遊☆戯☆王THE HANGS   作:CODE:K

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今回はフィーア外伝の第2話になります。
予定では外伝・本編問わず今回が最後の従来の新マスタールールによるスピードデュエルになります。
VIER3・MISSION31からはマスタールール(2020年4月1日改訂版)によるデュエルを予定しています(スピードデュエル・マスターデュエル問わず)。

なお、今後のスピードデュエル・スキルの扱い・ラッシュデュエルについては検討中です。


VIER2-フィーア外伝:友達

 ボクの名前は藤稔 水姫(ふじみのり みずき)。陽光学園小学部の六年生。

 そして、藤稔唯一のかすが様ライク勢らしいよ。

「マイベストベストフレンド水姫ちゃん、学校の給食ってベリーデリシャスだねー」

 そういってなぜか白一色の給食を食べるフィーちゃんをみて、ボクはいったんだ。

「先生。クーちゃんが学校に練乳を持ち込んでます」

 この日、ボクは初めて知ったんだ。

 世の中には給食のプレートに練乳をたっぷりかけて食べる子がいるんだって。

「やっぱり、転校生は変人だったわ」

 あ、紫水ちゃんが頭を抱えてる。

 フィーちゃんの転入に、ひとり「変人が増えなければいいけど」って警戒してた、クラス委員長で生徒会長の旗枷 紫水(はたかせ しすい)ちゃん。残念ながら彼女の淡い希望は最悪な形で裏切られちゃったんだ。びっくりだよね、ボクもあんなキャラでやってくるとは思わなかったもん。

「……」

 先生は、死んだ目でフィーちゃんを見てから、

「はい。先生は何も見てません。みんなも何も見てません。イイネ?」

「アッハイ」

 って、責任放棄。……って責任放棄!? しかも、みんなも見て見ぬ振りを決めちゃったみたい。

 これは。せめてボクだけは友達としてフィーちゃんに常識を教えないと。ボクは小声で、

「クーちゃん。学校に調味料持ってきたら駄目だよ」

「どーして? でも美味しいよー」

 フィーちゃんはフォークでおかずを刺し、フォンデュばりにしっかり練乳を絡めてから、

「はい」

 って、ボクの口に押し込、

「やめなさい!」

 まれる寸前で、紫水ちゃんが介入。

「水姫は体が弱いんだから、お腹を壊したらどうするの?」

「大丈夫だよ。スターゲイザーパイと比べたら」

「あれを比較対象にしないで」

 紫水ちゃんが疲れ切った顔で溜息一回。その瞬間、

「えい♪」

 その開いた口にフィーちゃん、練乳フォンデュを押し込んじゃった。

「むぐ!?」

 驚く紫水ちゃんにフィーちゃんは、

「どう? 美味しいでしょ」

 笑顔でいうも、紫水ちゃんは顔を青くして、

「~~~~~~」

 声なき声を。あ、やっぱり不味いんだ。一方フィーちゃんはきょとんとして、

「マイベストベストベストフレンド水姫ちゃん、紫水ちゃんどうしちゃったの?」

 なんて訊ねる始末。しかもベストの数が1個増えてない?

「ねえ。マイベストベストベストベストフレンド水姫ちゃん?」

 やっぱり増えてるーっ!

 直後、

「クーワートーロー!」

 紫水ちゃんの怒声がクラス中に響き渡ったんだ。

 

 

 ボクたちの学校では、給食の時間のあとに掃除の時間があるんだ。

 残念だけどフィーちゃんとは担当の区域が別になっちゃったけど、この日廊下を掃き掃除してた所、同じ担当区域の紫水ちゃんが、

「ねえ水姫。あの子、本当に何なの?」

「ボクも分からない」

 今日だって、甘い物好きがぶっ飛んだレベルなのは知ってたけど、そんなボクでも驚いたレベルだったもん。

 あ、そうそう。フィーちゃんが持ち込んだ練乳は、あの後紫水ちゃんが没収して先生の下に預けられたよ。うん、さすがにそうなるよね?

「分からないって、水姫だけが頼りなのよ? あの子の手綱を握れるの」

「ボクには紫水ちゃんみたいに怒れないよ」

 あんな怒声で、各家庭のお母さんみたいなガミガミ声とか特に。でも、

「そうじゃなくて」

 って、紫水ちゃんはいったんだ。

「あの子の本性を知ってるのが水姫だけなのよ」

「本性って」

 まるで――。ボクは言いかけた口を閉じるけど、

「あの子、意識してぶっ飛んでひょうきんな子を演じてるんでしょ」

 紫水ちゃんの言葉にゲッてなる。これはやばい!

「素だよ、あの子のは」

「顔に出てるわよ」

「えっ、嘘!?」

 ボクが驚くと、

「嘘よ」

 紫水ちゃんはいったんだ。

「えっ?」

「でも、誘導尋問には成功したわ。今度は本当に顔に出たわよ」

 あ、あちゃあ。

「あの時のクワトロが本当の彼女なんでしょ? 転校初日の、水姫が倒れた日の」

「うん」

 どうしようもないので、ボクはうなずく。

 紫水ちゃんのいう通り、フィーちゃんの転校初日。ボクはフィール込みでデュエルをして(VIER1参照)、一時的なフィール全損が原因で久々に倒れたんだ。

 その時、フィーちゃんは一緒に病院までついて来てくれたんだけど、そんなフィーちゃんと連絡を取る為、紫水ちゃんがボクのデュエルディスクに電話をかけたらしいんだけど、フィーちゃん曰く「ショックで気が動転してたせいで、素の態度で電話に出た」らしいんだ。

 その時は何とかボクも協力して、みんなを相手になんとか誤魔化したんだけど、やっぱり紫水ちゃんには違和感を持たれちゃってたみたい。

「その転校初日にも言ったけど、私どっかで見たことがある気がするのよ」

 紫水ちゃんはいって、

「もう一度聞くわよ。水姫、あの子は何者?」

「そんな」

 ボクは一回口ごもってから、

「フィーちゃんは普通の女の子だよ」

「フィーちゃん?」

「あ」

 しまった。

「そういえば、前にも水姫、あの子をフィーとか呼んでたわよね?」

「うう……」

 ボクは、もう何も言わないようにする。これ以上口を動かせば、紫水ちゃんの誘導に酷いほど引っかかっちゃうもん。

「もしかして」

 すると紫水ちゃんはいったんだ。

「あの子の本名、フィーアだったりする?」

「!?」

 なんでその名前を。ボクが口を開かずとも驚いちゃった所、

「えっ、嘘、本当なの?」

 って今度は紫水ちゃんまで驚いて、むしろ驚きすぎてかけてた眼鏡が半分ずれ落ちながら、

「まさかフルネーム、フィーア・ヴィルベルヴィントとか言わないでしょうね」

「……」

 ボクは無言のまま、目を激しく泳がせちゃった。すると、

「半分冗談。いえ、先に最悪のケースを潰したつもりだったのに」

 紫水ちゃんは、すっごく顔を青くしちゃったんだ。

「なんで、どうしてこんな所に処分人(スローター)がいるのよ。水姫、あなた、どこであれと知り合ったの?」

「どこって」

 フィール・カードのこと、言っちゃってもいいのかな? でも、フィーちゃんに止められ(MISSION18参照)てるし。

 紫水ちゃんは、私の前に立つと、ボクの手をとって真剣な眼差しでいった。

「水姫! 教えて、もしかしたらあなたの命狙われてるかもしれないのよ?」

「それだけはないよ」

 ボクは、ここだけは真剣な目を返し、言い返す。

「むしろフィーちゃんには、二度も命を救って貰ってるんだ。ううん、転校初日も考えたら三度だよ」

「水姫は、あの子がどれだけ危険か知らないから」

「知ってるよ」

 ボクは、自分の恩人で親友をそこまで言われたのが悔しくて、つい言っちゃったんだ。

「ボクもフィーちゃんがお仕事する現場を見ちゃって、火達磨になったことあるから」

「えっ」

 ボクが、何かの事件に巻き込まれて火傷で倒れた過去があるのは紫水ちゃんも知ってるはず。その時の裏側を知ってさらに驚く彼女にボクは続けて、

「でも、一度目助けて貰ったときにくれたフィール・カードのおかげで傷跡残さず助かったし、そのカードのおかげで、いまボク健康なんだ。それに、あの時のことはもうとっくに謝って貰ってるよ」

「っ」

 紫水ちゃんから、葛藤が顔に漏れ吐息に漏れ、そっとボクから離れる。そして、ボクに背を向け、

「水姫。今日の放課後、クワトロをフィーアとして屋上に呼んでくれる? 私はそれまでに先生から利用許可を取ってくるから」

 って言い残してから、凄く近寄りがたい雰囲気を残して紫水ちゃんは掃除を再開する。

 ボクは、

(やっちゃったー)

 と、フィーちゃんバレした事に一回後悔してから、

(あ、本当にやっちゃった!?)

 ボクがフィール・カードを持ってる事もばらしちゃった事に気づいて、二つ分あわわと顔を青くしたんだ。

 

 

 掃除の後のお昼休み。

「ってことで、ごめんクーちゃん」

 ボクは人気のない校舎裏で、フィーちゃんに両手をあわせて謝った。

 あれから掃除が終わり、ボクはすぐフィーちゃんを探して校舎中を走りまわった。そして、いまにもクラスの男女混合でドッジボールをしに校庭に出かけたメンバーの中にフィーちゃんを見つけ、用事があることを伝え、彼女を連れだしていまに至る。

「いずれ起こる事です。謝らないでください、水姫」

 フィーちゃんは、クーちゃんではなく本来の顔でボクにいった。

「それより、放課後に屋上。旗枷さんはそう言ったのですね」

 フィーちゃんは、紫水ちゃんに対してクーちゃん時には紫水ちゃん、本来の顔では旗枷さんと呼び方を変えている。

「うん」

 ボクはうなずき、

「どうしよう、フィーちゃん。フィール・カードのこともばれちゃったし」

 すると、

「大丈夫です。彼女は悪人ではありません。少なくとも今後、水姫に悪意をもって接することはないと思います」

「それは、そうだと思うけど」

「むしろクラスの中で、一番安心して水姫を任せられる相手です」

 フィーちゃんは断言した。確かにボクの中でもクラスで2番目に親しい(フィーちゃんの転校前は1番)人なのは間違いないけど、まさかフィーちゃんが彼女をそこまで信頼してたなんて知らなくて、

「え?」

 ってボクは驚く。

「とりあえず、放課後ひとつ用事を済ませたらすぐ向かうと旗枷さんに伝えてください」

「うん、わかったよ」

「それと」

 フィーちゃんは続けて、

「今日、水姫は放課後まで旗枷さんの傍についてください」

「え? どうして?」

「そのほうが旗枷さんも安心すると思うからです。同時に、水姫や学校生活を巡って彼女と敵対する気はないという意思表示も兼ねました」

 そういって、最後にフィーちゃんはいったのだった。

「今日ここで話した内容は全て伝えても構いません」

 

 それから数分後。

「で、その用事というものは何も聞いてないの?」

 紫水ちゃんに追及され、ボクは、

「あ。えっと、ごめん」

 って、謝った。

 あれからすぐ、フィーちゃんはドッジボールに混ざりに校庭に戻ってしまったので、言いつけ通り今度は紫水ちゃんを探しに再び校舎内を走り回った。そして、ちょうど職員室から一礼して出ていく紫水ちゃんを見つけ、フィーちゃんからの返事を伝えようとした所、紫水ちゃんの要望で人目を避けるために校舎裏にUターン。

 改めて紫水ちゃんに伝えた所、真っ先に聞き忘れてしまった所を指摘されてしまったんだ。

「何かあるわね」

 紫水ちゃんは、腕を組んでいった。

「え?」

「その用事というもので、何か仕掛けてくるって言ったの。もし水姫が聞いてたら、真実を話すとは思わないけど、それでも水姫の顔色や傾向で何か判断できると思ったのだけど」

 ちなみに屋上の使用許可はちゃんと取れたみたい。まさに、さっき職員室にいたのがその要件で、紫水ちゃんは掃除が終わってすぐ行動に移ってくれてたんだ。

 でも、

「本当に、フィーちゃんをまるで信じてないんだね」

 ボクにはそれが辛かった。どうしても、ボクやフィーちゃんの気持ちが伝わってくれないから。

 ボクが紫水ちゃんを裏切るとは端から思ってない様子なのは、信頼を感じて嬉しいんだけどね。

「あのね」

 紫水ちゃんは、困った顔でいった。

「水姫も一度被害に遭ったなら分かるでしょ。この辺りで最も危険な()殺し屋のひとりなのよ。あれは」

「元なのも知ってるんだ」

「ま、まあ」

 まるで「あ、いけない」って言いたげな顔を見せる紫水ちゃん。もしかして、

(紫水ちゃんも、そっち側?)

 ボクはフィーちゃんたちの世界をまるで知らないから、よくは分からないし知りすぎないようにはしてるけど。

 でも、もしそうなら。そこまでフィーちゃんを知ってるから。紫水ちゃんだって、もうフィーちゃんがそんな悪い子じゃないってのも知ってるはずなんだ。

「だったら分かるでしょ!」

 ボクは、ちょっとだけ強い口調でいった。だって、いつまでも親友を信じてくれなくて仏の顔でいれるほど器大きくないもん。

「間違いなくボクは命を狙われてないし、紫水ちゃんと喧嘩したくないっていうのも本当だって。じゃなかったら今ごろボクたち纏めて火の中だよ」

 すると、

「私だって、そう思いたいわよ」

 紫水ちゃんはいったんだ。

「でも、私まで信じたせいで水姫に何かあったら後悔してもしきれないわ」

「あ」

 ボクはもう怒れなかった。

 だって、ボクのために石橋を叩いて渡るように警戒してるんだって気づいちゃったから。

 

 

 放課後。

「やっほー。紫水ちゃん、マイベストベストベストベストベストフレンド水姫ちゃん。待ったー?」

 一足先にふたり屋上で待って数分。思ったより早くフィーちゃんは姿を現した。クーちゃんモードだった。そして、またベストが1回増えてたんだ。

「用事は済んだの、フィーちゃん」

 訊ねると、フィーちゃんは懐から練乳のチューブを出して、

「うん、ほら」

 って。まるでゼリーか何かのように直飲み。そういえば、フィーちゃんの練乳、先生が預かってたんだっけ。ってことはもしかして。

「用事って、まさか」

 何ともいえない顔で紫水ちゃんが訊ねると、フィーちゃんはピースサインして、

「うん。ちゃんと返して貰えたよ、ぶい」

 って、満面の笑みを見せるんだ。もちろん、ボクたちは反対にこれだけで疲れてぐったりしそうだよ。

 紫水ちゃんは、一転して覇気がない声で、

「本題に入るわ」

「どしたのー? 元気ないぞー」

「誰のせいよ!」

 元気を絞り出して紫水ちゃんが怒鳴る。でも、おかげである程度気力を取り戻したみたいで、

「フィーア・ヴィルベルヴィント。あなたはどうして、この学校に転校してきたの。ターゲットは誰?」

「どうしてって、ジャパンでは学校に行くのは義務教育じゃないのー?」

 本名で呼ばれても動揺しないで、どこまでもひょうきんにクーちゃんモードを続けるフィーちゃん。

「答えなさい、処分人」

「だから答えてるってばー。ジャパンのルールだから学校に来たんだってばー」

「ならターゲットは」

「いないよー。お仕事がないから学校来てるんだもん」

 間違いなく会話が成立してないよね、これ?

「分かったわ」

 紫水ちゃんは対話を諦めると、懐から何やら小さなケースを取り出したんだ。そして、中から縦長の小さな紙を1枚出すと、ダーツのようにフィーちゃんに投げる。

 もしかして、これ名刺?

「なに?」

 フィーちゃんは投げられた紙をキャッチして書かれてる文字を確認。するとすぐ、

「あーなるほど。これなら警戒して当然だよー」

 って、フィーちゃんはいったんだ。

 一体何が書かれてたんだろってボクが思ってると、紫水ちゃんがデュエルディスクを構え、いったんだ。

「改めて自己紹介するわね。私はNLT所属、旗枷 紫水(はたかせ しすい)です」

「NLT?」

 ボクが小声で訊ねると、

「警察機関と密接に連携している名小屋近辺の治安維持組織よ」

「け、警察!?」

 ボクは心臓が止まりそうなくらい驚いちゃった。警察と繋がってるって聞くと、それだけでとっても偉い人に聞こえるよね?

 紫水ちゃんは続けて、

「クワトロ・ベル。いいえ、フィーア。いまから、あなたにデュエルで取り調べを行います」

「えー? 嫌だ」

 まさかの拒否!?

「拒否の場合、校内で処分人として活動していたと見なします」

「だからー。それはさっき否定したよねー? それに、デュエルで取り調べする必要ないよね? 普通でいいよねー?」

「言い直すわ。デュエルであなたのフィールを全損してから、私の圧倒的優位な状況で取り調べを行います」

 すると、

「じゃあ。勝ったら逆に私が交渉するけどいーい?」

 って、フィーちゃん。

「分かりました」

 紫水ちゃんはうなずいた。

 直後、フィーちゃんの髪留めに隠した指輪が光ると、上空にデュエルディスクが出現。

 フィーちゃんはそれを装着すると、

「デュエル!」「デュエル!」

 ふたりは、ほぼ同時に叫んだんだ。

 

 

クワトロ

LP4000

手札4

[][][]

[][][]

[]-[]

[][][]

[][][]

紫水

LP4000

手札4

 

 

 まさか、こんな形でふたりのデュエルを見る羽目になるなんて。

 ボクとしては、どっちも恩人で親友だから、ちょっと複雑な気分。

「先攻は貰ったよ。私のターン」

 先攻はフィーちゃん。クーちゃんモードのままオーバー気味に最初の手札4枚を引くと、

「手札の《DDスワラル・スライム》の効果。このカードは手札のDDと融合カードなしで融合できるよ。私は《DDスワラル・スライム》と《DDウィッチ》を融合!」

 あれ? いつもの《地獄門の契約書》が来ない。あのカードを初手から引いてると、手札アドバンテージが安定するんだけど。

 フィーちゃんでも最初に手札にあれを引いてないときがあるんだ。

「未来を操る魔女よ。神秘の渦とひとつになって、新たな王の触媒になっちゃえ。融合召喚! 目覚めよレベル6《DDD烈火王テムジン》!」 

 今回召喚されたのはダルクじゃなくてテムジン。こっちは打点はそこまでじゃないんだけど、展開力が跳ね上がるんだね。

「ちゃんと、こっちのデッキできたのね」

 DDモンスターをみて、紫水ちゃんがいった。そういえば、フィーちゃんは基本校内でデュエルするときは古代の機械デッキなんだっけ。あっちもあっちで《歯車街》から《古代の機械熱核竜》がぽんと出てきて強いんだけどね。

 フィーちゃんはえへんと笑って、

「だってアンティークで行ったら絶対怒るでしょ? その辺はちゃんと分かってるよー。ぶいっ」

 と、ピースサイン。

「っとと、まだ私のトゥワァ~ン(ターン)だったね」

「いちいちふざけないで」

「そうはいうけど、ふざけるのって結構大変なんだぞー」

「ならしないで」

「上からの指示だから無理ー。ステージ解放。Shall We Dance? 召喚条件はDDモンスター1体。私は《DDD烈火王テムジン》をリンクマーカーにセット」

 なんか、突然変なBGMが(アインスのデュエル参照)流れだした!?

 さらにフィーちゃんは、床下に出現したリンクマーカーの上で踊りだし、そのうち真後ろのリンクマーカーにテムジンのカードをダーツみたいに投げて搭載。

「リィィンクSHO-KAN! 目覚めよ《DD魔導賢者ゲイツ》!」

 すっごいノリノリで、いつものゲイツをフィーちゃんは召喚。

「なにあれ」

 紫水ちゃんが呆れる中。

「続けて、手札から《DDナイト・ハウリング》を召喚」

「うわっ」

 今度はボクが反応。この前のデュエル(VIER1参照)で、ナイト・ハウリングには結構嫌な思いをしてるんだよね。

「このカードの召喚成功時、墓地のDDモンスター1体を特殊召喚。蘇れ《DDウィッチ》!」

 さらに、墓地から悪魔の魔女が出現すると、

「いっくよー。私はレベル4《DDウィッチ》にレベル3《DDナイト・ハウリング》をチューニング。次元の扉よ、疾風の速さを触媒に新たな王を生み出しちゃえ。シンクロ召喚! 目覚めよレベル7《DDD疾風王アレクサンダー》!」

「げっ」

 再びボクが反応。テムジンにアレクサンダー。蘇生効果持ちのDDDがダブルできちゃった。といっても、いまテムジンは墓地だけど。

「《DD魔導賢者ゲイツ》をリリースして効果発動。《DDD烈火王テムジン》を特殊召喚」

 だよね。

「さらにアレクサンダーの効果。フィールドにDDが召喚・特殊召喚された場合に、墓地からレベル4以下のDDを特殊召喚。私はこれで丁度レベル4の《DDウィッチ》を蘇生するよー」

 再び墓地から舞い戻る悪魔の魔女。

「《DDウィッチ》モンスター効果。このカードの特殊召喚に成功した場合、手札のDDを1枚墓地に送って、デッキからカードを1枚ドロー。私は《DDリリス》を墓地に送ってカードをドローするよー。さらにウィッチのもうひとつの効果。私の場からウィッチ以外のDDをリリースして、墓地からレベル4以下のDDを特殊召喚。私はアレクサンダーを墓地に送って《DDリリス》を特殊召喚。リリスの効果でナイト・ハウリングを回収」

「え? どうしてアレクサンダーをリリースしたの?」

 ボクが疑問を口にすると、紫水ちゃんがゾッとした顔で。

「《DDウィッチ》と《DDリリス》のレベルは共に4。あとは分かるわよね?」

「え? あ!?」

 嘘、もしかして。

「フィーアの奴。先攻で融合・シンクロ・エクシーズを1回ずつ顔出しさせる気よ。場に揃えるまではいかないようだけど」

 紫水ちゃんがいうと、フィーちゃんは。

「ノンノン」

 って、わざわざ指を振って、いったんだ。

「先にいうとねー。いまフィールドにいる《DDD烈火王テムジン》は、場にDDが特殊召喚された場合に、さらに墓地のDDを特殊召喚するんだよ」

「え」

 一瞬、紫水ちゃんが硬直する中、

「いっくよー。私はレベル4の《DDウィッチ》と《DDリリス》でオーバーレイ! 2体の悪魔族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築」

 フィーちゃんの足元に銀河の渦が出現し、2体のモンスターが霊魂となって取り込まれ、

「次元の渦よ、押し寄せる波を触媒に、この世を統べる王を生み出しちゃえ。エクシーズ召喚! ランク4《DDD怒濤王シーザー》!」

 ボクも初めて見る、フィーちゃんのXモンスターが姿を現して、

「そして、さっき言ったテムジンの効果。墓地のアレクサンダーを特殊召喚。これで私は、融合・シンクロ・エクシーズを全部場に揃えたよ。イエーイ、イッツ、ア、エンターなんとか!」

 って、フィーちゃんはクーちゃんモードでハイテンションにいうけど、

「嘘でしょ。ただ使うだけじゃなくて、全部フィールドに揃えてくるなんて」

「凄い」

 しかも、モンスターゾーンが2つ少ないスピードデュエルのルールなのに。

 紫水ちゃんとボクは、フィーちゃんの初手に愕然としていた。

「さらに魔法カード《DD連結システム》を発動。このカードは私の場に融合・シンクロ・エクシーズのDDDモンスターが全て存在する場合に、デッキからカードを2枚ドローできるよ」

 本当にさらに、フィーちゃんはこの盤面を使って手札を増やし、

「カードを2枚セットしてターン終了」

 やっと、その初手を終えた。

 

クワトロ

LP4000

手札1

[《セットカード》][《セットカード》][]

[《DDD疾風王アレクサンダー》][《DDD烈火王テムジン》][]

[《DDD怒濤王シーザー(クワトロ)》]-[]

[][][]

[][][]

紫水

LP4000

手札4

 

「私のターンね。ドロー」

 カードを引く紫水ちゃんに、ボクは、

「大丈夫なの?」

 って聞いちゃった。どちらかに負けて欲しいって思ったわけじゃないけど、紫水ちゃんが何もできず一方的に終わるのもやっぱり辛いから。

「やるしかないわよ」

 紫水ちゃんはいった。

「幸い、アレクサンダーとテムジンの効果は一度見てるわ。他に効果がなければ警戒は2枚の伏せカードとシーザーに絞れるから、希望的観測込みならまだ何とかなる。幸い、フィーアの手札はすでに《DDナイト・ハウリング》1枚しか握ってない。ここを突破さえすれば十分勝利可能よ」

 確かに。ボクの知ってる限りアレクサンダーとテムジンにこれ以上の効果はなかったはず。少なくとも相手を妨害する効果があったら、ボクとのデュエルでも使ってたはずなんだから。

「私は魔法カード《ジェムナイト・フュージョン》を発動」

 まず紫水ちゃんは、彼女が使うテーマ専用の融合カードを使用。

「私は手札から《ジェムナイト・ラピス》と《ジェムナイト・ラズリー》を融合するわ。神秘の力秘めし碧き石よ。いまこそ、その瑠璃色の輝きを解放せよ。融合召喚!  レベル5《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》!」

 出現したのは、民族衣装を着た少女のようなジェムナイトモンスター。

「墓地に送られたラズリーの効果。墓地の通常モンスターを手札に戻す。私はこれでラピスを手札に加えるわ」

 さらに紫水ちゃんは融合で一気に消費した手札を少しだけ回収し、

「ラピスラズリのモンスター効果。1ターンに1度、デッキ・エクストラデッキからジェムナイトを1体墓地に送り、フィールドの特殊召喚されたモンスターの×500ダメージを相手に与える。いま、フィールドに存在する特殊召喚されたモンスターは全部で4体」

「ええっ? もしかして両方のフィールドからカウント?」

 驚くフィーちゃんに、

「そうよ。つまり私は《ジェムナイトレディ・オパル》を墓地に送り、2000ポイントのダメージを、フィーアあなたに与えるわ」

 確か、オパルは自身を融合素材としたモンスターに、自分のカードの効果では破壊されなくなる効果を付与するモンスターだったはず。

 ラピスラズリの周りに4つの碧い光が浮かび上がると、それがレーザーみたいにフィーちゃんに襲い掛かる。

 ここで、フィーちゃんは伏せカードを1枚オープンして。

「待ってー。待って待って待ってー。永続罠《和睦の契約書》を発動。この効果で、このターンにお互いが受ける契約書の効果以外の戦闘・効果のダメージを0にするよー」

 すると突如、フィーちゃん紫水ちゃん双方を包むように円形のバリアが出現。4つのレーザーはフィーちゃんに届く前に消滅しちゃった。

「この効果は私の場にDDモンスターが存在する場合に発動可能。それと契約書の共通効果でスタンバイフェイズ毎に私に1000ダメージもあって、さらに私の場にDDモンスターがいない場合に私がダメージを受けたら破壊されるよ」

 そういえば、フィーちゃんの使うデッキの契約書カードって、スタンバイフェイズ毎に自分にダメージを与えるんだっけ。つまり、このターンにDDモンスターが全滅しちゃったら、次のスタンバイフェイズに自壊する。って解釈でいいんだよね?

「つまり、少なくともこのターン私たちは一切のダメージを受けないわけね。契約書のダメージ以外では」

 訊ねる紫水ちゃんに、

「そういうことだよー」

 フィーちゃんはいった。すると、紫水ちゃんは眼鏡を一本指でクイッと上げて、

「そういう事なら、むしろ好都合よ」

 直後、不自然に眼鏡が逆光したんだ。もしかしてフィールかな? だとすると、紫水ちゃんわざと眼鏡クイッからの眼鏡キランをやったことになるんだけど。

「私はカードを1枚セット。そして、《ファイヤー・ハンド》を通常召喚」

 紫水ちゃんがフィールドに出したのは、ジェムナイトではなく炎に包まれた巨大な手。

「あっ」

 直後、フィーちゃんが仰け反った。どうやら、このモンスターの効果を知ってるみたい。

「いくわ。私は《ファイヤー・ハンド》で《DDD烈火王テムジン》に攻撃」

 そして、炎の手がテムジンに飛び掛かる。フィーちゃんは一転余裕なさそうに、

「《DDD怒濤王シーザー》の効果。オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果を発動」

 一応シーザーの効果は無事に発動されたみたい。だけど、何かが変わった様子もなく、戦闘の巻き戻しも発生しないまま炎の手はテムジンの手によって両断されちゃった。

 《ファイヤー・ハンド》の攻撃力は1600だから、攻撃力2000のテムジンと戦闘して400ダメージが紫水ちゃんに入るはずだけど、今回は《和睦の契約書》の効果で0に。

「倒したわね? なら、無事に《ファイヤー・ハンド》の効果が発動されるわ」

 紫水ちゃんは、少し得意げにいった。

「このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、相手モンスターを1体破壊するわ。私は《DDD怒濤王シーザー》を破壊」

 直後、一本の火柱がシーザーを包み込んで消し炭にする。

「シーザーがフィールドから墓地に送られた事で効果を発動。デッキから契約書カードを手札に加えるよ。《地獄門の契約書》を手札に」

「こちらも効果はまだ続いてるわ。その後、デッキから《アイス・ハンド》を特殊召喚。攻撃表示」

 続けてフィールドに出てきたのはさっきの手と似た外見の、氷の手。

「出た。紫水ちゃんの自爆特攻コンボ」

 ボクは、若干のトラウマ込みで口を震わせいった。

 この二種類のハンドモンスターは、相手によって破壊された場合に、前者はモンスター後者は魔法・罠を破壊しながら互いに特殊召喚しあう効果を持っているんだ。つまり、手札消費1枚で最大6枚も相手のカードを破壊できちゃうんだよ。

 さすがのフィーちゃんも、このカードを通しちゃったことを悔やんで、ぐぬぬって苦い顔を見せる中、

「続けて《アイス・ハンド》で《DDD烈火王テムジン》に攻撃」

 氷の手も同じくテムジンに突っ込み、その剣で両断され、

「《アイス・ハンド》の効果発動。フィールドの魔法・罠を1枚破壊する。フィーアのまだ発動してない伏せカードを破壊」

 今度は一本の氷の柱が伏せカードを飲み込み破壊。2枚目の《和睦の契約書》だった。

「わざわざ両方伏せるなんて。ブラフを兼ねてたのか、もしくは片方が破壊されても、もう片方が残るようにしてたのか。そこまでするカードには見えないけど」

 紫水ちゃんは分析しながら、

「まあいいわ。その後、デッキから2枚目の《ファイヤー・ハンド》を特殊召喚。テムジンに自爆特攻し、アレクサンダーを破壊しつつ《アイス・ハンド》を召喚。同じくテムジンに自爆特攻しもう1枚の《和睦の契約書》を破壊。さらに3枚目の《ファイヤー・ハンド》で自爆特攻してテムジンを破壊。《アイス・ハンド》を守備表示で特殊召喚」

 こうして。

 最初は絶望的な布陣にみえたフィーちゃんのフィールドは、たった1枚のハンドモンスターから始まった猛攻によって全滅しちゃった。

 炎の柱と氷の柱が立て続けに伸びた事で激しい蒸気が舞い上がり、フィーちゃんとフィールドを包み込む。

「私はこれでターン終了よ」

 紫水ちゃんの宣言から程なくして蒸気が消えていき、フィーちゃんが再び姿を見せる。だけど。

「えっ」

「ええっ」

 紫水ちゃんとボクは揃って驚いたんだ。だって、そこにいたのはフィーちゃんだけじゃなくて、さっき倒した3体のDDDも一緒だったんだもん。

「まず、《DDD烈火王テムジン》が相手によって破壊された事で効果を発動」

 え、テムジン他にも効果があったの?

「墓地の契約書カード《和睦の契約書》を手札に戻します」

 僅かに残った蒸気で表情をうっすら隠しながら、フィーちゃんはいった。

 しかも、クーちゃんモードじゃなくて、本来の口調で。

「さらに破壊前に発動した《DDD怒濤王シーザー》の効果。このカードは、バトルフェイズ終了時にこのターン破壊されたモンスターを墓地から可能な限り特殊召喚できます。しかも、この効果は事前に発動しておけばシーザー自身が破壊されても蘇生が可能になります」

「そんな。せっかく破壊したのに3体とも蘇生されるなんて」

 紫水ちゃんは言うけど、ボクはフィーちゃんの手札を見て、

「それだけじゃない」

 ボクは気づいて呟いた。

「手札が3枚に増えてる」

「あっ」

 言われて、紫水ちゃんも気づいたみたいで、

「実質1枚もアド減らせてないじゃない」

 むしろ増えてるまであるんだよね。シーザーの効果でサーチした《地獄門の契約書》って、永続魔法なのに1ターンに1度デッキのDDを手札に加えるサーチカードだから。

「けど」

 悪い事ばかりじゃないと、紫水ちゃんはフィーちゃんを見据えいった。

「いつものふざけたクワトロの顔じゃなくなったわ。ようやく、本当のあなたを引っ張り出せたようね」

 いうと、フィーちゃんは。

「はい。手加減するつもりは元々ありませんでしたけど、気を引き締めないと負けると判断しました」

「なら見せて貰うわ。処分人の本当のデュエルを。改めて私はターン終了よ」

 紫水ちゃんはいった。

 

クワトロ

LP4000

手札3

[][][]

[《DDD疾風王アレクサンダー》][《DDD怒濤王シーザー》][《DDD烈火王テムジン》]

[]-[《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ(紫水)》]

[《アイス・ハンド(守備)》][][]

[][][《セットカード》]

紫水

LP4000

手札1

 

「私のターン。ドローします」

 フィーちゃんはカードを1枚引くと、

 

クワトロ LP4000→1000

 

 いきなり、フィーちゃんのライフが一気に削れちゃったんだ。何が起きたの? ボクが思ってると、

「《DDD怒濤王シーザー》の効果はまだ続きがあります。先ほどの効果で蘇生した後、次のスタンバイフェイズ時に私は特殊召喚したモンスターの数×1000ダメージを受けます。契約書のダメージではないので、何としてでも《和睦の契約書》で0にしておきたかったのですが」

「ああ、なるほど。だから2枚ともセットしてたの?」

 紫水ちゃんはいい、続けて、

「1枚が手札に戻ったとはいえ、ハンドでフィールドを1度一掃したのは無駄ではなかったのね」

「そうですね。本来は“ここ”で使うつもりのカードでしたから。手札に戻ってもすでに遅いですし、あのハンドはとても痛い一手でした」

 フィーちゃんはいった。

「ですので、こちらの劣勢と思ってデュエルさせて頂きます」

 直後、シーザーが瞬時に霊魂へと姿を変えたんだ。

「まず、このカードは自分フィールドのランク4のDDDの上に重ねて召喚できます。私は《DDD怒濤王シーザー》でオーバーレイ・ネットワークを再構築」

 上空で銀河の渦が巻きあがると、霊魂が中に取り込まれる。

「次元の渦よ、王の魂を触媒に、全てを射抜く英雄の座を与えん。ランクアップ・エクシーズチェンジ! エクシーズ召喚! 目覚めよランク5! 《DDD狙撃王テル》!」

 フィーちゃんの口上が終わると同時に、銀河の中からクロスボウを握った悪魔族モンスターが降り立つ。

「RUMを使わずに?」

 驚く紫水ちゃん。でもフィーちゃんのプレイングは一時停止さえなく、

「私の場にモンスターが特殊召喚されたことでテムジンの効果。墓地から《DD魔導賢者ゲイツ》を特殊召喚」

 これで、フィーちゃんの場は一応融合・S・Xに加えてリンクまで場に揃えたことに。

「《DDD狙撃王テル》の効果。私が効果ダメージを受けたターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除き、相手モンスター1体の攻守を1000下げ、相手に1000ダメージを与えます」

 するとまず、対象になった《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》に1本のボウの矢が突き刺さる。

 ダメージによろめくラピスラズリ。直後、その僅かな姿勢のブレの間を2本目の矢が射抜き、紫水ちゃんの肩に突き刺さった。

「紫水ちゃん!」

 痛そうな光景にボクはつい全身を震わせる。

 

《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》 攻撃力2400→1400

紫水 LP4000→3000

 

 ラピスラズリの攻撃力が減り、紫水ちゃんのライフにダメージが入る。

 けど、あくまで矢はビジョンだから痛みはないみたい。紫水ちゃんは動揺ひとつ見せなかったんだ。

「すごいね、紫水ちゃん」

 ボクなら身構えちゃう所なのに。

「一応、フィールで防壁は張ったわよ。全くフィールを込めてなかったみたいだから無駄だったけど。それに、デュエルでいちいち反応してたら体力が保たないわ」

 紫水ちゃんがいった。すると、

「なるほど」

 意味深にフィーちゃんが呟くのが聞こえた。でも、誰かが追及するより先に、

「《DD魔導賢者ゲイツ》の効果を発動。このカードをリリースして墓地の《DDD怒濤王シーザー》を特殊召喚します」

 テルのX素材が消費された事で、墓地に送られてたシーザーが、再び蘇生される。さらに、

「いきます」

 フィーちゃんが静かに身構えたのをみて、ボクは直感で「あ」ってなった。

(あれがくる)

 ボクの予想は当たった。

「ステージ解放。開け、時空の扉」

 今回は変なBGMが流れたりせず、極々普通にリンクマーカーが出現。

「アローヘッド確認。召喚条件は効果モンスター2体以上。私は《DDD狙撃王テル》《DDD怒濤王シーザー》《DDD烈火王テムジン》をリンクマーカーにセット!」

「わざわざエクシーズ2体と融合1体で?」

 驚く紫水ちゃん。

「サーキットコンバイン!」

 フィーちゃんはEXデッキからカードを1枚引き抜き、EXモンスターゾーンに読み込ませる。

「次元の海よ。光の癒しを触媒に、新たな英雄と契約せん。リンク召喚! 目覚めよリンク3《DDD救護王フローレンス》!」

 出現したのは、ボクの《アロマセラフィ-ジャスミン》の輪郭を残した女性型の悪魔。

「これ、水姫のモンスター」

 紫水ちゃんがすぐ気づいていった。シルエット以外は似ても似つかない姿をしてるのに。

「フィーア! あなた水姫に何をしたの? まさか水姫のカードを勝手に奪ってDD化してたり」

「してない、してないから落ち着いて紫水ちゃん」

 ボクは紫水ちゃんの腕を掴んで呼びかける。

「あれは平行世界の《アロマセラフィ-ジャスミン》みたいなものだよ。多分」

 実際、ボクの中で仮面ライダージ〇ウのアナザーライダーって印象だから言っただけで、実際はどうか分からないけど。

 で、ここで対峙してるのがクーちゃんだったら「どーしたのー?」って自分から地雷を踏み抜きに行きそうなものだったけど、

「《DDD狙撃王テル》と《DDD怒濤王シーザー》の効果。テルが墓地に送られた場合、デッキからDDか契約書カードを墓地に送ります。私はデッキの《DDD極智王カオス・アポカリプス》を墓地に。シーザーが墓地に送られた場合、デッキの契約書を1枚手札に加えます。私は《戦神との不正契約書》を手札に加えます」

 本来のフィーちゃんモードだと素でスルーっていう第二の地雷を踏み抜く始末。配慮のない発言もあれだけど、スルーされるのも結構きついよね?

「そして、手札から《地獄門の契約書》と《戦神との不正契約書》発動。さらにカードを1枚セット」

 ここで。

「え?」

 紫水ちゃんが突然妙な反応。

「どうしたの紫水ちゃん」

 ボクが訊ねると、

「ちょっと待って? 待ちなさいよ、嘘でしょ?」

 紫水ちゃんはひとり驚愕しだしたんだ。何が起きたんだろう、ボクが目で引き続き訊ねると、

「ねえ水姫? あの子もしかして、このターンいま初めて手札を使った?」

「え? そういえば」

 そう、だけど?

「分からない? フィーアはこのターン、まずテルを出して私のライフを削って、ゲイツを経由してシーザーを再び出して、リンク3のモンスターを出して、テルとシーザーの効果で墓地と手札を1枚ずつ肥やした。ここまでのプレイングを一切手札を使わず行いむしろ手札を増やすまでしたのよ?」

「あ」

 そういえば、そうだよ! フィーちゃん、結構デッキと場をぐるぐるソリティアしてたけど、手札を一切使ってない。

「それだけじゃないわよ。《地獄門の契約書》も《戦神との不正契約書》もデッキからサーチして手札に加えたカードよ。もし、あのセットカードも《和睦の契約書》だったら、フィーアはこのターン、不確定要素のドローを一切頼らず、サーチとサルベージだけで必要なカードを確保してる」

「しかも《地獄門の契約書》ってことは」

 ボクが言いかけた所、

「《地獄門の契約書》の効果。1ターンに1度、デッキからDDモンスターを手札に加えます。私は《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を手札に加えます」

「さらにサーチ!?」

 ついに紫水ちゃんが少々顔を青くしちゃう。

「墓地の《DDスワラル・スライム》を除外して効果を発動。手札からDDを特殊召喚します。《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を特殊召喚」

「しかもレベル8最上級モンスターをぽんと」

 分かるよ紫水ちゃん。これ怖いよね? なんで下手なSモンスターやXモンスターより出し辛いはずのカードを簡単に呼ばれちゃうんだろうって。

「《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》の効果。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、墓地のDDDを特殊召喚します。シーザーを蘇生します」

「…………」

 あ、もう反応する気力すらなくなっちゃったよ紫水ちゃん。

 と思ったら、

「大丈夫。まだ大丈夫、まだ逆転不可能な布陣にはなってないはず」

 ってぶつぶつ呟くのが聞こえた。たぶんフィーちゃんの耳には届いてないと思うけど。……もしかして、紫水ちゃんの伏せカードに何か秘密が? それに、紫水ちゃんの場には守備表示の《アイス・ハンド》も残ってる。相手の魔法・罠カードも1枚なら破壊できる算段があるんだ、紫水ちゃんは。

「《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》のもうひとつの効果を使用します。1ターンに1度、このカード以外のDDを1体リリースすることで相手モンスター1体を除外します」

「あっ」

 そうだった。アビス・ラグナロクには相手モンスターを除外できる能力があるんだった。ボクもトラウマの《アイス・ハンド》だって、除外には対応してない。

「っ」

 身構える紫水ちゃん。やっぱり《アイス・ハンド》を対処されるのは相当痛手なんだ。ボクはそう受け取ったけど、

「私はシーザーをリリースして、《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》を除外します」

「えっ」「そっち?」

 紫水ちゃん、そしてボクはそれぞれ驚く。

「嘘、どうしてそっちを? わざわざテルで攻撃力を下げたのに」

 訊ねる紫水ちゃんにフィーちゃんは、

「勘です」

 って。

「先ほどテルの効果を使った際、ラピスラズリの攻撃力が下がったのに、さほど痛手を受けたようには感じませんでした。なので、《アイス・ハンド》が囮になっているものと」

「正解よ。ラピスラズリは除外されるわ」

 悔しそうに、紫水ちゃんはジェムナイトをデュエルディスクから取り除く。すると、

「え? 通るのですか?」

 って、フィーちゃん。ボクはきょとんとして、

「狙いの逆をついたんだから、通るんじゃないの?」

「いえ。私はリリースエスケープなりフリーチェーンの融合カードを伏せてるものと読んでたんです。だから攻撃力を減らしても無駄だと」

 フィーちゃんはいって、

「それなら、素直にラピスラズリに戦闘を狙ったほうが良かったですね。とりあえず、《DDD救護王フローレンス》の効果を発動。私の場に契約書が2枚あるので2000ライフ回復」

 

クワトロ LP1000→3000

 

 シーザーで削られたフィーちゃんのライフが全快じゃないけど回復し、

「そして、その数値以下のDDを墓地から特殊召喚します。私は《DDリリス》をリンク先に守備表示で特殊召喚。さらに私のライフが回復する度にフローレンスの攻撃力をこのターン500アップし、私のモンスター1体に貫通を付与。フローレンス自身に貫通効果を与えます」

「貫通!?」

 驚く紫水ちゃん。

「さらに《DDリリス》の効果で墓地の《DDD狙撃王テル》をエクストラデッキに戻します」

 フィーちゃんはいって墓地のテルを回収。

「そして、《戦神との不正契約書》の効果を発動。1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに、私のDD1体の攻撃力を1000上げ、相手モンスターの攻撃力を1000下げます。この効果は不正契約書がフィールドに存在する限り、かつバトルフェイズ終了時まで有効になります」

 直後、ボクは気づいて、

「あ、もしかしてこの効果をアレクサンダーとラピスラズリに使ったらワンパンで終わってた?」

「攻撃が通れば」

 フィーちゃんは肯定する。ボクはちらっと紫水ちゃんを見たけど、言葉に困った顔を見せてたので、たぶん通ってたんだと思う。

 

《DDD救護王フローレンス》 攻撃力2300→3300

《アイス・ハンド(守備表示)》 攻撃力1400→400

 

 効果はフローレンスと《アイス・ハンド》に付与され、それぞれの攻撃力が変動する。

「バトル。《DDD救護王フローレンス》で《アイス・ハンド》に攻撃します」

 フローレンスの攻撃を受け、破壊される紫水ちゃんのハンドモンスター。さらに貫通能力付きなので、紫水ちゃんのライフがさらに削られる。

 

紫水 LP3000→1300

 

「《アイス・ハンド》のモンスター効果。もう《ファイヤー・ハンド》は打ち止めだけど、魔法・罠カードを破壊する効果は有効よ。私は《戦神との不正契約書》を破壊」

 こっちを破壊するんだ。

「分かりました」

 言われるままフィーちゃんは《戦神との不正契約書》を墓地に送る。

 

《DDD救護王フローレンス》 攻撃力3300→2300

 

 これによって、不正契約書の効果も終了し、フローレンスの攻撃力も2300に戻って、

「《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》で直接攻撃します」

 続けてフィーちゃんの攻撃宣言。直後、

「仕方ないわね。罠カード《廃石融合》を発動。この効果で、墓地のジェムナイトを除外して融合召喚するわ。私は墓地からジェムナイト3体を除が」

 紫水ちゃんは言いかけるも、その言葉が途中で停止。

「しまったわ。墓地にジェムナイトが2体しかいなかった」

 苦い顔をして呟く紫水ちゃん。

 これは後から聞いた話なんだけど、紫水ちゃんはフィーちゃんの初手で相当気圧されてたみたいで、本来《ジェムナイト・ラズリー》の効果を使わずラピスを墓地に置いたままにしなくちゃいけなかった所を、「それをしたら怪しまれる」って心理フェイズを重視しすぎて墓地の計算を間違えちゃったんだとか。

 そして、フィーちゃんが言ってた《アイス・ハンド》を囮にしてたって件だけど、ラピスラズリを墓地に送りたかったからなんだって。ハンドモンスターは破壊ではなくバウンスや除外じゃないと対処できないから、あえて囮にしてラピスラズリからバウンスや除外を守ってたんだ。で、攻撃力を減らされたなら戦闘で破壊してくるだろうからダメージは痛いけど目的は達成できる筈って魂胆だったらしいよ。

 だから、この《廃石融合》で本来出すモンスターは、《ジェムナイト・オパル》を素材にした《ジェムナイトマスター・ダイヤ》。《廃石融合》で出したモンスターはエンドフェイズ時に破壊されるんだけど、オパルを素材にすれば自分のカードで破壊されない効果が付与されて生き残る。そして、マスター・ダイヤには墓地のジェムナイトを除外して効果をコピーする効果があるから、返しのターンでラピスラズリの効果をコピーしてバーンダメージ。たとえ伏せカードが《和睦の契約書》だったとしても、契約書の効果でフィーちゃんが勝手に自滅するだろうって計算してたんだって。

 でも、今回は墓地のジェムナイトが足りないから、

「仕方ないわ。私は《ジェムナイト・ラズリー》と《アイス・ハンド》を除外して融合。神秘の力よ、氷の巨腕と一つとなりて、高貴なる紫の閃光を解放せよ。融合召喚! レベル7《ジェムナイト・アメジス》! 守備表示よ」

 代わりに出てきたのは守備力2450のジェムナイトモンスター。

「《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》の攻撃力は2200、その攻撃ではアメジスを倒すことは不可能よ」

「アレクサンダーから攻撃するべきでしたか」

 フィーちゃんは言いながらアビス・ラグナロクの攻撃を終了し、

「《DDD疾風王アレクサンダー》で《ジェムナイト・アメジス》に攻撃します」

 アレクサンダーの攻撃力は2500。僅か50の差だけどアレクサンダーはアメジスの破壊に成功。

「《ジェムナイト・アメジス》のモンスター効果。このカードがフィールドから墓地に送られた場合、フィールドのセット状態の魔法・罠カードを全てバウンスするわ」

 直後、フィーちゃんの伏せカードを紫色の光が包み込み、フィールドから消滅。

「分かりました」

 フィーちゃんはデュエルディスクから伏せカードを抜いて手札に戻す。これで、フィーちゃんは次のターンを伏せカードなしで耐えないといけなくなっちゃった。

「ターン終了します」

 フィーちゃんのターンが終わった。

 

クワトロ

LP3000

手札3

[《地獄門の契約書》][][]

[《DDD疾風王アレクサンダー》][《DDリリス(守備)》][《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》]

[《DDD救護王フローレンス(クワトロ)》]-[]

[][][]

[][][]

紫水

LP1300

手札1

 

 盤上以外で色々ありながら、何とか紫水ちゃんのターンは回ってきたけど。正直いってボクには紫水ちゃんが詰んでるようにしか見えなかった。

 一応、フィーちゃんの伏せカードこそ対処はしたけど、紫水ちゃんのフィールドには何も存在してなくて、握ってる手札も《ジェムナイト・ラピス》だって判明しちゃってるんだもん。

 対してフィーちゃんはモンスターゾーンに出せるだけモンスターを出してあって、仮に全滅させられても、間違いなく次のターンさえ回ればすぐ立て直せちゃう。

「私のターン、ドロー」

 紫水ちゃんはカードを1枚引く。直後、彼女のフィールがガッツリ消耗したのが分かった。どうやら、このドローに大分フィールを注ぎ込んだみたい。そして、

「魔法カード《貪欲な壺》を発動」

 ここで紫水ちゃんは手札増強の魔法カードを使用。

「私は墓地の《ファイヤー・ハンド》3枚と《アイス・ハンド》2枚をデッキに戻すわ。デッキからカードを2枚ドロー」

 紫水ちゃんは更にフィールを消費してドロー。こんなにフィールを消費しちゃったら、

「《ジェムナイト・アメジス》を除外。墓地の《ジェムナイト・フュージョン》を手札に。さらに魔法カード《打ち出の小槌》! 手札3枚を全部デッキに戻して3枚ドロー」

「し、紫水ちゃん」

 これ以上したら、本当に紫水ちゃんのフィールが全損しちゃう!

「仕方ないでしょ。どれ引けば勝てるのかビジョンが全く浮かばないのよ」

 紫水ちゃんは、どうやら手札を全部デッキに戻したことを指摘されたと思ったみたい。確かに、間違ってはいないけど。そうじゃなくって、ボクにはフィールを使い切ってヤケクソにドローしてるようにしか見えないんだよ。

 紫水ちゃんはカードを3枚引く。あ、たったいま紫水ちゃんのフィールが0になった。

 でも。

 紫水ちゃんは引いた3枚を確認すると「ハッ」て顔になって、

「この手があったわ。私は《レスキューラビット》を通常召喚」

 フィールドに出現したのは一羽の兎。

「《レスキューラビット》を除外して効果を発動。デッキからレベル4以下の同名通常モンスターを特殊召喚。私はデッキから《ジェムナイト・ガネット》を2体特殊召喚。そして、この2体でオーバーレイ・ネットワークを構築!」

「えっ」

 ボクは驚いた。だって、紫水ちゃんがXモンスターを使うなんて今日の今日まで知らなかったんだもん。

 しかも、2体のガネットが霊魂になって銀河に取り込まれると、中から膨大なフィールが噴出しながら106って数字が出たんだ。うわ、このモーションってナンバーズ。しかも、ボクの持ってる《No.49 秘鳥フォーチュンチュン》よりずっと凄いやつだよ。だって、紫水ちゃんのフィールってもう0なのに、召喚の演出で勝手にフィールが発生したんだもん。

「解放せよ、全てを掴む巨大なる力。エクシーズ召喚! ランク4《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》! 守備表示」

 こうして出現したのは、巨大な掌のモンスター。守備力は2000。

「えっ」

 フィーちゃんが目をパチクリする。ボクは、いま起きてる事態がどれだけ異質か(MISSION5参照)知らなかったから、単純にフィーちゃんがなんか凄いフィール・カードの登場に驚いたのかなとしか思わなかったけど。

「さらに私はここでスキル《ナンバーズはナンバーズでしか倒せない》を発動! このデュエル中、全てのNo.(ナンバーズ)モンスターはNo.(ナンバーズ)モンスター以外との戦闘で破壊されない共通効果を得る」

 これで、紫水ちゃんのジャイアント・ハンドは効果を無効にされるかフィーちゃんもナンバーズを出さない限り戦闘破壊できなくなっちゃった。

「さらにカードを2枚セット。ターン終了するわ」

 さらに残りのカードも全て伏せて、紫水ちゃんのターンは終了になった。

 

クワトロ

LP3000

手札3

[《地獄門の契約書》][][]

[《DDD疾風王アレクサンダー》][《DDリリス(守備)》][《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》]

[《DDD救護王フローレンス(クワトロ)》]-[《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド(紫水/守備)》]

[][][]

[][《セットカード》][《セットカード》]

紫水

LP1300

手札0

 

「私のターン。ドローします」

 フィーちゃんはカードを引いてから、

「旗枷さん。どうしてそのカードをわざわざ私に見せたのですか?」

 なんて訊ねる。紫水ちゃんは腕を組んで、

「言う必要がないでしょう。このカードの意味を知ってるなら」

 って。そんなに貴重なカードなのかな?

「そうですね。わかりました」

 フィーちゃんは返事してから、

「スタンバイフェイズ。私は《地獄門の契約書》の効果で1000ポイントのダメージを受けます」

 ここまではボクも紫水ちゃんも分かってたこと。だけど、

「さらに墓地の《DD連結システム》の効果。このカードをデッキに戻し、私はさらに1000ポイントのダメージを受けます」

「自分から更にライフを?」

 驚く紫水ちゃん。だけどボクは、

 

クワトロ LP3000→2000→1000

 

 効果によって、フィーちゃんのライフが丁度1000になったのを見て、

(あ)

 と、気づいたんだ。

「いきます。スキル発動。《新規雇用の契約書》!」

 直後、フィーちゃんと紫水ちゃんを残して辺りの光景が急にブレだした。

「なに、これ」

 辺りを見渡す紫水ちゃん。

 前回は外野がいなかったから分からなかったけど、どうやら人間もブレて映るみたいで、今回はデュエルしてないボクもしっかりブレてるのが分かった。でも、あくまで演出。自分の手を触ってみた所、あくまで視界がブレてるだけだったみたい。

「このスキルは私のライフが1000以下の場合に使用可能。相手のフィールドまたは墓地からモンスターを1体選び、元々の攻撃力が同じDDモンスターをランダムに1枚エクストラデッキに加えます」

 思った通り、フィーちゃんはここで紫水ちゃんのカードから新しいフィール・カードを作り出す気だったみたい。

 フィーちゃんの前に1枚の契約書が出現。すると、ジャイアント・ハンドのブレた中のひとつが本体から離れ、契約書の中に入っていく。直後、契約書は光を帯びながら小さくなっていき、辺りが元の光景に戻ると同時にフィール・カードになってフィーちゃんの手元に渡ったんだ。

 しかも、今回は2枚。スキルの効果は1枚って言ってたのに。

「契約完了。私の力に、オーバーハンドレッド・ナンバーズの力を持つ新たな王が加わりました」

「何を、したの?」

 驚愕。ううん、何故か絶望さえ顔に出して紫水ちゃんが訊ねる。

「安心してください。旗枷さん自身やジャイアント・ハンドのフィールに影響はありません。ですので、これで旗枷さんの寿命が縮むことも生死に関わることも一切ないはずです」

 え? なんでここで寿命とか生死って言葉が出てくるの?

「処分人に変な事されたのに“はいそうですか”って言えるわけがないでしょう」

「そう、ですね」

 フィーちゃんは、ここで一度「うーん」と悩んでから、

「水姫? ここで彼女に信じて貰うにはどうすればいいのでしょうか?」

「え?」

 突然話を振られ、ボクは驚くけど。

「どうすれば、って言われても。分からないよ、最初からふたりは対立してるんだもん。まず、そっちを解決しないと」

 苦し紛れにいった所、

「分かりました」

 何故か、それで納得しちゃうフィーちゃん。

「でしたら、まずはデュエルの勝敗をつけたほうがいいですね。《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》のモンスター効果を発動。《DDリリス》をリリースして、ジャイアント・ハンドをゲームから除外します」

 フィーちゃんの宣言の直後、《DDリリス》が光の粒子に消え、アビス・ラグナロクの力が膨大。

「それはこちらの台詞よ。罠カード《ブレイクスルー・スキル》を発動。ターン終了時までアビス・ラグナロクの効果を無効にするわ」

 だけど、そこへ紫水ちゃんが伏せカードを使い、アビス・ラグナロクの力がかき消される。

「構いません。《DDナイト・ハウリング》を通常召喚。ステージ解放。開け、時空の扉」

 続けてフィーちゃんはリンク召喚を宣言。

「召喚条件は種族または属性が同じモンスター2体。私は《DDナイト・ハウリング》と《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》をリンクマーカーにセット!」

 2体のモンスターがリンクマーカーに取り込まれると、そのマーカーから106の数字が逆向きで浮かび上がる。

(あ)

 さっきのスキルで手に入れたカードを使うつもりだ。

「まさか」

 紫水ちゃんも察した中、

「契約を請けし我が友紫水の僕よ。大地の抱擁を触媒に、新たな王に覚醒せよ。リンク召喚、目覚めよリンク2《DDD掌刻王ロダン》!」

 出現したのは、ジャイアント・ハンドより一回り小さな悪魔の掌。その攻撃力は2000。

「姿も私のジャイアント・ハンドに似てる。って、まさか」

 紫水ちゃんはいって、フローレンスに視線を向ける。

「はい。フローレンスも水姫とのデュエルの中で《新規雇用の契約書》の力で手に入れたカードです」

 フィーちゃんは、あっさりと肯定。

「言いたいことがあるとは思いますが、まずはデュエルを続けさせてください。《DDD掌刻王ロダン》と《DDD疾風王アレクサンダー》の効果をそれぞれ発動。まずロダンのリンク召喚に成功した場合、エクストラデッキのペンデュラムモンスターおよびデッキのモンスターの中から素材2体と同じ種族または属性のモンスター1体を墓地に送ることができます。この効果は1ターンに1度しか使用できません。私はデッキから《DDスワラル・スライム》を墓地に送ります」

 この効果は、間違いなく《ジェムナイトレディ・ラピスラズリ》の効果。やっぱり、フローレンスと同じで《DDD掌刻王ロダン》には紫水ちゃんの使う色んなカードの効果が混ざってる。

「さらにアレクサンダーの効果。私の場にロダンが特殊召喚されたことで、墓地から《DDリリス》を蘇生。効果で《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を手札に加えます」

 これで、エキストラデッキから再びアビス・ラグナロクがフィーちゃんの手札に戻って、そのアビス・ラグナロクを特殊召喚するスワラル・スライムが墓地に行っちゃった。

「さらにステージ解放。再び開け、時空の扉」

「えっ」

 さらにリンク召喚!?

「召喚条件は種族または属性が同じモンスター2体。《DDリリス》と《DDD掌刻王ロダン》をリンクマーカーにセット。転生リンク召喚!」

 その突然出てきた用語に、

「てっ」

「転生リンク召喚ですって!?」

 ボクと紫水ちゃんは驚く。デュエルモンスターズのカードの中には、自身と同じモンスターを素材に召喚する事で追加効果を得るモンスターが存在するんだ。そういったモンスターの召喚方法を非公式に転生〇〇召喚(遊戯王VRAINS参照)っていうんだけど。

 ってことは、今回は逆向きの106の数字は出なかったけど、いまから召喚するのって。

「次元の海よ。大地の抱擁を触媒に、これより王と再契約を結ぶ。掌刻王よ、全てを掴む真なる力を解放せよ。生まれ変われリンク2《DDD掌刻王ロダン》!」

 こうして再びリンク召喚されたロダンだけど、何故か悪魔の手がふたつになってたんだ。

「そういえば、転生召喚をしたモンスターはソリッドビジョン上の映像が変わるモンスターもいるって聞いたことがあるわ」

 紫水ちゃんがいった。

「ロダンを素材にリンク召喚した《DDD掌刻王ロダン》には新たな効果が付与されました。続けて墓地の《DDスワラル・スライム》を除外して効果を発動。手札の《DDD壊薙王アビス・ラグナロク》を特殊召喚します」

 こうして、フィーちゃんの場に再び出現したアビス・ラグナロク。

「アビス・ラグナロクのモンスター効果。《DDD疾風王アレクサンダー》をリリースして効果を発動。もう1度、《No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド》の除外を狙います」

 再び力が膨れ上がるアビス・ラグナロク。

「あ、くっ」

 すると紫水ちゃんは悔しそうに、

「ここで使わさせられるなんて。ジャイアント・ハンドのモンスター効果。相手の場でモンスター効果が発動した時、相手モンスター1体を対象に、オーバーレイ・ユニットを2つ消費して効果を発動。このカードが場に存在する限り、対象のモンスターは効果を無効にされ表示形式も変更できなくなるわ」

 紫水ちゃんの様子から、本当は別のモンスターに使いたかったんだと思う。たぶん、貫通を付与してくるフローレンスに。

 だけど、

「転生ロダンのモンスター効果。このカードがフィールドに存在する限り1度だけ、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動。ターン終了時まで、対象のモンスターの効果は無効化され、表示形式の変更もできません」

 フィーちゃんが、まさにそのジャイアント・ハンドの効果をモチーフにしたロダンの転生効果を発動。オリジナル(ジャイアント・ハンド)の効果が無効にされてしまった。

「あ」

 と、紫水ちゃんがいってる間に、今度はアビス・ラグナロクの効果が発動し、ジャイアント・ハンドがゲームから除外されちゃう。

「バトルフェイズ。《DDD掌刻王ロダン》で直接攻撃を行います。最後の伏せカードがミラーフォースのような逆転のカードでなければ私の勝ちになりますが」

 フィーちゃんの言葉に、紫水ちゃんは首を横に振って。

「伏せカードは《五死眼光》。このカードはNo.106の効果を受けたモンスターが戦闘を行うダメージ計算前に発動する罠よ。発動したら、その相手モンスターを破壊し、相手はそのモンスター攻撃力分のダメージを受ける。確かに逆転のカードではあったけど、すでに使えないわ」

「では、旗枷さんの負けで」

「問題ないわ」

 ロダンの掌が紫水ちゃんに届く前に、紫水ちゃんはデッキの上に手を置いた。

 サレンダーは認められ、そのままデュエルはフィーちゃんの勝利に終わった。

 

 

 デュエルが終わり、ソリッドビジョンが消えるとすぐ、

「旗枷さん。受け取ってください」

 って、フィーちゃんが紫水ちゃんに向けてカードを2枚投げたんだ。紫水ちゃんは咄嗟に受け取ると、

「これって、ロダン?」

「はい。このカードはジャイアント・ハンドのフィールの一部が“切り取り”ではなく“コピー”で搭載されています。もしかしたら万一ジャイアント・ハンドが奪われたときに命を繋ぐ事ができるかもしれません」

「え」

 愕然とする紫水ちゃん。

「え、どういうことフィーちゃん、紫水ちゃん。ジャイアント・ハンドが出てきてから寿命とか何とか言ってるけど」

 ボクが訊ねると、

「いいですか話しても?」

 フィーちゃんが紫水ちゃんに確認を取る。

「私からいうわ」

 紫水ちゃんは軽く首を横に振って、

「フィール・カードの中にはね、他のカードとは比べ物にならないフィールを持ってる代わりに、それ自体が生み出した人の命と繋がってるカードがあるのよ。オーバーハンドレッド・ナンバーズ。つまり、101以上のナンバーズがそのひとつと言われてて、私のジャイアント・ハンドがそれよ」

「え?」

 ちょっと、言ってることが信じられなくてボクは困惑しながら、

「じゃあ、もし誰かにジャイアント・ハンドが奪われたら紫水ちゃんは?」

「死ぬ可能性が高いわ」

 紫水ちゃんはいった。

「仮に死ななくても、いつ死んでもおかしくない位に命が安定を失うわね。一方、後から入手した人は命を脅かされる心配もないし膨大なフィールの恩恵だけ受けられる。だから、殺してでもカードを奪いたい人が狙ってくるのよ」

「ですから、保険になるかは分かりませんけど、一刻も早くロダンを渡すことにしたんです」

 フィーちゃんがいった。ボクは、

「つまり、あのロダンは紫水ちゃんがジャイアント・ハンドを奪われたときに命の代わりになるかもしれないってこと?」

「絶対とはいえませんが可能性はあります」

 うなずくフィーちゃん。だから、ジャイアント・ハンドが出て来てから、フィーちゃんちょっとデュエルを急いでたんだ。

「どうして」

 ここで、紫水ちゃんが訊いた。

「あなた処分人でしょ? どうして、私を殺して奪おうとしないのよ」

「その可能性が低いから出した。と、私は受け取ったのですけど」

 そういえば、ジャイアント・ハンドを出したとき、フィーちゃんは紫水ちゃんに理由を聞いてた。

 紫水ちゃんは何ともいえない顔をしてから、

「その場で殺すか、あとで殺すか、殺そうとしないかを見極めようとしたのよ。殺意があるならNLTで対処する必要があるし、殺意がないならそこを含めて事情聴取する必要があるでしょ。処分人が人を殺さないんだから」

「ひとつ誤解があるようですけど」

 フィーちゃんがいった。

「処分人時代であっても、私はフィール・カードを自分のものにする目的で殺処分したことはありません。私が行うのは、あくまで殺しの依頼の完遂と、私の正体を知った者の口封じだけです。そして、現在余計な口封じはやめてますので、あなたを殺処分する理由がありません」

「なら、私のカードを狙って入学したわけでも」

「ありません」

「なら、あなたが入学してきた理由は何なのよ」

 紫水ちゃんが訊ねると、

「だから最初からずっと言ってます。所属先の契約で、義務教育というものを受けなくてはいけなくなったからです」

 って、フィーちゃん。

 ところで、改めてボクたちはいま放課後の屋上にいる。ちょうどその時、雲に隠れてた夕日が顔を出し、ボクたちを優しく温かく照らしてくれた。

 まるで、ふたりの関係に光が射したみたいに。

「“我が友紫水”ね」

 紫水ちゃんが呟いた。フィーちゃんは、

「え?」

「あなたが、ロダンを出すときに言った言葉よ。全く、処分人と友達になるなんて、とんでもない日が来たものだわ」

 紫水ちゃんがため息を吐くようにいって、

「デュエルはあなたの勝ちよ。約束通りあなたの交渉を受けてあげるわ」

「いえ、その必要はたったいま無くなりました」

 フィーちゃんはいったんだ。クーちゃんモードともフィーちゃんモードともいえる、中間みたいな顔をして、

「だって、紫水さんのほうから私のことを“友達”って言ってくれたんですから」

 

 





●今回のオリカ


DD魔導賢者ゲイツ
リンク・効果モンスター
リンク1/地属性/悪魔族/攻 900
【リンクマーカー:下】
「DD」モンスター1体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードをリリースして発動する。墓地から「DD」モンスター1体を手札に加える。そのモンスターがエクストラデッキに戻る場合、かわりにそのモンスターを特殊召喚できる。

DDウィッチ
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/ATK1100/DEF1200
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(2):このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。手札から「DD」モンスター1体を墓地に送り、デッキからカードを1枚ドローする。
(1):このカード以外の自分フィールドの「DD」モンスター1体をリリースして発動できる。自分の墓地からレベル4以下の「DD」モンスター1体を特殊召喚する。
この効果を発動したターン、自分は「DD」モンスターしか特殊召喚できない。

DD連結システム
通常魔法
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドに「DDD」融合・S・Xモンスターがそれぞれ1体以上存在する場合に発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。
この効果を発動するターン、自分は「DD」モンスターしか召喚・特殊召喚できない。
(2):自分メインフェイズに発動できる。墓地に存在するこのカードをデッキに戻し、自分は1000ダメージを受ける。
(名称元ネタ:冥王計画ゼオライマーより「次元連結システム」)

ジェムナイト・オパル
効果モンスター
星4/地属性/岩石族/攻1700/守 700
(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「ジェムナイト」通常モンスター1体を墓地に送る。
(2):このカードを素材として融合召喚したモンスターは、フィールドに表側表示で存在する限り自分のカードの効果では破壊されない。
(オパール。効果はダブレットオパールを想定したもの)

和睦の契約書
永続罠
(1):1ターンに1度、自分フィールドに「DD」モンスターが存在する場合にこの効果を発動できる。
ターン終了時まで、「契約書」カードの効果以外によって、互いのプレイヤーが受ける戦闘・効果ダメージを0にする。
(2):自分フィールドに「DD」モンスターが存在しない場合に、自分がダメージを受けた時、このカードを破壊する。
(3):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。

DDD救護王フローレンス
リンク・効果モンスター
リンク3/光属性/悪魔族/攻1800
【リンクマーカー:右/左下/右下】
効果モンスター2体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズ時に発動できる。自分フィールドに「契約書」魔法・罠カードが2枚以上存在する場合、自分は2000LP回復する。
(2):自分のLPが回復した場合に発動できる。自分の墓地から、回復した数値以下の攻撃力を持つ「DD」モンスター1体を、このカードのリンク先となる自分フィールドに特殊召喚できる。この効果を使用したターン、このカードをリンク素材に使用できない。
(3):自分のLPが回復する度に、1つ、または両方を選び、次の相手ターン終了時まで適用する。●このカードの攻撃力を500アップする。●自分フィールドの「DD」モンスター1体を選ぶ。そのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(名称元ネタ:フローレンス・ナイチンゲール)

戦神との不正契約書
永続魔法
(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに、
自分フィールドの「DD」モンスター1体と
相手フィールドのモンスター1体を対象としてこの効果を発動できる。
このカードがフィールドに存在する限り、
バトルフェイズ終了時まで、対象の自分モンスターの攻撃力は1000アップし、
対象の相手モンスターの攻撃力は1000ダウンする。
(2):自分スタンバイフェイズに発動する。自分は1000ダメージを受ける。
(遊☆戯☆王アーク・ファイブ)

ナンバーズはナンバーズでしか倒せない
スキル
(1):自分フィールドに「No.」モンスターが存在する場合に使用できる。デュエル中、「No.」モンスターは以下の効果を得る。
●このカードは「No.」モンスター以外との戦闘では破壊されない。

新規雇用の契約書
スキル
(1):自分のライフポイントが1000以下になった後に1度だけ使用できる。
相手フィールドまたは墓地からモンスターを1体選択し、元々の攻撃力が同じ「DD」モンスターをゲーム外からランダムに1枚エクストラデッキに加える。

DDD掌刻王ロダン
リンク・効果モンスター
リンク2/地属性/悪魔族/攻2000
【リンクマーカー:上/下】
種族または属性が同じモンスター2体
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのリンク召喚に成功した場合、
自分のEXデッキの表側表示のPモンスター及び自分のデッキから素材となったモンスター2体と同じ種族または属性のモンスター1体を選んで墓地に送る事ができる。
(2):このカードが「DDD掌刻王ロダン」を素材としてリンク召喚されている場合、
このカードがフィールドに表側表示で存在する限り1度だけ、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。
ターン終了時まで、対象のモンスターの効果は無効化され、表示形式の変更もできない。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(彫刻家オーギュスト・ロダン。モンスターは“カテドラル”イメージ)

五死眼光
通常罠
(1):「No.106」モンスターの効果を受けているモンスターが戦闘を行う場合、そのダメージ計算前に発動する。
そのモンスターを破壊し、相手はそのモンスター攻撃力分のダメージを受ける。
(2):自分フィールドの「No.106」XモンスターがX素材を取り除いて効果を発動する場合、
取り除くX素材1つ、または2つの代わりに墓地のこのカードを除外できる。
(カード名はジャイアント・ハンドの効果名から。(1)の効果はアニメ版ジャイアント・ハンドの効果から)

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