「デュエル!」
私たちは、すでに第一ターンのメインフェイズに入った状態で叫んだ。
沙樹
LP4000
手札4
[][][]
[][][]
[]-[]
[][][]
[][][]
りん
LP4000
手札4
「私の先攻。私は手札から《ブンボーグ003》を通常召喚。効果でデッキからチューナーモンスター《ブンボーグ001》を特殊召喚。私はレベル3《ブンボーグ003》に、レベル1《ブンボーグ001》をチューニング。フラット展開完了。エネルギー充填完了。飛行甲板、発進! シンクロ召喚。いきます、レベル4、シンクロチューナー《リアクターズ・フラット》!」
中3のあの日とも違う、憎悪と失望に人の心を塗りつぶされたような顔で、りんはデュエルを進める。
《ブンボーグ001》が1つの円になり、中を《ブンボーグ003》が潜る。2体が混ざり合って出現したのは、一隻の小型の空母。それは、完全に当時のりんの初動と同じものだった。
「カードをセット。ターンを終了します」
さらに、りんは伏せカードを1枚敷いて最初のターンを終える。
沙樹
LP4000
手札4
[][][]
[][][]
[]-[《リアクターズ・フラット(りん)》]
[][][]
[][][《セットカード》]
りん
LP4000
手札2
「私のターン、ドロー」
言いながら私はデッキからカードを1枚引き抜く。ドローしたカードは《スクラップ・リサイクラー》。元々はマイケルのカードで、彼を地縛神の生贄に取り込んだ事で私の下に渡ったカードであった。
「私は《スクラップ・リサイクラー》を召喚」
すると、
「え?」「スクラップ?」「幻獣機じゃない?」
私が出したモンスターが余程意外だったのか、りん、ミストラン、梓がそれぞれ反応。
「私のデッキは日々進化してるって話よ。《スクラップ・リサイクラー》の効果。このカードの召喚・特殊召喚成功時に、デッキから機械族モンスター1体を墓地に送る事ができる。私はデッキから《幻獣機オライオン》を墓地に。オライオンのモンスター効果。このカードが墓地に送られた事で、私の場に幻獣機トークンを1体生成」
これで、私の場に2体のモンスターが揃い、
「座標確認、私のサーキット。ロックオン!」
私はリンク召喚を宣言する。
「座標確認って、私の口上じゃないですか」
りんがいった。
「え? あ」
そういえば、りんもリンク召喚を行うとき最初に「座標確認」と発言してた気がする。意識した気はなかったのだけど、思ったより彼女の影響を受けていたらしい。
「虫唾が走ります。勝手に人の口上を使わないでください」
「ずっと無自覚だったって話よ。召喚条件はスクラップモンスターを含むモンスター2体。私は《スクラップ・リサイクラー》と幻獣機トークンをリンクマーカーにセット」
2体のモンスターは一旦床に着地すると、カタパルトから射出されるように再発進。自らマーカーに搭載されていく。
「リンク召喚! 起動せよ、リンク2《スクラップ・ワイバーン》!」
出現したのは飛龍タイプのスクラップモンスター。
「《スクラップ・ワイバーン》のモンスター効果! 墓地のスクラップを特殊召喚し、その後私のフィールドからカードを1枚破壊する。そして、予め宣言しておくわ。ワイバーンの第二の効果。私のスクラップが効果破壊された場合、デッキからスクラップを1体特殊召喚し、フィールドのカードを1枚破壊する」
「どういうこと、沙樹ちゃん?」
梓が訊ねてきたので、
「つまり、ワイバーンの効果でリサイクラーを蘇生し即座に破壊。すると、第二の効果も起動し、デッキのスクラップを1体特殊召喚しながら、さらに場のカードを1枚破壊するわ」
結果。
私のフィールドにはデッキから《スクラップ・ゴーレム》が特殊召喚され、
「《リアクターズ・フラット》を破壊」
ワイバーンの口からビーム・ブレスが放たれ、りんの空母を襲う。
「罠カード《リアクターシールド》を発動します。発動後、このカードは守備力300アップの装備カードとしてリアクターに装備。そして、装備モンスターが破壊される場合、代わりのこのカードを墓地に送ります」
しかし、ここでりんは伏せていたカードを発動。いわゆる装備罠を発動し、身代わり効果を使って《リアクターズ・フラット》を護る。
「そして装備されている《リアクターシールド》は墓地に送られた場合にデッキからレベル3~5のリアクターを1体特殊召喚します。私は《トラップ・リアクター・RR》を特殊召喚」
そして、早速リアクターモンスターが1体、りんの場に展開されてしまう。できれば、りんが《リアクターズ・フラット》の効果を温存してるうちに、かつ場のモンスターがそれ1体のうちにワイバーンでわからん殺しに入りたかったのだけど、仕方ない。
「《スクラップ・ゴーレム》のモンスター効果。私は墓地からリサイクラーを蘇生。さらに特殊召喚されたリサイクラーの効果で、デッキから《幻獣機デスヴァルチャー》を墓地に送る」
これで、私の場にはリンク2《スクラップ・ワイバーン》に加えゴーレムとリサイクラーの合計3体のモンスターが並んだ。この時点で、やろうと思えばリンク4さえ出す事もできるものの、ここはあえて。
「私のサーキット。再度ロックオン!」
私は再びリンク召喚を宣言。ただし、
「召喚条件はリンク1以外の融合・S・X・リンクモンスター1体。私はリンク2の《スクラップ・ワイバーン》をリンクマーカーにセット。リンク召喚。起動せよ、リンク1《エラー・チェクター》!」
私は、あえてリンク1の医者の姿をしたサイバースモンスターを呼び出し、
「《エラー・チェクター》のモンスター効果。自分フィールド上のモンスターを全てを指定した属性・種族に変更する。私は自分フィールドのモンスターを風属性・機械族に変更。この効果の発動後、ターン終了時まで私はこのカードのリンク先以外に指定した属性・種族以外のモンスターを召喚・特殊召喚できない。私のサーキット。さらにロックオン!」
と、《エラー・チェクター》の効果を挟んでから、りんへの刺激を避けるためにも、今度は座標確認を避けてリンク召喚の宣言。
「召喚条件は機械族モンスター2体以上。私は機械族となった《エラー・チェクター》・ゴーレム・リサイクラーの計3体をリンクマーカーにセット。大空を駆ける機械の翼竜よ。太古に封印されし力、禁断の技術にて扉を開き、新時代の勝利を照らし出せ。リンク召喚。発進せよ、リンク3《幻獣機アウローラドン》!」
私はリンク3のモンスターを場に展開。
「読んでました」
その瞬間、りんが動く。
「《リアクターズ・フラット》のモンスター効果。デッキから《サモン・リアクター・AI》の効果を場に存在する扱いで適用し、800ダメージを沙樹さんに与えて特殊召喚します」
やっぱり、アウローラドンの召喚にその効果を使ってきたか。
「ダメージは受けるわ。けど、同時に《幻獣機アウローラドン》のモンスター効果。このカードのリンク召喚に成功した場合に発動。私の場に幻獣機トークンを3体展開」
「《サモン・リアクター・AI》の効果。もう1度沙樹さんに800ダメージを与えます」
アウローラドンと、その効果によるトークンで私の場が一気に埋まるも、同時に《リアクターズ・フラット》の甲板から一機のリアクターが発進し、両肩のプロペラからトルネードが発射される。その振動から、私はすぐリアル化されてると気づき、フィールの防壁を張って攻撃を防ぐ。直後、サモン・リアクターは一度旋回し今度は梓にも当たるように二度目のトルネード。これも、私は自ら盾になって防ぐ。
「大丈夫、梓?」
「う、うん」
ちょっと不安そうに梓はうなずく。
「待ってて。すぐ、あいつを優しいりんに戻すから」
私は梓にいってから、再びりんに対峙。
沙樹 LP4000→3200→2400
とはいえ、デュエルのルール上では私はしっかりサモン・リアクターからダメージを受けた扱い。相変わらず、りんのデッキは私のライフをガリガリと削ってくる。
「トークンを2体リリースし《幻獣機アウローラドン》のモンスター効果。デッキから《幻獣機ハリアード》を特殊召喚。さらに残りのトークンをリリースし、墓地の《幻獣機デスヴァルチャー》の効果を発動。自身を特殊召喚し、レベルを1つ上げて3から4に。さらにハリアードは、自身以外がトークンをコストにリリースした時、私の場にトークンを1体生成。これでハリアードとデスヴァルチャーのレベルは4から7に上昇」
さらに私は、ディスクから一度ハリアードとデスヴァルチャーを外し、アウローラドンのリンク先に重ねて置き直す。
「私はレベル7ハリアードとデスヴァルチャーでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」
上空に銀河の渦が出現すると、2体のモンスターは浮上しながら霊魂へと姿を変え、銀河に取り込まれていく。
「竜の名を持つ機械の鳥よ。いまこそ空を支配し、私に勝利を輸送せよ! エクシーズ召喚! 発進せよ、ランク7《幻獣機ドラゴサック》!」
出現したのは、機首から機械でできた竜の首を生やしたランク7のXモンスター。
「そして、フィールドの幻獣機トークンをリリースし、《幻獣機ドラゴサック》のモンスター効果を発動。フィールドのカードを1枚破壊する。私は《リアクターズ・フラット》を破壊」
ドラゴサックの背中に、本来ホログラムのデコイであるはずの幻獣機トークンが搭載され、《リアクターズ・フラット》に向けて射出される。
「でしたら、私はここで《リアクターズ・フラット》のモンスター効果を発動。このカードは相手のメインフェイズ及びバトルフェイズ時に、このカードを含めたモンスターを素材にシンクロ召喚を行います」
りんはいった。
「私は、レベル4《トラップ・リアクター・RR》にレベル4《リアクターズ・フラット》をチューニング」
ドラゴサックに射出されたトークンが《リアクターズ・フラット》に衝突する寸前、モンスターは4つの闇色の光に分離し攻撃を回避。そのまま光はトラップ・リアクターに寄生し闇に染め上げ、内側から引き裂きながら8つに数を増やす。
私は、この光の本質が闇のフィールである事にすぐ気が付く。となると、いまから召喚されるモンスターは。
「ゲート開放完了。ダーク・フィール・エネルギー充填完了。底知れぬ暗闇より、私の憎悪の海を進み浮上せよ! シンクロ召喚。レベル8《ダーク・フラット・トップ》発進!」
私の予想通り、出現した新たな空母からは強烈な闇のフィールが漏れ出ていた。間違いなく、闇のフィール・カードである。守備表示でS召喚され、その守備力は3000。
「来たわね、闇のフィール・カード」
私は、ここで本心からの敵意をモンスターに向ける。ドラッグと闇のフィールを併用してる以上、このモンスターを倒したとしても完全に救えるわけではないが、ガルムとデュエルしたときのパターンを考えるに、洗脳が弱まる可能性は十分にある。
「とりあえず《幻獣機ドラゴサック》のオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き効果を発動。私の場に幻獣機トークンを2体発生」
私は、射出した幻獣機トークンの代わりに、新たに2体同じトークンを補充。すると、
「凄い。何だか別のカードゲームを見てるみたい」
梓が呟いた。
「梓?」
私が訊ねると、
「だって沙樹ちゃん、手札1枚だけでこれだけ沢山の事してるんだよ? どう見ても、ついこの前アインスさんって先輩とデュエルした頃より段違いに強くなってる。こんな時に不謹慎だけど、魅入っちゃうよ」
「え?」
言われて、私は初めて気づいた。
その通りだったのだ。このターン、私はリンク3とランク7のモンスターを展開しておきながら、手札は《スクラップ・リサイクラー》の召喚にしか使ってなかったのだ。しかし、これは私の実力ではない。取り込んだマイケルの能力を使ったからこそ、ここまで頭おかしいプレイができたのだ。きっと。
「でも正直、りんはもっと凄いって話よ。ちょっと見てて」
私はいって、
「バトル。私は《幻獣機アウローラドン》で《サモン・リアクター・AI》に攻撃」
と、攻撃宣言。アウローラドンはその場で飛翔し、サモン・リアクター向けて機銃の雨を降らせるも、
「《サモン・リアクター・AI》のモンスター効果。このカードが800の効果ダメージを与えたターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にできます」
りんが言うと同時に、サモン・リアクターの両肩から再びトルネードが巻きあがり、機銃の雨を全て払いのける。
「ね」
私は、梓にいった。
「りんもりんで、手札消費たった2枚で、私の2回の効果破壊に攻撃まで防ぎきったうえ、相手のターンなのにレベル8のモンスターをシンクロ召喚して1600点もバーンダメージを与えてきた。完全に私の制圧をいなした上、反撃までしてきたのよ」
「あ」
梓はハッとなる。恐らく私の手札消費とこの展開力だけを見て、私の圧倒的有利でデュエルが進んでるように見えたのだろう。しかし実際は、むしろりんのほうが盤面を支配してるのだ。
あの日、私が倒してしまったりんという元同級生は、ここまで強い決闘者だったのである。私は改めて思い知らされていた。
「でもって、相手ターンで色々してきたりんとは対照的に、こちらは相手のターンに備えた罠なんて1枚も握ってないって話」
どちらにせよ、スピードデュエルではメインフェイズ2は存在しない。
「ターン終了」
私はいった。
沙樹
LP2400
手札4
[][][]
[《幻獣機ドラゴサック》][《幻獣機トークン》][《幻獣機トークン》]
[《幻獣機アウローラドン(沙樹)》]-[《ダーク・フラット・トップ(りん)》]
[《サモン・リアクター・AI》][][]
[][][]
りん
LP4000
手札2
「私のターン、ドローします」
りんはカードを1枚引き、
「《ダーク・フラット・トップ》のモンスター効果を発動します。1ターンに1度、墓地のリアクターもしくは《ジャイアント・ボマー・エアレイド》1体を召喚条件を無視して特殊召喚します」
空母モンスターという特色から予感はしていたけど、完全にあの闇のフィール・カードはりん専用の効果を持っていた。
「私は墓地から《トラップ・リアクター・RR》を特殊召喚します。さらに手札から《リアクトライ・サモン》を発動。私の場にマジック・トラップ・サモンの3種のリアクターが1体以上存在するように、いずれか1体を手札・デッキ・墓地から特殊召喚します。私はデッキから《マジック・リアクター・AID》を特殊召喚」
そして、3種のリアクターを揃えるという本来なら相当大変なはずの作業を、今回もりんは接待なしのガチデュエルでいとも簡単にこなしてきた。
「いきます。私は《サモン・リアクター・AI》《マジック・リアクター・AID》《トラップ・リアクター・RR》の3枚を墓地に送り、デッキから《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を特殊召喚します!」
こうして呼び出されるりんのエースモンスター。こいつを出されてしまうと色々と厄介だというのに。
「さらに私は《ブンボーグ004》を召喚」
ここで、新たなブンボーグがりんの場に姿を現し、
「バトルです。《ジャイアント・ボマー・エアレイド》で《幻獣機アウローラドン》を、《ブンボーグ004》で幻獣機トークンをそれぞれ戦闘破壊します」
《ジャイアント・ボマー・エアレイド》からミサイルが発射され、幻獣機の共通効果を持たないアウローラドンは爆破されてしまう。確か、以前のデュエルもジャイアント・ボマーの攻撃でアウローラドンが破壊されていた気がする。
沙樹 LP2400→1500
アウローラドンは攻撃表示だった為、ここで私は手痛い戦闘ダメージを受けてしまい、さらにブンボーグの攻撃によってトークンも1体消滅する。
「私はこれでターン終了です」
沙樹
LP1500
手札4
[][][]
[《幻獣機ドラゴサック》][《幻獣機トークン》][]
[]-[《ダーク・フラット・トップ(りん)》]
[《ブンボーグ004》][《ジャイアント・ボマー・エアレイド》][]
[][][]
りん
LP4000
手札1
こうして、再びターンは私に回ってきた。
「私のターン。ドロー」
言いながら、私はカードを1枚引き抜く。――よし、《
このカードは私の幻獣機と相手フィールドのカードを1枚ずつ破壊する魔法カード。しかも、このカードはトークンがいると破壊されない幻獣機の共通効果と組み合わせれば相手のカードを一方的に破壊する効果と化する。
このカードがあれば、りんの盤面を突破できる。
「まずは《幻獣機ドラゴサック》のモンスター効果。トークンをリリースし、《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を破壊」
再びホログラムのデコイがドラゴサックに搭載され、射出される。今回は途中で妨害されることなくジャイアント・ボマーは胴体に風穴を開けられ、爆破四散。
「あっ」
そんな、って絶望にも似た顔をみせるりん。ジャイアント・ボマーは相手ターンでも動いてくる強力なモンスターだけど、耐性そのものは持ってないのが助かった。
「続けて手札からチューナーモンスター《幻獣機ブルーインパラス》を召喚。このカードを使ってシンクロ召喚する場合、手札の幻獣機を素材に使用できる。私は手札にあるレベル4《幻獣機ブラックファルコン》に、レベル3《幻獣機ブルーインパラス》をチューニング!」
ブルーインパラスがその場で3つの円に姿を変えると、上空からブラックファルコンが降下し、潜っては4の光となり混ざり合う。
「大空より降臨せよ鉄の翼! その黒き暴風にて全てを焼き掃え! シンクロ召喚! 発進せよ、レベル7《ダーク・ダイブ・ボンバー》!」
直後、りんは強く反応し、先ほどまでとは一転、強い怒りを露にし、叫ぶ。
「《ダーク・ダイブ・ボンバー》!? また、ですか? またあなたは、兄さんのカードを勝手に!」
「兄さん?」
ああ、なるほど。私はここで初めて、金髪ヤンキーを殺されてりんが憎悪を覚える理由を知った。
聞いた話だけど、りんには3つか4つ歳の離れた兄がいる。いや、いたらしい。りんは、兄にとても懐いており、昔はとても仲睦まじい兄妹だった。しかし、りんが小5か小6、ちょうど第二次性徴期や思春期に入り始めた頃に、兄がグレたそうだ。
結果、兄は陽光の高等部には入れず仕方なく近所の底辺高に入学するも中退。その後も悪い噂は尽きなかったらしい。もしかしたら、りんが陽光の高等部に入れなかったのも「あの兄にしてこの妹」というレッテルがあったのかもしれない。
りんは、兄をどう思ってたのだろうか。これは推測の範囲でしかないが、もしいまでも兄に懐いてたのだとしたら、兄に更生して欲しいと願ってたのだとしたら。私は、そんなりんの願いを踏みにじった事になる。そりゃあ、神様だろうと仏様だろうと、あのりん様であっても憎しみを抱くのは当然って話だ。
私は。
「ドラゴサックから最後のオーバーレイ・ユニットを取り除き効果を発動。私の場に幻獣機トークンを2体生成。そして、速攻魔法《
私は、つい暴力的な口調になりながら、《ダーク・フラット・トップ》にドラゴサックをフィールを乗せて突っ込ませる。
途中、トークンがドラゴサックに搭載されると、トークンは巨大化してバリア装甲となり、ドラゴサックの機体に傷ひとつ付けることなく敵空母に激突。《ダーク・フラット・トップ》は横転し、まさに轟沈とばかりに煙をあげながら床に当たって砕ける。そして爆音をあげながら破壊された。
直後りんの体から闇のフィールが弾け飛び、
「きゃっ」
と、りんは声をあげた。
やはり、りんから闇のフィール・カードの影響は完全に抜けきってはいないが、それでも本体を破壊することに意味はあるらしい。
「りん?」
「りんちゃん?」
私、そして梓は声をかける。
りんは頭を抱え、
「い、痛! 頭痛い、気持ち悪い、寒気がする」
突然覚えた体の不調に苦しみもがいていた。
「りん、思い出して!」
私は叫ぶ。
「ついさっきまで、あなたは憎悪に囚われてなかったし幻滅だって乗り越えてたのよ。さっき温泉で言ったこと覚えてる? 確かにりんは私をまだ憎んでたと思う。でも歩み寄ろうとしてたじゃない。私がりんの兄を殺した理由、聞こうとしてたじゃない」
「沙樹ちゃんが、りんちゃんのお兄さんを?」
後ろで梓が小声で驚く中、
「ましてや憎悪の矛先を梓に向ける理由がどこにあったのよ!」
「やめて! 頭に響く、耳に響く!」
りんは拒絶を口にし、
「何で私は沙樹さんと仲直りしようとしてたの? 許せるわけない、まだこんなに憎くてたまらないのに」
「りん」「りんちゃん」
「思い出せない。どうやって私は、兄さんを殺して、私を裏切って、人生を潰してくれた人に向き合おうってできたの? 自分のことなのに、正気の沙汰に思えません」
頭を抱え、半ば発狂した様子さえ見せながら、
「だ、《ダーク・フラット・トップ》のモンスター効果。このか、カードが墓地に送られた事で、て……手札からレベル5以下のき、機械族を特殊召喚。わた、私は《ブンボーグ002》を特殊召喚」
と、デュエルを続ける。
しかし、
「え、待って? 何で? どうして私デュエルを続けてるの? 頭痛くて、気持ち悪くて、何も考えられないのに。《ブンボーグ002》のモンスター効果。このカードが特殊召喚された事で、《ブンボーグ・ベース》を手札に」
ここで初めて、りんが自分の意識とは別の所でデュエルをしている事を半分自覚。やはり、りんは闇のフィールに指示されるままに物事を判断させられてたのだ。
そして余談だけど。
りんは先ほど、正気のときの自分が私と「仲直りしようとした」と言った。温泉でのりんの言葉を信用してないわけではなかったが、正直油断を誘われ寝首を掻かれても構わないという悟り込みだった。私は予想外の形でりんの言葉が真実だと確信を得るのだった。
「りんちゃん!」
叫ぶ梓。そのまま駆け寄ろうとするも、私が止めるより先に、りんが掌を突き出して制止する。
「来ないで! いま来たら、本当に友達を殺してしまいそうなんです」
「りんちゃん?」
「分かってるんです。あずちゃんに罪はないって。でも、あずちゃんがいなければ、私こんな目に遭わなかったんです。信頼してたのに、どうして信頼してた人に酷い目にあわされないといけないんですか? あずちゃんのせいにしないと納得しきれないんです」
りん……。
葛藤する中で、段々闇のフィールに歯向かった行動を取り始める彼女。しかし、直後再び彼女の胸の辺りから瘴気があがり、彼女を包み込んでいく。
「これは!? いや、これはイヤァァァアアアアアア!」
りんが悲鳴をあげた。
「これは駄目。これは駄目なんです。いままでのショックもクスリも全部戻ってくるんです!」
ドラッグも!?
「思い出した。さっき私、これに心が擦り切れるまでトラウマ掘り起こされて。た、助けて兄さん」
りんの言葉に、私はハッと《ダーク・ダイブ・ボンバー》に視線を向ける。
このカードなら、りんを闇のフィールから救出できるかもしれない。私はいった。
「りん! 少し強い気付けをブチ込むから、ちょっとだけ我慢して頂戴。トークンをリリースして墓地の《幻獣機デスヴァルチャー》の効果。自身を特殊召喚しレベルを1つ上げる。幻獣機共通の効果でデスヴァルチャーは合計して7になる」
そして、
「《ダーク・ダイブ・ボンバー》のモンスター効果。《幻獣機デスヴァルチャー》をリリースしてレベル×200の効果ダメージを与える。ダメージは1400!」
私が効果の発動を宣言すると、デスヴァルチャーはその姿を7つの爆弾に変え《ダーク・ダイブ・ボンバー》に搭載される。そのままダーク・ダイブはりんの真上に飛び上がった。私はモンスターにフィールを注ぎ込み、
「もし、このモンスターにあいつの思念が少しでも宿ってるなら。加えてりんに少しでも兄の情を残して逝ってたなら。ちょっと力を貸して頂戴、金髪!」
すると。
『チッ、しゃあねえな』
そんな声が、《ダーク・ダイブ・ボンバー》から聞こえた気がした。いや、ただの幻聴じゃない。
「いま」
梓。そして、
「兄さん?」
りん。この場にいるうち2人にも同じ声が耳に届いてたのだ。
「サンキュ」
私はモンスター越しに、金髪ヤンキーに感謝を伝えてから、
「ターゲットロック! 射出準備完了。《ダーク・ダイブ・ボンバー》、爆撃開始!」『焼き尽くせやオラァ!』
私の声に続く形で、ダーク・ダイブはハイテンションな男の声を響かせながら、真下のりんに7つの爆弾をぶちまける。
りん LP4000→2600
りんは盛大な爆発に巻き込まれ、炎に包まれた。同時に酷い熱風が私たちまで届いたので、フィールの防壁で梓ごと身を護る。とはいえ、辺りには引火どころか焼け跡ひとつ見当たらなかった。これが本物の爆発なら間違いなく旅館が大惨事になってる程の火力が出てたにも関わらず。
一方、爆炎が収まり中から姿を現したりんは、今回も衣服が焼け焦げ、再び半裸を晒していた。
「兄さん」
りんは、瞼から涙の粒を落とし、とても寂しそうな顔を見せながら、その場で倒れた。彼女の中に残留していた闇のフィールも、私の見立てでは全部消えてるように映った。
「りん!」
私は彼女の下に駆けようとする。が、そこへ間に割って入るように《ダーク・ダイブ・ボンバー》が降り立った。勿論、私はフィールで指示なんかしていない。まるで金髪ヤンキーが、「まだ危険だ。近づくな」と言ってるようだった。
「無駄よ」
ここでミストランが指を鳴らした。すると、消えたはずの闇のフィールが復活し、三度めの黒い瘴気が再びりんを包み込む。それに伴って肌が死者のように青白いものへと変わっていき、地縛神の眷属モードに姿を変えると、りんはすっと起き上がった。
その瞳からは、意識らしきものを感じない。
「これ、この前の沙樹ちゃんと同じ」
驚く梓に、
「あれの劣化版よ」
私は返す。まさか、りんのこんな姿まで拝まされる羽目になるなんて。
「ミストラン?」
私は睨み、訊ねると。
「一部ドラッグは被害者の見当識を奪ってトランス状態にし、そこを闇のフィールで深層心理まで侵食して支配する。これってさ、エロゲによくある催眠スマホとか洗脳ライトみたいとか思わなかった? どんな相手だろうと催眠術一発で思いのままってやつ」
突然、ミストランはいいだした。
「それがドラッグと闇のフィール併用の真価なわけよ。たとえ医学上クスリが抜けてると判断された体だろうと、魂や体にドラッグの記憶が刻まれてれば、闇のフィールなら心の闇として引き出してトランス状態にできる。さらに暗示や後催眠を深層心理に刻み込めば、さっきみたいにキーワードひとつで簡単に再支配できるわ」
「そんな!」
なら、幾ら私たちがりんを正気に戻しても、いつでも何度でも洗脳できてしまうって話じゃない。
「ま、そんなワケだからこいつを助ける事は不可能よ」
ミストランが絶望にも似た言葉を発した所、不意に彼女のデュエルディスクからド〇ゴンボールGTの『
「っと悪いちょっと電話」
って、フランクなノリで一言断り、ミストランは通話に出る。っていうか、GT世代なんだこの人。
ミストランは司令(37)のクローンなのだけど、仮に外見年齢当時の記憶を継いでると仮定したら、実はリアルタイムでGTが放送されてた時代の人間って可能性が浮上するのだ。
「ん? 何? いまその任務の途中だけど。……は? え、ちょっ、待っ、今更言われても手遅れに決まってるじゃん! ふざけんなジジババア!」
なんか、あちらサイドで良くない事が起きたらしい。ミストランは通話先に怒声をあげた後、
「チッ、了解。その場合解決を優先して手段は選ばないけどいい? ん、じゃあそれ言質って事で。この会話は録音してるから」
そういってミストランは通信を終えると、こちらに向かって、
「事情が変わったわ。いまから、このりんって奴の洗脳支配を解く。協力して」
「は?」
あの、その洗脳しやがったご本人が何を。
「いや、言いたい事は分かるわ。私がアンタだったら間違いなく『何言ってるのコイツ』って思っただろうし。ついさっき、プライドのやつが急に作戦中止を言い渡してきやがったのよ。何でもこいつは手を出したら駄目な奴だったみたいでさ。だから解き方教えるから代わりにデュエルで救出して欲しいのよ」
「さっき、りんを助ける事は不可能とか言わなかった?」
私が皮肉交じりにいうと、
「あれ? ハッタリだけど何か?」
ミストランは当然のようにいった。しかし、言い回しが古い。
しかし、何だろう。こうして接すると、やっぱりミストランは若かりし日の高村司令なんだろうなというのがはっきり分かる。偉そうかつ高圧的にみえてフランクな所とか、こういう時の判断の早さとか、プライド高そうで投げ捨ててる所とか、妙に残念な所とかね。
「でも、闇のフィールはそっちで支配下に置いてるんでしょ? なら、そっちで洗脳解除すればいいじゃない」
私が訊ねると、
「ああ、悪い。一度《ダーク・フラット・トップ》ぶっ潰された時点で不可能になった」
「は?」
「さっきのエロゲネタで例えると、その時点ですでにスマホやライトが破損したも同然なのよ。でも、現存してる暗示は残ったままだから、新たに内容を追加できないだけで、被害者は支配されたままだし、後催眠で再洗脳できる。でもって、今回は後催眠の中に解除ワードを入れてないから、被害者は洗脳されっぱなし。OK?」
「OK」
すっごくOKしたくないけど。
「なら教えて頂戴。どうすればりんを助けれるのか。それと、デスデュエルの解除方法も」
「デスデュエル?……ああ、あれね」
ミストランはいった。
「闇のフィールのほうは、ぶっちゃけ、闇のフィール・カードを駆除する。フィールを全損させる。自力で心の闇を脱却する。それらを可能な限り満たした状態でフィール・カードで後催眠を駆除すれば何とかなるわ。手間を考えると、まず何も考えずデュエルの勝利を優先するのを勧めるわ。闇のフィールが消えれば、連鎖的に心の闇からも脱却できる可能性も高いし。カードの駆除はさっき破壊したからすでに達成済だし、後催眠の駆除は《洗脳解除》を使うなり洗脳系のフィール・カードで後催眠を上書きするなりでたぶん問題ないはずよ」
何気にミストラン、今後も出会うであろう、りん以外の被害者にも対応できる形で教えてるって話だけど、気づいてるのだろうか。
で、
「地縛神のデュエルリングは、こっちは私が何とかするわ」
ミストランはいうも、
「もし、あなたが間に合わなかったときの為、一応私にも教えて頂戴」
と、私はちゃっかり手段の聞き出しにかかる。しかし、
「デュエルに支障がでるやつだから駄目」
そこは残念ながら断られてしまった。
「了解」
仕方ない。私は再びりんに対峙する。
「……」
りんは、全くの無反応だった。何度も心の闇を抜け出されたら困るので人格をオミットでもされたのだろう。
「デュエル続行。そしてバトルフェイズ! 《ダーク・ダイブ・ボンバー》で《ブンボーグ004》に攻撃」
再び上空にあがり、爆弾を落とすダーク・ダイブ。しかし、
「《ブンボーグ004》のモンスター効果。デッキからブンボーグを墓地に送り、ダメージ計算の間、そのレベル×500だけ攻撃力をアップします。私はレベル9《ブンボーグ009》を墓地に送ります」
「な、ちょっ、え?」
私が激しく動揺する間に、
《ブンボーグ004》 攻撃力500→5000
相手モンスターの攻撃力は、さらっと5000に上昇。
(駄目! 負ける)
《ブンボーグ004》は真上から落ちてくる爆弾を、カラーボールペンを模した銃のカラフルな光線で弾く。さらに、弾いた爆弾のひとつが《ダーク・ダイブ・ボンバー》に当たって爆発。
金髪ヤンキーの想いが籠ったモンスターは、いとも簡単に破壊されてしまった。しかし、不思議な事に私のライフは削られない。
「この効果を発動した場合、ターン終了時まで相手は戦闘ダメージを受けません」
りんがいった。なるほど、助かった。
「沙樹ちゃん、大丈夫?」
しかし、大型モンスターを対処された事を重くみたのか、梓が心配して声をかける。正直いうと、このミスは滅茶苦茶痛い。けど、私はなんとか、
「たかがモンスターが1体倒されただけって話よ。大丈夫。私はこれでターン終了」
と、強がってみせた。
沙樹
LP1500
手札2
[][][]
[《幻獣機ドラゴサック》][《幻獣機トークン》][]
[]-[]
[《ブンボーグ004》][《ブンボーグ002》][]
[][][]
りん
LP2600
手札1
「私のターン。ドローします」
りんは、淡々とカードを1枚引き抜き、
「フィールド魔法《ブンボーグ・ベース》を発動します」
と、《ブンボーグ002》の効果でサーチしたカードを使用。辺りの光景が、ランドセルをモチーフにした基地へと切り替わる。
「《ブンボーグ・ベース》の効果でフィールドのブンボーグの攻守は500アップします。ですけど、私はここでスキル《ブンボーグ脱出!》を使用します。この効果で私のフィールドおよびEXデッキに存在するブンボーグを任意の数だけ手札に戻します」
りんは宣言し、ここでわざわざフィールドに展開されていた002と004を両方とも手札に戻してしまう。
「そして《ブンボーグ・ベース》第二の効果を発動します。手札のブンボーグを任意の数だけデッキに戻し、その数だけカードをドローします」
「あ」
そういうことね。これで2体のブンボーグがドローに変換され、りんの手札は3枚になる。
「チューナーモンスター《ブラック・ボンバー》を召喚」
出てきたのは顔のついた黒い爆弾。レベルは3。
「《ブラック・ボンバー》は召喚成功時に機械族・闇属性・レベル4のモンスターを効果を無効にして墓地から蘇生します。私は《トラップ・リアクター・RR》を蘇生」
これで、りんのフィールドにはレベル4とレベル3チューナーが存在。つまり、今度はりんがアレを召喚する番という話だ。
「私は《トラップ・リアクター・RR》に《ブラック・ボンバー》をチューニング。夜間襲撃、準備完了。爆撃機発進準備
やっぱり。
推測通り私のモンスターと入れ替わりに、今度はりんのフィールドに《ダーク・ダイブ・ボンバー》が出現。
「さらに魔法カード《死者蘇生》。私の墓地から《ダーク・フラット・トップ》を守備表示で特殊召喚」
え?
「そして《ダーク・フラット・トップ》のモンスター効果。墓地から《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を召喚条件を無視して蘇生します」
「げっ」「げっ」「うそっ」
私、ミストラン、そして梓。この場の三人が揃って顔を歪める。《ブラック・ボンバー》の時点で《ダーク・ダイブ・ボンバー》こそ私は推測できてたのだけど、そこから更に《ダーク・フラット・トップ》と《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を揃えてくるとは誰も思わなかったのだ。
特に《ジャイアント・ボマー・エアレイド》は通常の手段では召喚できないモンスターだしね。
「不味いわね、これ。《ダーク・ダイブ・ボンバー》の効果でどっちかをダメージに変換したら、鳥乃負けるじゃん」
ミストランがいった。
……。
…………。いや、確かにそうなんだけど。
(いま気づいたけど、ぶっちゃけ、ミストランが私を応援する必要って皆無よね?)
別にりんを救出するのは、私が負けてからミストラン本人がやったっていいわけだし。負けて私が死んだ所で、ミストランの立場的には全く関係ないやつじゃないの? 読めない。ミストランの考えが。司令のクローンだけに、深い意味なくライブ感で味方面してる可能性もあるけど。
「《ダーク・ダイブ・ボンバー》のモンスター効果を発動します」
りんがいった。
「私は《ダーク・フラット・トップ》をリリースし、レベル×200、1600点の効果ダメージを沙樹さんに与えます」
やっぱりこっちを使ったか。
「沙樹ちゃん!」
梓が悲痛な声を発する中、
「爆撃開始」
りんの声と同時に爆弾が投下される。このままだと間違いなく梓も巻き込まれる。私は手札を1枚墓地に送って、
「《幻獣機ピーバー》を墓地に送りダメージの代わりにトークン生成」
モンスターの落した8つの爆弾は途中で光に包まれ、8体で1組の小型のデコイに姿を変える。
「おっ、耐えた」
ミストランがいう。しかし直後、
「《ジャイアント・ボマー・エアレイド》のモンスター効果。相手がモンスターの召喚・特殊召喚・カードのセットのいずれかをした時、1ターンに1度、そのカードを破壊して800ダメージを与えます」
と、りんがいう。梓は悲痛な顔で、
「そんな。また執拗に効果ダメージなんて」
アテナバーン1キルの使い手が言ってはいけない。
「それに、フィールドが埋まってピーバーの効果も使えないのに」
それも梓がいってはいけない。メインモンスターゾーン5つのマスターデュエルで先攻1ターン目に
幻獣機ピーバー
星3/風属性/機械族/攻1500/守1200
(1):このカードを手札から墓地に送って発動する。ターン終了時まで、自分が効果ダメージを受ける場合、代わりに自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも使用できる。
(2):このカードのレベルは自分フィールドの「幻獣機トークン」のレベルの合計分だけ上がる。
(3):自分フィールドにトークンが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。
(遊☆戯☆王THE HANGSオリカ。当時のカード名は《幻獣機コウライデン》)
アテナ
効果モンスター
星7/光属性/天使族/攻2600/守 800
(1):1ターンに1度、「アテナ」以外の自分フィールドの表側表示の天使族モンスター1体を墓地へ送り、「アテナ」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。
(2):このカードが既にモンスターゾーンに存在する状態で、このカード以外の天使族モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された場合に発動する。相手に600ダメージを与える。
(OCG)
「大丈夫よ」
地味に過去の痛い敗北を思い出したけど、私は何とか梓に伝え、
「ピーバーの効果。800ダメージを受ける代わりにトークンを発生」
「でも沙樹ちゃん、フィールドはもう」
「《ジャイアント・ボマー・エアレイド》の効果は、破壊して800ダメージを与える効果。たとえ処理は同時扱いでも、ダメージを受けるタイミングにはすでにトークンが破壊されモンスターゾーンに空きがひとつ空いてるから、ピーバーの効果は有効って話よ」
遊戯王wiki曰く《マテリアルドラゴン》の裁定がこのケースでも有効なら。
正解かはともかく、今回はデュエルディスクが
「カードをセット。そして、《ダーク・ダイブ・ボンバー》と《ジャイアント・ボマー・エアレイド》でトークンをそれぞれ戦闘破壊します」
このターンのバーンはさすがに打ち止めのようで、2体のモンスターがホログラムのデコイをそれぞれ爆撃。
「ターンを終了します」
りんはいった。
(さてと)
私は思った。そろそろ無茶してでも決めないと、次はなさそうだって。
沙樹
LP1500
手札1
[][][]
[《幻獣機ドラゴサック》][][]
[]-[《ダーク・ダイブ・ボンバー(りん)》]
[][][《ジャイアント・ボマー・エアレイド》]
[《セットカード》][][]
[《ブンボーグ・ベース》]
りん
LP2600
手札0
「私のターン」
言いながら、私は指先にフィールを込め、オリジナルの闇のフィールを発生。
「沙樹ちゃん。それ」
梓も、この能力はアインスとのデュエルで見ている。
「もしかして、使うの?」
訊ねる梓に私はうなずいた。
「ただ、この力を使ったら私のフィールは殆ど空に近くなるわ。もし、仮にりんを助けれても、その後ミストランが攻撃してきたら」
私はデッキホルダーを開き、中から《強制脱出装置》を抜いて梓に手渡す。
「これを使って、梓は全力で逃げて」
本当は、ミストランと連戦に陥る可能性がある以上ダークドローは使いたくなかった。しかし、ここでデュエルに負けたら元も子もない。
私の言葉に、梓は思い悩むように一度俯く。しかし、程なくして。
「大丈夫」
梓はカードを受け取りながらも、
「私、実はたったひとつだけ策があるから」
なんて、梓はいった。
それが強がりなのか真実なのか、私には分からないけど。
「ありがとう」
私は梓の頭を撫でる。
「えへへー」
ここで梓は天使の笑み。
「そこ、イチャイチャするな」
会話が聞こえてたか否か分からないけど、ミストランが苛々を口にしだしたので、
「悪い悪い」
私はいって、
「じゃあ、ちょっと勝負に出るわ。スキル発動。暗き力はドローカードをも闇に染める!――ダークドロー!」
カードをドローする。こうして手札に加わったカードを見て私は、
(そうきたか)
と、思った。
「《幻獣機テザーウルフ》を召喚。効果により、トークンを発生」
私は、まず元々手札に握ってたヘリ型の幻獣機を場に展開。
「《ジャイアント・ボマー・エアレイド》の効果を使います」
りんはいった。いや、言うしかなかった。私がこのモンスターを出した時点で、ジャイアント・ボマーがこの効果を通すチャンスはここを逃せば無くなるのだから。
「召喚されたテザーウルフをトークン発生前に破壊して、800ダメージを与えます」
「また、バーンダメージ」
梓が反応する中、私に向かってミサイルが飛んでくる。今回はフィール残量の問題で防ぎきれない。
「梓、伏せて!」
私はいいながら、両手を広げ、負傷を覚悟して梓の盾になる。が、なんと梓はここで自ら私の前へと踏み込んで、
「《ハンマーシュート》!」
いつも私を制裁してきたハンマーを出し、ミサイルに向けて振りかぶり、弾き飛ばしてしまったのだ。
ミサイルは減速しながら弧を描く軌道で天井を舞い、途中で爆発。衝撃が私たちを襲うけど、肉体にリアルダメージを負うほどではなかった。
沙樹 LP1500→700
「あず、さ?」
まさか、梓がこんな行動に出るとは思わず、私は目をぱちくり。
梓は笑顔で、
「たまには、私にも沙樹ちゃん助けさせてよー」
なんて言ってくれる。
私は嬉しさにふふっと笑い、
「ありがと」
と、言いながら、たったいま発生したトークンをフィールドから取り除く。
「幻獣機トークンをリリースし、ドラゴサックのモンスター効果を発動。1ターンに1度、フィールドのカード1枚を破壊する。私は《ダーク・ダイブ・ボンバー》を破壊」
この時、りんが未だ先ほどの効果を使ってないようだったら、私は間違いなく《ジャイアント・ボマー・エアレイド》を対象にしていた。りんも、それを分かって先ほどジャイアント・ボマーの効果を使ったのだ。
再びデコイであるトークンがドラゴサックの背に搭載。射出され、《ダーク・ダイブ・ボンバー》の腹に風穴を開けて破壊する。
そして、ダークドローで引いたカードを私は使用。
「魔法カード発動。《RUM-アストラル・フォース》! このカードは私の場の最もランクの高いモンスターを対象に発動され、同じ種族・属性でランクが2つ高いモンスターにランクアップさせる」
「沙樹ちゃんのフィールドにいるのは、ランク7・機械族・風属性の《幻獣機ドラゴサック》だから」
梓がいうと、ここでりんが、
「ランク9・機械族・風属性、……あ」
ここで、初めてりんが僅かな反応をみせる。どうやら、あのカードは思ったよりもりんの印象に残ってたらしい。あの日のデュエルで、目の前で発生した新たな天然のフィール・カードのことは。
「私はランク7《幻獣機ドラゴサック》でオーバーレイ・ネットワークを再構築」
天井に銀河の渦が出現すると、ドラゴサックの機体が巨大な霊魂となって昇り、取り込まれていく。
「幾多もの幻獣機を搭載せし艦よ。いまここに舞い降り、禁断の力を解放せよ。エクシーズ召喚! 発進せよ、ランク9《
こうして銀河の中から降下してきたのは、一隻の空母。
実をいうと、誕生の瞬間が記憶にないクリアウィングにクリスタルウィング、ダークドローで書き換えたモンスターを除くと、現在唯一最初から自分のカードとして誕生した天然のフィール・カードである。
「全く、運命って面白いわよね」
私はいった。
「りんの目の前で誕生し、その時はりんの人生を崩壊させる原因になったカードが、今度はりんを助けるために動いてくれるんだから」
あの時。
たとえ敗北しても、意識を飛ばされ気絶さえしなければ、りんは私にドラッグを打たれる事もなく、学園の信用を全損することも無かったのだ。しかし、そんな過去の実績を持つエンタープラズニルなら、りんのライフを0にし、そのままりんに刻まれた後催眠さえ除外できてしまうかもしれない。
だけど、とりあえずまずは。
「《幻子力空母エンタープラズニル》の効果。自身のオーバーレイ・ユニットを1つ取り除き効果を発動。相手フィールドのカード1枚を除外する。私が除外するのは《ジャイアント・ボマー・エアレイド》!」
直後、空母から不自然に主砲のビームが放たれ、りんのモンスターが跡形もなく消滅。
「そして、バトルフェイズ! エンタープラズニルで、りんに直接攻撃」
私は攻撃宣言。直後だった。りんの伏せカードが表向きになり、
「兄さんを、兄さんの形見を返してください」
りんは呟くのだった。まるで、またエンタープラズニルに意識を除外される事を恐れるように。いましか私に伝えるチャンスがないと言いたげに。
伏せカードは《深すぎた墓穴》。発動時に自分か相手の墓地からモンスターを指定し、次の自分スタンバイフェイズに墓地から自分のフィールドに蘇生する罠カード。デュエルディスクから確認するに、選択されたのは私の墓地の《ダーク・ダイブ・ボンバー》だった。
私はいった。
「安心して頂戴。今日の夜にでも、ちゃんと返すわ。お互い無事ならね」
「今度は、消えたりしませんか?」
「りん?」
「会う資格がないとかいって、沙樹さんまで、私の前から消えたりしないでくださいね」
りん……。
「どれだけ憎くても、殺意を覚えても、幻滅しても。結局、私の最後のジョーカーは沙樹さんなんです」
「守るわ」
ここでりんは、「二度と裏切るな」ではなく「二度と消えるな」と言った。その理由も。
私は、りんの言葉を強く胸に受け止め、
「エンタープラズニル!」
私はモンスターの主砲をりん向けて発射。フィールの籠った虹色の光が、瞬く間にりんの全てを飲み込んでいく。
りん LP2600→0
りんのライフポイントが0になった。
虹色のビームはまだ続いてる。しかし、りんが立ってた位置から浮かび上がる光の粒子を見て、彼女が消滅しかけてるのがすぐに分かった。
「あれって」
梓が顔を青くして呟く。粒子の様子が、モンスターがリリースされるときの演出に似ていたので察したのだろう。
「ミストラン! 本当に助けてくれるの?」
私は叫ぶ。もはや一刻の猶予もない。床の広がる光の模様も収縮を始めている。
「宇宙を貫く巨乳撲滅の雄叫びよ、遥かなる時をさかのぼり銀河の源よりよみがえれ!!」
ミストランは、自分を基点にフィールの光を渦巻かせながら、なにやら口上を演出していた。
モンスターの砲撃が終わる。
「顕現せよ、そしてバレンタインチョコを胸で挟む破廉恥巨乳は死ね!
しかし、間に合わなかった。意味不明な
一体のギャラクシーアイズが姿を現すのと入れ替わりに、半透明のりんが光の模様と一緒に消滅したのが、はっきり見えたのだ。
「そんな」
「りんちゃん」
梓、そして私が悲痛な声でいう。敵を信じた私が馬鹿だったのだけど、ショックで怒る気にもなれない。
「大丈夫よ。問題ない」
ミストランがいった。まさか最初から消すつもりで?
直後だった。タキオン・ドラゴンの体が光ると同時に、辺り一面がアニメや映画のタイムトラベルを思わせる流動する光の世界に飲み込まれる。そして、悲劇の瞬間が逆再生されるように光の模様が再び広がり、同時に光の粒子が集まって消滅したりんが肉体を取り戻す。
「タキオン・ドラゴンは光速を超え、時空をさかのぼり未来を創り直す。消えろ、デュエルリング!」
直後、りんを残したまま、光の模様だけがはじけ飛び、同時に辺りの光景は元々いた脱衣所に戻る。りんは、デュエル中焼き焦げたはずの浴衣を着た姿で意識を失い倒れていた。
「りんちゃん!」
梓が、りんの下に駆け寄る。
「地縛神の模様は、デュエル直後にフィール・カードの能力で破壊できる」
ミストランがいった。
「だけど、最低でも天然のフィール・カード以上の出力と膨大なフィールを消費しなくちゃいけないわ。地縛神を持ってる鳥乃なら効率がいいけど、それでもアンタの力だと、クリアウィングかシャチの地縛神を使い、ダークドローくらいのフィールをぶちこまないと破壊できないわ」
いまの私のフィール量だと、他にフィールを消費してなくてもダークドローは2回が限度。むしろ少し足りないまである。なるほど。デュエル中ミストランがデスデュエルの解除方法を教えてくれなかったのは、情報漏洩の回避でもなく、本当に「デュエルに支障がでる」からだったのだ。
しかし、そんなミストランもデュエルしてないに関わらず、現在フィールが半分近く減っていた。ミストランは私とは比べ物にならないほどフィールを持ってたはずなので、そんな彼女でさえ地縛神なしでは2回が限度ということになる。しかも、普通のフィール・カードより高いフィールを所有する《No.107 銀河眼の時空竜》を使ってこの結果なのだ。
結果的に私なしでデスデュエルは対処可能であると判明した。しかし、逆にいうと、私以外がデスデュエルの解除に回るのは現実的ではないことがこれで確定してしまったのだ。
まあ、それはともかくとして。
「一応言っておくわ。ありがとう。でも、いいの? そんな事、敵サイドに教えてしまっても」
私が訊ねると、ミストランは。
「できれば、私がバラしたことは他所に漏れないようにしてくれると助かるわ」
言いながら、傍の自販機に小銭を入れ、瓶牛乳を買って飲む。
そういえばプライドの作品って最低限人間の生活を与えられてなかったんじゃ?
「給料。出るようになったんだ」
私がいうと、
「ロリコン軍人から非公式にね。本来の所属からは未だ貰えてないわ」
ああ。
「フェンリルとガルムは元気?」
今度はミストランが訊ねてきた。私はうなずき、
「元気よ。ガルムは、あの極上の女体を一度好きにしてみたいけど、いつもリアルファイトと勘違いされてボコボコにされるわ」
「しまったわ。ガルムをそっちに寄越す前に暗勁教えとけば良かった」
それ教えてたら、いまごろ私お空の上って話よ?
「フェンリルは、木更ちゃんって子に懐いてる。それに昨日、義妹もできたみたい」
「その妹には注意しておいたほうがいいわ」
「満智子のこと、知ってたんだ」
「まあ、ね」
ちょっと歯切れ悪く応えるミストラン。そういえば、元々デュエル兵士も作品もプライドが関わってる時点では同じなんだっけ。となると、組織内では似た立場に配属されてるのかもしれない。
それともうひとつ。
「ミストラン? あなたも、ハングドに来てみる気はない?」
私はいった。この誘いをしたのは、ある意味これで二度目になる。
「メンバー殺した奴によく言えるわね。恨みとかないの?」
「ぶっちゃけ、すっごいある」
私は、はっきり肯定する。
「加えて私も一度殺されかけたし、恐怖も脅威も感じてる。正直、今日ミストランとエンカウントしたとき、『あ、詰んだ』と思ったって話だしね。正直、女性を前にしておいて、命の危機を感じるあまりレズの欲求覚えないの、あなたくらいって話よ?」
「なら」
「けどミストランには助けられもしたし、今回だって最終的には助けられたし、ぶっちゃけ敵対したくない。あなたがあっちで人間扱いされてないのも気に喰わないし」
「……」
ミストランは、数秒ほど無言だった。しかし、
「ごめん。私はプライドを見捨てれないわ。フェンリルとガルムが去った以上、余計にね」
ミストランは断る。それも、苦虫を噛み潰したような。間違いなく私の誘いに乗りたい心もあるのが分かる顔で。
「そう」
「私だってプライドは嫌いよ。人間と見てくれないのも気に喰わない。けど、どれだけ嫌っても結局最後には親は裏切れないものよ」
「親」
その言葉は、私にとってはすっごい不快なワードだった。けど、ミストランは続けて、
「結局さ。殺したいとさえ思う親でも、いざ親が殺されかければ助けようとしてしまうのが子供なのよ。プライドは死んでないし、命の危機に遭ってもないけど、今回でそれを痛感した。アンタにも、分かる日がくると思うわ。きっと」
言ってから、背を向け歩き出すミストラン。しかし、のれんを潜ろうとした辺りで、ふと足を止め、
「あ、忘れてた。一応、鳥乃を脅威として討伐しろって命令も貰ってたんだった」
さらっとやばい発言を口にする。
ミストランは、一回私に振り返って、
「とはいえフィール消費したから時間を改めて、大体本日、つか明日0時頃、人員集めて旅館襲撃しに行くわ。作戦会議とか諸々あるから時刻まで攻撃行動はなしの方向で。確か傍にハイキングに使われる山あったでしょ? 10分遅れくらいに私頂上にいるから」
とか、滅茶苦茶なことを言い残し、今度こそミストランは脱衣所を後にした。
私は、
「なにそれ」
言ってる意味が分からず、つい頭を抱えそうになる。
何故、わざわざ襲撃時間を伝えるのか。自分が何処にいるのか、そして10分遅れと時間までしっかり伝えてくるのか、分からない。しかも、それまで攻撃しないとか、時間まで休めといいたげだ。
でも……。
段々、私は思えてきたのだ。ある意味、これは棚から牡丹餅なのではないかと。
思えば、私の不調はミストランとの一戦から始まったのだ。
私は、ミストランを乗り越えなければならない。ミストランとの因縁を解決しなければ、今回の旅行の目的である「私のメンタルの完全復帰」を成し遂げる事はできないのだって。
「沙樹ちゃん。りんちゃんが」
ここで、梓が私を呼んだ。
確認すると、りんはちょうど意識を取り戻した様子だった。見た所、すでに闇のフィールは残ってない。加えて目を開けたりんは、ミストランに襲われる前の、私たちの知る人畜無害を絵に描いた顔をしていた。
「おはよう、りん。気分はどう?」
私は訊ねる。
「最悪です」
りんは、笑顔でいった。
「頭が痛くて、気分が悪くて吐き気がして、寒気もあって、昔のトラウマがガンガン脳裏に蘇ってます。気が変になりそうです。それと、嫌な夢を見た後みたいに心が寂しくて、妙に気が立って何でもない事に怒ってしまいそうで、ふたりがいなかったら絶対訳も分からず喚いてました。頭も正常に回ってなくて、上手く伝えることもできません」
少なくともありとあらゆる不快がりんを襲ってる。そう言ってるのは凄く分かった。加えて、そんな現状を正確に伝える語弊力が残ってないことも。笑顔でフレンドリーに言ってくれてるけど、本当はいま死ぬ程苦しい中にいるのだろう。
それでも、りんは無事生きてる。
妙子を死なせ、ロコちゃんの手を汚し、神簇の心に深い影を残し、増田も失った、そんな私が、ついに大切なものを助けることができたのだ。これで償えたなんて言う気はないけど。
「酷いですよ沙樹さん。一思いにやってくださいってお願いしたのに」
「そんな約束、私が守ると思った?」
りんを殺してくれなんてね。だから、私は言ってやった。
「私は、りんのジョーカーじゃないって話だから」
って。
今回MISSION30は、アニメでいうCパートに該当する話も後日予定しています。
Part3と表記する程でもないけど、どうしてもMISSION31前に終わらせておきたかった内容が残ってしまったので。
●今回のオリカ
リアクターズ・フラット
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1200/守2000
機械族チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。
このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材として機械族モンスターをS召喚する。
(2):1ターンに1度、自分の手札・デッキ・墓地から「リアクター」モンスター1体を選んで、その効果を適用できる。その後、この効果で相手にダメージを与えた場合、選んだモンスターを特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。
幻獣機デスヴァルチャー
効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1400/守 400
このカード名の(4)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から墓地に送って発動する。手札から「幻獣機」モンスター1体を召喚できる。その後、自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。
(2):このカードのレベルは自分フィールドの「幻獣機トークン」のレベルの合計分だけ上がる。
(3):自分フィールドにトークンが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。
(4):自分フィールドの「幻獣機」モンスターもしくはトークン1体をリリースして発動する。このカードを墓地から特殊召喚する。その後、このカードのレベルを1つ上げる事ができる。
(B-52 ストラトフォートレス。死の鳥の異名を持つ)
エラー・チェクター
リンク・効果モンスター
リンク1/風属性/サイバース族/攻900
【リンクマーカー:下】
リンク1以外の融合・S・X・リンクモンスター1体
(1):1ターンに1度、属性・種族を1つずつ宣言して発動できる。自分フィールドの全てのモンスターはターン終了時まで宣言した属性・種族になる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は宣言した属性・種族以外のモンスターをこのカードのリンク先以外に召喚・特殊召喚できない。
(エラーチェック+ドクター。投稿寸前に発覚したワイバーン・ゴーレム・リサイクラーでアウローラドンを出せなかったエラーを修正)
リアクターシールド
通常罠
(1):発動後このカードは守備力300アップの装備カードとなり、自分フィールドの「リアクター」モンスター1体に装備する。
装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。
(2):装備カード扱いのモンスターに装備されているこのカードが墓地へ送られた場合、
手札・デッキ・墓地からレベル3~5の「リアクター」モンスター1体を特殊召喚できる。
リアクトライ・サモン
速攻魔法
自分フィールドに「リアクター」モンスターが3種類以上または「ジャイアント・ボマー・エアレイド」が存在する場合、
このカードは相手ターンでも手札から発動できる。
(1):自分フィールドに 「トラップ・リアクター・RR」「マジック・リアクター・AID」「サモン・リアクター・AI」がそれぞれ1体以上存在するように、いずれか1体を自分の手札・デッキ・墓地から特殊召喚する。
速攻魔法
(1):自分フィールド上の「幻獣機」モンスターと、相手フィールド上のカード1枚をそれぞれ対象として発動する。
そのカードを破壊する。
幻獣機ピーバー
星3/風属性/機械族/攻1500/守1200
(1):このカードを手札から墓地に送って発動する。ターン終了時まで、自分が効果ダメージを受ける場合、代わりに自分フィールドに「幻獣機トークン」(機械族・風・星3・攻/守0)1体を特殊召喚する。この効果は相手ターンでも使用できる。
(2):このカードのレベルは自分フィールドの「幻獣機トークン」のレベルの合計分だけ上がる。
(3):自分フィールドにトークンが存在する限り、このカードは戦闘・効果では破壊されない。
(零式観測機@ピーター+ビーバ)
ブンボーグ脱出!
スキル
(1):自分のフィールド及びEXデッキに表側表示で存在するカードの中から、自分の「ブンボーグ」モンスターを任意の数まで手札に戻す。