンオフを見る限り、その魔王関連でやらかしてますよね?

ヤバい、真の黒幕が見えてきたかも……!



―――では、改めて本編の最後について短く。

最後に登場した、明らかにガラの悪い謎の人物。
ゆんゆんの名前を連呼し、大熊を苦も無く倒している模様。
謎が募る……一体、何者なのか……?

ではまた次回

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